
2015年10月30日
映画音楽が終わらない(>_<)
まあ今回は今まで数多くこの国で受けて来た映画やテレビドラマの音楽よりは順調と言っていいだろう・・・
ある仕事などでは、制作側の代表としてこちら側と連絡を取る女の子が実は実は社長の女だったりしたこともある・・・(>_<)
必然的に自分の意見は何でも通るものだと思ってるから素人のくせに「あーしろこーしろ」と音楽的に無茶苦茶なことを言って来る・・・(笑うしかない涙)
ところが今回はワシにこの仕事を発注したLaoLuanが間に立ってくれてるので非常に楽である。
同様に制作側の若い女の子が「あーしてくれこーしてくれ」とメッセージ送って来るのだが、
時々LaoLuanが「それはお前個人の意見か?それとも会社の意見か?」と釘を刺してくれる。
何しろ最初の打ち合わせの時に制作側トップの人間と親しい彼が来てくれたおかげで、初対面のワシが制作側の全面的な信頼を背負って順調に仕事が出来ているのだ。
まあ順調と言っても問題はいろいろある・・・
もともと最初は「緊張感があって、インストで、年寄りが聞いても楽しめるオシャレでPOPな、Clubミュージックサウンド」などという不可解なミッションを受けた片头曲(オープニングテーマ)から始まった。
日本側から仮谷くんとへーすけさんにも作ってもらったが、
「緊張感とオシャレでPOPなClubミュージックって同居しないような気がするんですけど・・・」
と泣きが入る・・・
まあワシだってそう思ってるのよ!!
・・・というわけでひとりで頑張って作って何とかOKが出た。
ところがこの「OK」っつうのが実は当てにならなかったのだ・・・(>_<)
「Funkyさん、オープニングとエンディングの絵を作ってるんだけど、
片头曲(オープニングテーマ)1分42秒、片尾曲(エンディングテーマ)2分45秒でよろしくね」
って今すぐ送ってくれみたいなこと言うけど、
まあ片头曲(オープニングテーマ)は送ったDEMOをエディットして1分42秒にすればいいとして、
片尾曲(エンディングテーマ)はまだどの曲になるか決定は出てないでしょ・・・
歌モノの曲はこの前のミーティングで聞かせた「ヒロインのテーマ」しかないので、
とりあえずはそれをちゃんとしたバンドアレンジで作り直すとして、
まずは片头曲(オープニングテーマ)をエディットして1分42秒にして送りつけておく。
すぐさまダメが出た(>_<)
「1分10秒から始まって最後までを作り直して下さい」
ところがこの「作り直して下さい」というのはエディットの問題ではなく、全部作り直せということだった!!(>_<)
つまり同じメロディーがもう一度出て来るのは禁止!!
そしてこのオーダーがまた難しい(>_<)
「不思議で神秘的な感じで1分10秒から最後までずーっと盛り上がり続ける」
・・・て「不思議で神秘的」と「盛り上がり続ける」はなかなか同居はせんぞ・・・!(◎_◎;)
まあ不可能を可能にするのが「仕事人」である。
何とかそんな感じ(どんな感じや?)で作った新しい片头曲(オープニングテーマ)と、
ヒロインのテーマのバンドバージョンをアレンジして送りつける。
何と片头曲(オープニングテーマ)は一発OK!!!(◎_◎;)
しかし片尾曲(エンディングテーマ)はダメが出た。
そのダメの理由が予想だにしないダメ・・・
「詞がないの送られて来たっていいか悪いか判断出来るわけないでしょ!!」
!(◎_◎;)・・・曲を決めるのに詞が要るのか・・・
印税制度がそんなに確立されてない中国では、作詞は基本的に「買取」である。
しかもLaoLuanは中国で一番売れっ子の「梁芒(LiangMang)」という歌手に発注した。
ワシが作曲した全ての音楽がもし全部詞付きだったとしたら、
彼へのギャラだけで全ての制作費がいっぺんに吹っ飛んでしまうぐらいの超高額作詞家である(>_<)
もし曲が何度も変わってその度に彼に作詞料を払ってたら・・・(恐)
まあでもこういう人の方が制作側からのいろんな要求に応えられるスキルを持っているのでいいかも知れない・・・
(この曲で決めるぞ!!)
