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2013年4月25日

初めての中国語曲

上海で中国語を勉強している日本人歌手宮脇詩音ちゃん、
今回は初の中国語曲を歌うということで着いてすぐにその曲をレコーディングしてみる。

ディレクションはBeiBei、エンジニアは方言
おいおい、二人とも何か普段と熱の入り方が違うぞ・・・(笑)

まあ90年生まれの美女で歌も美味いとなったらほっとくわけがない。
特に方言は美女のためなら水深15cmの湖に飛び込む男なのである!!
(いかん・・・思い出しただけでまた笑いが・・・)

ワシは通訳とちょっとした発音のアドバイス
(・・・と言うのも、ネイティブの中国人は「Xuだよ、どうして発音出来ないの?」としか言えないが、学習したことがある日本人だけが、「ウの口でシーって発音してみぃ」というアドバイスが出来るから・・・)
をした後にこてんと寝てしまったが、
この二人が盛り上がって夜中まで詩音を放さない。

BeiBeiは「今日は用事があるから帰る」と言いながらずーっと居座るし、
方言に至ってはBeiBeiが帰っても最近凝っている「お茶」を勧めて夜中の3時まで話し込んでいたらしい(呆)

まあその話を翌日聞いた時に、
また方言のアホさ加減に大笑いすると共に、
たかだか数ヶ月の中国語学習で片言でもネイティブの中国人と何時間もコミュニケーション出来る彼女に感心した。

これならちゃんと中国語のMCも出来るのではないか・・・

ワシはひとつだけ大事なアドバイスをした。
「中国語は速く喋った方が通じる」

これは経験則なのだが、
日本人はとかく発音を丁寧にしようと思ってゆっくり喋ろうとするが、
そうすると逆に発音のアラが出て通じなくなる。

どうせ外国人はそれぞれの発音のエレメントは正しくないのだ。
むしろ大事なのは「四声」と言われるイントネーション。

これもネイティブが速く喋ると既に崩れてしまっている。

どうせ日本人より発音の下手な田舎の中国人がたくさんいる国なのだ。
ネイティブのように速く喋った方が中国人には聞き取り易いのである。

かくしてライブ本番、
張張(ZhangZhang)とのJazzセッションに続いて、
中国人歌手の揚青(YangQing)が3曲歌い終わったら彼女を紹介する。

舞台に上がってとりあえずは喋らずにそのまま歌い、
1曲終わってのMCはなかなかのものだった。

もう1曲日本語の歌った後に問題の中国語曲。

「初めて中国語の歌を歌います」
と言っておけば掴みは問題ない。

問題はちゃんと歌えるかどうかである。

かくして・・・

ちゃんと歌えた!!!

いや〜彼女この1曲でこの日のライブ全部持って行ったなぁ(驚)
来月は5月21日にやるからまたおいで〜


ps.ところでこの映像で仲間内が一番笑ったのがBeiBeiである。

美女に気に入られるべく一生懸命ギターを弾くのだが、
頑張れば頑張るほど萎縮して顔がゲゲゲの鬼太郎化してくる。

そして人生何をやっも運の悪い彼は何度も譜面を落とす(笑)。

やっと廻って来たギターソロでここぞとばかり頑張って弾くのだが客は誰もBeiBeiなど見ていない(爆)

一番前で撮影しているおそらくは揚青(YangQing)だろうが、
ギターソロだろうがボーカルしか写してないのだ(涙)

いや~笑った笑った・・・

BeiBei~お前の恋はまだまだ遠い!!
まずはギターを精進するのぢゃ!!

