ひとりドラムの軌跡

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X.Y.Z.→A オフィシャルサイト 八王子 ライブバーX.Y.Z.→A 爆風スランプトリビュートアルバム WeLoveBakufuSlump
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爆風スランプトリビュートアルバム WeLoveBakufuSlump

2015年8月14日

今日のタムチューニング(音程)

今日の名古屋ボトムライン、用意されたドラムがこんな多点セットだったのでそのままチューニングして使わせて頂きます!!

BottomLineTomTuning.jpg

16インチがフロアタムではなくタムなのがYAMAHAっぽいが、
14のタムと一緒にフロアタムの位置にマウントされているので、
必然的に2フロアのつもりで14インチがメインとなる。
(ワシ的にはちょっと音が高めなセット)

チューニングは13インチが入っているのでちと難しい(>_<)

まず多点セットではフロアを思いっ切り低くチューニングしてやらないと上の方に行くとパンパンに張り過ぎて鳴らないので、
まあチューニングメーターで測っているわけではないが、
通常のワシのセットでは
16FTをBぐらいにチューニングして、そこから上に4度ずつ、
14:E、12:A、10:D、8:G
みたいなチューニング・・・
(大体ですよ、共鳴して気持ち悪くなければそれでよい)

ところが13インチが入ると、
16:B、14:Eまではいいが、13インチがAというのはちと張り過ぎ感がある(>_<)

その上に行くと12:D、10:Gなどとなったら通常のセットの4度上で完全に張り過ぎである。

タムのチューニングは「絶対にこの音程に!!」というのではなく、
そのタムが一番鳴る音程にチューニングしてあげて、
全体の共鳴を見て微調整というのが正しい。

(無理やりどうしろと言っても言うことを聞いてくれないのよ〜)

16、14まではまあ緩め過ぎず、ベコベコにならない程度に低いいい音が鳴っているので、13も同じぐらい緩くすると音程差が2度とかほとんどなくなると共鳴がワンワンいったり大変になるので、
「まあちょっとキツめ」を目処にチューニングしたら大体G#ぐらい・・・
12インチも同様に「ちょっとキツめ」でBぐらい・・・

まずいなぁ・・・ド、ミ、ソになってしまいましたがな・・・

まあドラムはティンパニーと違って音程がそれほどはっきりしてるわけではないのでいいっちゃいいのだが、気になり出したらまたそれも大変なので、
ここで13インチはちょっと低め、12インチもちょっと調整して
短3度のディミニッシュか、まあそうじゃなくてもちょっとトーナリティーがはっきりしないが気持ちのよい和音にしておく。

10インチもちょっと高めにするとちょうどEの音でトーナリティーのオクターブ上だったのでDぐらいに下げておく。
14、13、12がドミソに聞こえたとしても10がEでトーナリティーをくっきりさせてしまうより、7thコードみたいな不安定な和音にしておいた方がよい。

まあ何度も言うが厳密にチューニングメーターで測っているわけではない。
「だいたいこんな感じ」で全体で気持ち良く共鳴していればそれでいいのである。

さて、いつもフロアタムのフレーズとして叩くのが16インチではなく14インチなので全体的にちょっと高めな印象があるが、タムの鳴りとしては申し分ない!!

今日のやっちんライブ、このチューニングで叩きまくります!!!

Posted by ファンキー末吉 at:18:49 | 固定リンク

2014年9月 9日

タムホルダーの共振

長かったようでホントに長かった(叫び過ぎて喉カラカラ)アーリー爆風ツアーもあと残すところ3本!!

9/9(火)佐野ケン
9/10(水)新横浜New Side Beach
9/11(木)八王子Live Bar X.Y.Z.→A

なのだが、11本全部それぞれの小屋のドラムセットを使わさせて頂いて、
実は昨日の渋谷RUIDO K2のドラムセットのチューニングには一番てこずった。

私は長くパール楽器のモニターをやらせて頂いているが、
実はYAMAHAだろうがTAMAだろうが、日本のメーカーはもう世界レベルなので、
今さらどのドラムの音はダメだということはない!!(キッパリ)

大事なのはやはり「チューニング」である。

ところがドラムは生き物で毎日音が違うので、
昨日のようにいくらチューニングしても鳴らないというのはたまにある。

ヘッドが死んでたりタイコが歪んでたり、ネジが錆びてて触感が狂ったり、
いろんな原因でどうチューニングしても鳴らないことはある。

右側に江川ほーじんの3000Wのベースアンプ、
左側に小畑秀光の180Wのギターアンプをフルに鳴らされた日にゃぁ、
鳴らないドラムセットでライブをするのは竹槍でB29にケンカ売るようなもんである。

今日の佐野KENのドラムセットはよく鳴ってくれた。
ところがここで問題なのはタムホルダーの共振である。

何をもって「よく鳴る」かと言うのは様々だろうが、
ワシはタムというのは「ボーン」と音が伸びるものだと思っている。

打面と裏のヘッドの張りを同じにするとその音は一番長く伸びるのだが、
裏を打面よりちょっと張ってやると「ドーン」とベンドダウンするチューニングとなる。
(まあ最近はだいたいのドラムには表に厚いヘッドを張るので必然的に裏より低いチューニングとなるのであるが・・・)

ところがそのよく鳴っているタムをタムホルダーにマウントした途端に「ブツッ」と音が切れるようになってしまうことがよくある。

原因がそのタムの音程の周波数にタムホルダーの共振が一致したから振動が吸収されてしまうからである。

これを解決するにはまずタムに挿すタムホルダーの深さを調整することから始める。
一番奥まで挿しているのならもっと浅くしてみるというものである。

2つタムをマウントする場合はお互いのタムが共鳴するので、
これは両方挿してみてその共鳴具合を見てみるしかない。

どの長さにしても共振して吸収されてしまう場合はもうチューニング(音程)自体を変えるしかないのだが、
せっかくよく鳴るようにチューニング出来て、それをまた最初からやり直すのは惜しいという場合は、
今日のドラムセットのようにセッティングを少し変えてみるしかない。

TomHolderKyoumei.jpg

ちなみにこの写真、スティックが向いている方向が正面である。
ロータムがいびつに手前にセッティングされているのが分かると思う。

これは両方のタムがタムホルダーを一番浅く突っ込んだ時だけにしか鳴ってくれなかったので仕方なくこうなったのである。

通常のようにタムホルダーを左右に開いてしまったら途中に大きな空間が出来てそれこそ叩きにくいからね・・・

まあロータムが手前に来ているのと、そのおかげでフロアがちょっと後ろに下がっているの以外は、
まあそんなにいつものプレイとは変わらない。

要は鳴ればそれでいいのである!!(キッパリ)

江川ほーじんとガチで爆風初期のボツ曲を演奏して来た数日間。
あの時と同じように「お前になんか負けてたまるか!!」とガチで勝負して来た。

お互いあの頃よりももっと上手くなっている。
でも「向こう見ず」はあの頃からは少しも退化してはいない。

鳴れ!!ドラムセット!!今日も命がけの勝負をするのだ!!お前も命がけで鳴れ!!

9/9(火)佐野ケン
9/10(水)新横浜New Side Beach
9/11(木)八王子Live Bar X.Y.Z.→A

が終わったらひとりドラムツアーに出ます!!

2014/09/12
ファンキー末吉ひとりドラム@鶴ヶ島ハレ
2014/09/13
ファンキー末吉ひとりドラム@佐野ケン
2014/09/14
ファンキー末吉ひとりドラム@宇都宮BIG APPLE
2014/09/15
ファンキー末吉ひとりドラム@福島AREA559
2014/09/16
ファンキー末吉ひとりドラム@郡山Club#9
2014/09/17
ファンキー末吉ひとりドラム@仙台
2014/09/18
ファンキー末吉ひとりドラム@岩手 紫波情報交流館
2014/09/19
ファンキー末吉ひとりドラム@盛岡

詳しくは私のスケジュールページを!!


ひとりドラムツアーの軌跡はこちら

Posted by ファンキー末吉 at:18:51 | 固定リンク

2014年5月14日

歌うということ

ひとりドラムツアーで対バンになったドラマーからいい質問も受けて、
久しぶりにこの「ドラムの叩き方」でテクニック的なことを書けると思っていたが、
昨日渡辺英樹さんの歌入れをしてて感じたことがあったのでまた精神論をひとつ〜

基本的にワシは歌入れが嫌いである。

自分が歌えんからっつうのもあるし、
歌をディレクションするっつうのはこれがむっちゃパワーいるのな。

ほんと歌い手さんと一緒に命削ってるっつう感じ・・・

ちなみに中国では歌のディレクション料はヘタしたらアレンジ料よりも高い。
そりゃそうやわのう・・・いい歌録れたらそれで歌手は大儲け出来るわけやから・・・

歌のディレクションにも大きくわけて2種類あって、
ひとつはどんな歌手でも自分の歌い方にディレクションする人と、
その歌手の持ち味を引き出してあげる人。

ワシは「自分の歌い方」っつうのを持ってないから必然的に後者。
もう「お好きに歌って下さい」っつう感じ・・・

初めてディレクションをしたのは李慧珍(Li HuiZhen)という女性歌手で、
彼女は「自由に歌いなさいなんてプロデューサー初めてです」と言ってたが、
結局そのCDは大ヒットして、後にワシに歌をディレクションしてくれという話も来たが、やっぱ無理!!っつうわけで断っている。

中国のプロデューサーで歌をディレクションしないってワシぐらいちゃうか・・・

二井原実がX.Y.Z.→Aのデモでワシが歌ったのを聞いて、
「いや、リズムはもちろんのこと、音程も全然外してないんやけど・・・お前のは歌じゃない!!」
と断言して下さった(笑)

さてここからが本題であるが、じゃあ「歌」というのは何なのか。
すなわち「歌う」ということは何なのかということである。

渡辺英樹さんの歌を今からエディットして・・・
(というより、もうそのままでOKなのぢゃが)
田川ヒロアキという恐ろしく耳のいいアレンジャーのところに送る。

ワシも英樹も緊張するのよね・・・田川くんのところに送るのん・・・(笑)

ちなみに田川くん、ギター入れしてる時に、
アンプのスピーカーのすぐ近くにマイクを置いて、
大音量でアンプ鳴らしてそのマイクの音を聞いているのにも関わらず、
「スネアのスナッピーが外れてませんよ」
と、ブースの隅っこに置いてあるスネアのスナッピーの音が聞こえて注意するという耳の持ち主。

ワシと英樹と、
「クーラーの音ってさぁ・・・普通問題ないよねぇ・・・」
と言いつつ、
「やっぱり消しときましょう」
と気を使う始末。

あ、また話が逸れたが、「歌う」という話・・・

英樹さんの歌がいいのよ・・・
何がいいと言うと、ちゃんと「歌ってる」のね。

何を歌ってもC-C-Bになる・・・(笑)

これはどういうことかと言うと、
「どんなジャンルを叩いててもファンキー末吉のドラムだね」
と言うぐらい凄いことなのですよ。

最近よく一緒にライブをやってるのでわかるが、
英樹さんの歌い方には大きくわけてふたつあって、
ひとつはロック的にガナる歌い方。

もうひとつはC-C-Bのヒット曲のように、
ちょっと甘ったるく歌う歌い方・・・

「お前50も過ぎて何甘えてんだよ!!」
と冗談では言うが、これが大きな個性となって「C-C-Bらしさ」を醸し出しておる。

つまり「武器」やな。
ドラムで言うとフレーズとか叩き方とか、いわゆる「テクニック」。

ワシの歌で言うと、この「テクニック」を一切持ち合わせてないので、
いわゆる「棒歌い」、ただリズムと音程が合っているだけでしかないから、
「これは歌ではない」と言われるのである。

いわゆる「表現」である。
これがないと「音楽」にならん・・・

英樹さんの場合、ある時はガナって歌い、語尾になるとちょっと力を抜いて甘ったるくシメたりする。

まあもちろんこのふたつの武器だけではなく、
ある部分は息を多く吐いて歌ったり、
またある部分は喉をシメて歪んだ感じで歌ったりする。

これがやっぱ「歌手」それぞれの「歌い方」であって、
これを構築することによって「その人らしい」という「個性」にまで昇華するわけだ。

昔、嫁が花嫁道具として持って来た「関西ブルースCD」とか何とかいうコンピレーションアルバム。
中に入ってた優歌団の木村さんが歌うポップス調の曲・・・

いや〜・・・恐れ入った・・・

ひとつとして正しい音程がない(笑)
それでいてひとつとしてイヤな音程でない。

歌手の上手い下手はワシにはようわからんが、
「こいつ下手!!(>_<)」と思う歌手は、その音程に対して「責任」を持ってない。

こんな歌手は「嫌い」だなといつも感じる・・・

ドラムのリズムとは「戦いの連続」という話を書いたことがあるが、
歌とはもっと高度な戦いの連続なのだ。

木村さんはその戦いを「天使のダミ声」という「飛び道具」を使って命がけで戦ってらっしゃる。

Auto-Tune的に全然正しくないこの音程の全てに木村さんの「ドラマ」があり、
それは強いて言えば木村さんの「人生」である。

だから木村さんの歌を聞いて涙が出るのである。
「木村さん・・・あんたはやっぱ凄いわ」と泣くのである。

もともと「喉」という楽器はピアノなんかと違って、
「ド」の鍵盤を押したら必ず正しい「ド」の音程が出るものではない。

どのぐらいの喉の絞め方をしたらだいたいどのぐらいの音程かを経験則で習得しているだけの話なのだ。

だからいざ歌い出したらその歌い始めの音程がちょっとずれてるなんて当然のことで、
それをコンマ何秒の間に命がけで修正する。

これをあからさまにやると「音程を探ってる」となってブーイングを食らう。

そんなレベルではない。
木村さんのような飛び道具でなくても、
歌手はみんなご自身の武器を持っていて、
それを縦横無尽に使いながら命がけで音程をどこかに帰着させる。

本当に機械のような経験則で何の苦労もなく正しい音程が出せる喉があったとしても、それで歌を歌って人を感動させるとは限らない。

いろんな声色を使い分けれて、何オクターブの声域を持ってたとしても、
それで歌を歌って人を感動させるとは限らない。

まあドラムで言うと、どれだけ手足が早く動いて、
どれだけフレーズをたくさん持ってて何でも叩けたとしても、
それで人を感動させるプレイが出来るかというのは全然違う問題なのである。

武器が少なくたって、それを使って命がけで戦ってる人の方が人を感動させられたりするから音楽は面白い。

英樹さんの場合、まあ武器はたくさんあるのだろうが、
ワシはあの語尾でちょっと力を抜いて50も過ぎて甘えた感じでシメる落とし方に胸キュン(死語)となる。

人に歴史あり!!その歴史が形になるのが音楽なのである。

ドラマーの諸君、毎日メトロノームで練習してても上手くならんよ。
世の中に出て泣いたり笑ったりいろんなことを経験して、
それを自分なりに戦って乗り越えて来て初めて、音楽の中での戦いがわかる。

歌の話ばっかになったのでドラムの例でシメさせて頂こうと思う。

中国に許魏というシンガーソングライターがいて、
彼の復帰作である「時光・慢歩(ShiGuan ManBu)」というアルバムのドラムを叩かせて頂いた。

このアルバムが中国ロックの金字塔を打ち立てて、
それを叩いているドラマーであるということからファンキー末吉の名は中国でまた伝説化した。

何も有名アルバムに参加したからということではない。
ワシは許魏の「歌」をドラムで「歌った」のである。

彼が西安から出て来てレコード会社と契約して、
一番貧乏だった頃、彼の部屋でそのデビューアルバムのデモを聞かせてもらった。

中国ロックに新しい時代が来たと感じた。

その後デビュー、そこそこヒットはするがしょせんはロック、
大金を稼ぐことも出来ず、彼は傷心して田舎に帰ってゆく。

一説によるとそこから麻薬に手を出して、
禁断症状から抜け出すためにドアや窓を全部打ち付けて、
自分を椅子に縛り付けて耐えた(そんなことが出来るのか?)

それを救いに行ったのがこのアルバムのプロデューサーの栾树(Luan Shu)で、
そのドアを開けて彼を縛っている縄を解いて、
そしてその時に「こんな曲が出来たんだ」と言って歌って聞かせたのが「蓝莲花(蓮の花の意)」という曲であるという都市伝説。

聞き終わった栾树は彼を抱きしめてこう言った。
「お前はもう大丈夫だ。一緒に北京に帰ろう」

そしてこの復帰アルバムを作ることとなり、
許魏が指名したドラマーがワシだったというわけだ。

今ではもう彼のバックはやっていないが、
ある日イベントで許魏が出演していて他のドラマーが叩いてるこの曲を聞いた。

ワシはそのドラマーを呼び出して説教した。
「お前は何も分かっていない!!」

「没有什么能够阻挡(何もこれを阻止出来るものはない)」という歌い出しで始まるこの曲・・・
その歌に続いてドラムが入るのだが、そのシンバルが彼は少し強かった。

「アホか!!あんなんじゃ許魏のメッセージをぶち壊しだろ!!」

強く叩けばこのメッセージは「おりゃー!!誰にも邪魔させんぞー!!」というメッセージとなり、
弱く叩けば「もう無理なんです。誰にも邪魔させないなんて・・・」みたいな意味になる。

許魏のメッセージというのは「絶望の中に一筋の光を見た」というものだとワシは思ってる。
北京での初ライブを終えた時の打ち上げで本人にこのことを言ったら、
「それ以上言わないでくれ、泣いちゃう・・・」
と笑った。

ちょうどいいある強さのシンバルだけが唯一「絶望の中の一筋の光」を表現出来るのだ。

その強さで叩いてこそ客は号泣するのだ。
その歌い手の人生に・・・

リズムとは「初恋」のようなものとよくワシは言う。
「オッサンが何をまあロマンチックな」と笑われることもある。

弱く叩けば失ってしまう、強く叩けば壊してしまう、
そんな一発を命がけで叩くことこそが「歌う」ということなのだ。

音程なんてどうでもいい、外れているのもわからないような人にはこの戦いはわかるまい・・・

英樹さん素敵な歌をどうもありがとう。

オマケ:2万人が泣いた許魏伝説の北京ライブ

中国に行けば今だに初対面の人に「このコンサート行きました」とか「DVDで見ました」とか言われることが多い。

Posted by ファンキー末吉 at:09:07 | 固定リンク

2014年1月31日

田川ヒロアキ考

先々週、に岡崎トリオを見に行ったら田川くんがゲストで出ていて、
久しぶりにかぶりつきでそのプレイを見てため息をついた。

むっちゃ上手いやん・・・(涙)

音程の絶対的な正しさはもちろんのこと、
ピッキングの正確さ、リズムの正確さはまるで機械のような・・・


と書くと大概の人は「機械みたいで心がない」という印象を受けるだろうが、
この辺に関してワシはちょっとドラムのことも絡めて聞いてもらいたいことがある。

ワシの人生は「ドラムが上手くなること」との戦いだった。

「上手い」というのは当然ながら「テクニック」の問題で、
まあその辺は人間は逆立ちしたって「機械」には適いようがない。

例えばサビに入る前に盛り上がってオカズを叩くと、
人間なのだから必ず早くなったりして次の一発で一生懸命帳尻を合わす。

機械だったらもちろんこんなことはないので、
じゃあその部分「感情」を押さえて正確に叩いたとしたら・・・

それって楽しい?・・・(笑)

「人間」は「人間」であるから素晴らしい。
どんなに機械的に上手くなっても人を感動させることは出来ない。

人を感動させるのは「人」以外にあり得ないのだ。

これをワシは中国人にはよく通訳の喋る中国語を例に出して説明する。
「ワシのヘタな中国語をお前らは一生懸命今聞いてるけど、
もっと上手い通訳が自分の話してたってこんなに一生懸命聞かねーだろ(笑)」

音楽の世界にも「ヘタウマ」というジャンルはある。
だがワシはそれを選ばなかった。

後述するが田川くんが「ブルース」に逃げなかったのと同じである。

完膚なきまでに人をノックアウトさせる上手さ・・・
つまりこの日の田川くんみたいになりたかったのだ。

どんなジャンルのどんな楽器のどんな人がやって来たってケチをつけられない、
そんなプレイヤーになりたかったのだ。

そんなプレイヤーを目の当たりにした時、
人はいろんな「言い訳」をして自分を正当化させようとする。

売れてるミュージシャンは、
「そんなことしたって売れないよ」
と言い訳して、「売れている」という点で自分を優位に立たせようとした。

そんなミュージシャンも周りにたくさんいたが、
今となってはそんな人は誰もこの年でもう音楽なんてやってない。

「歌謡ロック」のことを中国語で「流行ロック(流行摇滚)」と言う。

ワシは酔っ払って笑いながら中国のバンドにこんなことを言ったことがある。
「お前ら売れなくなったらロックですらなくなっちゃうんだ。ミジメな人生だなぁ・・・」

だからワシは「ロック」をやる。
こればっかりは周りがどのように変化したって「死ぬまで」続けられるもんだから・・・

まあ「ロック」というのはワシにとっては「ジャンル」の問題ではなくひとつの「精神論」である。

だからジャズ界に飛び込んで行ってジャズを叩いたりもする。
それが自分にとっての「ロック」だから。

人が出来てて自分が出来ないことがあると腹が立つのよね・・・(笑)

この「精神論」というのが実は「ヘタウマ」と「絶対的な上手さ」とをばしっと分けるアイテムとなる・・・
と言うか、時には上手くなるための大きな障害になったりする・・・

例えば前述のオカズの話・・・
熱い気持ちを持ってるほど機械に比べて正しくなくなってゆくのだ。

上手くなるということを金平糖に例えて説明したりする。

尖った部分を全部削って、それでまん丸になったって何の面白みがある。
凹んだ部分は後でついて来る!!尖った部分をもっと尖らすのぢゃ!!
そしたら最後にはもっと大きなまん丸になる!!