何せ「詞が悪かった」ら「曲が悪い」と言いかねない人たちなのだ・・・
(まあどの仕事のクライアントはそんなもんなのだが)
ところがこちらとしては誰が歌うかわからないとキーが決まらないのでアレンジが出来ない・・・
「誰が歌うんですか?!」
やいのやいのと催促入れてやっと決定が出た!!
「もうひとりのヒロインの女優さんが歌います」
(>_<)・・・
もうね、大変なの・・・
何本か前の仕事の時に同様に役者さんが歌うっていうから、
アレンジした張張(ZhangZhang)とうちのスタジオ来てもらってレコーディングしてたんだけど、
まあ役者さんなんで当然上手くはないわな・・・
ワシと張張(ZhangZhang)はもうわかってるから、
「わぁ〜非常にいいですねぇ〜ここのところもう一度歌い直してもらえますか?
いやぁ〜役者さんはやっぱ感情移入が凄いですねぇ〜
メロディーのあるセリフだと思ってもう一度ここのところ歌い直してもらえますか?」
などおだてておだててやっとベーシックなテイクを録り終えた。
今日び音程もリズムも後でエディットで直せるから、
「このレベルだったら何とかなるだろう」
ということでやっとこさOKテイクを録って、
気持ちよく帰ってもらって後でゆっくりエディットしようと思ってたら、
プレイバックを聞いた途端にエンジニアの方言(FangYan)がこう言った・・・
「全然お話しになりません!!レベルが低すぎます!!もう一度最初から歌い直して下さい!!」
(>_<)
「え?そうですか?じゃあ何度でも頑張ります!!」
歌好きで真面目な性格のその役者さん、またやる気満々でブースに戻って行く隙に、
「アホかお前は!!!」
と方言(FangYan)をつねり上げた。
「このレベルの歌手がお前の求めるレベルまで歌えるようになるのに何時間かかると思う!!
いや、今日じゅうに終わると思うか?さっさと帰してお前が朝までエディットするのとどちらが早いか考えてみろ!!」
というわけで今回も恐怖の歌入れが最後に残ることになったのだが、
問題はその女優さんのキーが何なのかということである。
片尾曲(エンディングテーマ)は日本ではX.Y.Z.→AのWINGSにも収録されている「For Whom The Bell Tools」として知られているが、
この曲はサビの「ミ」の音が一瞬一番高く、二井原の喉には「裏声」というものが存在しないのであのようにシャウトになっている。
もともと中国の歌手に書いた段階ではこの部分は裏声で歌って欲しいということになってたので、
とりあえずX.Y.Z.→Aと同じAmでデモを作って制作側に渡した。
(二井原のキーって実は普通の女性歌手より高い)
ご丁寧にカラオケまでつけて、
「歌う人にこのキーでいいか確かめてもらって下さい」
高いならキーを下げるし、そのままでいいならもうストリングス録音しちゃうよ!!
でも帰って来た返事がなんと「差不多(ChaBuDuo)」(>_<)
差不多:形容詞 〔非修飾〕(程度・性状・数量・時間・距離などが)あまり差がない,似たりよったりである,まあまあである
つまり「ちょうどいい」か「高い」かを聞いているのに「まあまあかな」と返って来たのだ・・・(>_<)・・・どうする?!!!
ストリングスのレコーディングは迫っているのでとりあえずAmとGmの譜面を用意して待機してたら、
思いもよらないクレームがぶつけられて来た。
「イントロがよくないわ。曲がよくないのかしら・・・新しいの作り直して!!!」・・・(◎_◎)
これにはワシもLaoLuanもぶったまげた・・・
制作側トップの女性プロデューサーはどうも「ロック」が生理的に嫌いなのだ。
イントロのロック的な展開でもう「聞く耳持たん」状態になっているのだろう・・・
LaoLuanが一生懸命説得するがしかし・・・
「これはね、私個人の意見だけどね、会社の意見もだいたい同じね」
そりゃそうだ・・・あなたは会社の中でこのプロジェクトのトップなんだからあなたの意見は会社の意見ですよ・・・(涙)
ちなみに監督はそのバージョンでOKを出したけど、
制作側としてはもう引っ込みがつかなくなってどんどんと意固地になる・・・
このままどうなる?・・・作り直しか?・・・そうでなくとも女優さんはちゃんと歌えるの?・・・
そして問題はそれだけではなかった!!