Posted by ファンキー末吉 at:10:39 | 固定リンク

2013年4月24日

90后(JiuLingHou)の女性歌手達

中国で、理解不能な新人類、現代っ子のことを総称して「80后(BaLingHou)」と呼ばれ出してからもう久しい。

「80年代生まれ」という意味なのだが、
この言い方で言うと59年生まれの私は「50后(WuLingHou)」、
聞いただけでもの凄いインパクトである(笑)

中国は78年に経済開放したと言うから、
「80后(BaLingHou)」の子供達は共産主義のイデオロギーの時代を知らず、
89年に起こった天安門事件も知らず、
一人っ子政策もあり、親戚一同から一人が愛され、
豊かさを享受しながら育った新世代である。

インターネットにより世界中の情報も自由に手に入る時代に育った彼らは、
それこそ文化大革命の荒波を乗り切った世代からは理解不能な人類・・・

そんな彼らももう今や30代となり、
この新しい中国でバリバリに仕事をしている。

うちの若い衆だとキーボードの張張(ZhangZhang)
ベーシストの韓陽(HanYang)、ギタリスト(と言うより作曲家プロデューサー?)の貝貝(BeiBei)などがそれである。

10年前に出会った頃にはペーペーの20代だったのが、
今や若手として音楽界でバリバリに仕事をしている。

中国の音楽界ももうすぐ彼らの時代となるだろう・・・

そんな彼らを脅かしているのが「90后(JiuLingHou)」と呼ばれる更に新世代。
中国も確実に変わっていってると実感せざるを得ない・・・


実は今日は「Funky末吉とそのお友達ライブ」。

前回のライブの大好評を受けて、
ワシはこんなライブを毎月中国で行おうと画策している。

もともとは隣人である布衣(BuYi)のドラマーとしてドラムを叩いたり、
バンドではないのでなかなかライブが出来ないBeiBeiのユニット「Pair」にライブをやらせてやろうというところから始まったのだが、
やればBeyondのWingだの有名人が遊びに来て飛び入りしたり、
眼鏡蛇(COBRA)」が肩ならしに出演したりと、
なかなか「凄いこと」が起こるライブになって来た。

毎月続けてたらそのうちにもっと凄いことになるぞ(笑)・・・
ということで現在そのように考えている。


実は今回のライブには上海で知り合った90后(JiuLingHou)の日本人歌手を呼んである。

宮脇詩音というAvex所属の歌手なのだが、
Live Bar X.Y.Z.→AのオーナーであるKさんの友人の娘で、
今は上海でKさんのところに住み込みながら中国語を勉強している。

前回の上海でのライブに一緒に出演したのだが、
カラオケで日本語の自分の持ち歌を歌う彼女にちょっとしたアドバイスをした。

「中国なんだから中国語の曲歌ったら〜」

まあ言うのは勝手だが言われた方は大変である。
何をどうしていいやらわからない(笑)

幸い20年以上中国で仕事をしているワシには、
中国語のオリジナル曲など山ほどあるのだ。

既に未発表曲をいくつかメールで送って選んでもらっている。

今日のライブが決まった時、老呉(LaoWu)からメールで、
「出演者は全部で誰と誰?告知始めるから教えて〜」
と言われたので、
「あんたも出る?」
と軽く詩音ちゃんにメールしたら、
「え?中国語曲まだ1曲しか歌えないのにライブなんて無理〜(>_<)」
とばかり丁重にお断りされた(笑)

まあいい、人の世話など無理強いしてやるもんではない。
気がむいたらやればいいよ〜
ぐらいで結局毎度のごとく布衣(BuYi)とPairだけでライブを組んだ。

どうせ張張(ZhangZhang)も仕事が終わったら駆けつけて来るだろうし、
蓋を開けてみればどうせ毎回出演者は結局増えているのだ。

ところがそれから一生懸命考えて、
清水の舞台から飛び降りるようなつもりでメールしたのだろう
「やっぱりやります!!」
と返事が来た。

よっしゃ〜!!ゲストその1決定!!!