昔プロデュースしてた歌手と大げんかした時に、
「あんたのその性格を何とかしろ!!」
と言われたことがある。

ちょっと考えてワシは大笑いした。
「アホか!!俺がこの性格だからお前はどれだけ得をした?
俺がその辺のプロデューサーと同じような性格だったらお前なんかその辺の歌手以下でしかなかっただろうが!!」

この性格だから人に迷惑をかけたりトラブったりするが、
ワシの場合はもう「治らない」んだから仕方ない。

問題はこの化け物のような巨大な「感情」を、
押さえつけることなくどのように上手くコントロールするか、である。


自分の話ばかりしてしまったが、田川くんの話に戻そう。

彼と最初に出会ったのは二井原実がネットでこの動画を見つけて来てからである。

この時はあまりの衝撃に1週間ぐらい寝込んでしまった(笑)

まあその時にワシの中にはまた大きな「感情」が大暴れして、いきなり
「お前、北京に来い!!ワシがお前のアルバム作っちゃる!!」

まあこれで「ほな行きます」という人間も小畑秀光ぐらいしかおらんぢゃろ(笑)

その後、田川くんも八王子に引っ越して来て、
まあ相変わらず付かず離れず一緒にいろんな音楽をやっている。

いつも一緒にプレイすることが多かったので、
久しぶりにかぶりつきで聞いていろいろ感激した。

「感心する」プレイは多いけど「感激する」プレイは少ない昨今、
本当に心が揺さぶられるプレイだった。

彼のプレイはヘタしたら機械よりも正確でチューニングメーターよりも正確なのであるが、根本に「魂」がある。

中国でボディービルの選手と会ったことがあるが、その肉体美を見て
「どうやったらそうなれるの?」
と聞いたら、笑ってこう答えられた。
「そりゃファンキーさんみたいに毎晩飲んでたら無理ですよ(笑)」

なるほど・・・と思ってそれを紹介したミュージシャンにこう説教した。

「あいつの肉体を見たら、あいつが今までどう生きて来たかがすぐわかる。
俺らも音を聞いたらそう分かるようなミュージシャンになりたいもんだねえ」

田川くんのプレイにも、聞いていると彼がどう生きて来たかが伝わって来るのだ。

並大抵の努力でここまで弾けない。
けど本人は「いや〜そんな練習ばっかしてたわけではないんですけどねぇ」と苦笑する。

ワシもドラムの練習はそんなにしないが、
それでも結構音楽のことばっか考えてたりする。

小保方晴子(おぼかた・はるこ)さん(30)ほどではないが、
ワシだってお風呂に入る時でもデートしてる時でも音楽のことばっか考えてた(笑)

おかげで前の嫁から離婚されましたがな(涙)

流行りのテレビドラマの話題には一切ついてゆけず、
中野から「お前は歴代総理大臣の名前も知らないだろう」とバカにされたこともあるが、
そんな「つまらない」ことに時間を割くぐらいだったら楽しいことに時間を割いてた方がマシだ、ぐらいにしか思ってない。

田川くんもきっとそうなのだろう。
「弦に対してピックをどう当てたらどんな音が出る」
というのが面白くて仕方がなかったのだろう。

その「音色」にすでに「人生」がある・・・

アヴェ・マリア」という曲を弾いた時に、
ワシはとてつもなく「ブルース」を感じて涙が出て来た。

「ブルースだけは避けて通ってました」と言う田川くん、
それは「盲目であるからブルースに逃げてると思われたくなかった」からだそうだが、
ワシは逆に自分のルーツを「ブルース」だと思っている。

ロックもジャズもブルースをルーツとしてるように、
ワシはFUNKがルーツということはすなわちブルースがルーツだということである。

中国でスタジオミュージシャンをやりながら、
バラードだらけのあの中国歌謡をどう叩けばいいのかがわかった。

これは「ブルース」なんだ!!

アフリカから連れて来られた黒人達が、週に一回だけ音楽を許される。
どうせなら湿っぽいのはやめようぜ、楽しくやろうぜ!!

メジャーコード(7th)ばかりで出来ている底抜けに楽しい、
そしてとてつもなく悲しいその音楽がブルースである。

「お前だったらどうする?」
と聞かれたら、
「俺だったらロックをする」
と答えるだろう。

とてつもなく激しく、それでいてとてつもなく悲しい音楽をやるためには、
とてつもなく深い「人生経験」が必要である。

「ブルース」を否定していた田川くんが、
ここに来てとてつもない深い「ブルース」を弾けるようになった。

何かが吹っ切れたんか?・・・

「盲目である」ということにとらわれるのをあれだけ嫌がっていた田川くんは、
ワシが「爆風スランプ」であることを拒絶して生きてたのと似た心境だったのか?

どっちにしろそれとは切っても切れない関係なのだからと開き直ったのか?

あの時ふっと力を抜いて音を出すと心が引き込まれることを体得したか?
まるで金平糖の尖った部分からその奥の闇に引っ張り込まれるように・・・

どっちにしてもこの男だけはワシがドラムで突き詰めているものよりも先に行っている。
悔しいけどな・・・

そんな田川くんと来月はいっぱい一緒に演る。
彼の「生き様」を見届けに来て下され〜!!


◆2月1日(土) 八王子Live Bar X.Y.Z.→A
「届け被災地に!平和の風」

出演
ぱんちょマン、はっと、熱波 
田川ヒロアキバンド(Dr.ファンキー末吉、Bs.仮谷克之、Gt.Vo田川ヒロアキ)

時間:OPEN17:00 START18:00
投げ銭制(売上の一部を、ぱんちょマンが被災地に直接持っていきます)
別途、ミニマムで1000円の飲食代がかかります。

◆2月5日(水) 荻窪クラブスター
「富士山とU.F.O.」

op18:00/st19:00
\3.000/\3.500(+1d) 富士山とU.F.O.
田川ヒロアキ・トリオ 田川ヒロアキ(G/Vo) / 仮谷克之(Ba) / ファンキー末吉(Dr)
りまーも 高橋竜(Vo/Ba) / 土肥真生(Vo/G) / 森信行(Vo/Dr) ゲスト:YUHKI(Fh)
Grand Canyon 小林"Bobsan"直一(G/Vo) / 岡野"Tiger"諭(Dr)


◆2月8日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!(旧サンフォニックスホール)
「横浜地獄メタル」

出演:《田川ヒロアキバンド》G Vo田川ヒロアキ Key.石黒彰 Bs仮谷克行 Dr.ファンキー末吉
《chemical reactions》G 松川純一郎 B.満園庄太郎 Ds満園英二
《WILD BAY 3》 G 足立祐二 B長谷川 淳 Ds菊地 英二

OPEN:17:15 START:18:00
前売:¥3,500(税込) 当日:\4,000(税込)
ワンドリンク別途¥500
お問い合わせ&チケット予約:新横浜NEW SIDE BEACH!! (045-474-2144/12:00~17:00 受付中。)

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2013年12月21日

誰でも叩けるドラムソロ

先日はで「ファンキー末吉とドラムミーティング」なるイベントを行った。

「ファンキー末吉と飲みながらドラムのことを語り合おう」
というこれまたコアな内容の飲み会に、
誰が来るんだろうと思ってたら意外とたくさんの人が集まってくれてびっくりした(笑)

ドラムクリニックなんかをやっても
「では何か質問がある人!!」
と言っても誰も手を挙げないくせに、
全部終わって片付けとかしてたらみんな質問に来るという現象を日本でも中国でもよく経験したが、
こうして飲みながら質問するというのはハードルがかなり低いのでみんなも楽しいのだろう。

まずは店のドラムセットをメンテ!!
ヘッドを全部外して緩んでいるネジを全部締める。

入場料払ってやって来た客にそれを手伝わせたり、
六角レンチがなかったら客に買いに行かせたりと、
前半はゆる〜くゆる〜く始まり、
タムのチューニングの時にはとくとくと持論を説いてみたり、
まあ中盤から徐々に「ドラムミーティング」っぽくなって来る。

酒を飲んだらドラムを叩けなくなるのでセッティングが終わったらさっさとデモ演奏!!
全中国パールクリニックツアーのために作ったVisionRocks等の曲を数曲演奏して「飲み」!!

飲みながらゆる〜く色んな質問に答えてゆく。
聞く方も答える方も飲んでるのだから遠慮がない(笑)

そのうち「おいお前、ドラム叩け!!」と客をステージに上げる。

老若男女入り乱れていろいろドラムを叩かせているうちに、
小畑秀光のバンド「秀光」のドラマー、響太の番になり、
「お前ドラムソロって出来る?」
という話になった。

「いや、出来ません」
と言うので、
「それじゃあ俺が出来るようにしてやろう」
となる。

ドラマーにとってドラムソロは高嶺の花のように思えるだろうが、
コツさえ掴めば簡単なことなのぢゃよ。

要は「構成力」!!

特にテンポの決まってないフリースタイルのドラムソロは、
自分の叩けるフレーズをどう組み立てるかということだけによってびっくりするほど完成されたドラムソロになる。

「取りあえず好きに叩いてみて」
出来ても出来なくても取りあえずソロを叩かせてみる。

「出来ません」
と言って途中で挫折するのだが、それでもいろんな叩けるフレーズ、叩きたいフレーズが出て来る。
その中で印象に残ったフレーズ、ああこれを叩きたいんだなというフレーズを頭に留めておくのだ。

「じゃぁソロを作りましょう」
フレーズを整理してゆく。

「まず初っ端はさっき叩いたシンバルものね!!」
初っ端は「掴み」なのでインパクトが必要である。

「次はタムものね」
タム回しには所々ブレークを入れるように指示する。
その方が単調にならなくてよい。

「じゃあ次はリズムもの」
本人が叩きたがってた6連のバスドラの前に16分のバスドラを付け加える。
ここは少々テンションを落としてもいいのだ。
ウルトラマンを見てみろ、
最初っからスペシウム光線を出せばいいのにその前に長々と空手チョップだのを出しておる。
つまり空手チョップみたいなユルい技を出しとかねばスペシウム光線も効きやしないのだ。

ところがやりたがってた6連のフレーズもいざやってみると怪獣が倒れるまではいかない。
「じゃあそこでもう一度16分に戻ってみて」
押すばかりでは怪獣にも効果がない。
時には引いてみるのも効果的である。

「じゃあ最後にブラスト!!」
デスメタルなどにある4倍速のビート、
この速度でやると死んでしまうだろうが遠慮なく死んで下さい!!(笑)

ちゃんと叩けるか叩けないかは関係ない、死ぬか死なないかなのです。
ここで見事死んでしまえたらドラムソロは完成です!!

あ、死んだ・・・

いや、もう一回最初っから同じように叩いてみてくれる?・・・
最後にもっと盛り上げるフィナーレが必要じゃが・・・
何?もう技がない?・・・じゃあ簡単なのを伝授しよう。
シンバル叩いて最初はゆっくりから段々速く、最後にはやはり死んで頂こう!!

あ、死んだ・・・

いかんいかん、忘れんように一度録画しとくから最初っからもう一回叩いてくれる?(笑)

かくして響太のドラムソロが出来上がった。

おう、叩けるフレーズだけで見事にドラムソロが完成されておる!!

あとは毎回ライブでやって技を足したり引いたりしてゆけばよい。
「間」とかはお客さんがいないと実際わからんからの〜

秀光ライブスケジュール

見届けに行ってやって下され〜

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2013年10月30日

ミュージシャンは〜楽しい仕事と〜来たもんだ〜

1ヶ月近く出ずっぱりのツアーというのはなかなかなかったが、
まあ考えてみれば中国とかアジア諸国とかと旅してることを考えると普通の生活である(笑)。

毎日毎日違う土地でライブをやるというのも幸せなことだが、
まあいつも言っている通り別にそれは苦痛でも何でもない。

問題は音楽以外に抱えているたくさんの「仕事」である。

「音楽以外やらない」というミュージシャンは多いが、
それはワシにとっては非常に恵まれていると思うだけで、
ワシはと言えばどんな仕事でも朝から晩までやっていくのが自分の人生だと思っている。

「音楽で食ってる」
というのは形上のことであって、その実、ワシはいろんな「仕事」をしているのだ。

例えば音楽の仕事とはまるで関係ないが、
今は地方新聞の連載の話が来ていて、
自分の中国から北朝鮮までのいろんなロック放浪記を書いている。

新聞なので毎日連載とかという話もあるのだが、
本職が物書きではないのでそのために全てのスケジュールをそれに合わすわけにはいかない・・・

「とりあえず何本か書きますので溜まったら連載しましょう」
ということになって楽屋や投宿先で毎日いろいろと書き溜めているのだが、
まあ今更ながらワシは「ゼロから1を作る」という仕事は苦手であるなと気付く。

音楽の仕事で言うと、
アレンジの仕事は一ヶ月に何曲でも受けることが出来るが、
作曲となると盆と正月ぐらいに時たま「いい曲」が出来る程度なのだ。

文章も同じで、「小説」は1本だけ書いて「小説現代」に掲載されて講談社から漫画として発売されたことがあるが、
それもネタ元は自分の中国での体験談であってまるっきりのフィクションではない。

「書き物」と言っても体験談を書くならそれは「得意」である。
飲みながら人に体験談を「喋っている」ようなものなのだから・・・

まあこのブログもそうだが、基本的にワシの文章など「酔っ払って喋ってる」程度の文章なのだ。
ただその内容が人が経験出来ないことなだけでかろうじて少々人には評価されているが、まあ言ってみればこれは「文学」でも何でもない。

同じように考えると自分の「音楽」だってその程度のものである。

音楽教育を受けたことがないから、そのコンプレックスを払拭するために死に物狂いでクラシックの「楽典」や「Jazz理論」やを勉強した。

きっとその辺のプレイヤーより「知識」はあるだろう・・・
でもそんなものが何の役に立つ?・・・

「音楽」なんてのはしょせん「生き様」である。
「どう生きてどう死んだ」というのが「作品」に残るだけの話であって、
「知識」なんてそれに付随する「一部分」でしかない。

「音楽」と「生活」というのは全く同じである。

今回はワシがその考えに至る大きなきっかけになったひとつのエピソードをご紹介したいと思う。


20年ほど前、爆風スランプがドイツにORAGAYOのジャケット撮影に行った時に、
東京に出て来た頃に知り合った現代音楽のパーカッショニストがドイツに住んでると言うので訪ねて行った。

彼はワシが東京に出て来た頃に知り合った打楽器奏者で、
元々はクラシックの人なのだが
道を外れて「サンバ」というリズムに取り憑かれて道を踏み外したがためにワシなんかと知り合った。

ワシも通常のロックドラマーよりもサンバだレゲエだ他の民族のリズムに詳しいのはきっかけは彼との出会いであった。

彼は今では世界的な現代音楽の打楽器奏者。
ドイツまで渡って来て、名前を聞いてもワシは知るはずもない偉大な現代音楽の作家に師事していた。

クラシックの世界である、もちろん金になんかならない。

生活があるからまず部屋を借りなばならない。
でも金がないのだから拙いドイツ語で大家さんと一生懸命交渉する。

「あなたがこの部屋を安く私に貸すことはひいてはドイツ国の音楽に貢献するということなんですよ」と・・・

そしてその借りた練習場で大工仕事が始まる。
現代音楽の打楽器奏者というのは楽器を「作る」ところから始まるのだ。

見せてもらった「タム」の譜面は五線譜ではなく「絵」である。
「1、2、3、4」などないのだ。
早く打つ部分は音符が「密」なだけで、小さく打つ部分は音符が小さい、
それだけである。

じゃあどのようにタムをセッティングするか、
その譜面からインスピレーションを受けて彼はそのタムの台を作ることから始める。

タイコを叩いているよりも大工仕事の方が主なのだ。
だからこそ音の出せる大きな地下室を借りている。

難解な現代音楽の譜面をまず「読む」・・・つまり「理解する」。
これだけで半年を費やす。

その作家の書いた本も全部読む。
「ああこの作家は左翼な考え方を持ってる人なんだな」
そう感じた彼は、そのイメージに合う「楽器」を探しに行く。

譜面の最後には「リンを弓で弾く」という指示しかない。
彼は半年かけて譜面と向かい合って、それは「大三次世界大戦への警告音なんだ」と理解したのだ。

「リン」とは仏壇とかにある「チーン」というあれである。
彼はイメージに合うその音を探してヨーロッパじゅうを車で走る。

半年かけて彼はケルンのとある古道具屋でやっと自分のイメージに合うリンを探し当てる。
そして1年後にやっとその「音楽」を演奏することが出来るのだ。

「半年は譜面を見て考える、
半年かけてやっとわかったら今度は楽器を揃える。
毎日毎日車でハイウェイをぶっ飛ばして、
帰って来たら台を作ったり、ほとんどは大工仕事で半年が終わる。
そして半年かけてやっとそれを練習するのさ」

彼は笑いながらそう言った。
そしてワシの音楽人生にバイブルともなるこの言葉を言ったのだ。

「リンを探してヨーロッパじゅう廻る、
朝から晩まで大工仕事してる、
大家と頑張って家賃交渉する、
これも全部ひっくるめて自分の音楽なんだ。そう思わないか?」

この考えがワシの現在の音楽生活の「全て」である。
彼のこの言葉があるからワシの「人生」がある。

師匠、中村さん、今何してるかなぁ・・・
不肖の弟子はまだまだだけどとりあえず毎日車転がしてドラム叩いてますよ〜

ドイツにまだいらっしゃるならまた訪ねて行きたいなぁ・・・・

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2013年9月17日

ドラム譜面のお仕事

音楽の「腕」というのは絶対的に「経験値」によると思う。

大昔の話、和佐田が「俺は譜面は苦手なんや」と言ってた頃、
一度同じスタジオの仕事に呼ばれて、
それが「鋼鉄なんちゃら」というメドレー曲で、
やたら長い勧進帳のような譜面を当日いきなり渡された。

ワシは譜面は得意だと思っていたのだが、
和佐田がすいすいと弾けるのに対してワシは全然叩けなくて泣きそうになったことがある。

気がつけば譜面を書く方になってしまい、
そのような「経験値」が絶対的に不足していたのである。

逆に和佐田は「苦手や」と言いながら
ワシが書いた譜面を呼んで弾くことも多く「経験値」が高くなっていたのでいつの間にやらワシを追い抜いていたというわけだ。


今回の「五星旗3rd」のツアーファイナルは、
ギターの岡崎猛の故郷、京都の園部という街で、
地元の吹奏楽団とジョイントで行う大「コンサート」である。

SonobePoster.jpeg

岡崎はん経由で譜面が送られて来る・・・

何と十数年振りに見たドラム譜!!!!

セッションなどは他の楽器と同じくコード譜を渡されてそれを見ながらリズムパターンは自分で考えながら叩くが、
ドラムの叩き方を音符で書き込んだ「ドラム譜」を見たのは十数年振りである。

あの時は夜総会バンドのライブの後、
その店が夜はハコバンによる演奏が入ると言うので、
そのまま残ってそのドラマーの代わりに数曲叩かせてもらったのだ。

いや〜凄かった!!

客の雰囲気を見ながらバンマスが譜面の番号を言う。
譜面台に乗っている譜面の束の中からその番号の譜面を開くとバンマスからカウントが入る。

「え〜!!!何の曲?!!!」

わからずにただひたすら譜面を読む。
ドラム譜なので大体繰り返し記号が多いのだが、
その時に助かったのはその繰り返し記号の上に「何回繰り返したか」という数字が書かれていたことだ。

人間には「4小節」という「タイム感」が自然に備わっている。

4小節に一度シンバルを叩く、
8小節で小さなオカズを叩く、
16小節で大きなオカズを叩く・・・

だいたいの曲はこのように構成されているが、
まれに1小節余りだとか1小節足らずだとか、
そんな半端な小節の時だけ注意を払い、
基本的には「今が何小節目か」という感覚は頭で数えるのではなく「身体」で感じるのである。

だから譜面も数小節先を見る。
リズムの叩き方だけ見て覚えたら、
それを叩きながら次に入るセクションの音符を先に読んでおくのだ。

そして「身体」が「ぼちぼち8小節目ですよ」と教えてくれたらそのタイミングで読み込んだフレーズを叩く。

そしてリピート記号やダルセーニョなどを読み込み、
次がどの部分に戻るのか、その先のリズムを読み込んでおく・・・


まあしかしワシの「経験値」などはたかだかその程度である。
様々なドラム譜を瞬時に読んですぐ叩ける人から比べたら全然経験値が低い。

だから今回もらったこの譜面にも様々な書き込みをしておく。

FullBandScore.JPG

まず大事なのは「小節の区切り」がどこにあるのかということである。
4小節ごとにちゃんと太線を入れておく。

そしてセクション!!
何はなくともここはみんなで合わすところであるから目立つようにしておく。

指定されたFillとかはワシの場合読み飛ばして似た手持ちフレーズで代用したりもするが、
まれにその指定したフレーズが他のパートとセクションになっている場合もあり、
リハでそういう部分に遭遇するとちゃんとメモをしておく。

とにかく大事なのはまず初期段階で「指定されたフレーズを叩くこと」ではなく、
「構成を把握してバンドの指揮者よろしくみんなに音で指示出来ること」である。

だからとにかく全体を把握出来るように努力する。

リハでいつも間違える部分には「注マーク」を入れておく。
一度恥をかいた部分なのだからこれを入れておけば次から間違うことはない。

「ミスは恥ずかしくない!!恥ずかしいのはそれを繰り返すことだ!!」
・・・とか言いながらリハーサルをやってみたらやはりワシの読譜力が一番低かった(>_<)

他のパートの人は長年この曲を演奏しているのだから全員完璧に吹けるのであるが、
ワシだけがはみ出したり引っ込んだり、そんな部分がまだまだ多い段階でリハーサルは終了した。

そりゃそうだ、ワシひとりのために既に全部出来ている他の人をそう何度も付き合わせるわけにはいかない。

ワシは今からこのドラム譜にギターのコード譜を見てコードを書き込むことにした。
曲を聞けばそのコードが何なのかを瞬時に理解出来る能力があるので
(実はアレンジとかしてる人ならこれぐらい能力は誰でも持っている)
それをガイドにした方が全然曲の理解度が違うのだ。

あと何回も譜面を見てイメージ練習!!

譜面を渡されて何の苦労もなく叩けるのが「かっこいい」のではない。
どんな手を使っても最終的に完璧に叩けるのが「かっこいい」のだ!!

こんなブログを書いているヒマはない。
あと1時間でこれを克服しよう!!