その後すぐに始まったストリングスのレコーディングで過去最大のトラブルが襲って来るのである・・・続く(もう続きたくない・・・涙)
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2015年10月27日
老哥のロックイベント
老哥(LaoGe)というのは中国ロック界伝説の人である。
その話を普通の日本人に話すには、まず「文化大革命」というものを知らねばならない。
中国では日本人には到底信じられないようなとんでもない時代があった。
社会主義は最高!!資本主義に走るヤツは弾圧!!
毛沢東最高!!新聞の文字で毛沢東の途中で行換えしたヤツは弾圧!!
弁当包んでる新聞紙で毛沢東の文字破いたヤツは大弾圧!!
赤は共産党の色だから今日から信号は赤は進め青は止まれ!!
労働者が一番偉いのであるから勉強するヤツは弾圧!!
書物や文化財は全部焼いてしまい、
知識階級はみんな農村に行って農業しろ!!
まあいきなり農業出来るわけないんだから大きな飢饉がやって来るけど、
文句言うヤツは全て弾圧!!
などという無茶苦茶な時代である・・・
この「弾圧」っつうのもハンパじゃない。
三角帽被せられて公衆の面前で嬲り殺しにされたり、
誰かがそうなったらもうその一族郎党全て生きてゆくことは出来ない。
これを弾圧する兵隊が「紅衛兵」という恐ろしい軍団・・・
・・・と言っても年端もいかない学生達であったりする。
学校なんか行かなくていいから毛沢東語録だけは完全に暗唱し、
それを掲げて資本主義に走った反社会主義分子を徹底的に弾圧して回る。
音楽はもちろん毛沢東を讃える革命の歌しか存在せず、
そんな中でロックなど聞くのなんてまず無理〜みたいな、そんな時代である。
しかしどんな世の中にもダメと言われたことをやる人間がいる。
一般人ならまず不可能だが、この老哥の友人は政府高官だからそれが出来た!!
なんとビートルズのLPを手に入れてそれを聞き、
エレキギターとエフェクターまで手に入れたのだ・・・
当然ながらこのような行動は「資本主義に毒されている」として厳しい弾圧の対象となる。
紅衛兵に見つかれば、いや毛沢東の名の下に絶大な権力を持つ紅衛兵には「証拠」など必要ない。
そんな噂を聞いただけでいきなり弾圧に来るのだ(恐)。
運悪く、老哥の友人の政府高官はそれが見つかった(>_<)
そうなれば一族郎党全て「殺される」と言っても過言ではあるまい。
命どころか家財道具、財産、持ち物一切没収である・・・。
当然ながらそのビートルズのLPやギターなども全て没収された。
ところが老哥はなんと紅衛兵の詰所にその一切を盗みに行ったのだ!(◎_◎;)
これがどれほど命知らずなことかは、
まあ北朝鮮で首領様の家にエロ本盗みに行くとか、
山口組の組長の家にリカちゃん人形盗みに行くとか想像してみれば良い。
それよりも数倍何十倍も危険で命知らずなことなのだ!!
老哥は捕まらなかった。
そしてビートルズを研究し、ディストーションという音色を研究し、
その後あらゆるロックのアルバムをレコーディングするエンジニアとなる。
私が1990年最初に北京に行って、
奇しくも6月4日、天安門事件の1年後に天津体育館で黒豹のドラマーとしてドラムを叩いた時、
老哥はそのPAエンジニアとしてそこにいた。
(中国はレコーディングエンジニアはPAエンジニアを兼ねる場合が多い)
黒豹のみんなは彼を私に「老哥(LaoGe)」と紹介し、
「みんなの一番大きなお兄さんだよ」とその名前の意味を教えてくれた。
当時まだ見習いの立場だった黒豹のドラマー趙明義(ZhaoMingYi)のことを
「あいつはまだまだ全然ダメだ。お前が黒豹に入るのが一番いい」
と私にそう言ったが、爆風スランプは当時既に大きな企業体となっており、
メンバーはもとより数多くのスタッフ達がそれで食ってる状況だったので、
日本の仲間を裏切ることは出来ないのでその申し出は断った。
そもそもその時代、
ロックなんかやってて彼らの夢が叶うなんて誰も思いやしなかったのだ・・・
ところは彼らは数年後には中国ロック史上レコードを一番売ったバンドとなり、
ロックバブルの申し子となって巨万の富を稼ぐことになる。
そして老哥はどうなった?・・・
エンジニアという仕事は一緒の現場にいないと顔を合わすことはないので、
実はその後25年、私は彼とほとんど会うことがなかった。
一度ぐらいどこかのパーティーで会ったぐらいだろうか・・・
そんな老哥が大きなロックパーティーを開くというので、
まずは私が参加している「The Pushu 推乐队」が、
後に「Big John 張嶺」が出ることになって2つのバンドでドラムを叩くことになったというわけだ。
でっかい会場を借り切って、チケットは招待券のみ、
そして来場者は飲み放題食い放題という本当に「パーティー」である。
出演バンドがまた渋い!!