BeiBeiに連絡取って、「今回のバンドメンバー誰?」と聞いてみる。
そのメンバーにそのまま詩音のバックをやらせればそれでいい。

ところがBeiBeiから思いがけない返事が帰って来た。
「ボーカリストの安敏捷(AnMinJie)がテレビの仕事で来れなくなったんです(泣)」

「ほな誰か歌手呼べば〜」
軽く答えるワシ・・・

「ほな誰か探します〜」
と答えるBeiBei、知り合いの歌手に声をかけた。

「オリジナルを歌ってる歌手なんですけど・・・」
と彼女のオリジナル曲をメールで送って来た。

ギターとボーカルだけで歌っているDEMOなのだが、
これがなかなかいい感じの曲で、
「やっぱ90后(JiuLingHou)は違うなぁ・・・」
と舌を巻く。

彼女と詩音ちゃんでBeiBeiと演奏して、
その後に駆けつけて来た張張(ZhangZhang)とワシの曲などセッションして、
最後に布衣(BuYi)でシメればいい感じのライブになるではないか・・・

・・・と思ってたら直前にBeiBeiが慌てて電話をかけて来た。
「あの女性歌手ダメになりました(困)」

事情を聞くとこういうことらしい。

「そいでそのライブって誰が出るの?」
「そもそもFunkyのライブで、あと布衣(BuYi)とかJazzの人とか・・・」
「FunkyってあのFunky?」
「そうだよ」
「私出ない!!!」
「え?」
「あのFunkyさんでしょ?私なんかが恐れ多くて歌えるわけないじゃん!!」
「え?そんなことないよ」
「何言ってんの!!私の曲なんか聞かせたらまだまだだなとか言われるに決まってるじゃん!!私出ない!!」

いや・・・顔はともかくとしてそんなに怖い人ではないと思うんだけど・・・(泣)

日本人の皆様には別に違和感はないかも知れないが、
ワシは中国人がこのような行動を取るというのが信じられない。

通常中国人だったら「恐れ多い」とは考えない。
中国でワシがスタジオミュージシャンとしてやっていけるのはひとえに、
「え?このドラムがこの値段で?」
という中国人の即物的なモノの考えによるものである。

若い歌手からしたらワシと知り合うことによっていろんな「チャンス」が生まれるだろうと考える人も多い。

実際そのまま「うちでレコーディングすれば〜」でレコードを出してスターになった女性歌手もいる。

チャンスなど飛び込んで初めて手に入るもので、
それをこうもいとも簡単に放棄するのがさすが90后(JiuLingHou)!!

中国も豊かな新時代に突入したんだなとしみじみとそう思った。

結局BeiBeiは彼女をあきらめて別の歌手を連れて来た。
それがまた英語、日本語、朝鮮語を操る才女で、
オリジナル曲も英語で歌詞を書いて来ている(驚)

その女性歌手に彼女の話をしたら、
「へ〜・・・私なんかふたつ返事よ〜
Funkyさん?凄いじゃん、やった〜って感じ〜」

これもある意味90后(JiuLingHou)(笑)

今日のライブはそんな日中の90后(JiuLingHou)と、
BeiBeiや張張(ZhangZhang)達80后(BaLingHou)、
そして老呉(LaoWu)達70后(QiLingHou)、
だいぶ離れてワシ50后(WuLingHou)が入り乱れてのライブとなる。

楽しそうやなぁ〜今月から毎月こんなライブやるど〜!!!

20130424Live.jpg

場所:蓝溪酒吧

Posted by ファンキー末吉 at:09:36 | 固定リンク

2013年4月23日

中国人の「仕事」ときたら全く・・・

小畑秀光が金もないのにグッズを作りたいと言うので、
人民元だったらあるから中国で作るならいいよということで作ってやった。

上海に日本人がやっている会社もあるそうで紹介されたのだが、
やはり日本人の「仕事」はいい仕事をするだけあって単価も高い。

いろいろ調べてみたら北京のアンダーグラウンドバンドは鄭州の会社を使っているらしい・・・

まあバンド連中がいつも使っている会社なら大丈夫だろうということで発注した。
サンプルを作らせてみたらモノはなかなかいいようだ。

まずはハチマキ!!