岡崎はん、ありがとう。
この部類の経験値を上げるチャンスをくれて・・・

人生は短いが学ばねばならないことはまだまだ多い。
でも学べばもっと「楽しい」世界がそこに広がっている。

吹奏楽団とのセッション、リハの段階では非常に楽しいセッションである。

ワシさえちゃんと叩ければ・・・(笑)

Posted by ファンキー末吉 at:17:26 | 固定リンク

2013年9月14日

ドラムセットに教えられる

五星旗のツアーを廻っている。

例によってまたスティックとツインペダルだけ持ち込んで、
ドラムセットは小屋のセットをそのままお借りしている。

ドラマーの中にも絶対に自分のセットでないと叩けないという人もいるが、
まあそれも「ドラムセット」も含めて「自分の音」なのだからうなずけるが、
ワシの場合はそんなにこだわらない性格なのと、
まあ現実的に車一台で廻るツアーではドラムセットとローディーと連れて廻るのも現実的ではないので逆にスネアやシンバルすら持ち込まない・・・

前のブログでも書いたが、
ドラムセットによってそれぞれ音が違うので叩き方も変わって来る。

毎回毎回が「ドラムセットとのセッション」なのである。

五星旗はJazz系のバンドだということで10数年ぶりにJazzの老舗「Royal Horse」にお世話になったが、
そのドラムセットとも実に10数年ぶりの「セッション」ということになる。

ここからはポエムチックな書き方になるが、ドラムセットが、
「おう、久しぶりやな。腕は上げたか?」
と話しかけて来るような感じである。

確かに10数年前はJazzは叩けるには叩けたが、
ボリュームコントロールも出来ず、Jazz的なフレーズもまだまだ少なかったので、
老舗のJazzクラブに鎮座するドラムセットにとっては少々苦痛なセッションだったかも知れない・・・

敬意をはらっていつものようにチューニングをさせて頂く。

RoyalHorseDrumSet.jpg

ちなみに右側のタムだけヘッドが汚れてないということは、
このセットを使うドラマーはそれを外して3点セットで叩くJazzドラマーが多いということである。

ドラムヘッドはJazzらしくコーテッドのヘッドが張られている。
大きめの口径に厚手のコーテッドだとイアンペイスのようなサウンドになるが、
このような小さな口径に薄手のコーテッドだとモロ「Jazz」のサウンドである。

小さな口径で低い音を出そうとしても無理があるので、
そのタイコ自体が無理なく鳴るようにチューニングするとモロ「Jazz」のカランカランとした音になる。

シンバルがジルジャンで、今度はシャンシャン鳴り過ぎる(>_<)
シンバルレガートの粒が全然聞こえずにずーっとシャーンと鳴り続けてしまうのだ・・・

仕方が無いのでシンバル面ではなくカップの近くを叩くのだが、
それでも結構シャーンと鳴り続ける・・・

しばらく格闘するうちにコツがわかって来た。

八王子のLive Bar X.Y.Z.→Aに「つの犬」というドラマーがやって来てセッションをしたことがあるが、
彼がドラムソロで奇妙な技をやってたのを思い出した。

スティック同士を叩き合わせて、
その持っている手のひらの部分の空間で音を共鳴させてその音程を変えるのだ。

「どうやってんの?」
と聞いたら教えてくれた。

「クラーベみたいにスティック自体を鳴らすんだよ」

何故かとっさにそのことを思い出して、わざと軽くスティックを握ってレガートすると、
あら不思議、いろんな名盤で聞いたようなあのレガートの音が出て来る・・・

チンチキチンチキというあのレガートサウンドは、
決してシンバルだけで鳴らしているのではない。
スティック自体が鳴っている「木の音」があって初めてあのサウンドになるのだ(驚)

老舗のJazzクラブに鎮座するドラムセットが、
「お前もやっとわかったようだな」
とニヤリと笑ったような気がした。

同じように硬めに張ったコーテッドのドラムヘッド上を軽く握ったスティックを転がすようにロールで叩くとあのJazzのような「ザー」っというサウンドになる(驚)

どんなドラムセットも力ずくで鳴らして来たワシが、
初めて「Jazzとはこう叩くんだよ」というのをドラムセットから教わったようなもんである。

その日は我ながら「イカしたJazzドラマー」になったような気がして、
いい気になって次の小屋「RAG」に向かう。

ロックもJazzも演奏する小屋に相応しい、今度は口径の大きなセットである。
チューニングすると「ズドン」という重い音が出る。

同じように叩いてたら
「おいおい、何撫でるように叩いてんねん、アホか!!」
と叱られてるように全然鳴ってくれない。

いつものように力ずくで鳴らしこむと、
「よっしゃ!!それでこそロックじゃ!!」
とニヤリと笑ってくれる。

次の日の加古川「Ohana」のスネアは幅広のスナッピーが張られていた。

ヘッドもレスポンスがいいヘッドが張られていたせいか、
ちょっと叩いただけで「ザーザー」とウルサイ(>_<)

そこでまた学習するのだ。
「もっとベロシティーの差をつけなさい!!」
小さな音はもっと小さく、大きな音はもっと大きく叩くとサマになる。

それぞれのドラムセットにそれぞれの叩き方がある。
毎日がそのドラムセットとの「セッション」なのである。

力ずくで鳴らしてただけの時代には聞こえなかった「ドラムセットの言いたいこと」がやっと聞こえて来るようになった。

そのタイコの言うことをよく聞いて、
無理をせず、一緒にそのセッションを高みに昇らせてゆけばいいのだ。

そのためには当然ながらテクニックの幅広さも必要なのだが、
そのドラムセットが鳴らされて来たであろうセッションの音を想像できる、
つまりいろんなドラムの音を聞いておく必要もある。

あの時期狂ったようにJazzばかり聞いてたあの時代がなかったら、
「Royal Horse」のあの重鎮ドラムセットの言うことなど聞く耳はなかっただろう。

あの時期狂ったようにJazzクラブ通いをしていたあの時代がなかったら、
生のドラムの音が実際どうなのかなど分かるよしもなかっただろう。

そしてあの日、つの犬さんとのセッションがなかったらそのヒントさえ掴めなかっただろう。

ドラマーは部屋の中でひとり朝から晩まで練習してただけでは決して上手くならない。
「セッション」こそが命なのだ。

今日はまた違うドラムセット、
明日はまた違うドラムセットと出会う。

どんな「セッション」になるのかはその時になってみなければわからない・・・


五星旗3rdツアー宿毛

場所:宿毛NEUE(ノイエ)
対バン:JUJIRO. (and more)
開場18時開演19時
前売2500円当日3000円
住所:高知県宿毛市幸町5-6
問い合わせ:0880-63-3215


2013年09月16日(月)
五星旗3rdツアー打ち上げライブin大阪

場所:大阪RwTracks
対バン:三井ぱんと大村はん、Frame
開場19時開演19時半
前売3500円当日4000円
問い合わせ:06-6358-0005


2013年09月17日(火)
五星旗3rd京都イベント

場所:京都府南丹市園部公民館大ホール
開場:18時半 開演:19時
前売3500円当日4000円


五星旗のアルバムはこちらより購入出来ます。
(現在ファンキー末吉のJazzドラムを聞けるCDはこれのみ!!)

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2013年8月31日

ドラマーとして金を稼ぐ2つの方向性

音楽学校の副校長をやっていた時、表題のテーマで何度か生徒たちに話をした。

キャバレーなどでハコバンをやるとかを除いて、
「メジャーの仕事でお金を稼ぐには大きく分けて次のふたつの方向性がありますよ」
ということである。

ひとつは私が北京でやってるような仕事、
「スタジオミュージシャン」
である。

これをやるためには幅広いテクニックと音楽性が必要である。
ロックからJazzから、あらゆるドラムが叩けて、
プロデューサーの要求に即座に答えられなければならない。

まあ北京の仕事ではいいが日本の仕事では読譜力も必要だろう。
究極には
「与えられた譜面を一瞬で理解して、
その通りのプレイがクリックに合わせて完璧に出来るテクニック」
があれば最高峰。

そしてもうひとつが「バンドのドラマー」である。

メタリカのドラマーを例に挙げると、
彼は決して上手いドラマーではないが、
他の人では絶対に替わることが出来ない「凄いドラマー」である。

サイモンフィリップスは彼のプレイのようなドラムは全部叩けるだろうが、
メタリカのドラマーがサイモンフィリップスに替わったとしても、
バンドはグレードアップするどころが一部ではブーイングが出るかも知れない。

要は「メタリカのドラマー」であれば別に「何でも叩ける」必要はないということだ。
あの「音楽」だけが神業に凄ければあとはどうだっていい。

大事なのは「スタジオミュージシャン的なテクニック」ではなく、
その「メタリカ」というバンドを最高峰にしてゆく「プロデュース能力」が必要だということである。

「バンド」というのは面白いもので、
その特殊な「合議制」によってそのサウンドが作られてゆく。

上手い下手ではなく、
その「サウンド」が他に類を見ないほど「かっこいい」ものならそれでいいのだ。

そのバンドのドラマーであることは、
時にはそのドラムプレイだけではなくバンドサウンド全体に影響を与えることも多い。

バンドのサウンドを決めるということは、
まあワシのようにコードやメロディーを指定するということだけではない。

「なんかこう・・・もっとかっこよくなんないかなぁ・・・」
という意見の提示で「バンド」というのは成り立っているのだ。

ギターが弾けなくてもいい、
コードや音楽理論なんか知らなくてもいい、
「仲間」がやったフレーズに反応して
「それそれ!!かっこいいじゃん!!」
とドラムを叩く。

そうやって「バンドサウンド」が出来上がってゆく・・・

だからスタジオミュージシャンとして言わせてもらえば、
そんな「バンドサウンド」を再現する仕事ほど難しい仕事はない。

サイモンフィリップスがメタリカの曲をやったって「サマにならない」のと同じで、
このファンキー末吉がやったって(大きく出たな)どうしても越えられないものがあるんだから困ったもんである。

スタジオミュージシャンが逆立ちしたってかなわないのは、音楽には
「オリジナル至上の原則」
というものがあるからである。

これは20年以上前になるが、かまやつひろしさんのスパイダースカバーアルバムをプロデュースさせて頂いた時に感じたことである。

「いつまでもどこまでも」という曲をアレンジしていて、
原曲を何回か聞いてゆくうちに、
そのドラマーの田辺さん(何とあの田辺エージェンシーの創始者ですぞ)のドラムのある部分のオカズが、
リズムがコケて半拍ぐらいなくなってしまっているところでハマってしまった。

まあ当時はひょっとしたらバンドで「せーの」で録ってたり、
今みたいにドラムだけ差し替えたり出来なかっただろうから、
「ま、いーか」
でそのままOKテイクになったのだろうが、
何度も聞いてゆくとその部分のオカズはもうそれでなければならなくなってしまうのだ。

もちろん現代のレコーディングではわざと半拍なくなって叩くわけにもいかず、
「ああ、やっぱオリジナルは越えられないなぁ・・・」
と思ってレコーディングした記憶がある。

さて今日台湾で一緒にやるWINGさん、
そして明日東京に飛び込みで参加するやっちんのライブの曲でもこんなエピソードがある。

まずWINGに関してはアジア圏で最も成功したロックバンド「BEYOND」のドラマーでもあるし、
中国ではよく「WINGさんのドラムに関してファンキーさんはどう思われますか」という質問も来る。

その時に必ず答えるエピソードがこれである。

今回のコンサートではドラムは1台だが、
数年前の大陸ツアーでは2台用意して、
ワシが先にドラムソロをやって、その間に衣装換えをしたWINGが、
次にはドラムソロをしながら下からせり上がって来るという演出だった。

2時間一生懸命ドラム叩いて、ドラムソロも命賭けて叩いて、
「よっしゃー場も暖まっただろう!!WINGよ、満を持して出て来るのぢゃ!!」
とばかりバスドラを踏みながらWINGの登場を煽る。

スポットライトを浴びながらスネアロールをやって舞台真ん中のせり台からせり上がって来る。

上がり切ったらワシはバスドラを踏むのをやめてそこからWINGのドラムソロになるのだが、
まあ長年の友人だから歯に衣着せずに言わせてもらうと、
まあ「ドラムソロ」というよりは「サウンドチェック」(笑)

まあ本人も歌手になってドラムはほとんど叩いてないし、
当日もスティックもワシから借りてるし、
ドラムセットのチューニングもセッティングも全部ワシ任せである。

しかしそのサウンドチェックのような
「ドンドンドン、バンバンバン、ガシャーン、ドタドタ」
で数万人の観客は狂喜乱舞するのである。

中華圏のロック史上、
最初に中国語(広東語だが)でロックを歌って数々のヒット曲を世に送り出した、
その伝説のバンドのドラマーが目の前でドラムを叩いている・・・

ファンにとってはただそれだけでいいのだ。

まあ言うならばビートルズのリンゴスターのお歌のコンサート行ったら、
途中のコーナーでドラムソロを叩いてくれたようなもんである。

狂喜乱舞する何万人のオーディエンスを見ながら
「ワシ・・・今まで2時間一生懸命ドラム叩いて何なんやろ(苦笑)」
と思うこともあるが、
ワシは別にドラマーとしてWINGと張り合いに来たわけではない、
WINGのコンサートを成功させるミッションを遂行しに来たのである。

でも完璧に遂行するって結構大変よ(笑)

例えばBeyondのヒット曲に「真的爱你」という曲がある。
オリジナル版が見つからなかったがこれは当て振りなので音はオリジナル版であろう。

このサビに入る前のオカズ、特に3:50あたりのこのイモっぽいオカズ・・・(涙)
「お前〜よりによって何でこれやねん!!」
と同じドラマーとして本人に突っ込みたくなる(>_<)

しかしこの曲を何度となく演奏して来て、
それこそいろんなオカズをこの部分で叩いてみたけれども、
結局どんなかっこいいオカズを叩いてもこのオカズにはかなわないのだ(涙)

今ではもうすっかりあきらめて、
この部分ではいさぎよくこのオカズをそのまま叩くようにしている(笑)

言うならばこれは「ワシの作品」ではないのだ。
Beyondの・・・つまり「WINGの作品」なのである。

ワシがどれだけドラムが上手かろうが、
どれだけそのプレイに命をかけて叩こうが、
この曲を演奏する限りオリジナルであるWINGのそれにはどう逆立ちしたって絶対にかなわないのだ。

同様にやっちんツアーでよく演奏しているTHE GOODBYEのこの曲

イントロのテーマ部分の八分のウラで入るこのセクション、
3回繰り返すエンディング部分ではちゃんとドラムも合わせているが、
イントロと1番終わりに出てくるセクションではえとーさんはわざと合わせていない。

またご丁寧にクラップを重ねている(時代やなぁ・・・)オカズ、
「ドタントタッタタ」
というのがワシにしてみたら合わせているような合わせていないような、
何か非常にキモチワルイ・・・(笑)

当然ながらリハーサルでは何度となく別のオカズを試してみたが、
結果的にはやはりこれを越えられないのでもうあきらめてこれしか叩いていない!!(キッパリ)

リズムパターンにしてもそうである。

X.Y.Z.→Aだったら同じR&Rのリズムなら、
ハイハットを半開きにして4分で叩いて疾走するのだけれども、
THE GOODBYEの曲はこのようにHHは8分でバスドラは頭でシンプルに入れる場合が多い。

それが「えとーさん風」とでも言うべきか、
THE GOODBYEが解散してからのやっちんのソロ曲でも、
何やらそっちのリズムパターンの方がしっくり来てついつい「えとーさん風」に叩いてしまう。

言うならば叩き方を「コピーする」のがスタジオミュージシャンの仕事だとすると、
「コピーされる」のがバンドのドラマーである。

さあ若いドラマー諸君、あなたはどちらになりたいですか?!!

まあ実際のところどちらかを選ばなければならないことはない。
同じような立場のドラマーには今まで会ったことがないが、
ワシは一応それを両方をやっている。

まあどちらが儲かるかと言うと「バンド」は当たれば大きいが、
宝くじと同じで当たらない人の方が多い。

まあスタジオミュージシャンの方が「ツブシはきく」けれども、
今日び音楽の仕事で、それもドラムだけで食ってゆくのも難しいかもな・・・

まあどっちも金にはならんのぢゃ!!
それだったら好きな方をとことんやりたまえ!!!


ps.ワシは今から台湾でWINGのライブをやって、
そのまま5時起きで東京帰ってやっちんのツアーファイナルでドラム叩きます。

ファンキー末吉の「えとーさん風ドラム」を聞きたい人はこちらに集まれ〜

2013年09月01日(日)
曾我泰久LIVE!LIVE!LIVE!JAPAN TOUR 2013東京ファイナル

Vo.Gt.Pf.曾我泰久
Gt.Kb.田川ヒロアキ
Ba.和佐田達彦
Dr.ファンキー末吉

【会場】新宿 BLAZE
(東京都新宿区歌舞伎町1-21-7-B2)
【時間】OPEN 16:00/ START17:00
【プレイガイド】
チケットぴあ(Pコード:200-951) 0570-02-9999
ローソンチケット(Lコード:79131) 0570-084-003
e+(イープラス) http://eplus.jp/
【お問合せ】NEXTROAD 03-5712-5232(平日14:00~18:00)

【料金】前売り4,800円/当日500円増し(税込み/自由席/D代別途)
  ※整理番号入場  ※未就学児童入場不可

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2013年8月27日

ドラマーとドラムセットの関係

2週間におよぶ曾我泰久のツアーを終えて香港に来ている。
嫁曰く、今月は1日しか家に帰らないそうだ(笑)

日本のライブハウスツアーでは基本的にそのライブハウスのドラムセットをお借りするのだが、
時々ぐちゃぐちゃのチューニングのドラムセットに出会うことがある。

特に前回行ったことがある小屋で、
そんなに期間が空いているわけではないのにワシが一生懸命チューニングしたドラムセットがこんなになってると首をかしげてしまう。

日本全国のライブハウスに出演しているドラマーの諸君、
もし君らの直前にファンキー末吉が出演してたとしたら、
君らはドラムのチューニングをいじるではない!!

ワシが完璧にチューニングしてるから変えるな!!(キッパリ)

まあドラムセットやヘッドの状態にもよるのだが、
毎回毎回ワシはその小屋のセットを一番「鳴る」ようにチューニングする。

前回の京都「都雅都雅」と神戸「チキンジョージ」は特にばっちしであった。

でもまあ他のドラマーに言わせれば「末吉のセットは鳴らない」という人もいる。
「力いっぱい叩いてやっとその音がする」とも・・・

ドラマーとドラムセットの関係は、
戦いに出る時に乗る馬と戦士の関係に似ている。

以前書いた文章を読んでみて下され)

ワシの場合、スネアはリムショットで思いっきりシバいて無理矢理鳴らすし、
バスドラはそもそもが踏み込んでビーターでそのまま音を止めてしまうのでいいが、
やはり残響音が長いタムの音が一番大変である。

最近気付いたのだが、
サウンドチェックでボンボンとタムを叩いている時、
その跳ね返りなど手応えと、出て来る音のバランスで、
そのドラムセットとの付き合い方、音の鳴らし方というのが決まってゆくのだと思う。

ワシはどちらかと言うとどんなドラムセットでも力ずくで鳴らし込む方じゃが、
かと言ってドラムセットの「気持ち」も汲んであげないと鳴るものも鳴らない。

ワシがいつも使っているヘッド「クリアエンペラー」ならいつもの感じ、
「コーティッド」ならイアンペイスみたいな感じ、
と叩く側もそのドラムセットに合わせてちょっと変わってあげられればドラムセットも鳴り易いだろうと思う。

「ドラムに叩かされてる感じ」というのは、
ワシはX.Y.Z.→Aのファーストアルバムのレコーディングの時に味わった。

数々のロックの名盤を作り上げて来たこのスタジオで、
数々の名ドラマーのドラムをチューニングして来たチューナーが、
「一番ロックな音」にチューニングされたそのドラムセットを叩いた時に、
ワシはこれこそが「ロックの音」だと思った。

それがウェイン・デイヴィスが作る世界最高の音でヘッドホンから流れて来る。
あとはその「音」をこの「音符」で叩けばいいのである。

ところが叩けない。
いつもなら何でもない8ビートのリズムを1コーラス叩いただけで息が切れてしまうのだ。

ふーふーぜーぜー言いながらやっと叩き終えて思った。
もともと「ロックな音」というのはあの人たちのような、
マッチョで巨体の白人が棍棒のような手でぶん殴ってはじめて出る音なのではないか・・・

でもサウンドチェックの時にはちゃんと音が出ている。
一発ずつ叩く時には出ているんだけど、
要はそれを連続して叩けるフォームが出来てないのだと思う。

まあフォームが出来てないなら作ってやればすむことなのでよいが(笑)
ドラムという楽器は身体で叩いてはいるんだけど実際は「耳」で叩いているという部分も大きいと思う。

バンと叩いて「気持ちいい」と感じる。
その時には実際にいろんな要素が身体の動きに反映されているのだろう。

ビートを叩いているのだからそれが「連続」せねばならない。
身体というのは無意識に「耳」からのいろんな情報を処理して連続的に「動き」を微調整しているのだと思う。

「耳」からの情報というのは当然ながら「ドラムセットの音」なのだから
出る音とプレイとが密接な関係であることは自明の理であろう。

例えば樋口宗孝という偉大なドラマーがいたが、
彼のドラムセットを鳴らすのはホントにしんどかった。
(その話はこちら

思うにひぐっつぁんってヘビーな音でスピード感を出すドラマーだったので、
彼はその重い音を力ずくで前のめりに叩いてたっつうスタイルやったんやないかな・・・

シェイカーのクドーちゃんのドラムはもっと鳴らん(>_<)

クドーちゃんの場合はどしっとヘビーにグルーブさせるスタイルなので、
そのドラムセットで手数を入れまくったりスピードドラムを叩くってしんどいのよねぇ・・・

まあそれと同じようにワシのドラムセットを人は「叩きづらい」と言うのぢゃろうが、
ライブハウスのドラムセットにあれこれ「こうであれ」などと言っても話は始まらない。

要はそのドラムセットがどんなドラムセットなのかをよく理解してやって、
それに合ったような叩き方をしてあげた方がドラムは全然よく鳴るし、
むしろそれの方が結果的に「ファンキー末吉の音」になる。

「どんなドラムセットか」というのはチューニングこそが「対話」である。

口径の小さいタムで低い音を出そうとしても無理なのと同じで、
「このドラムセットであんな音を」などと思っても「無理」である。

スネアもヘッドがアンバサダーだったりすると、
エンペラーを貼ってる時のように低めのチューニングは絶対無理なので必然的にカランカラン鳴る音になるし、
裏のヘッドが古かったりいろんな要素でスナッピーがあまり鳴らない状態のスネアもある。

でもカランカラン言ってようがドシっとしてようが、
それなりに「ファンキー末吉の音」というのは出せる。

ひぐっつぁんのドラムセットを叩いたってクドーちゃんのドラムセットを叩いたって、結果「ファンキー末吉の音」になるのである。

でもプレイの内容は少々違って来る。
重たい音のセットだと力が要るので細かいパッセージのフレーズは叩けないし、
カランカラン言うセットだと逆にスピードメタルのスタイルで叩いたりする。

実際やっちんの年頭の東京ライブでは、
そのドラムセットの音色により手数系のソロはあきらめて別のスタイルのソロを叩いている。
9月1日のファイナルでは自分のセットなのでタムも多いし手数系のソロをやるかも知れん。
(自分のドラムセットでも毎回音が違うし、自分の状態でも違ってくるので一概には言えんが)

要はその時々のドラムの鳴り方によってそれを受け止めてやれる「度量」は必要である。

自分がこんな音を求めてるからドラムセットに「そんな音で鳴れ!!」と言ってもそりゃ無理である。
ステージでの音というのはドラマーとドラムセットとのコラボレーションなのであるから、
「あんたがそうなら俺はこうするよ」
という「対話」が全面的に必要である。

Jazzのような即興性のあまりないライブでもライブが毎回違うのは、
それこそミュージシャン同士のコラボレートが違うからであり、
ひいてはそのミュージシャンのプレイが微妙に毎回違うからである。

ドラマーだけ取ってみても、
毎回同じ音符を叩いているのだけれども、そのドラムセットとのコラボレートが違うのだから、
音色をはじめ、ビートにもそれは大きく影響してくる。

それを受けて他のプレイヤーの演奏も微妙に影響を受け、
それが歌う人にも影響する。

たかだかドラムのチューニングだと思ってバカにしてると、
結果的にライブそのものを左右しかねんよ〜

繰り返し言おう!!