中国ロックを支えて来た人たち、
そして新しい世代のロッカー達と言っても私なんかは10年前にイベントでよく一緒になってたわけだからもう既に10年選手!!大御所である。
みんな老哥に世話になったヤツらばっかりなんやろうなぁ・・・
当然見に来る客も古い中国ロックファンばかりである。
会場歩いてるといろんな昔仲間に声をかけられたり、
とある知らない人に声をかけられてサインを求められたのだが・・・
とある写真家が中国ロックの歴史を写真で綴った本・・・
中にはちゃんと私の写真があった・・・
こうして文字通り中国ロックの1ページを飾ることが出来た自分の人生をちょびっと誇りに思うぞ・・・
まあこの人には負けるけどな。
(ステージ上で挨拶をする老哥)
中国ロック関係者の中でワシより年上なのは彼ぐらいだろう。
お互いまだまだ出来ることがあるだろう、長生きしような(笑)
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2015年10月19日
Avexの記事を受けて
私は現在まだJASRACとの訴訟が続いており、
私のブログを毎回JASRAC社員総出(かどうか知らんが)でチェックして、
その言葉尻などを使ってあの手この手で攻撃して来るやり方にいい加減心折れて
「ブログなんかやめちまえ!!」
と思ったことも何度かあったけれども、
まあそれは自分にとって「負け」なので、今回のことに関してもやはり何かコメントをと思い、ペンを取らせて頂きました(パソコンで打っててもこう言うのだろうか・・・)。
私の方の裁判は「著作権料払え!!」と言って訴えられてるわけで、
ちょっと見「全然関係ないやん!!」と思うかも知れませんがそうではないのです。
そもそもイーライセンスがJASRACと最高裁まで争ったのも、
「全ての放送局で包括契約なんかで契約されてたら、うちの曲かけた時に
"著作権料ちょーだいね〜"
なんか言ったら
"じゃあお前んとこの曲かけないよ〜だってJASRACはかけ放題なんだも〜ん!!"
なんて言われちゃうでしょ」
ということである。
(実際そうなったから訴訟になっている)
昔から放送局では「サンプリング週」なるものがあって、
包括契約で支払った著作権料はその週でかかった楽曲の統計によって支払われて来た。
(ライブハウスの包括契約で集められた著作権料はどこにあるのか絶対に公表しない「モニター店」による絶対に公表しない「サンプリング結果」によって分配されるのと同じ)
Runnerとかヒット曲を持ってる人はええけど、
そのレーティング週に放送されてなければ他の日に流れた曲に対して印税が支払われることはない。
まあ放送局が放送楽曲を全曲手書きで書いてた時代には「ほな曲別分配しまひょ」となっても無理だっただろうが、今のようにデジタルになったらそのシステムを構築するのは非常に簡単・・・
というわけで時代は変わり、司法判決を受けてついに「ほな曲別分配にしまひょ」ということになったのだ!!
さてこの流れをライブハウスに置き換えて考えてみたらどうだろう・・・
ライブハウスでは驚くべきことに今だに手書きで入力させられている。
作詞者作曲者名をJASRACの作品データベースで検索しても、
それを直接出力することは出来ず、わざわざそれを手書きで写すことを余儀なくされている。
「いやJASRACは既にこんなシステムを作ってるよ、知らないの?」
などという反論はやめて頂きたい。
私が知らないわけがない、
これは私としては「ファンキー末吉支援者の会」が構築したこのシステムに対抗すべく、いわゆる私への「訴訟対策」として急遽「包括契約を結んでいる人にだけ」に解放したシステムだと私自身はそう考えている。
(そうすることによって包括契約の鉄板は崩れないからね)
チュートリアルによると「ファンキ支援者の会」のこのシステムの最大の弱点は「JASRAC検索」からデータを直接引っ張ってこれないところ」だという。
つまりJASRACがそのブロックを解いて、他のデータベースに出力を許可するか、
もしくは早い話がJASRACのこのシステム自体を「包括契約してる人にだけ」ではなく広く一般に開放すればもう今やこの世界も「デジタル」の時代となる。
何故それをしない?・・・
「それをされたら困る理由があるのでは?」と考えるのは邪推か?・・・
考えてもみて頂きたい。
もしこのシステムがイーライセンス等別の全ての著作権管理団体の楽曲に対応してシームレスにそれが出力できるとしたらどうだろう・・・
演奏者は自分の演奏した楽曲がどこの管理楽曲であるかなど全く関係なく、
曲順表を入力するがごとく普通にこれを入力すればそれでいい。
店が払うのか演奏者が払うのか、とにかく支払うべき著作権料、それぞれの著作権団体にいくらと納められて、それが確実に著作権者に「曲別に」分配されるようになる。
私は今回のこの訴訟の中で常に疑問だったことは
「JASRACはどうしてこうも包括契約にこだわるのだろう」
ということだった。
そして何故「演奏権を除く全ての音楽著作権の権利を」なのだろうかと疑問を持った人、
「演奏権もJASRACから引き揚げればいいじゃん」などと思った途端にこの二つは繋がらないか?
この権利だけがまだ包括契約によってJASRACの独占状態にあること・・・
つまり放送業界と全く同じ!!
JASRACがライブハウスと包括契約している限り、
「じゃあうちの曲演奏したら個別に著作権料ちょーだいね」
などと言おうものなら放送局と全く同じ結果、
もしくは「じゃあうちも包括契約で」などと言おうものなら、
「ほなうちも」「ほなうちも」と全ての著作権管理団体が月々いくらの包括契約料を請求して来てライブハウスは潰れてしまう。
ちなみに
「ライブハウスは包括契約だけじゃなく曲別分配の契約も締結出来ますよ」
と書き込みした人がいたが、それは大きな間違いである。
JASRACは調停の時から「包括契約以外認めない!!」と強く主張している。
「曲別分配のシステムはない!!」とか「末吉はありもしない契約方式での契約を主張している」とも・・・
こちらの第一ラウンドの結論は今年いっぱいには出るだろう。
(まあ勝っても負けても第3ラウンドまで行くらしいが・・・)
JASRACはあれほど頑なに譲らなかった「包括契約」を譲ってこちらが要求し続けている「曲別分配」を呑むのか。
これを呑んだらライブハウスも放送業界と同じく曲別分配に移行してゆくのか・・・
呑まなかったらイーライセンスはまた放送業界と同じく独占禁止法に違反するとJASRACを訴えるのか・・・
私の戦いは大きな戦闘機に竹槍で向かって行ってるようなものかも知れないが、
この後ろにこのようなもっと大きな戦いが控えているぞと思うと、
私にとってみたら非常に心強いニュースであった。
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2015年10月15日
映画音楽いよいよ大詰め!!