各ライブハウスに出演するドラマーの諸君、
ワシが数日前に叩いたドラムセットだったら悪いことは言わん、
そのまま叩きなはれ!!

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2013年8月16日

シャッフルの叩き方

ツアーに出ると「ドラムの叩き方でもUPするかな」と思う。

今廻っているやっちんのツアーではシャッフル曲はほとんどないが、
先月廻ったブルースのツアーでは当然ながらたくさんあった。

シャッフルのリズムは原型が「Swing」にあると思うので、
まずその「Swing」のリズムをご紹介しよう〜

ShuffleScore1.jpg

これをちょっと「固く(?)」したのがシャッフルのリズムである。

ShuffleScore2.jpg

「固く」というのは、
漂うように叩くJazzのSwingのリズムと違ってロック的にカチっと叩くというニュアンスである。

もっと「ロック的」に叩くとするとこのような叩き方もある。

ShuffleScore3.jpg

ツーバスを使ってこのように叩くこともあるし、

ShuffleScore4.jpg

筋肉少女帯の曲では逆にこんな叩き方の曲もあった。

ShuffleScore5.jpg

フュージョン的なアプローチではこんな叩き方もある。

ShuffleScore6.jpg

でも今回ご紹介したいオススメの叩き方はコレ!!!

ShuffleScore7.jpg

この叩き方を最初に見たのは高校生の頃、
88ロック(懐かしいなぁ)に出場していた「花伸(はなしん)」というブルースバンドのドラマーがこれを叩いていてぶったまげた。

右手より左手の方が速く動かねばならんなんて・・・無理!!!

と最初はあきらめていたのだが、
Jazzを叩くようになり出してからSwingのリズムの左手を自由に入れる時、
結局このように全パツ叩くこともあり、
試しにブルースでもやってみたらこれが非常に気持ちがいい!!

コツは
「無理して2拍目4泊目に大きくアクセントを入れよう思わないこと」
だと思う。

ずーっとこの速さで叩いてるのだから大きいアクセントは大変である。
2拍目4拍目にはハイハットも踏んでいるのだから、
アクセントというよりは手首の位置をちょっと落としてやってここだけリムに当てるぐらいに考えた方がよい。

右手を左手と同じく全パツ叩く叩き方もあるが、
個人的にはHHを叩いた時にその開閉でSwingのリズムが強調されるのでこっちが好きである。


ちなみに「スティックを振る」という動作には大きく分けて3種類の動作があり、
一番多く使うのが「手首」で振る動作。

タム回しなど、上手いドラマーは実は腕を振っているのではなく、
腕の位置がタムの上に移動しているだけで叩くのは手首で叩いている。

「腕を振る」という動作は実はアクセントの時。

HHを両手で叩きながらところどころにアクセントを入れてみるとわかるが、
普段は腕の位置は動かず、アクセントの時だけ腕を振り上げて叩いている。

そして3つ目は一番小さなこの動き、「指」の動きでスティックを振る。

親指と人差し指でスティックを持ち、
残りの3本の指でスティックのお尻の部分を動かしてスティックを振るのである。

Swingのシンバルレガートなどもこの動きである。
あの速いパッセージを手首で叩くのは実質無理だし、
出来てもビートが固くなって使い物にならない。

シンバルからの跳ね返りなども利用して指先だけで振るのである。

このシャッフルのリズムパターンの左手もそうである。
手首で振るのではなく指で振って、
2拍目4拍目のアクセント部分だけ手首の位置をちょっと下げてやってリムに当てる。

これはワシも慣れるのに数年かかったが、
実際に出来るようになるとスネアにスティックが吸い付く感じ(?)で、
自分がまるで黒人になったような(?)気持ちいいビートが生まれて来る。

慣れるとかなり速い速さでも叩けるようになるが、
速いシャッフルには「ストンプ」と呼ばれる叩き方もある。

ShuffleScore8.jpg

2拍目4拍目のアクセントはハイハットだけに任せて、
スネアは全パツ裏拍だけでドンカドンカドンカドンカと叩く。

そして最後にこの進化系!!

ShuffleScore9.jpg

右手をSwingのリズムにしてスネアはストンプ。
高速でこれが決まると相当気持ちいいですぞ!!

練習あるのみ!!

ちなみに末吉がブルースを叩いてる参加アルバムはあまりないが、
このアルバムではその「黒人的」シャッフルビートを叩いてます。

Swingを叩いてるアルバムはもっと少ないが、
五星旗3rdのアルバムでは何曲か見事なシンバルレガートを披露してます〜

ミックス終了!!予約受付ちう〜

Posted by ファンキー末吉 at:22:52 | 固定リンク

2013年8月 6日

ドラムの基礎練習は中国語の単語学習のようなものだ

中国で地方地方のドラムの先生方と飲むにつれ、必ず聞かれる言葉が
「ファンキーさんは一日どのぐらい練習してるんですか」
という言葉である。

これには答えるのが非常に難しい・・・

基礎練習などJazzを始めた頃から20年近くやった覚えがない・・・
それからは数年前にレガートのコツを掴んでからたまに楽屋でトコトコやるぐらいである・・・

「いや〜・・・
この2ヶ月は毎日なんかしらライブやレコーディングでドラムを叩いてたから、
まあ言うならばそれが一番の練習ですよ」
と言うとそれがまたあらぬ誤解へと発展する。

「練習は嫌いでライブは好きなんですね」

いや、それはその通りなのだが、それだけ言われたのでは身も蓋もない(笑)
そんな時にはこの例えを出せば一番わかりやすいようだ。

「私の中国語は決してうまくないでしょ?」

まあこれに正直にうんと言えない中国人はいない。
学校に通ったこともなく、教育も受けずに全くの独学でここまで喋っているのだ。

「通訳の人って凄いですよねぇ、私の知っている単語の数十倍は知ってるし、
何よりも発音が私なんかと違ってと全くあなた達と同じぐらいちゃんとしている・・・」

うんうんと頷く中国人たち・・・ワシは続ける・・・

「でもね、あなた方は今このヘタな中国語の話をみんな食い入るように聞いている。
これが流暢な中国語を話す通訳が何か話してても今ほど熱心には聞かないでしょ。
音楽もこれと同じです。
ドラムのテクニックは例えて言うと中国語の単語数と同じ。
私は少ないテクニックでも心からあなた達に伝えたいことがある。
それがない通訳の人がどれだけ流暢な中国語を喋っても誰も耳を傾けない。
音楽で一番大切なのは『伝えたいこと』なのです。
それを伝えるために単語数が必要になって来るというだけの話なのです」

これでだいたいの中国人は大きく納得する。
なにせ実際このヘタな中国語の話を食い入るように聞いていたのだから(笑)


ところが中国人よりも日本人の方が始末に負えないかも知れない。
インタビューでこんな話をしたら
「僕はヘタなドラムでも人の心を動かすようなドラムを叩きたいと思います」
などと書かれて憤慨したことがある。

ワシのドラムがヘタか?!!!!(怒)

全く日本のインタビュアーにはアホが多くてイヤになる・・・(笑)

ワシは音楽をずーっと独学でやって来たので
それがコンプレックスになって、逆に音楽理論から何から全部自分で勉強した。
その辺の音楽理論も知らないアレンジャーよりは数倍知識(単語数)は多いはずである。

ところが単語数を全部覚えようとするとこれは無限にあって実質不可能なので、
ルーディメント系は実際よく使うものから習得して来た。

実のところ「ふたつ打ち」は弱い(これホント)。

だってロックやっててそんな姑息な技やったって聞こえへんのやも〜ん(笑)

だからワシのフレーズのほとんどは「フラム」だの「ディロル」だの
(実のところようわからんが)
何とかひとつ打ちを組み合わせて自分なりのフレーズにしている。

そうでなければロックの爆音の中ではフレーズが「立たない」のだから仕方がない。
「ふたつ打ち」が弱くて苦労したのはJazzをやり始めてからである。

「歴史」が違うのである・・・人生は短く、習得すべきものは山のように多い・・・

世の中には運のいい人悪い人、お金持ちの人貧乏な人、
それぞれの人生は決して平等ではないけれども、
神様は平等に全ての人に一日の時間を24時間しか与えていない。

それをどう使うかは「自由」だし、
どう使ったかこそがそれぞれの人の「人生」となる。

ドラムというものは、いや「人間」というものは決してまん丸なものではない。
金平糖のように尖ったり凹んだりしているものである。

ある人はその凹んでいる部分を持ち上げようとするが、
そうすると人は一生そのコンプレックスとだけ戦わねばならない。

もちろんその戦いから一生逃れることは出来ないのだが、
またある人はその尖っている部分をもっと伸ばそうとする。

要はで〜っかい金平糖になりたいか小さなまん丸になりたいかである。

「伝えたいもの」がない人達はとりあえず練習をしようとする。
(いや、それも非常に大事なことのだが)

中国語を習得したいから辞書を1ページ目から最後まで単語を全部覚えてゆくようなもんである。
(いや、それで全部覚えたらもの凄いことなのであるが)

いくら単語をたくさん覚えたって「伝えたい」ものがなければただの「翻訳機械」を越えられない。

中国語がろくに喋れないのにワシは単身この国に乗り込んだ。
使えるほんの一握りの武器(単語)でロッカー達と毎日酒を飲んだ。

戦う前に「絶対に負けない」ように全ての防御を習得してから戦いに行く人もいるだろう。
でもワシはとりあえず「戦場」に出た。

力不足で討たれて死ぬのならそれは自分が「悪い」のである。

Jazzをやり始めた頃、生まれ故郷の香川県でJazzのライブを組んでもらった。

「Jazz屋のオヤジ」という言葉があるぐらい、
好きなJazzで自分の城を作り上げた人は頑固者が多い。

そこのマスターはワシがドラムを叩いてる最中に、
「こらドラム!!やかましい!!ピアノが聞こえんやないか!!」
と怒鳴った。

その後は萎縮してろくなドラムが叩けない。
持ってる武器(ルーディメント)がロックのしかないのだから戦ったって勝てるわけないのである。

ライブ終了後はワシの首根っこを捕まえて全ての客のテーブルに連れて行って、
それぞれの客全員にこう言った。

「おい、こいつのドラムはどうやった?正直に言え!!」

全てのテーブルを廻った後にマスターはワシに
「うちの店は最高のJazzしか流さんのじゃ!!出直して来い!!」

その日は男泣きに泣いた。

勝つ戦いばかりではない、負けることだってある。
でも幸い致命傷にはならなかったから命がけで足りない技を習得してまた戦場へ向かう。

傷つきながらも幸い死ぬことはなかっただけの話で、
「ライブが一番の練習になる」というのはこういう意味である。

正当に武術を習得している人から見たらワシの武術なんて無茶苦茶なもんである。
でも最低限「死なない」程度の技は持っている。

命を守るためには最低の武器(基本)は必要なのである。
中国語を話したかったら最低の単語数が必要なのと同じように・・・

ドラムを叩いてメトロノームと完全に同期するなんて、
ドラマーとして仕事をするんだったら絶対に出来なければならない技。

初見で譜面読んでどんな変拍子であろうが即座にそれを叩くなんて、
セッションミュージシャンとして仕事をするんだったら絶対に出来なければならない技。

それが出来なかったら「戦場」に行けないだけの話である。
なくて行ったら討ち死にしておしまいである。

金平糖がどれだけデコボコでも凹んでいるところを討たれたら死ぬのだからその「まる」は必然的に大きくもなる。

いろんな技術的な質問をして来る中国のドラマー達にも日本のドラマー達にも、
答える言葉はいつもこれである。

「お前が今考えるべきことはそれではない!!」

では何なのか・・・それを考えることが「人生」であり「音楽」なのだ。

全世界のドラマー諸君!!
戦場に出ることもなく武器の磨き方だけを考えてるヤツは討ち死にするぞ〜!!
頑張るのぢゃ!!

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2013年7月11日

ドラムで最も大切なのは構成力

中国でドラムクリニックなどをする時、
食い入るように「テクニック」だけを見てるアホがいる。

ひとりでドラムを叩くのだから、
そりゃデモ演奏曲はテクニカルな楽曲ばかりを用意しているが、
そんな鬼のような手数フレーズや、
難解な変拍子フレーズなんぞいくら仕事やったってまず使うことないぞ!!

中国人は往々にして即物的なモノの考え方を持っているので、そんな時には
「よし、お前に一番金になることを教えてやろう」
と言って一発バラードなんぞを叩いてみせる。

なにせ中国のスタジオ仕事のほとんどはバラードぢゃからな。

例としては中国人なら誰でも知っているBEYONDの「海阔天空」などが望ましい。

ワシはこの曲を叩かせたら誰よりも上手い自身がある。
(オリジナルを叩いているWing本人を除く)

北京でPaulとWingが対バンをした時、
Wingが歌うこの曲のワシのドラムを聞いて、
Paulバンドの若い香港人メンバーは皆腰を抜かしていた(笑)

この曲は1コーラスの間ほとんどドラムを叩かない。
サビが終わってやっと盛り上がった時に、
フォルテシモ(と言っても80%ぐらい)でキメを叩く。

そしてそのまま盛り上がるように見せかけてちょっとだけ力を抜いてやるのだ。
そうすることによってこの曲のキモである間奏のサブメロディーがとてつもなく「悲しく」聞こえる。

ちょうどワシが叩いたシンガポールだと思うが映像がUPされていたので聞いてみて欲しい。
こちら、3分15秒あたりから)

残念ながらその後の盛り上げの部分がぶつ切りになっているが、
その後大サビになった時にはフォルテシモまで盛り上げるが、
サビに入る時にはまた少し力を抜いてやる。

この時に「スローボールは決して力のないボールではない」という原則を忘れてはいけない。
「気持ち」まで抜いてしまってはならない。
力一杯命をかけて力を抜くのだ。

そして途中アカペラで歌って、
次にサビに入る時には今度は90%まで盛り上げといて、
最後のサブメロディーに入る時にはまた少し落としてやる。

ここまで来れば号泣しない中国人はいない(笑)

その後のギターソロはもう好き放題、
100%を越えて力の限り叩きまくってもよい。
何をやっても中国人は号泣するだろう・・・

・・・何故かって?・・・ワシこそが一番泣きながらこれを叩いているのだ。

間奏でちょっと力を抜く時にはいつも死んだ黄家駒のことを考えて、
「世の中には思い通りにいかないことがあるんだ」
という気持ちがこみ上げて来る。

フォルテシモには自分の人生の全てがその中に表現されている。
怒り、悲しさ、無力感、希望、絶望・・・

どうだ?若造、ドラムを叩いて金を稼ぎたいんだろ?
これこそが中国で一番「金になる」ドラムだ!!

・・・と言っても大体がドラム叩いて金にしようと思ってる人間に、
そんなことを感じ取れる「心」があるわけがない。

「あのう・・・この曲だったら僕もバーのハコバンでよく叩いてましたし・・・」

アホか!!お前のドラムとワシのドラムのどこが違っているか分からんヤツが、
ワシのドラムから何かを学べるわけがないじゃろ!!

全くもってアホは手数しか見とらんからな。
そんなヤツほど覚えたてのかっこいいオカズをやたらめったら入れまくって喜んでいるのぢゃ。

若造、教えてやろう。ワシにどうして仕事が来てお前に来ないのか。

ワシと一緒にやっとるプレイヤーはみんな言っとるぢゃろう。
「ファンキーさんと一緒に演奏してると曲を間違えない。
今が曲のどの部分にあるのか、いつサビが来るのか、
その時に自分はどのようにプレイしなければならないのかが全部わかる」
と・・・

オカズはそのように入れるものなのぢゃよ。
手数なんて関係ない。

「はい、サビですよ」
とか、
「はい、Aメロですよ」
とか、
「はい、もうすぐギターソロね、盛り上がりまっせ〜」
とかな。

例えばサビに入る時に1小節付け加えているような構成の曲もあるぢゃろ、
そんな時にはその部分に逆にわざとオカズを入れないのよ。
通過して、その付け加えた1小節の部分ではじめてオカズを入れる。

逆に付け加えてない部分には必ずオカズを入れるのよ。
そしたら、
「あ、1番は付け加えてなくて2番は付け加えてる」
ってのがはっきりわかるぢゃろ。

時には入れて時には入れないとかやってはダメじゃ。
入れるなら必ず入れる、入れないなら必ず入れない。

ドラマーはバンドの指揮者ぢゃ。
メンバーに絶対的な信頼感を与えていなければならない。

もちろんミストーンなどはもってのほか。
ドラマーは絶対に間違えてはならぬ!!

それぐらい絶対的な信頼を与えておけばもう、
プレイヤーもそれぞれ勝手に解釈して演奏したりしないぢゃろ。

全部が全部ドラマーの描いた絵の通りに演奏するとバンドがまとまるぢゃろ。
バンドがまとまると歌が歌いやすいぢゃろ。

そしたらその歌手は必ずお前を呼んでくれるではないか!!

それで初めてお前は金を稼ぐことが出来る、と・・・
風が吹いて桶屋が儲かるより確実ぢゃろ。

わかったか、わかったらビール奢れ!!
授業料ぢゃ!!

今は40円のビールでいい。
しかしお前が本当にこれで儲けたら今度はもっと高い酒をワシに奢れ!!

わかったな、じゃあ今日は朝まで飲むぞ!!

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2013年6月11日

知ってましたか?タムホルダー

今日のライブは高松オリーブホール。
昔は爆風スランプなどで来てた、「ライブハウス」と言うよりは「コンサートホール」である。

ドラムセットもパールのスタンダードメイプルが置いてあった。

ヘッドはピンストライプが張られていて、
よくあるライブハウスのようにベコベコのヘッドではない。

いいドラム、悪いドラムというのはワシはあまり気にしないが、
(パールの人に「ファンキーさん長年モニターして頂いて本当にありがたいのですが、一言言わせて頂いていいですか。あんたどのドラム叩いても音いっしょ!!(笑)」と言われた男である)
悪いドラムというのはやたらチューニングに時間がかかったりして大変であるが、いいドラムはちょちょちょいとすぐにチューニング出来たりするから楽である。

今日のドラムセットもちょちょいといじったらすぐにチューニング出来た。

鳴りがいいドラムは軽く叩いてもドーンと音が響いて、
その音に「叩かされる」という感じもあって、
その日のライブの出来自体を左右する大きな要因にもなって来る。

まずはフロアタムをチューニングして次には14インチのタム。
もうひとつのタムが13インチなのでこれは意識してちょっと低めにチューニングする。

どこの誰がやり始めたのか、この12、13、16の並びというのはワシはあまり理解出来ない。
自分のセットでは8、10、12、14、16と全て偶数で揃えている。

16から13の口径の差に比べて13から12の口径の差は大きくなく、
タムにはそれ自身が一番大きな音で鳴る音程があり、
その音程差も13と14では近くなってしまうので、
意識して14はちょっと低めに、13はちょっと高めにチューニングするのだ。

チューニングはバッチシ!!
しかしマウントしてみると全然鳴らない・・・

これはタムホルダーがタムの鳴りと共振してしまい、
ちょうどそれを打ち消し合う共鳴となって全く鳴らなくなってしまうのだ。

これは実はよくあることで、
タムに挿すホルダーの長さを調整してやることによって解決する。

パールだけがそうかと思ったら、
菅沼孝三に聞いてみたらヤマハでもやっぱりそうらしい。

まあ物理的にモノが振動するのだから、
ちょうどその周波数で振動するホルダーだと打ち消しあって鳴らなくなるのは逃れられない宿命なのかも知れない。

いつものようにタムホルダーに挿す深さを調整したのだが、
今日のドラムセットはどの長さにしてもタムが鳴らない。

調べてみるとタムホルダーの首の部分のネジがちゃんと締まらなくなっていてグラグラしているのだ。
タムをマウントした状態ではその重さでそれ以上下には下がらないように固定されている形になっているが、
手で持ち上げると数センチ持ち上がる。

つまりタムを叩くと一瞬持ち上がるのでそれで振動を吸収してしまうのだ。

2本あるタムホルダーが2本ともそうなので、
またお互いが共振してよけい鳴らなくなっている部分もあるようだ。

仕方がないのでひとつをスタンドに直挿しにして、
バスドラにマウントするのをひとつだけにしてみた。

期せずしてイアンペイスみたいなセッティングである。
(Deep Purpleモノ頑張ろっ)

image.jpg

まあタムホルダーのせいなので根本的な解決にはならないが、
それでもいくらかはマシになった。

皆さん、タムホルダーってのも結構侮ってはいけませんぞ!!

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2013年6月 2日

ドラムは何歳になったって上達する

X.Y.Z.→Aのツアーが終わった・・・

毎回橘高が考えるのであるが、
今回のメニューは定番曲から新曲からなかなか劇的なメニューであった。

Faster! Harder! Louder! Deeper!」などは今から考えれば当時は
「今日はもう叩けないかも知れない・・・」
と腹をくくる曲だったが、今はもう・・・
いや、決して「楽」ではないが・・・
とりあえず叩けなくて崩壊してしまう恐れはない。

あの頃100本ツアーで毎回命がけで叩いて来たのだ。
今さら「もう叩けません」ということはあり得んじゃろう・・・

その後「Lybirinth」という曲が現れた。
この曲は実際「もう叩けない」と思った。

レコーディングで手こずった影響もあったのだろう。
「叩けない」と思ったら実際に叩けない。

足がもつれて崩壊寸前で何とか叩いたら、
今度は精神的にそれを引きずってしまって、
それよりも全然テンポが遅い「Never Say Die」も叩けない。

「ドラムを叩く」ということは「アスリート」に近いと思う。
「負ける」と思った試合は必ず「負ける」のだ。

「戦い」というのは何のことはない。
「自分との戦い」に他ならないのだ。

その昔、親戚の叔父さんを殴って家出して東京に出て来たのだから、
「田舎に帰る」ぐらいだったら「死んだ方がマシ」だった。

人間「死ぬ気」になれば何だって出来る。
人に「下手くそ」と言われるぐらいなら「死んだ方がマシ」なのだ。

その時は
「次のライブでこの曲が叩けなかったら俺はドラムをやめる」
とメンバーに宣言した。

ドラムをやめたら人生の行き場がなくなるから文字通り「死ぬ気」である。

まあ無様な叩き方ではあっただろうが、
とりあえず「死ぬ」ことはなくドラムを叩き終えた。

そして今ではこの曲も「叩けない」と思うことはもうない・・・

そしたら今度は「生きるとは何だ」という曲が現れて来る。
いや〜実際「生きるとは何か」ということを考えながら命がけで叩く(笑)

普段
「ドラミングに一番大切なのはそのフォームである」
とか偉そうに言いながら、
フォームもへったくれもない、
棍棒のようにスティックを握りしめて、ただがむしゃらに叩く・・・

決して本意なプレイではないのだが、
理想的なフォームで完璧な演奏が出来たライブと、
このように息切れしながらやっと叩き終えた無様なドラミングと、
どちらのライブがよかったと感じるかは客によって分かれるようだ。

どっちにしろ「末吉はやった!!」と思われればそれでよい。
少なくとも「下手くそ」と言われて自殺するレベルではない。

そうこうしているうちにアルバムも4枚目となり、
これが体力的にも技術的にも更に高度な楽曲が増えて来る。

今回毎回メニューに入っていた「Long Way」などは、
当時は「叩けるかい!!」とさじを、いやスティックを投げ捨てるレベルであったが、
また死ぬ気で当時のワンツアー廻ったら叩けるようになった。

その後あまりメニューに入っていなかったのだが、
そんなこんなでもう7枚目のツアー・・・
久しぶりにやってみたら問題なく叩けた。

やはり一度自転車に乗れた人間は、
数年後に自転車に乗ってもちゃんと乗れるのだ・・・

そして今回この東阪名でメニューに加わった「Initiation」、
レコーディングで叩けなかったんだからライブで叩けるわけがない!!

そのことばかり考えててふと気付いたのだが、
今回のオープニングナンバーである「Patriot's Dream(美しく花と散れ)」・・・
前までは乗り越えなければならん最大の「壁」だったのがいつの間にやらするっと乗り越えとる・・・(笑)

人間とはそんなもんである。
もともとは「出来る」はずなのにどこかで「出来ない」もしくは「出来なければどうしよう」などと考えるから出来ないのである。

自転車に乗る時に、
「右に倒れそうになったらハンドルを少し右に切り、
左に倒れそうになったらハンドルを少し左に切り」
などと考えながら乗るヤツはいない。

そう考えてしまったらもう自転車は乗れない。
考えさえしなければ自転車なんて誰にだって乗れるのだ。

「歳をとった」などと考えるのは自由である。
しかし「もう叩けない」と思ったらこれはもう絶対に「叩けない」。

昔は出番前に酒を飲んで叩いてたワシも、
今ではさすがにそれは出来ん。
二日酔いでバケツを横に置いて吐きながら叩いてたのも遠い昔である。

若かりし頃と違って前の日はちゃんと寝るし、
他のことを犠牲にしてでもドラムだけはちゃんと叩く。

モニターに自分の音は絶対に返さないが、
あるライブでバスドラが返っていて実は非常に叩きやすかった。

次からも・・・と誘惑にかられたがやめた。
自分の音が自分で聞こえないぐらいだったらドラムなんてやめてしまえ!!

・・・とか言いながらいつの日かモニターがなければ叩けなくなる日が来るのかも知れない。
二日酔いより何よりももう酒自体をやめなければ叩けなくなる日が来るかも知れない。

でも何を犠牲にしてもドラムだけは絶対に叩ける!!
・・・と言うより、今まで叩けて来てたんだから叩けなくなる理由がない!!
「Initiation」だってきっと次のライブでは「楽勝」になるのだ。

でもその時にはまた新しい「壁」が現れて、
それに向かってまた命がけで戦っているだろう。

その戦い・・・自分との戦いにさえ負けなければ、
50歳になったって幾つになったってドラムは上手くなるのだ。


ps.7月31日X.Y.Z.→A追加公演決定!!
橘高文彦曰く、ソールドアウトした土地では必ず追加公演をやるそうな・・・\(^o^)/

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2013年4月 8日

弟子

ワシは「弟子」というものを取ったことがない。
そもそもが人に師事したことがないのだから人に教えることも出来るわけがないのだ。

中国では若いドラマーが門を叩いて来ることもあったが、
ひとりとして長く続いたことがない。

なにせあっちは
「早く上手くなって手っ取り早く金を稼ぎたい」
と思っているのに対して、こっちが
「人生はなぁ〜・・・」
みたいなこと言ってたら誰でもしびれを切らして逃げていってしまう(笑)


先日北朝鮮に行って
6月9日高等中学校軽音楽部で「一平」というドラマーが、
「ファンキーさんはお弟子さんなんかいるんですか?」
と荒巻に質問したと言う。

「いや、いないみたいですよ」
と答えると、
「やったー!!じゃあ僕は少なくとも共和国でのファンキーさんの一番弟子ですね」
と喜んでいたらしい。

ワシが教えたことなど簡単なことである。

「お前は今ちょっと間違えて萎縮したな。それが一番よくないのだ。
ドラマーはバンドの指揮者だ。
どんなことがあっても自信をもってメンバーを引っ張っていかねばならん。
お前が萎縮したら他のメンバーはもうやっていけないだろ。
社会に出たっていろんな困難があるぞ。萎縮したって誰も助けてくれん。
お前がメンバーを引っ張ってゆくんだ。それがドラマーってもんだ」

聞けば一平はお父さんが亡くなって、
それからドラムを叩くことに熱中していたらしい。

ひょっとしてこの教えを思い出してあの国で頑張ってくれてるのなら非常に嬉しいことである。


中国では・・・残念ながらドラマーの弟子はいないが、
みんなが煙たがるワシの言うことを最初っから熱心に聞いていた2人のプレイヤーがいる。

ひとりがピアニストの張張(ZhangZhang)
そしてもうひとりはベーシストの韓陽(HanYang)、
ふたりとももう若手では引っ張りだこのプレイヤーになった。

まあ「コケの一念」と言うが、
ワシの言うようなアホなことでも信じたものが勝ちなのである。

そう言えばもう中国で一番レコードを売ったバンドとなった黒豹(HeiBao)のドラマー「趙明義(Zhao MingYi)」に一言だけ言ったアドバイスもアホみたいなもんである。

「お前は"みなさんについていきます"でドラムを叩いてる。
違うんだ。"俺について来い"という気持ちでいないとダメなんだ。
何?自信がない?そんなんでドラムなんか叩けるか!!」

それから彼に「I'm No.1!!」と大きな声で言わせた。
「声が小さい!!」と何度でも言わせた。

「そしたら不思議となぁ。次の日から見違えるほどドラムが上手くなったんだよ」
と、この逸話は中国のロック界では伝説となっている。


さあ日本ではどうかな・・・

そう言えば最近「響太」という高校生ドラマーが急成長していると聞く。

いや、何と言うことはない。一言だけアドバイスをしただけなのだ。

「お前、今ドラムを叩きながら一瞬くじけそうになっただろ。
くじけるなら死ね〜!!!

後に彼のライブを見に行った。

いや、見に行ったと言うより
たまたま新宿に用事があったのでふらっと顔を見せただけなのだが、
アマチュアバンドばかり集めてのオムニバスライブで、
ワシみたいなモノがどかんと客席に陣取ったらそれなりに緊張感が走るらしい。

対バンは「なんであんな人がお前らを見に来てるんだ」とか、
楽屋でもヒソヒソ話が始まるらしい。

響太のプレッシャーも大変なものだったのだろう。
何せくじけたら死ななければならないのだ(笑)

いや〜その時の響太のドラムは凄かった!!
人間盲信すれば神に近づける(笑)

死に物狂いでドラムを叩く響太にワシは何度も涙した。

「感心する」ことにはいくらでも出会うことが出来る御時世だが、
「感動する」ことにはとんと出会わない今日この頃、
これはワシにとっては「感動」といっていい涙だった。

ワシはすぐさまメッセージを送った。

「響太〜素晴らしかったよ。
このドラムがどれだけしんどいかはお前の顔を見てたらわかる。
でもお前は一度たりともくじけなかった。
もう一人前の男だ。
社会に出てもっとしんどいことに打ち当たっても同じようにくじけずに戦ってゆくのだ!!」

面白いことにこの日のライブはファンの間ではあまり評判はよくなかったようだ。
あそこが叩けてない、キメがぐしゃぐしゃだった・・・等々

まあそんなことは初めて曲を聞くワシには関係ないことなので
どうやらワシひとりだけが感動してたライブだったようだ・・・(笑)

しかし先日うちの店でやった「秀光」のライブはとてもよかったらしい。

見に行ってた嫁が目をウルウルさせながら
「響太がとってもよかったの・・・」
と言っていた。

「あの若さであれが叩けるって凄いわ」
と言ってたので逆のことを想像して聞き直した。

「そんなに円熟してたの?」

先日「今井義頼」のドラムを聞いて、
「あの年でロックからJazzから完璧に叩けるのは凄い」
と言ってたのでそれを想像したのだが、
嫁が大きく首を振ってこう言った。

「違う!!全然円熟してない!!ただ言いたいことがバシバシ伝わって来るのよ」

つまり
「あの年であれだけ強く言いたいことがあるって凄い」
ということである。

ああ、それはよかった・・・とワシは思った。

あの年で円熟なんかしたらもう人生終わりである。

「コンペイ糖のトゲトゲを全部削って丸にしたらこんな小さい丸である。
トゲトゲをもっと大きくしたらこんな大きなコンペイ糖になれる」

響太もあれから死に物狂いのライブを何本かやって、
生死の狭間で考えることがあったのだろう。

まあ「盲信出来る」というのもひとつの「才能」で、
でもそれは「邪念が出る」とか「他の道を見つける」とかで容易に吹っ飛んでしまう危うい道である。

褒めたら天狗になって信じていることを忘れてしまうし、
くさしたら盲信し続けられなくて道が塞がれてしまう。

危うい道を歩んでいるぞ・・・それもひっくるめて「戦い」なのだ。

明日(4月9日)は彼のバンド「秀光」がうちの店で「公開リハーサル」をやる。

「公開リハーサル」というのは、
まあ金のないバンドとかが自分で金を出してスタジオでリハーサルするぐらいなら、
少々なりともチャージをもらってファンの前でリハーサルをすればという企画である。

酒を飲みながら人のバンドのリハーサルを見るというのも楽しいぞ(笑)

ワシはあいにく明日からX.Y.Z.→Aのツアーなので、
おヒマな方は響太の成長振りを見に行ってやって欲しい。

ワシは・・・橘高プロデュースのオープニングアクト2バンド相手に、
1ツアー毎日連続説教でもやるかな(笑)

X.Y.Z.→Aツアー開始!!

4月09日(火) 広島 NAMIKI JUNCTION
           OPEN 17:30 / START 18:00
           ローソンチケット Lコード:64567 / イープラス / チケットぴあ Pコード:193-577

4月10日(水) 岡山 MO:GLA
           OPEN 17:30 / START 18:00
           イープラス

4月12日(金) 兵庫 神戸 WYNTERLAND
          OPEN 17:30 / START 18:00
           ローソンチケット Lコード:59529 / イープラス / チケットぴあ Pコード:194-608

4月13日(土) 大阪 某所 ファンクラブ "Z to A" イベント
           「SEVENTH HEAVEN リリース記念祝賀会@大阪」

4月14日(日) 滋賀 BARI-HARI
          OPEN 15:30 / START 16:00
           イープラス

5月25日(土) 東京 渋谷 club asia
           OPEN 16:30 / START 17:00
           イープラス

5月31日(金) 大阪 RUIDO
          OPEN 17:30 / START 18:00
           ローソンチケット Lコード:57797 / イープラス / チケットぴあ Pコード:193-506

6月01日(土) 愛知 名古屋 ell.FITS ALL
          OPEN 17:00 / START 17:30
           ローソンチケット Lコード:47408 / チケットぴあ Pコード:193-516


チケット発売中

チケット料金
前売 4,500円
当日 5,000円

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2013年4月 5日

8ビートの叩き方

いろんなリズム理論が存在するだろうが、
ワシはとりあえず次のように定義しておる。

8ビート=8分音符上のどの位置にアクセントが来ても「ノリ」が変わらないビート

例え音符的には16分音符が並んでいたとしても、
「ノリ」が8ビートであると言うのは即ち、その裏拍である16分音符にはアクセントが来ないのだ。

解りやすく言うとディープパープルのスモークオンザウォーターである。

SmokeOnTheWaterDrum.jpg

ハイハットはずっと16分音符を刻んでいるが、「ノリ」は8ビートである。
だって16分裏にアクセントなんか入れられたら「ダッサー!!」って感じでしょ。

昔ロックとフュージョンが相入れなかった時代には
「お前みたいなドラマーはあっち行ってフュージョンでも叩いとけ!!」
とどやされていたもんだ。

もちろんワシも若い衆がそんなドラムを叩いてたりなんかしたら頭を張り倒す。
「ボケー!!ロックの魅力は8ビートじゃ!!欲かいてのうて命がけで8分刻まんかい!!」と・・・

まあこの曲の後半ではイアンペイスはハイハットを開いてスネアを打つ直前の16分ウラでアクセントを入れるが、
それはあくまでスネアのアクセントの前に来るアクセントであり、
決して16分ウラを強調したビートではない。
アクセントはあくまでも8分音符上なのである。


逆に16分音符のどこにでもアクセントを入れられるビートを「16ビート」と言う。

これは逆に8分音符しか叩いてなくてもそうである。
解りやすい例がスライ&ザ・ファミリーストーンのサンキューである。

ThankYouDrum.jpg

解りやすいようにベースの譜面も付けたが、
このドラムはあえてシンプルに8分音符だけで叩いているが、「ノリ」は明らかに16ビートである。

その証拠にドラマーが16分音符のどこにアクセントを持って来てもサマになる。


4ビートというのだけが解釈が違っていて、
これは実は和製英語で、正しくは英語圏では「Swing」と言うらしい。

ワシは
「4分音符だけが共通の「ノリ」で、それ以上の細分化はフレキシブルに対応出来るビート」
と解釈している。

「シャッフル」が三連符の真ん中抜きの音符でビートが固定されているのに対して
「4ビート」と言うともっとフレキシブルであるからだ。

実際Jazzなどでは速い4ビートでは三連符の真ん中抜きと言うよりは8分音符に近い感じでレガートするし、
逆に遅い4ビートでは16分音符の真ん中ふたつを抜いたような音符でレガートする。


さて話を8ビートに戻そう。

私は「ファンキー末吉」と名乗っているぐらいだからFUNKドラマーとして16ビートを得意とはしているのだが、
ロックの美学はやはり「8ビート」だと思う。

8ビートの代表的な叩き方を例に説明したいと思う。

8beatDrum1.jpg

これが速度が速くなってくると「美学」が分かれて来る。

「パンク」だとテンポ180を越えようが敢えてこのまま叩いたりするが、
「メタル」だとこのように叩いたりする。

8beatDrum2.jpg

ハイハットは当然ながらオープン、もしくはハーフオープンにすることが望ましい。

ベンチャーズでドラムの叩き方を学習した幼き末吉少年は、
その後「外道」で初めてこのような叩き方を聞いてぶったまげた。

「ハイハットって4分で叩いてもええんや・・・」

実際にやってみるとベンチャーズの8ビートに比べると違った「疾走感」が生まれる。
これにワシは病みつきになった。
「これがロックかぁ・・・」

ところがいろんな曲を演奏するうちに、
ハイハットは果たして8分で叩くのがいいのか4分で叩くのがいいのか迷うテンポがある。


さてここからは左足のゴーストビートの話になる。

8ビートを叩く時に左足を8分で踏むドラマーは多いが、
これを踏むべきか踏まざるべきかは論議が分かれて来た。

ハイハットを8分で叩く時には8分で踏むのだが、
速いテンポでハイハットを4分で叩く時には当然8分では踏めない速さなので4分で踏む。

つまりハイハットを8分で踏みながらだんだん速度を上げてゆくと、
ある瞬間にハイハットを8分から4分に切り替えるタイミングが出来て来るわけだが、
そのちょうど狭間のテンポというのがやっかいである。

8分では速過ぎて踏めないが、4分では間持ちがしない・・・

まあ踏むと言っても実際に足を上下させてもハイハットは閉じたままという感じで「リズムを取っている」という感じなのだが、
結論を言うとこの辺のテンポでは「足は4分で踏むがハイハットは8分で叩く」という状態になる。

つまりゴーストビート、つまり左足をどう踏むかというのはハイハットの叩き方と組み合わせると次の3パターンが考えられるということである。

1、足は8分で踏み、ハイハットも8分で叩く
2、足は4分で踏み、ハイハットは8分で叩く
3、足は4分で踏み、ハイハットも4分で叩く

テンポが上がるほど下に移行してゆくのであるが、
順列組み合わせとしては実はもうひとつ考えられる。

4、足は8分で踏み、ハイハットは4分で叩く

これはよっぽど遅いテンポでどうしても4分でハイハットを叩かねばならない時に起こり得る順列組み合わせであるが、
結論から言うとあまり格好良いものではないと個人的には思っている。

バンドのドラマーの中には左足どころか身体中で8分音符を踏みながら8ビートを叩くドラマーもいるが、
見ていてどうも「格好悪い」・・・どう見ても「上手いドラマー」には見えないではないか・・・


そもそも左足のゴーストビートに対するワシの見解は、
「もう上級者になったら踏まずに叩けるようにしときなさい」
と言うものである。

「リズム感」というのは左足にあるのではなく、「頭の中」にあるのである。
手足がどのような状態であっても「頭の中(というより身体の中?)」でリズムを感じているべきものである。

「ロックドラムとは何か?」と言われると諸説あるが、
「叩きながらわーーーーー!!!ってな感じ(なんのこっちゃ)」
と言うのがワシの「感覚」である。

しぇからしく左足で8分を踏み続ける姿で「わーーーーー!!」とは言えないではないか・・・(笑)

というわけでワシは、8ビートを叩く時も身体は4分で揺らす。
それが「ロック」なのである。

だって8分で身体揺らしてる客なんてどこにもおらんでしょー・・・


前置きが長くなったが、X.Y.Z.→Aのリハーサルで死ぬ思いで8ビートを叩いている。

新曲は日替わりでメニューが入れ換えられるように全ての曲は練習しておくのだが、
例えばヘビーな8ビート曲である「WHILE YOU'RE STILL YOUNG」などでは、
これで身体を8分で揺らしていたのでは「わーーーーー!!」という感じにならないではないか!!

当然ながらゆっくりのテンポでも4分で首を振る!!

POPチューンの「INSPIRE FUTURE GENERATIONS」なんかでは、
まあパンクバンドなら死ぬ気でハイハットを8分で叩くのだろうが、
ファンキー末吉の「ロック魂」としてはやっぱ「わーーーーー!!」と言いながら4分である。

難しいのは「METAL HEADS」のような曲、
ハイハットは4分であるが、実際に叩いているのは16分音符である。

MetalHeadsDrum.jpg

まあ冒頭のスモークオンザウォーターと同じく、
16分を叩いているからと言ってこれは16ビートの曲ではない。

しかしこのようにバスドラがウラで入るビートには必ず16分音符の「リズム感」が不可欠である。

前半2拍のバスドラは、ともすれば訛って2拍三連のようになりがちだが、
実は2つめのバスドラは8分音符2つめのちょうどウラに正確に入ってなければならない。

ハイハットを4分で叩いているのだから、
そのオモテ拍であるべき2つめの8分音符というのは実際には叩いてない。

つまり実際に音が出ていないその音を感じなければこのウラには正確に入れられないのである。

左足を8分で踏んでいたなら、ちょうど両足が交互に動けばいいので叩き易いが、
ハイハットを4分で踏みながらここに正確にバスドラを入れ込むためには頭の中に正確な「16分音符」が流れてなければならない。

「リズムのキモとは音の聞こえてないところにある」
という名言が示すように、
それぞれの頭の中に流れている「リズム感」こそがその「グルーブ」を支配するのだ。

身体を4分で揺すりながら頭の中では16分の細かい音符が流れている、
そしてそれをメンバーがびったし共有している形こそがバンドの「グルーブ」を生むのだ。

X.Y.Z.→Aのリズムセクション、末吉と和佐田は長年のコンビネーションの中でこれがびったし共有されている。

とてつもなく「ロック」で、
そして「ファンキー」であると人が感じるそのリズムセクションの秘密は、
このそれぞれの頭の中に流れている16分音符の中にあったのだ。

明日からツアー開始!!とくと聞きに来たまえ!!!