突然「25日までに全曲納めてくれ!!」とミッションが下った!(◎_◎;)
まあ当初から「10月に放映する」と言ってた気がしてたがそれはいくら何でも無理なので忘れていたが、ひょっとしたらワシと制作側とのやり取りを見ていたLaoLuanが見るに見かねて期日を決めてくれたのかも知れない・・・
通常テレビドラマの仕事は最初から5話とか10話とかまでに音楽を貼り付けて、
「あとはそっちにお任せしますわ〜」
と言って仕事納めにしたり、
もしくはこちらは音楽を作るだけで貼り付ける専門の業者に発注したりすることもある。
(中国だけのシステム?日本ではどうなの?・・・)
今回は監督が非常に音楽好きで、2Mixと共に大体20トラック以内にまとめたマルチトラックを納めればいいことになっている。
自分でいろんなトラックをミュートしたり、
特定のトラックをミュートしたりいろいろするらしい・・・!(◎_◎;)
まあそんなこんなで今回は貼り付けの作業が要らないので楽は楽なのだが、
どこに貼り付ければいいのかわからない音楽を一生懸命作り続けるのも大変である。
25分ぐらいの宣伝用ダイジェストムービーが送られて来て、
「これに貼り付けてるような音楽作ってね〜」
と言われるのだが、
これなら別に中国語わからなくてもいいので仮谷くんとかへーすけさんとかにも作ってもらってたのだが、
ここに来て新しいニューフェイス(日本語変か?)が登場!!
園田芳雄くん・・・通称小雄(XiaoXiong)
なんと日本人なのにこちらで映画音楽やって食っているというツワモノである!!
しかも中国人と結婚してもう10年日本人と会ったことがないというので日本語がちょっと変(笑)
彼はオーケストラのアレンジや譜面も書けるというので、
今までワシがひとりでやってた仕事を完璧に分担することが出来る!!
とりあえずはワシがアレンジした弦のパートを全部MIDIとWAVで出力して彼に渡す。
小作品はもうこのWAVでよければ生は入れないし、
生っぽくなければ彼にMIDIから別のWAV作ってもらって、
生でレコーディングする曲は彼に譜面を出力してもらえればよい!!
とりあえずリズム録りに専念して昨日やっと全曲録り終えた!!
ベースはうちに居候している渋谷有希子、
ギターは北京で生まれ育った居酒屋兆治の田端さんの息子田端翔くんを稼働!!
抗日映画なのに日本人ばっかやな(笑)
どうやら今回のようなテレビドラマの音楽は、
曲の長さが全部合わせて50分ぐらいならもう仕事納めらしいが、
最初のうちは長さをカウントしてたがもう完全に50分は超した時点でカウントをやめた(>_<)
宣伝用のサンプル映像は短い時間でいろんな場面を見せて見る人を惹きつけておかねばならないことから、当然ながらドンパチ系のアップテンポの音楽が多様されるが、
大元の映像を見てみると決してこんなにテンポ感は速くない。
むしろゆっくりとした場面が多いのでワシは頼まれもせずに大元の映像に合わせていろんな音楽作っていってたから必然的に長い曲が多くなってしまうのだ・・・。
分数だけで仕事をしたらとっくの昔に終わっているのぢゃが、
やはりどうせやるならちゃんとレベルの高い仕事をしたい。
この仕事は元々はLuanShuが受けたもので、
何やら忙しさと高レベルの作品へのプレッシャーで潰れてしまって出来なくなったらしい。
それでワシのところにお鉢が回って来たわけだが、
まあこのレベルの作品を第一線で作り続けてたら潰れるわのう・・・
ワシなんかもう次の仕事来たらこのレベルの作品はもう生み出せんし(笑)
LuanShuは元々張張に仕事を発注しており、
映像を見ないうちから張張は頼まれて既に幾つかの楽曲を作っていた。
ワシが仕事を引き継いだということはこの張張の仕事も使ってやらねばならん。
まあお互いいろんな仕事を持ちつ持たれるでやってるのだからこれも「助け合い」である。
ところがそれを制作側とか監督とかに提出するのに色々とテクニックが必要である。
全画面を見てその適当な場所、
「何分何秒のところにぴったりの音楽を作りましたんで聞いてみて下さい」
と言って提出する。
もう何が何やらわからんので表に書いて整理!!
それぞれ作った人は責任持って自分の作ったマルチトラックをエンジニアの方言(FangYan)に送ってね〜
その時にファイル名を必ずこれと同じにしてね〜
仮タイトルでファイル送られてももうどれがどれだかわからんからね〜
21日に大きなライブがあるので、
(まあライブはワシにとっては「お休み」みたいなもんぢゃが)
方言よ〜生オーケストラが入らない曲はもう先にミックスするのぢゃ!!
22日には生オーケストラ録って、あとは歌入れして終わり!!