4月06日(土) 東京 目黒 THE LIVE STATION (イベント)
          「Blasty アーティスト 3タイトル同時リリース記念 3マンLIVE "HEVEN'S BLAST"」
          OPEN 17:00 / START 17:30
           ローソンチケット Lコード:71915 / イープラス

4月07日(日) 千葉 LIVE SPOT LOOK
          OPEN 16:00 / START 16:30
           ローソンチケット Lコード:70484 / イープラス

4月09日(火) 広島 NAMIKI JUNCTION
           OPEN 17:30 / START 18:00
           ローソンチケット Lコード:64567 / イープラス / チケットぴあ Pコード:193-577

4月10日(水) 岡山 MO:GLA
           OPEN 17:30 / START 18:00
           イープラス

4月12日(金) 兵庫 神戸 WYNTERLAND
          OPEN 17:30 / START 18:00
           ローソンチケット Lコード:59529 / イープラス / チケットぴあ Pコード:194-608

4月13日(土) 大阪 某所 ファンクラブ "Z to A" イベント
           「SEVENTH HEAVEN リリース記念祝賀会@大阪」

4月14日(日) 滋賀 BARI-HARI
          OPEN 15:30 / START 16:00
           イープラス

5月25日(土) 東京 渋谷 club asia
           OPEN 16:30 / START 17:00
           イープラス

5月31日(金) 大阪 RUIDO
          OPEN 17:30 / START 18:00
           ローソンチケット Lコード:57797 / イープラス / チケットぴあ Pコード:193-506

6月01日(土) 愛知 名古屋 ell.FITS ALL
          OPEN 17:00 / START 17:30
           ローソンチケット Lコード:47408 / チケットぴあ Pコード:193-516


チケット発売中

チケット料金
前売 4,500円
当日 5,000円

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2012年11月23日

スローブルースの叩き方

先日は店で西野やすしさんのセッションだった。

相変わらずの超ハイレベルのブルースを聞かせてくれたが、
まあ聞く人が聞けばわかるが、彼のプレイの中にも根強く「Jazz」がある。

実は「Jazz」と「Blues」とは切っても切れない関係があり、
「Jazz」のルーツには、いや「Rock」のルーツにもこの「Blues」というものが根強く流れているのである。

ところが「Blues」を経ることなく「Rock」をやっている人には「Jazz」という要素がないので、
「Blues」というアプローチがとかく「Rock」的である場合が多い。

かく言うワシもそうだった。

若かりし頃・・・あれは爆風スランプが全盛だった頃か・・・
Jazzをやり始めていろんなJazzクラブに武者修行に行った。

「Jazz屋のオヤジ」という言葉があるぐらい、
Jazzクラブのマスターはそれはそれは偏屈な人が多く、
まあ基本的には有名であるかどうかは問題ない、
「上手い」か「下手か」だけが彼らにとって問題なのだ。

もちろんそれは個人的な好みで「好き」「嫌い」でもいい。
彼らは自分の金で自分の好きな音楽をやる「城」を作ったのだ。

その中での「法律」は彼らが作ればそれでいい。

とあるJazzクラブでセッションを組んでもらい、
演奏の途中にマスターから怒鳴られたことがある。

「こら!ドラム!!!ピアノが聞こえんやないかい!!ボケー!!」

ご丁寧にマスターは演奏終了後にワシの首根っこを捕まえて、
全てのテーブルの客のところに連れて行って全ての常連さんにこう聞いた。

「おい!!こいつのドラムをどう思った?正直に答えてええ!!
うちの店は一流の音楽しか流さんのじゃ!!
こいつは一流やったか?正直にこいつに言うてやれ!!」

恨みに思ってるわけではない、今から思えばむしろ感謝している。
次にここに来るまでに死に物狂いで練習して、
このマスターが唸るような「音」を出せばそれでいいだけの話である。

実際20年以上こんな武者修行をして、
今では「Jazz」が血となり肉となって自分の「Rock」にも生きていると思う。

ブルースなどやればそれは顕著である。
特にスローブルースを叩く時など、Rock的なアプローチよりはJazz的なアプローチの方がより「ブルージー」になる場合がある。

例えばこのような典型的なスローブルースのドラム・・・

BluesDruming1.jpg

これを8分音符のリズム感で、
まあ言うならばハイハットを8分で踏みながら叩くロックドラマーが多い。

もちろんワシも盛り上がったらそのように叩くし、
その8分の部分を16分音符で細分化したり、
もっとスウィンギーに3連符で細分化したりする。

3連符で細分化するとJazzでいう3拍子のSwingとなり、
ここではいろいろJazzで培ったいろんな手法を使うことが出来るのだが、
今回ご紹介したい叩き方はこの部分ではない。

盛り上げる部分ではなく落とす部分では、
これを8分の6拍子と解釈するのではなくむしろ物凄くテンポが遅いSwingの4拍子だと解釈するのである。

こんな感じ・・・

BluesDruming2.jpg

思えば物凄く遅いSwingをJazzドラマーはこのように叩く。
誰もその合間をご丁寧に8分音符(この譜面の書き方で言うと8分3連)で全部埋めようとしたりしない。

Jazzの場合は盛り上がれば倍のテンポのSwingになるので、
それを3連符に固定されたりすると自由度を奪われてアドリブなんぞ出来たもんじゃないのである。

だからこのSwingのビートというのは3連のビートでもあり、
同時に倍のテンポのSwingのビートであるという、
およそ「かちっとしてない」リズムであり、
それだからこそユルくてブルージーなリズムなのである。

試しに「チチチタチチ チチチタチチ」というリズムを、
こらえにこらえて「チータッチ チータッチ」と叩いてみて欲しい。
これだけでブルースの持つ「悲しさ」が倍増する。

ただ訓練せずにこれをやると大概はテンポが走る。
「こらえきれない」のである。

コツとしては、実際には叩いてはないのだが、
頭の中ではちゃんと「チチチタチチ」という細かい音符が鳴っていることである。

左足でゴーストビートを踏んだりするドラマーも多いが、
この場合はじっとこらえて2、4に踏んで欲しい。

もっと落とすところではシンバルは4分音符で、
スネアは叩かずにハットで2、4でよい。

頭の中では一生懸命「チチチタチチ」と数えてはいるが、
敢えて音としては叩かない。

そうするとほら、表現力が段違いに増すでしょ。

「役者は背中で演技をする」と言うけれど、
ドラマーは叩いてない音、つまり「空間で表現する」のじゃよ。

お試しあれ〜

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2012年9月24日

どうしても叩けんフレーズ

もう40年近くもドラム叩いて・・・
ロックはもとより・・・JazzもフュージョンもFunkもラテンも・・・
あらゆるジャンルに飛び込んで・・・
SwingからSongoからSlashから変拍子から・・・
全ての叩き方を網羅して来たはずなのに・・・


まだ叩けんフレーズがあるのかーーーー!!!!!


ことの始まりは大阪まで行くのに小畑秀光と10時間車に揺られて、
そこで吐きそうになるほどデスメタル(と言うのか?)を聞かされたことである。

「こんなバスドラの踏み方があるのか・・・」
と最初は笑って聞いてたのだが、
「僕なんかこんな音楽しか聞いてませんから・・・
対バンやるって言ったって全部こんなバンドばっかですよ」
というひと言で火がついた。

「なぬー?!!近頃の若いドラマーは平気でこんなん叩いとるのか?!!」

「いやいや、ヤツらこれっしか叩けませんから・・・」
と小畑は言うが、関係ない!!

Jazzを初めて聞いた時も、
Songoの叩き方を初めて聞いた時もそうだったが、
何よりも「人に出来て自分が出来ない」のが許せないのだ。

そもそもワシは
「自分はロックドラマーだからロックしかやらん!!」
とは思ったことがない。

他の全てのジャンルはワシにとって「叩き方」でしかないのだ。
叩けんのはまさしく「自分が悪い」ではないか・・・


まあ「時代」というのは常に進歩するもので、ワシら世代は若い頃には、
何とか「あの偉大なる先人たち」に追いつけ追い越せと頑張って来た。

そしてその先人たちと同じ歳になってみると、
(その偉大なる「魂」は別にして)
「なんだ・・・若い頃はこんなフレーズも叩けんかったのか・・・」
となる。

今の若い衆も同じである。
どうせワシと同じ歳になった時にはワシより数段上手くなっとるのだ。

だから今のうちに完膚なきまでに叩きのめしておかないかん!!(笑)


若いドラマーよ!!ワシのドラムは今のお前らには絶対叩けん!!
だからと言ってお前のドラムをワシは全部叩けるぞーー!!


ふーふーぜーぜー・・・
口だけで偉そうに言っても叩けんもんは仕方ない(涙)

練習するしかおまへんがな!!(キリッ)

「同じ人間が叩いてるもんじゃ!!ワシが叩けんわけはない!!」
・・・と気合いを入れてみても・・・
まあSongoの叩き方は習得するのに1年以上、Jazzに至っては10年以上かかったからな・・・


ちなみにこんなフレーズである。

DifficultDruming.jpg

「それ専門」のドラマーの中には「何だこんなもんか」と言う人もおるかも知れんが、
ワシはもともとツーバスドラマーではなかったのでこれはシンドイ・・・
(自分で考えたフレーズなんだから仕方がないが・・・)

もともとワンバスのファンクドラマーから始まったので左足がオモテ、
右足がウラの「足クセ」がある。

だからツーバスを連打する時には左足がアタマになった方が踏み易い。

実際、最初にツーバスをやろうと思った時に
「クリーム」のライブ盤のジンジャーベイカーのドラムを聞いて、
その録音には左右のバスドラがちゃんとLRに振っていたので、
「あ、ツーバスは左足から踏むのね」
と抵抗なくそう思っていた・・・

思えばコージーパウエルから始まってたらまた違ってたのね・・・

爆風スランプはせいぜい「無理だ」と「たいやきやいた」ぐらいだったからいいが、
橘高文彦という男と一緒にバンドをやるとどうもツーバスを駆使さされてしまう・・・

最初に右足から踏むことを余儀なくされたのが、
筋肉少女帯の「くるくる少女」だったと思う・・・

その後、高速シャッフルの橘高のソロ曲も右足から連打した。
WingsのIncubationという曲の16分音符も右足から連打している。

しかしこの複雑な踏み方はどのように踏むべきか・・・


手で叩くとしたら「オルタネート」と言うか、
右から叩いたら休符を入れつつ両手を交互に動かし続けるだろうが、
左足というのはそこまで訓練されてないので
アタマに休符が来て左足からウラから踏み始めるというのはちと大変かも・・・

小畑くんがデスメタルバンドのDVDを見たら
「右から踏んだりウラになってり、複雑怪奇な踏み方をしてましたよ」
と言うので、とりあえずは「オルタネート」ではなく、
休符の度に右足から踏むことにした。

左手はスネアを叩くが、問題は右手をどう叩くかである。

ノリ的には4分でライドのカップを叩くのだが、
練習してゆくうちにフレーズとしては叩けてもどうも「グルーブ」が出ない。

もともとはFunkドラマーで「ファンキー末吉」と名乗ってるんやから
「グルーブ」は大切やなぁ・・・

というわけでやっぱ8分で叩いて4分でアクセント、
まあよくある「オモテでカップ、ウラでライド」みたいに叩けばノリが出るぞ・・・

足に加えてちょっと手の練習をせないかんが、
そのぶん右足がウラに来た時のリズムの安定感はこちらの方が断然よい。

1/2速から始まって、
同じフレーズを叩きながらパートによって1倍速、2倍速とテンポ感が上がってゆくのだが、
これもふたつの考え方があって、
まずひとつは足は同じように踏みながらスネアの部分は足とスネアを同時に踏むというもの・・・

これだと足の練習は一種類でいいのだが、
残念ながらワシには右足とスネアを同時に叩くという「回路」が頭の中にない・・・

ファンクドラマーの足クセで
同時に叩く時には左足のところで叩いてしまう「クセ」が残っている・・・
「クセ」を是正するのが早いか、叩き方を変えた方が早いか・・・

まあどちらも大変なのだが、
どうもスネアの時には足を抜いた方がグルーブがファンキーなので、
「クセを是正」ではなく「足の踏み方を何バージョンも練習する」ことにした。

後々役に立つやん・・・(ほくそ笑み・・・その後・・・涙)


ちなみにウラ拍がちゃんとウラbeatに聞こえる速度はせいぜい140ぐらいなので、
こういうのは別に物理的に速くて叩けないわけではない。

物理的に速くて叩けない練習(つまり高速スラッシュの連打等)は、
とどのつまりは「筋力トレーニング」(「根性」とも言う)なのだが、
これは言うならば「ややこしくて足がもつれる難しさ」なので、
要は「頭の中で回路をつなぐ」訓練である。

ちなみに一度つないでしまうと、
次からは応用でいろんなことが叩けるようになる(嬉)

ただつながってない回路をつなぐっていうのは大変なのよね〜・・・

そういう練習は朝から晩までぶっ続けで練習してもあまり意味がない。
筋力トレーニングはもう十分なのである。

頭の中で回路をつなぐ・・・

ゆっくりの速度から叩いて、
ここの部分はどことどこが同時に叩いていて、
ここの部分はどことどこがウラになっている、
と回路をつないで身体に覚え込ませる。

身体というのは頭よりもバカなので、
一度ちゃんと叩けたらしばらく熟成させてやるのがよい。


そうやって半月前にギブアップしてから毎日ちょっとずつ練習して来たが、
泣いても笑っても明日がドラムレコーディングの最終日なのよ〜

叩けるの〜?またくじけちゃうの〜?・・・
若い衆に偉そうなこと言うとってまたくじけたらかっこ悪いぞ〜(恥)

この曲の他にも超速の難曲もあるが、
まあそれは根性で何とか乗り切るとして、
これさえ乗り切れればもうX.Y.Z.→Aの新譜の地盤はもう整ったも同然だ!!!

X.Y.Z.→Aの新譜、今回のはかなり名盤ですぞ〜・・・

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2012年9月14日

菅沼孝三考

菅沼孝三というドラマーを初めて見たのは確か30年近く前の楽器フェアーだったと思う。

当時、Jazzを叩きたくて四苦八苦していたワシは、
たまたま遊びに行った楽器フェアーでの小曽根真ピアノトリオの演奏を聞いて愕然となった。

ずーっと昔にチェッとベイカーのアルバムでスティーブガットの4ビートを聞いた時のショックとまるで同じだった。

JazzドラマーはJazzしか叩けず、
RockドラマーはRockしか叩けなかった当時の状況を、
スティーブガットというドラマーは大きくそれを覆した。

その「四角い」ビートの4ビートを人はJazz界の人はとやかく言ったが、
ワシはそれを「Jazzの進化」として受け止め、
そして自分がJazz界に打って出る「希望」と思った。

ニューヨークで活躍している日本人ピアニスト小曽根真が連れて来た、
無名ドラマー(当時菅沼孝三という名前は日本ではあまり知られてなかった)は、
Jazzの後進国だと思っていた日本のJazzに「新しい息吹」を吹き込んだ、
そう思っていた。

打ち込みのパーカッションに合わせて叩く正確なビート、
ベタベタのJazzドラマーとは違うちょっと「四角い」4ビート、
「日本のJazzもここまで来たんだ」とワシは感激した。


その後、彼と会ったのは二井原がデッドチャップリンを結成して後だったと思う。

ナイトホークスのイベントで彼とバトル・・・
というか同じくドラマーとして参加してドラムソロをやる・・・
まあ若かりし頃には十分「バトル」だった・・・を行った。

ライブは「客泥棒」、ドラマーは全て「ライバル」だと思ってた若かりし時代である。

先に出演した菅沼孝三のドラムを分析して、
その日に来ている客層を分析して、
その客が抱いている期待感を分析して、
結局ワシの引き出しから出した「技」は「プロレス技」だった。

ロックフレーズを叩いては立ち上がって煽り、
パフォーマンスと体力で構築したそのソロは我ながらよく出来たパフォーマンスだった。

「勝った・・・」

本当は音楽に勝ち負けなどないのだが、
血気盛んな若い頃にはとかくそう考えがちで、
何やらちょっとした心の余裕で彼と接し、
実はその時にいろんなドラムテクニックを教わった。

ラテンのソンゴの叩き方などまさしくこの楽屋で菅沼孝三に教わったのだ。


そしてその時に彼が私があの時見た小曽根真のドラマーだったと聞いた。
ワシの「ライバル心」はその瞬間に「尊敬の念」に変わった。

「ブラシってどうやったら上手くなるの?」

彼は笑いながらこう答えた。
「そんなん銀座のハコバン1ヶ月やったら誰でもすぐ叩けるようになるで〜」

さすがは10代からスティック2本で家族を養って来た男である。
ワシはそのまま岡崎はんに頼んで新宿のバーで叩かせてもらい、
1ヶ月とは言わないが今では何とか普通レベルには叩けるようになっている(感謝)


ところが渋谷公会堂でデッドチャップリンのコンサートを初めて見た時、
彼に対するイメージがいっぺんに悪くなった。

ドラムソロは相変わらず高度なことをやっているのだが、
もともと「ポリリズム」というのは「元になるビート」があって初めてポリリズムである。

おそらくあの会場で彼のドラムソロの組み立てを理解していた客はワシひとりであろう。

「二井原ぁ・・・こんなことしてたらあかんでぇ・・・」
そう思ったワシは何となくその原因を作っている(ひとり)と感じた菅沼孝三を次第に心よく思わなくなって来た。

まあそれからも何度か会ってはいたのだが、
ワシ自身、何となく彼に対しては壁を作っていたような気がする。


そしてそれが壊れるのが北京でのバトルであった。

「手数王が北京に来るよ」
と若い衆が言うので彼のクリニックを見に行った。

ドラムが2台用意されているので、
「ファンキーはんも上がって来て何か叩いてや〜」
と言われて喜んで壇上に上がった。

見ればひとつはワンバス、ツインペダルもないセットである。

「スマン!!ワシ・・・ツインペダルないとソロ出来んわ・・・」
こーぞーさん、笑って、
「ほなこっちのツーバスのセット使いや。俺はワンバスでええから〜」
と譲ってくれる。

メインどころがワンバスじゃ悪いなあと思いながらバトルが始まった。

ところがワシがツーバスフレーズをドコドコ叩いたその後、
ヤツは何と左足をペダルの上に持って来て、
ひとつのペダルを両足でドコドコと踏みよった!!

これには度肝を抜かれて大笑いしてしまい、
結果ワシはペースを一気にヤツに持って行かれてしまった。

もともとイジワルなヤツなのだ。
ソロ返しでは必ずワシの叩いたフレーズを真似て叩くところから始める。

毎回毎回自分のフレーズを真似されるのでだんだんネタが無くなるだけでなく、
「もっと上」を目指すので必然的に「手数勝負」となってしまう。

完敗・・・

「亜洲鼓王たる者が人の土俵で相撲取ったらあかんなぁ・・・」
反省することしきりである。

その後一緒にメシを食いに行って北京のJazzクラブに連れて行った。

地元のJazz仲間に紹介して彼をステージに上げたが、
そのドラミングが凄かった。

「こーぞーさん、Jazz叩いたらやっぱ凄いわ・・・
ロック叩いたらいっつもぶち壊すようなフレーズ叩くけどな(笑)」

これにはこーぞーさん、「そんなことはないで!!」と猛反発。

思えば失礼な発言だったが、
Jazzに関しては最初に見た小曽根真のトリオを思い出してワシは改めて彼の実力を再認識した。

実際北京のそのバトルを見た若いドラマーの中にも
「あのドラムは好きじゃない」
と言う人はいる。

しかしあまり認識されてないだけで彼の「音楽性」は実はとてつもなく高いのだ。
Jazz以外では手数に目が奪われてそれがあまり全面に出て来ないだけなのだ。


それから月日は流れて「手数セッション」の結成となる。

もうこの頃には昔のような子供じみたライバル意識もないので、
まあ言うならば「ドラム」で共に戦って来た「戦友」のような間柄である。

「歳をとる」ということは素晴らしい。
ワシは昔はいろいろあった江川ほーじんともいい関係となり、
この「手数リズムセクション」を素直に絶賛出来るようになった。

そして、きっと田川ヒロアキのちょっとした「無茶振りの仕返し」だったのだろう、
手数セッションのゲストとして数年振りに菅沼孝三とのバトルが実現した。


このバトルが素晴らしかった!!

この菅沼孝三という男、とにかくビートがタイトなので、
こちらが決してリズムが狂わなければ「何を叩いても」必ず「合う」のである。

ドラムソロのバトルでは、相変わらずこちらのフレーズを真似て叩き始めるが、
ワシは敢えてそんなイジワルにはついていかない。

矛先をころころ変えて好きなように叩くのがよいのだ。

そもそもあちらの方が引き出しが多いのだ。
こちらの土俵で勝負してもらえばそれでいい(笑)

そして曲中では、ギターソロとかの時に、
お互い何かちょこっと入れたフレーズに反応して、
ソロの後ろでふたりで勝手に「会話」しよる(笑)

これもお互いの「反射神経」と、
どの位置からでもフレーズを出せる「引き出し」あってのものだねです。

そしてそして最後の「同時ドラムソロ」は凄かった。

バトルばっかりやってるのは面白くないので、
「こーぞーさん!!同時にソロや!!」
と叫んで叩いたのだが、
お互いポリリズムを駆使して複雑なリズムで叩きまくるのだが、
こちらさえリズムが狂わなければ必ず「合う」のだ。

工事現場のようにドドドと轟音が鳴り響き、
誰も理解不能なその轟音が同じタイミングでピタリと止まる(鳥肌)

あれは凄いわ・・・(しみじみ)


そんなこんながあって、
ワシはずーっと「またヤツとツインドラムやりたいなぁ・・・」と思い続けていて、
今回永井くんにお願いしてまたそれが実現したというわけだ。

今回のギタリストは米川くん
そして永井くんの提案でゲストに二井原を入れようということになり、
オリジナルメンバーが3人も揃っているということでデッドチャップリンのナンバーも演奏した。

久しぶりに聞くデッチャの曲は今では何の違和感もなく入って来た。

歌はもちろんのこと、
個性的なドラムに個性的なベースとギター、
そして個性的な楽曲にアレンジ・・・

思えば人々が二井原実に寄せる期待感のベクトルとあまりに違い過ぎてただけで、
あの時代、いや今の時代でもこんなサウンドとプレイをやる無名のアマチュアバンドが現れたとしたら、
それこそ音楽界を根こそぎひっくり返すだけのパワーがあるぞ・・・


素敵な音楽仲間との素敵な時間はあっという間に終わった。
素敵な「戦友」との素敵な「バトル」はまだまだやり足りない。

ツインドラムというと通常、
どちらかが叩きまくってどちらかがそれをサポートする形が多いが、
あらん限りの手数を駆使してふたりが同時に叩きまくるようなこんなツインドラムは例がない。

誰か〜!!!次なるブッキングを頼む〜!!!


今までは小屋の状況とかを考えてワシは店のドラムを使い、
こーぞーさんはヤマハの小さなセットを持ち込んだが、
次は是非ふたりともツーバスのフルセットでバトルをやりたいもんだ・・・

これを見てる全国のライブハウスのオーナーさん、
我こそはと思う方は是非ブッキングして下さい!!

但し防音設備が完璧じゃないとあまりの騒音で店が潰れます(笑)

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2012年9月 9日

ドラムのチューニングの仕方

三田悟志というブルースギタリストとツアーを廻っている。

毎日違う土地に行ってドラム叩いて酒を飲む生活は理想なのであるが、
ひとつだけ、まあちょっとだけめんどくさいのが毎回のドラムチューニング・・・

ピアノはどんな小屋でも必ず調律師がチューニングしてくれているが、
ドラムという楽器はどうしてもそこまではいかない。

ドラマーは調律師も兼ねているというのが現状である。


まあ「大事な話」と「大雑把な話」と混ぜこぜにして書いてゆくが、
まずは「大雑把な話」・・・

Pearlドラムのモニターをさせてもらってもう30年近くになるが、
ある時、パールのモニター担当の人からこんなことを言われたことがある。

「ファンキーさん、長年モニターやって頂いて本当に感謝しているのですが、
言っちゃぁナンですが、ファンキーさん、どのドラム叩いても音いっしょ!!(笑)」

まあドラマーとしては最大の「褒め言葉」なのだが、
モニターとしては・・・(苦笑)

まあ叩き方のタイプとして、
「力でねじ伏せてドラムに最大の音量を鳴らさせる」
まあつまり「悲鳴」みたいなもんなので、
スネアのチューニングなどはまあどうでもいい。
(これかなり「大雑把な話」)

とりあえず上下の皮ともギンギンに強く張って、
リムショットで思いっきりカンカンぶっ叩けば、
隣の和佐田が顔をしかめるような音は鳴る!!
(よいこは決して真似しないよーに!!)

バスドラっつのはもともとその独特な奏法により、
踏んでそのままペダルが皮に当たったまま止まっている、
つまり叩いてすぐにミュートしているわけだからチューニングなどどうでもいい。
(これもかなり「大雑把な話」)

問題はタムである!!(これホント)

ドラムセットのいわゆる「太鼓」の中で、
その音の残響音が一番長いのがタムなのである。
(ここから段々「大事な話」に移ります)

さて、ライブハウスに行くと、
たまにタムのヘッドにビシバシガムテープを貼っていることがあるが、
タムの残響を抑えようという目的ならこれは実は間違いである。

だいたい、ギターやベースが鳴り過ぎるからと言ってボディーや弦にガムテープ貼りますか?!!(笑)

実験してみればわかるが、
ガムテープを貼ったところで残響の時間はそんなに変わらない。

変わるのは「倍音」、
つまりアンバサダーなどの薄い皮を打面に貼っている時、
倍音が多すぎてカラカラ言う時には効果的であるが、
残響を短くするならそれはチューニングのバランスを崩すしかない。

つまりそうなるとどのみち「鳴らなく」なる。

ドラムなんて鳴ってなんぼのもん!!
いい音よりも何よりも「大きな音」で鳴ってればそれでよい!!
(これ「大雑把」だけどかなり「ホント」)

昔はレコーディングでもライブでも、
新人バンドはエンジニアより立場が弱いので、
「タムがワンワン鳴ってて音にならないよ」
と言われて泣く泣くガムテープ貼ったりいろいろしてたが、
ワシは最初にアメリカでWyn Davisとレコーディングしてその考えは間違いだと悟った。

彼はワシに言った。
「タムの表の皮と裏の皮を同じチューニングにしろ」
と・・・

通常、表の皮を裏の皮より緩くすると叩いた瞬間より音が低く下がるベンドダウンする音になり、
同じチューニングにすると共鳴していつまでも同じ音が長く鳴るようになると言われている。

つまり日本のエンジニアが言ってたこととまるで逆のことを言ってるのである。

ちなみに裏の皮を表の皮より緩くするとベンドアップする音になる、
と昔ドラムマガジンに書いてあるのを見たがこれはウソである。
やってみればいい。音が鳴らない(笑)

さてWyn Davisの話に戻るが、
結局はワシのチューニングでは満足せず、
結局プロのチューナーを呼んだわけだが、
その音が非常に素晴らしく、
以来、ワシはそれが頭に残っているのでそれになるだけ近づけるようにチューニングしている。

ボーイソプラノにテノールのパートを歌わせたり、
テノール歌手にソプラノを歌わせても無理なのと同じように、
それぞれのタムにはそれぞれ一番よく鳴る音程があり、
それはだいたいチューニングキーを締める時の手加減でわかる。

そして実は間違った考え方をしてる人が多いのだが、
ひとつのタムを叩いた時に、隣のタムが共鳴するのは実は「当たり前」なのである。

共鳴しないようにガムテープをビシバシ貼るのではなく、
めいっぱい共鳴させて、それが不協和音にならないようにそれぞれの音程を調整するのだ。

つまり「ドン」と叩けば「ワン」と鳴る。
それがタム!!要はその「ワン」全体が気持ちよければそれでいいのだ。

つまり「ド」の音のタムを叩いたら隣の「ソ」の音も鳴る。
それが「ソ#」だとちとキモチワルイ・・・という感じである。

「ドミソ」とかになってしまうと「調性」が生まれて曲のキーと違うとキモチワルイので音程差は4度がよいと言われたりしているが、
もともとティンパニではないのでタムの音程をそんなに厳密に固定するのも難しい。

また裏表の皮は違うもの(通常打面は厚い皮で裏は薄い皮)なので、
上下の皮を全く同じ音程にするのもなかなか難しい。

要はタムが一番よく鳴ってて、
それが変に干渉してワワワンという変な倍音が鳴らなければそれでよい。

完璧主義でタムのチューニングなんてしてたら何時間かけても終わらないので、
それこそここはある程度大雑把にやらねばならない。
(これ悲しいけどホント)

そこでワシはいつも思うのだが、
よくある4点セットのドラムセットのタムの口径はどうして12、13、16なのだろう・・・

スネアが14インチなので14タムと共鳴しないようにと言うが、
もともとスネアは12インチのタムより高い音にチューニングするので共鳴しようがないのだ。

12インチが一番よく鳴る音程と13インチが一番よく鳴る音程差は近く、
全体がよく鳴る音程差にするためにはどちらかを少し犠牲にせねばならない。

だからワシは自分のセットは8、10、12、14、16と全部偶数で揃えている。

まあしゃーない!!それがイヤだったら自分のセットを持ち込むしかないのだ・・・

今日の小屋のドラムはどんなかな・・・
それも含めて、その日のチューニングも含めて、
そして叩き手の体調や精神状態、
そしてバンドのコンビネーションも全て含めてその日の「音」が決まる。

だから「ライブは水モノ」、面白いのである。

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2012年9月 7日

バラードにおけるドラムの叩き方

中国のTwitter「微博(WeiBo)」でやたらRTが回って来るので見てみたら、
この曲が回って来てた。


想你

XiangNiLaoWu.jpeg

艺人:老五
作词: 老五
作曲: 蒙古民歌
编曲: 关天天
吉他: 高飞
贝斯: 仮谷克之(日本)
鼓手: funky末吉觉(日本)


おうっ!!これは!!!あの時レコーディングした曲ではないか!!!

ちょうどバラードにおけるドラムの叩き方をブログに書こうかなと思ってたので、
この曲を使って説明したいと思う。

こちらで音楽を聞くことが出来ますのでどうぞ。
(中国バランスでドラムが小さいのが残念ですが・・・)


まずバラードなのだから「優しく」叩く部分がほとんどなのだが、
そこでまず根本としてわかってなければならないことがある。

それは
「スローボールは決して力のないボールではない」
という原則である。

「巨人の星」という昔の漫画で、
主人公の星飛雄馬は、最後に大リーグボール3号という魔球を編み出す。

力一杯投げるその超スローボールは、
その反動が自身の筋に大きな負担をかけ、
そして自らその野球生命を断った。

バラードのドラムもこのように「命をかけて」小さな音で叩かねばならない。

中国でも若いドラマーがバラードを叩いているのを見て思うのだが、
ただ「弱く叩いている」のでは何の意味もないのだ。

ニュアンスを言葉で言うのは難しいが、
「大きな爆発力を秘めて小さな音で叩く」とでも言うべきか・・・


ワシは山ほど中国のレコーディングの仕事をしたが、
そのほとんどはバラードである。

自分のドラムを聞くと、
「ああ何て悲しいドラムを叩くのだろう」
と思うことがある。

それなりに歳を取って世の中のいろんな悲しみも分かって来て・・・
というのもあるだろうが、
実はこれにはひとつのテクニックがあるのだ。

例えばこの曲の場合、
1分25秒辺りからサビが始まるが、
ドラムは決して100%爆発してはいない。

サビは短く1分38秒辺りでいきなり終わるのだが、
ワシはその瞬間が一番「悲しく」感じる。

このドラムは実はとてつもない爆発力を秘めているのに、
それを押さえて押さえて一度ドバラドンと締める。

そこにワシなんか
「人生にはどうしようもないこともあるんだ」
と聞こえてしまって仕方がないのだ。

音の大きなドラマーが、精一杯音を押さえて叩いている音色と、
音の小さなドラマーが精一杯大きな音を出している音色とは、
例えそれが同じ音量の音であろうが根本的に違うものなのだ。

だからドラムは音の大きな方が「表現力」が大きいということになる。
出力の大きなスピーカーの方が音がいいのと同じ道理である。

とてつもなく大きな爆発力を、
とてつもなく大きな力で押さえて叩いている・・・

それが「悲しさ」として伝わって来る。

この曲はどんどんと盛り上がってゆくのだが、
90何パーセント爆発するものの、
最後までドラムは「押さえている」のだ。
それが「悲しさ」となって聞こえて来るのである。

それはその後ろにとてつもない爆発力が聞こえて来て初めて感じる感情なのである。


そして音粒の揃え方・・・
私は基本的に大きく分けてスネアを4種類の叩き方で叩く。

一番フォルテシモは全力でリムショットを叩く。
(リムとヘッドを同時に叩くの意味)

毎回同じ角度で叩けるように、
左手を振り下ろして膝に当てた時にちょうどリムショットになるようにスネアの高さを調整してある。
(だからワシの左ひざは、左手が当たる部分はもう痣になっている)

そしてピアノシモの音では、左足をちょいと爪先立たせると、
リムショットにはならずAメロなどに使う優しい音色にすることが出来る。

大事なことはその叩く強さが常に均一であることである。

この曲のAメロの時に、一瞬ボーカルは強く歌うが、
ドラムはそれについてゆかずに淡々と叩いているところが「悲しい」。
(2拍目はリムのみ、4拍目はスネアでその音色を参照のほど。リムのみの音がスネアより大きいのがちと残念だが・・・)

まあ特にこのスネアのショット、
この時に毎回強さや音色が変わったりしたら興ざめなのである。

このふたつの音色の間に、
「リムショットはするが弱く叩く音色」

「リムショットをしないが強く叩く音色」
も合わせて4種類を使い分ける時があるが、
どの道いちばん大切なのは、
その音色を「全発同じ強さで同じ音色で」叩くことである。


あとはリズム感と言うかグルーブ感。

8ビートを遅くしたのがバラードのリズムであるが、
実は頭の中では8分音符ではなく16分音符、
特にこのぐらいのテンポの曲だと頭の中では32分音符が鳴っている。

2分30秒辺りのサビの繰り返しのフィルなどは、
音符としてはタコトコタコトコの16分だが、
ノリとしてはタットコトットコタットコトットコと倍のビートが聞こえて来る。

このビートが頭の中で鳴っているか鳴ってないかが大きな違いである。

2分50秒辺りからの間奏は、
音符は16分だがノリは32分である。

フィルも段々32分音符が増えて来て盛り上げるが、
32分を叩いてない時にもそのビート感があるかないかで「リズム」というのは大きく違うのである。

3分15秒辺りに非常にシンプルなフロアとスネアの8分打ちがあるが、
これを8分のリズム感で取ったのでは全然間持ちがしない。

ドンドンドンドンと聞こえるこの音の裏で、
聞こえてないドコココドコココドコココドコココのこの細かいリズムが鳴っていて初めてこのフレーズは成り立つ。

まあフィルだけではない。
全体的にその細かいビートがあって初めてリズムが成り立っているのである。


少々余談にはなるが、
リズム部分でも実は「ゴーストノート」というのを多用している。

ドラムをソロにして耳を凝らして聞かなければ聞こえないが、
8分音符しか聞こえてない部分にも実は、
聞こえるか聞こえないかの音量で16分音符の小さなスネアの音が入っているのだ。

このボリュームコントロールは実は非常に難しい!!

フォルテシモの音が毎回同じ音量で同じ音質である訓練はされているが、
このように聞こえるか聞こえないかの音量の音を全く同じにコントロールするのは至難の技なのだ。

ゴーストノートを入れたはいいが、
音量や音質がまばらで、時々聞こえたりなんかするとビートが無茶苦茶になってしまう。

いろんなゴーストノートがあるが、
1小節のパターンだとすると例えば、
ひとつ目はベロシティー10、ふたつ目は30、
小節の最後はちょっと聞こえるように50とか、
それは決めてしまえば次の小節も全く同じく叩く。

レコーディングの時にワシは、
1小節目を何度もやり直して、
うまく抜けたらそのまま全部ぶっ続けで録音したりするのは、
要はこの組み合わせを作っているのだ。


人間だからそんなに機械のように正確には同じにならない。
しかしそれを「命をかけて」同じにするところに「戦い」がある。

例えば2番になってベロシティー10のところを20で叩いてしまった。
そしたら2小節目から命をかけて同じく20で叩くのだ。

その「戦い」の連続を「リズム」と言う。

「フィルを叩いたらちょっとだけ速くなった!!」
アドレナリンが出まくっている頭の中では、
それはスローモーションのように次の1発で何とかしようとする。

「あ、この1発がほんの少し大きかった!!」
次の1発で何とか解決しようとする。

その連続を「リズム」と言う。


ワシはこれを「初恋」に例えて説明したりする。

強く抱きしめたら壊れてしまう。
弱く抱きしめたら逃げてしまう。

だから命がで一番相応しい力で叩き続ける。

何故命をかけられるのか、
それはひとえに「愛」である。

その「音楽」を壊したくないという「愛情」
「絶対に壊してはいけない」という「責任感」

つまり「リズム」とはそれを叩く人の「人生」なのである。


そして最後に、
「ドラマーはバンドの指揮者である」

1曲をどのように盛り上げて、
ある時は強く歌い、ある時は弱く歌い、
それは歌手がやっているのであるけれど、
作り上げているのは実はドラマーなのである。

アレンジャーが作り上げたこのややこしいセクションを、
ワシは「自分の歌い方」で歌い上げる。

その中には「こう歌ってくれ」というのが強くある。

朋友がこの曲を引っさげて、
零点(ゼロポイント)のみんなを蹴散らして世に出てゆく。

その姿を想像しながら構築した。

願わくば実世界でもそのようになって欲しいと心から願う。
頑張れ!!朋友よ!!
羊肉の恩がある!!ワシはお前のためなら何でもやるぞ!!(笑)

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2012年8月29日

知ってましたか?フロアタム

今日からX.Y.Z.→Aのニューアルバムのレコーディング!!

ドラムをセッティングしながら、
「ああ、これをいつも人に言おうと思ってたんだよな」
というのがあったのでここでお伝えしておきましょう。

FloorTom.jpg

フロアタムにはご存知のように3本の足があります。

知ってましたか?
この足の位置というのは正三角形ではないのです。

一番手前の足はご覧の通りネジとネジのちょうど中間に来てますが、
その他2本の足は、内側のネジの位置を見て頂ければわかるように、
真ん中ではなく少し手前についてます。

長さを計ってみると、
一番手前の足からひとつ目のネジまでは半ブロック、
そして2ブロック間があいて、
だいたい3分の1ブロックの位置に次の足があります。

これは右向こうの足も左向こうの足も同じ長さです。

ところが残りふたつの足の間の長さは、
1ブロックと、それぞれ3分の2ブロックがふたつ分、
つまりこの間だけが間隔がせまい二等辺三角形なのです。

ほとんどのドラマーが、
フロアタムを自分の方に傾けてセッティングしますが、
その時に「どの足が手前に来ても同じだ」と思っているのではないでしょうか。

正しくは二等辺三角形の尖った部分、
つまりネジとネジの真ん中にある足を短くして、
その他ふたつを長くしてフロアタムを傾けると、
(逆でも可)
真上から見た時にちょうど正三角形になるという、
そういう設計なのです!!(驚)

さてセッティングも終わったことですし、
今から2日間、命懸けでドラムを叩きましょう!!!

X.Y.Z.→Aの新譜、いいものが出来そうです!!

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2012年7月25日

Chick Rodgers とのセッション

今日は菊田俊介さんのセッションで、
初めて「Chick Rodgers」という黒人女性歌手と一緒に演った。

ChickRodgers.JPG

いや〜勉強になったな!!

彼女、ツアーでちょっと体調を崩していて、
リハの時にちょっとしんどそうやったので、
「別にリハはバンドでやっとくからええですよ〜」
と言ってはいたのだが、
いざやってみるとそうはいかない。

何せイントロの長さとか、
歌の回数とか、その時の気分でどんどん変わる上に、
エンディングはいきなり腕を振り下ろして終わったり、
まるでJBバンドのドラマーになったような気分である。

まあ「リハやっといてよかった〜」のであるが、
本番が必ずしもリハと同じとは限らない。

初めてのドラマーに対していろいろ要求もあるようだ。
「Aメロになったらもっとブレイクダウンしてよ」
とかいろいろ注文も来る。

それも含めて本番で「セッション」である。

ドラマーは「バンドの指揮者」である。
歌の機嫌ばかり取って叩いていたのではアンサンブルにならん。

音を小さく叩くところは小さく叩くが、
「スローボールは必ずしも力のないボールではない」
という原則の通り、
思いっきり「力強く小さい音で」叩かねばならない。

大リーグボール3号を編み出した星飛雄馬は、
力一杯スローボールを投げて野球生命を台無しにしていったが、
ドラマーも命を削りながら思いっきり「小さい音」を叩かねばならない。

歌を聞きながら「どう叩いて欲しいのか」を常に感じ取りながら叩かねばならないが、
決して「ついてゆく」になってしまってはいけない。

あくまで「ドラマーが主動」なのである!!

例えば小さく叩いてる部分でボーカルが小さな強弱をつけるとする。
ドラマーは決してそんな小さなものについていってはいけない。

「お、行っとるな。まだ早い、帰って来なさい」
ぐらいの気持ちで大きく包み込んでやらねばならない。

歌を聞いてればわかる、大きな波がどこに来るのか。
そこに向かって自分のペースで盛り上げてやるのだ!!

ドラマーは「どっしり構えて」叩かねばならない。
思いっきり繊細な神経で思いっきりどっしりと構えるのだ(ムズカシイ)。

ボーカルの後ろをついていってはイケナイ、
ボーカルを後ろから押してやらねばナラナイ。

難しいど〜・・・

何回か一緒にやったことのあるボーカリストだと、
その「クセ」がだいたい分かるのでやりやすいが、
初めて一緒にやるボーカリストはお互いがそれを探りながらやるので大変である。

終わったらヘトヘト・・・体力ではない、神経がすり減ってヘトヘトになるのだ。

でも気持ちがいい。
何か「やっとここまで叩けるようになったか・・・」という気持ちである。

彼女は果たして歌い易かったかな?
次にセッションやる時はもっと分かり合えるようになると思うよ。
「心がもっと通じ合う」みたいにね。

セッションは素晴らしい。
ドラムが上手くなると楽しい。
もっともっといいセッションをしてもっともっとドラムが上手くなりたいもんだ・・・

Chick Rodgersさん、ありがとう!!
また一緒にやろうな!!