・・・って歌誰が歌うの?!(◎_◎;)
歌う人決まらんかったらキーが決まらんから弦のアレンジ出来んのよ〜
(まあリズムも基本的にはそうなのぢゃが中国は「キー変わるかもわからんからその時はもう一度弾き直ししてね」で発注出来る)
主役の女優さんが歌うの?
ワシ知らんからね!!歌のディレクションはせんよ!!(怖)
作詞は売れっ子の「L」という作詞家に発注したらしい。
いろんな賞の授賞式などにドラマーとして呼ばれた時には必ず何かの曲で受賞している一流作詞家である。
「あいつに頼んだらむっちゃ高いんちゃうの?」
LaoLuanにこっそり耳打ちする。
「そうなんだよ・・・」
とLaoLuanがしかめっ面で首を縦に振る。
こちらは「印税」という概念がないので曲や詞は基本的には「買取り」。
「ヤツって今いくらでやってんの?」
恐る恐る買取額をリサーチしてみる。
「まあうちの仕事だったら安くしてくれてこれぐらいかな・・・」
LaoLuanはしぶしぶと指を二本立てた。
「2万元?!!(◎_◎;)」
ワシが一番売れっ子の頃、国内最高額として設定したギャラが1万元、
もう10年経ってるとは言え、2万元っつうたら今日本円で40万円ですよ??!!
安くしてこれぐらいなんだから他では4万元取ってたりするだろう・・・
1曲詞ぃ書いて80万円!!(◎_◎;)
いやぁ・・・日本の買取料金ってまだ7万円?・・・
もう既にゼロがひとつ違う世界やな・・・(恐)
「いや、高くてもな、彼ぐらいのレベルの作詞家に発注するところに意味があるんだよ」
まあ映画音楽の主題歌とかもよくやってる人なので、
物語の世界観をうまく詞ぃに入れ込んでくれたりのスキルが高いから助かるは助かる。
エンディングテーマのデモを聞かせたって
「詞がないからわかんない」
と突っ返すのが今回の制作側である。
(まあどこでもクライアントというのはそんなもん)
詞が御門違いだったら「曲が悪い」と言いかねないのでこれは非常に助かるは助かる・・・
「まあね、高いのは高いけど、詞にはL、曲はFunkyさんっつう大御所の名前を並べることこそが何よりの説得力なんだよね・・・」
おいおい・・・ワシ・・・大御所?!(◎_◎;)
だったら同じギャラくれ〜いや半分でええからくれ〜!!!(号泣)
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2015年10月 4日
フェスティバルのハシゴ〜重慶大足のB級グルメ
10月1日は中国の国慶節で、
ここから中国は黄金周(ゴールデンウィーク)という大型連休に入る。
当然ながら全国でロックフェスティバル等の音楽イベントがとても多い・・・
ワシが一番多くこれらイベントに出演してた頃はイベントばかり多くて出演バンドはどのイベントも同じだった(笑)
まあ今ではバンドも比べ物にならないほど多くなって来たのでそれなりに調和を保ってやっているようだが、
まあこんなものは順列組み合わせでしかないのだからぶつかる時は当然ぶつかる。
もともと決まっていた10月2日の「The Push 推乐队」の重慶でのイベント出演、
その前日の10月1日に元同じ院子に住んでいた李夏(Li Xia)の上海でのイベントが飛び込んで来た。
何でもドラマーが他のフェスティバルに出演のためドラムを叩いてくれというのだから、
まあミュージシャンはミュージシャンで相変わらずいろんなところ行ったり来たりしてるのね・・・という感じである。
李夏(Li Xia)とはこのイベントでも一緒に演奏してたので曲はお手の物なのだが、
あいにく体調が絶不調に悪い・・・
風邪を押して映画音楽(テレビドラマなのだがワシは敢えてこう言う)を作り続けているので完全にこじらせてしまっているのだ・・・
飛ぶやら飛ばないやらわからない飛行機にイベントの運命を委ねるのは誰でもイヤなもんだから、主催者は当然ながら全ての出演者を前乗りさせようとするが、
ワシは前日が北京でライブだったので仕方ない。
4時半に起きて朝一番に上海へ飛ぶ・・・(涙)
もうねぇ、風邪は寝てないと絶対に治らないの!!