いっぱい勉強になって幸せである。

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2012年7月22日

酒飲んでドラムを叩いてはいけない

今日はX.Y.Z.→Aのプリプロ5日目。

二井原はどうもプリプロが終わったらバーベキューをやるというモードになってるらしく、
終わったらそそくさと肉を買いに行く(笑)

ワシは実は中国から2曲ドラムの依頼があったのだが、
「まあバラードだからいいか」
と思って二井原に付き合って酒を飲んでしまった。


いつ頃からかドラムを叩く前は酒を飲まない。

昔は飲んで叩いて平気だったのだが、
ある日ふと気がついた。

気持ちいいから自分でわかってないだけで、
「実は叩けてない」のだと・・・

それ以来ドラムを叩く前は酒を飲まない。
ライブでも、もちろんレコーディングでもそうである。

まあ「気のゆるみ」というヤツかな、
「驕り」とも言う・・・

「バラードだからまあいいか」と思ってた仕事は、
前回極上の羊肉をご馳走してくれた老五(LaoWu)の仕事。

酔っ払ってファイルを開いてみると、
曲はこの時歌ってくれた「想你」や「告诉我」など、
彼が零点(ゼロポイント)在籍中に歌った曲。
(1曲は彼のオリジナル、1曲は外モンゴルの曲)

ワシがアレンジしたバージョンはもちろん零点(ゼロポイント)がそのアレンジ料を支払ったのだから彼がそれを使用するわけにはいかない。

自分でやったのか、また他のアレンジャーに頼んだのか、
その仮歌とアレンジには「魂」がこもっていて圧倒された。

「こいつ・・・本気やな・・・」

零点(ゼロポイント)を脱退して、
これを引っさげて勝負をかけるつもりなのだ。

彼が今、何をやって金を稼いでいるかは知らない。
しかし、前回奢ってくれたあの羊代だって庶民には払えないぐらい高額である。
そして中国で一番高いワシにレコーディングを頼む・・・

本気や・・・

彼の歌っている仮歌やアレンジがワシにこう語りかけて来る。
「ファンキー、これはお前にしか叩けないんだ・・・」

短い間だったが一緒に仕事をしてた間に、
彼はワシのことを本当に理解した。

彼の頭の中でははっきりとワシのドラムが聞こえているのだ。

羊肉の恩もある。
そして何よりも「友情」がある。

ワシは酔いが醒めるまで何度も何度もドラムを叩いた。

気がついたらこんな時間である。
何とかそれに答えられるような「魂のドラム」が叩けたと思う。


酒はもう醒めた。

まことにもったいない・・・
そして今から飲み直すのか?・・・
それなら最初から飲まない方がいいのだ。
飲まずにドラム叩いて、終わって美味しい酒飲んだ方がよっぽどいい。

酒飲んでドラム叩いたっていいことはひとつもないのだ。

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2012年4月22日

ドラムを叩くということ・・・

響太という高校生ドラマーがいる。

小畑秀光というキチガイが
「こいつは見どころがあるんですよ」
と言って連れて来たので相当のキチガイかと思ったが、
まあワシの印象としたらおとなしくて可愛い普通の「子供」である。

人はワシと北朝鮮の子供達との交流の番組を見て、
「ファンキーさんって子供好きなんですねえ」
とか言ったりするが、
誤解なく言うとどちらかと言うと子供は「嫌い」である。

「自分の子供は例外である」と言うが、
その例外がファンキー村の7人の子供達、
そして北朝鮮の「ロックの生徒達」に広がっているだけで、
どちらかと言うと子供好きかどうかと言われれば嫌いだと思う。

「子供ドラマー」というのがまた嫌いで、
全中国をドラムクリニックで廻っていると、
「これでもか」というほど中国の「ちびっ子天才ドラマー」と出会うが、
その親や先生などから
「ファンキー先生、どうですかねえこの子は?プロになれますかねえ」
と質問される度にうんざりする。

「ちょっと見どころがあるなあ」と思った子供に世話を焼いたところで、
そのほとんどが10年もすればドラムなんて叩いてないのである。

世話を焼くだけ無駄である・・・

と言いながらどちらかと言うと「出会い」は大切にする方なので、
大人ドラマーだ子供ドラマーだは関係なく、
それはそれでひとつぐらいドラマーとしてのキーワードを与えておいたりする。

それが心の底から理解出来たドラマーだけが次のドアを開けることが出来る、
そんな「宿題」を与えてたりするのだ。


そもそもが「音楽」に大人だ子供だは関係ない!!
子供ドラマーのそのほとんどが「子供である」ということで拍手をもらっている。

中国で「スーパーちびっ子ドラマー」の演奏を見た後も、
必ず惜しみない拍手を与えなければならない

「お前のドラムは音楽以前の問題だよ!!」
などと「本当のこと」を言おうものなら、すぐさま
「何て大人げない」
と総攻撃を受けることとなる。

これは一種の「暴力」である。

「拍手は芸人を殺す」という言葉があるが、
そんな拍手が子供ドラマーの「才能」を容赦なく殺してゆく。

あのアホな大人ドラマーを見ればわかるだろう。
有名であるがだけでちやほやされているドラマーにろくにドラムが叩けるヤツがいないのは、
「その人であればそれだけでいい」
というミーハー共の拍手によってその「芸」が殺されてしまったからに他ならない。


「いや、響太は違うんです!!
こいつはもう自分は音楽で生きてゆくしかないと思ってますから!!」
と小畑秀光のキチガイは言う。

「何言うてんねん!!子供ドラマーである限り、
ステージで失敗したってシマッタという顔したらみんなカワイイと思って許されるだろ。
お前や俺がステージでそれやって許されると思うか?
ステージは何だ?!!戦場だろ!!俺らは生きるか死ぬかでステージやっとるんじゃ」

とかつい「本当のこと」を口走ってしまうと、小畑秀光のようなキチガイでさえ、
「そんな大人げない・・・」
という目でワシを見る・・・

「いいよ、わかったよ!!21日のX.Y.Z.→Aのライブに連れて来い!!
ドラムの後ろでずーっとその命懸けの戦いを見させとけ!!
それで何かを感じることが出来たら一生音楽でも何でも好きにやればいい!!」

というわけで昨日のライブは響太がずーっとドラムの後ろで見ていた。

リハの時に
「ここに座って1ステージずーっと俺のドラムを見とけ」
と言ったらドラムの後ろでちょこんと正座して見てたので、
「楽にしてみてたらいんだよ」
と言い直した(笑)。

どうもワシは「顔が恐い」らしくよく人にこのような緊張感を与えるらしい・・・(笑)


本番が始まる前にワシは響太にこう言った。

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間違ってもオカズなんか聞いてんじゃないぞ。
「これどうやって叩いてるんだろう」なんてこと考えた瞬間に、
もう「音楽」を聞く状態になってない。
オカズなんて何叩いたって「音楽」になるんだ。
注意深く聞くのはむしろ「スネア」だよ。
「パーン」って音が鳴るだろ、
その「パーン」を全部呑み込むつもりで叩くんだよ。
「ン、パーン、ン、パーン」と音が続くだろ、
それを全部呑み込みながら叩いてるんだ。

オカズ叩いてる時にもその「パーン」が聞こえてるようなつもりで叩く。
その「感覚」を覚えておいて、
次に自分がドラムを叩いた時に同じように「パーン」を呑み込むように聞きながら叩く。
「あれ?何か違うなあ・・・何が違うんだろう・・・」
と思ったらそれこそが「音楽への入り口」よ。

スネアの音にはいろんな「表情」があるからそれを聞くんだ!!
特にバラードなんかではその音色がとても「悲しい」ものになったりする。
「どうやったら叩けるんだろう」は次の段階だ。
要はその「表情」が「感じ取れる」かどうかよ。
感じ取れなかった一生それを叩くことは出来んからな。

例えばAメロとBメロ、そしてサビは全部その「表情」が違う。
オカズを叩く。
何を叩いたっていい。ただ「今からサビですよ」という「気持ち」が大切だ。
そしてサビに行く。
「パーン」というサビの「音色」を、
今度はサビの間じゅう「同じ音色」になるように踏ん張って叩く。

それを「聞く」んだ。それを「感じる」んだ。

ドラムなんて所詮は「同じ音量」の「同じ音色」を「同じタイミング」で叩くだけに尽きるんだよ。
それに命を賭けてるだけの話だよ。

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要は「責任感」の問題である、とよく人に説明する。

オカズを叩く、人間なんだから当然ちょっとヨレる、
次のスネア一発でそれを強引に、
いや強引だとは気付かれないように命懸けでそれを修正する。
「あ、今度はちょっと強過ぎた」それを次の一発で修正する。
一発一発を命懸けで「キープ」するのだ!!

その繰り返しを「リズム」と言う。

だからリズムには「人生のドラマ」がある。
「戦いの連続」なのだ!!

チャラチャラした性格のとある大人ドラマーにこう説教したことがある。

「お前、今その瞬間にヘラヘラ笑って誤摩化しただろう!!
何でそれを次の一発で命懸けで取り戻そうとしない?!!
お前はずーっと人生をそうやって生きて来たんだ。
ヘラヘラ笑ってたら今まで全て許されて来たんだ。
俺は違う!!俺がそれをやってたらもう周りに誰もいなくなる。
だから俺は戦って生きるしかなかったんだ!!
だから今も命懸けで戦う!!それだけだよ!!」


ちんちんに毛も生えてない子供には分かるはずもないので今回は言わなかったが、
中国の若い衆にはこれをよく「初恋」に例えて説明する。

「初恋の感覚を思い出せ!!
強く抱きしめたら壊れてしまう。
弱く抱きしめたら逃げてしまう。
じゃあお前はどうする?
あ、強かった・・・死にもの狂いで次の一発で何とかするだろ?
弱かった・・・命懸けで次の一発を何とかするだろ?
その連続がリズムなんだ!!
要はどれだけ"愛してるか"だよ・・・」

こんな話をしていると昔プロデュースした萌萌(MengMeng)という歌手を思い出す。
「恋の歌が歌えないの・・・だって私・・・恋したことないから・・・」
と言ってた彼女、華々しくデビューして以来そう言えばあまり噂を聞かないなぁ・・・

「ママなんて捨ててもいい。何を失っても、全て捨てても私はこの人と一緒にいたい」
そんな気持ちになったことがない人間に人の心を打つ歌なんか歌えるわけなんかないじゃろ・・・


「人生」とはそんなにうまいことばっかいくもんではない。
その証拠に現実の「恋」はそのほとんどが「大失敗」に終わる。

だからドラムを叩くときぐらいは失敗はしたくない。
ここは自分だけの「ドリームキャッスル」なのだ!
「失敗するぐらいなら死んだ方がまし」なのだ!!
「戦場」なのだ!!戦って生きるのだ!!

それを人は「ロック」と言う。


響太は素直な男の子である。
怖い顔した変なオッサンにわけのわからんことを言われて、
緊張してドラムの後ろに正座して、
ひょっとして言われた通り結局はスネアだけ聞いて何も理解出来なかったかも知れない(笑)

でもいいのだ!!ワシはこう言った。

「今日俺が言ったことが理解出来なくてもずーっとこれを覚えとけ!!
いつかひょっとしたらわかる時が来るかも知れない。
ああ、あの時に聞いたことはこれこれだったんだ、と」


ワシは響太の父親でも何でもないので、
「お前はこう生きろ」などということは出来ない。

自分の人生なのだ。
子供だろうが何だろうが、自分で決めて自分でそれに向かって戦ってゆかねばならない。

社会に出ればいずれわかるだろう。
恋をすればいずれわかるだろう。
まっとうに生きたってどうせ人生なんてシンドイもんなのだということを。
そしてキチガイとして世間と戦って生きたってシンドイもんなのだということを。

神様はこの部分だけは人間を平等に作った。
「人生はどんな人間にも平等にシンドイ」のである!!


初恋をして、熱病のように「この人といれたら何も要らない」と思うような同じ気持ちで、
「何を捨ててもいい、一生貧乏でもいい、僕はロックで生きるんだ!!」
と思った時にまたワシのところに来ればいい。

その時にまたドラムの後ろで正座してこのドラムを聞いてみろ。

初めてこのオッサンがどう生きて、
どう死んでゆくのかを「感じる」ことが出来るだろう。


頑張れ響太、お前の人生はまだまだ長い!!
逃げてはいけない!!戦って生きるのだ!!

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2011年6月 7日

ドラムを教えるということ・・・

こうして全中国をクリニックツアー(もう既に「コンサートツアー」となってしまっているが)で廻って、
全国各地のいろんな老師(先生)達と会う。

「僕は北京でドラムやってたんだけどやめて田舎に帰って、
全然違う仕事についたんだけどやっぱ音楽のそばにいたいと思って、
それで脱サラしてドラム教室始めたんだ」

という老師もいれば、

「ドラムなんか叩いてて金になりますか?
生徒集めて教室やった方が全然儲かるじゃないの!」

という老師もいる。

人それぞれである。
ワシはもちろん前者の老師の方が個人的には好きだが、
まあ人の人生である。ワシがとやかく言うことではない。


日本では有名ドラマーがモニターとなってドラムの売り上げに貢献するが、
中国ではこの老師たちがモニターとなる。

それはパールドラムの中国の代理店である中音公司の、
そのドラム担当である沙が考え出した中国ならではのシステムである。

「有名ドラマーをモニターにしたって、
若い衆は必ずしもパールドラムを買うとは限らない!!
先生をモニターにしたらその生徒は必ずパールを買うではないか!!」
という発想で始めたそうだが、
まあ今のところはそれが中国マーケットでは成功してると言えるだろう。


そして、日本のドラム教室はロックをやりたい若者が習いに来たりするが、
中国ではピアノなどの習い事と同様その生徒のほとんどは子供である。

ロック好きには時々、
「あいつのどこがモニターに値する腕がある?!!
あんなのは子供騙して金にしてるだけじゃないか!!」
などと言うやつもいるが、
ワシは決してそうは思わない。

「いいドラマーが必ずしもいい先生とは限らない」
そしてその逆もまた真なのである。

まあ稀には菅沼孝三のように
世界的なドラマーでもあり教室をいくつも持つ優秀なドラム教師でもある人もいるが、
ワシはと言うとやはり根気がないのか「人に教える」というのはからっきしである。


ある時、院子に若いドラマーがワシを訪ねてやって来た。

「僕は今までドラムを練習して来てわかった。
僕が伸び悩んでいる原因はいい老師と巡り会わなかったからだ!!
高名なファンキーさん、お金はいくらでも払います。
是非僕を弟子にして下さい!!」

ワシは聞いた。
「君はどうなりたいの?」

「決まってるじゃないですか、あなたのようになりたいんです。
国内の大きなコンサートは全部僕が叩き、
レコードは全部僕が叩き・・・」

無理〜!!!!


更にこう聞いた。
「じゃあどんな音楽が好きなの?」

「何でも好きです。ロックもジャズも・・・何叩いたっていいです!!」

ワシはこんこんと言った。
「お前は決して音楽が好きなわけではない。
金儲けが好きなだけだ。
本当に音楽が好きなら俺と一緒にここで住めばいい。
1年も一緒に住めば俺から学べることはいっぱいあるぞ!!」

まあ住んだとしてもだいたい数日で泣いて逃げてゆくだろう。
酒飲んで毎晩さんざん説教されてスティックも握らせてもらえないんだから・・・

日本の職人気質に、
「お前はまだ料理の心を知らん!!
包丁を持つなんて10年早いわ!!!」
みたいなのがあると聞くが、まさに「ドラム道」だとてそれだとワシは思う。

不思議なことにドラマーにはひとりもいないが、
ベースの韓陽、キーボードの張張などはワシから巣立って行って、
今では若手で一番仕事の多いミュージシャンのひとりとなった。

ワシから「音楽とは何か」、「仕事とはどうやってするのか」、
など、まさにワシの生き様からモノを学んだのだ。

全くもってワシはいい「先生」ではない。
ワシが教えられるのは「生き様」であって「ドラム」ではないのだ。


今回非常に熱心な老師がいて、何かと言うとワシに質問する。
「ファンキーさん、
やっぱシングルストロークはテンポ200まで練習しないとダメですよねえ」

菅沼孝三だったらそこで的確なアドバイスが出来るだろうが、
そんな「基礎練習」とやらをやったことのないワシは、
非常にバツが悪いのではあるが「知りません」と答えるしかない。

テンポ200でツーバスを踏むこともあるが、
それは「その楽曲をどうしても演奏しなければならない」ので
単に死にもの狂いで叩いているだけである。

ただ「プロ」として、「大人」としてそのことに「責任感」があるから、
テンポ120の時と同じようにヨレずにモタらずに、
また絶対にくじけて音量が下がったりしないように、
とにかく「負けない」、「誤摩化さない」で人生を賭けて戦っているだけのことである。

これで負けたらワシのドラム人生はその時点で終わりなのである。


そしてその日、教育熱心なその老師はひとりの子供ドラマーにドラムを叩かせて、
それをワシに聞かせてこう言った。

「どうです、この子は? 上手いでしょ? この子の前途をどう思いますか?」

そんなことを聞かれて
「うん上手いですねえ、頑張りなさい」
以外に一体何を答えてやればいいのだろう・・・

前途も何も、これら数多くの子供ドラマーのうち、
大きくなってもまだドラムを叩いてる子はほんの一握りなのだ。
またそうなったとしてもどうせ今と同じように伴奏に合わせてドラムを叩いて、
一番うまくいったところでこの老師たちと同じように、
また同じような子供達を集めてドラム教室をやっているといったところである。


ドラム教師が悪いと言う意味ではない。
今まで行った中で大きな教室では生徒が600人以上いる。
ひとりが2000円ずつ月謝を払ったとしても月収100万円は下らない商売なのだ。

その昔、17歳でバリバリに叩きまくる女の子ドラマーのDVDを見たことがある。
その娘も今では先生となって北京で教室を開いている。

「どうして私にはファンキーさんのような音楽の仕事が来ないのでしょう・・・」
呼び出されて相談を受けた時にワシはこう答えてあげた。

「そりゃそうだよ。生きて来た世界が違う。
あんたはいつもひとりでドラムを叩いて来た。俺はずーっとバンドをやって来た。
それだけの違いだよ・・・」


多くの子供ドラマーは決して「音楽」をやっているわけではない。
ただ「ドラムを叩いている」だけなのだ。

その証拠に、もし最後まで決して「子供だ」ということを隠して、
果たして彼らの「音」が大人のそれと同じように通用するか?
それを聞いた人は同じように拍手をするか?

「それを聞いた人は同じように涙するか?」
と書こうと思って気がついた。

そもそも彼ら自身が本当に涙したことがあるのか?

「世の中はこんなにも矛盾に満ちている」と、
その「怒り」をドラムにぶつけたことがあるのか?
「世の中にはどうしようもないことがあるんだ」と、
その「悲しみ」をドラムで表現したことがあるのか?

彼らにはその表現すべき「人生」がないのだ。

ワシは老師達にはよくこう言って話を誤摩化す。
「まあ彼らが大人になって、初恋でもして失恋でもして、
その時にまだドラムを叩こうと思ってたら、
それが彼らの音楽へのスタート地点じゃないですか」
と・・・


そんな子供ドラマーの中に、
広州に住む日本人の男の子がいた。

前回会ってから時々メールをくれるのだが、
今回はちょっとメールの内容が大人びていた。

「先生のドラムを聞いてドラムの素晴らしさを実感した」

ワシはちょっと興味を持って彼を食事に誘った。
身体も大きくなってもう中学2年生だと言う。

同じような質問をする。
「君はどうなりたいの? 何をしたいの?」

少年から今までどんな中国の若者が答えたのとも違った答えが返って来た。

「どんどん音楽が好きになって来て、だんだんこんな風に思って来たんです。
出来たら将来もずーっとドラムを叩いてるか、
もしくは何か音楽に関する仕事について僕はずーっと音楽のそばにいたいって」

彼ははもう入り口まで来た。そこからが「音楽」のスタートだ。

別に音楽は他の仕事をしながらでも出来る。
高校行ってバンドをやるもよし、どっか大学行ってバンドをやるもよし。

「君のその夢は必ずかなうよ」

日本の高校に行くことになったら、
家もそんなに遠くないというから、うちの店でアルバイトでもすればいい。
うちに出ているいろんな素晴らしいミュージシャン達の生き様を見て、
そこから何かを学んで自分の生き方を考えればいい。

貧乏さえ苦にしなければ、一生音楽と共に生きてゆくなんて簡単なことなのである。

「僕は音楽で僕の気持ちを伝えたいんです」
と彼は言った。

果たして10年後、彼が本当に音楽をやり続けているかどうかはわからない。
その「伝えたい気持ち」を別の仕事で表現してたとしても別に構わない。

彼の音楽は・・・つまり彼の「人生」は今始まったばかりなのである。
今からどんな「人生」を作ってゆくのか、それこそが彼の「音楽」なのである。

また広州か、八王子で会おう!!(笑)

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2009年3月31日

若手の育成

北京に帰って来てPairというユニットのリハーサル。

このユニットはBeiBeiというギタリストのユニットで、
ワシがプロデュースしたゼロ・ポイント6万人コンサート
ギターアンプの後ろでエフェクターを踏んでた若造が
「ファンキーさん、僕アルバムを出したいんです」
と言い出したところから始まる。

「ほう、君が歌うのかい?」
と聞くと、
「いえ、ボーカルがいないんです。
誰か紹介して下さい」

アホか!!

というところから苦節5年。
うちの院子でレコーディングし、
アメリカからWyn Davisを呼び出してミックスしてもらい、
この度やっとアルバムが出るのか出ないのか・・・

最近わかったのじゃが、
「自分のためには使えないまれに見る強運」
を持ったワシが助けてあげた人はほとんど大成功している。
しかしこの
「不運を絵に描いてゲゲゲの鬼太郎みたいな顔にした」
ようなこの男にはどうも通じないようである。

「アルバム発売の前に全国ツアーをやりたい」
と言うので、
まあ「助けてやるなら最後まで」という気持ちでOKした。

しかしワシとて毎回そんなスケジュールを空けられるとは限らない。
また、中国は土壇場でいきなりスケジュールが変わるのでなおさらである。
ここは別のドラマーを育成して、将来は独り立ちさせてやるに限る。

ということで青島から梁棟(Liang Dong)というドラマーを呼び寄せた。
彼は先日日本に遊びに来たLuanShuから
「うちの親戚がドラム叩いててお前に教えを請いたいと言ってるんだ。
よろしく頼む」
と言われたので遠慮なく呼び出した。

ワシがドラムを教えるにはまず一緒に飲んで語る。
「音楽とは何ぞや?!」ってなもんである。

日本でもそうじゃが、
だいたい若いドラマーは目先のテクニックにしか興味がない。
中国人には「どうやったら金が稼げるか」という話が一番分かりやすいので、

「俺がスタジオ仕事でそんな超絶テクニックを使うことがあるか?
一番大事なのはリズム、グルーブ!それが一番金が稼げるの!!」

と言うのじゃが、
それでも目先のテクニックにしか目がいかないのが常である。

Pairの曲の中で一番簡単な曲を叩かせる。
基本リズムだけの簡単な曲なんかが実は一番難しい。
「オカズを入れるな!」
と言ってるのにほっとくといろいろ小手先に走っている。

「お前!リズムもちゃんと叩けんくせにオカズを入れるな!
クリックからヨレてるのがわからんか!!
オカズはリズムがちゃんとヨレなくなってからじゃ!!」

まあ鬼太鼓座が入団してすぐに10km走らされ、
ちゃんと走れるようになるまでスティックは持たさないよりはマシである。

LiangDongPractice.JPG
(えんえんクリックとリズムだけをやらされる梁棟)

まあ何とかサマになったかなと言う頃、
ワシは市内に出て行ってLuanShuのレコーディング。
勉強になるだろうと彼を連れて行った。

今日の仕事は映画音楽のロック版で、
オーケストラががんがん入ってて
テンポも指揮に従って変わりまくるオケに合わせてドラムを叩く。
リットやアクチェルなどを完璧に合わすのは至難の業だったが、
何とかパンチインを繰り返して録り終えて、
シンバルロールをダビングしている時に気がついた。

梁棟(Liang Dong)がドラムブースの中でらんらんと目を輝かして見ているのである。

「お前・・・ずーっとここにいたの?・・・」
「は?・・・見させて頂いてましたが・・・」
「んで?・・・勉強になった?・・・」
「はい!とっても勉強になりました!」

「お前!音楽が聞こえなくてドラムの音だけ聞いてて何が勉強になるの!!
ここでずーっといてどんな曲なのかもわかんないだろ!!
俺が音楽に対して何を苦労してどう乗り越えたかがドラムだけ聞いてたんじゃ全然わかんないだろ!!」

朝まで説教である。
全くもって若手を育てるのは難しい。
今日からリハーサルが始まる。

若手だらけである。
先が思いやられる・・・・

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