なのにライブから帰って4時半までほとんど寝れなかったの!!(号泣)
「末吉がパンツを替えずに飛行機に乗ると必ず時間通りに飛ばない」
とまことしやかに都市伝説で言われている中、
ライブ後に風呂にも入らず着替えもせずにそのまま飛行機は時間通り飛んだ!!(驚)
いや、乗ったワシの方が驚いたんだから本当にびっくりである。
想像だにしなかったが時間通りに上海空港に着いて、
迎えに来た初対面の男の車に乗せられて指定されたホテルに向かう。
部屋はベースの亀仙と同じ部屋だというので行ってみたら・・・
呼び鈴を鳴らせど出んし、電話にも出ん(>_<)
掃除のおばちゃんに無理言ってやっと開けてもろたら・・・
あのねぇ・・・せっかく早く着いてちょっとでも休めると思ったら、
君って何もないのに昨日から入って酒飲んで酔いつぶれてるわけね・・・(>_<)
というわけで1時間も休めないうちに会場入り!!
この日は実は中国好声音のイベントで、
李夏(LiXia)はここに出演して有名になったのでこうして呼ばれたわけね・・・
・・・というわけでとっととドラム叩いて空港へ向かう・・・
しかし空港に着いた頃、もう風邪が悪化してしんどい・・・(>_<)
この日は重慶に移動さえすればいいのでいつもなら酒でも飲むところが、
しんどくて酒も飲む機にならなかったので軽く飯食ってフルーツジュース・・・
風邪薬も飲んだけどもうふらふらでやっと搭乗しました・・・
でもこの日ってもう既に3000kmぐらい移動してるのね・・・
重慶に着いたらまた迎えに来ている知らない人の車に乗せられて、
なんと会場は空港から120kmのところだというところで1時間以上車に揺られ、
これでホテル着いてゆっくり眠れると思ったら真夜中のリハだそうで・・・
結局終わったのは朝の4時半・・・
もう寒いし寝てないしで風邪は最悪・・・
そのまま本番までホテルで寝るだけ寝たおしました・・・
重慶のロックフェスティバルは前日は黒豹、
この日の推乐队の次は唐朝と馴染みの顔も多かったが、
もう体力がないのでイベント見る気にもならず早々に会場から立ち去りました。
それでもドラム叩いたので「メシ食いに行こう」という誘いに乗って街へ繰り出す。
でもまあこれが結構な田舎町で繁華街というものにはまるで無縁!!(笑)
やっと探し当てた屋台街でみんなが食べていたこの鍋!!重慶から来た運転手も見たことないと言う・・・
聞けば地元にしかない「鉄板焼」という食物らしい・・・
頼んでみると「焼き」というよりは盛り盛りに食用油を入れて煮立ったら既に辛く炒めた食材を放り込んで、ジュッという瞬間に白酒か何かをぶっかけて火を点ける!!!(◎_◎;)
「もうちょっと待て」と言われたがどうせ火が通っているのだからと味見!!メインは牛肉だがあまり辛くない!!イカの下足がなかなか美味・・・と思ったら時間が経つにつれて辛さが増して来る(>_<)そりゃそうだ、食材をラー油で煮詰めているのだ
続いて出て来たのが「霸王螺丝鸡」
まあ覇王の「ネジ鶏」・・・
「ネジ鶏」って何?・・・というのは食ってみればわかる!!
鶏のクズ肉、つまりネジのように小さい鶏肉をこの唐辛子で炒めるのだから味が染みて辛くないわけがない!!
癒しが必要ぢゃ〜
ふとよく食べている麻辣烫でうずらの卵が癒しになってたので追加食材としてオーダーしたが「うずらはないけど鶏の卵だったらあるよ」とのこと。
癒しを求めて頼んでみると生卵をそのまま放り込んだ!!(◎_◎;)
ラー油で生卵を煮ることなど今までの人生では一度もなかったのだが、白身がスパイスにまみれて膨らむのを辛さで飛んだ頭でぼーっと見ていた。
卵は半熟が美味いと思っているのだが中国は卵を生で食べる習慣がないのでじっくり煮る・・・つまり辛さも ・・・
風邪を引いててずるずるいってたのだが脳内麻薬で飛んでいるのでビール3本と唯一の癒しで白飯2杯行きました!!
風邪もこれでぶっ飛んだ!!・・・ことを願う