ObataGoodsHachimaki.JPG

まあこんなもんは悪く作ろうにも作りようがないのでまあ完璧と言ってよかろう!!(喜)

次は旗!!

これはさすがにどんなもんが出来て来るやらわからんかったので、
サンプルを作らせてチェックして問題なさそうなので発注した。

「大きいのはこのサイズで、小さいのはハチマキの絵柄のサイズね!!」
と言ってたにも関わらず出来て来たのがこれ!!

ObataGoodsHata.JPG

小さいのが大きいのとほとんど変わらんやん!!!

これはワシ自身が受け取ったので文句を言ってやった。

「小さいのはハチマキの絵柄と同じサイズって言ったよね!!」
その時の答えがまことに中国人らしい。

「だってそんなに小さかったらかっこ悪いじゃん!!」

かっこ悪いかどうかはワシが決める!!
お前が決めるな〜!!!!!!!(怒)

そう言えば昔Wingの北京での大きなコンサートの時に、
香港人の舞台監督が泣いていた。

「この人達、舞台監督の言うことなんて何も聞かないんですよ。
バトンを上げる人は指定したタイミングでなんか上げやしない。
このタイミングが一番だろ!!
とばかり自信持って自分のタイミングで上げて威張ってんですから(泣)」

大小2種類の旗を作るつもりが大中小になってしまったが、
まあ中の使い道は考えるとしてまた新たに小を発注する(涙)

そんなこんなしてたらTシャツが届いた。

ObataGoodsTshirts.JPG

ちゃんとサンプルも作ってもらってチェックしているのでモノは心配ない。

こんなにいっぺんに持って帰れないので
半分ぐらい持って帰ろうとばかりトランクに詰め込む。

大きさはS,M,L,XLといろいろあるので、
それぞれ半分ずつもって帰ろうと思うのだが、
どれがSでどれがMやらわからない。

首元のタグに書かれているのだが、
襟が小さいTシャツなので首元に埋もれていて、
いちいちビニールを開けてみないと確認出来ないのだ。

どうしてちゃんと分類して箱に入れて来ん!!!!(怒)

ちなみに段ボールを見ると、
ひとつの箱にはL40,S40と書きなぐっている。
もうひとつの箱にはMとだけ書かれている。

じゃあMの箱にはMだけが入っているのだろうとそれを取り出してトランクに詰める。

問題はもうひとつの箱である。
そこにLとSが40ずつと、残りXLが入っているのじゃな!!
とばかりビニールを開けて自分で分類する(涙)

これはSだなとわかったらSと、
LだなとわかったらビニールにLとマジックで書いておく。

どうしてその作業を業者がやっとかん!!!(怒)

そして分類していくうちに不思議なことが起こって来る。
なんとこの箱の中にもMが混じっているのだ・・・

悪い予感がしてトランクにしまったTシャツを開けてみる。
そしてさすがのワシもそこで叫び声を上げた。

SやらLやらも入っとるやないのーーーー!!!!!!(怒)(怒)(怒)

結局業者は2つの箱にでたらめにいろんな大きさのを放り込んでいるのだ(涙)
そして何の意味もないS40,L40という数字を段ボールに書きなぐっているのだ(号泣)

仕方がないので全部開けて自分でマジックで書き込む羽目となる・・・

発注してくれた老呉(LaoWu)にはこの話はしていない。
どうせ、
「モノはよかったんだろ、だったらいいじゃない」
と言われるのがオチである。

「分類までちゃんとしろ」などと言ったら、
「日本人って全くどうでもいいところに細かいよな」と言われるのがオチである。

どうでもよくないっ!!!!!!(怒)(怒)(怒)

まあこの業者に発注している全てのアンダーグラウンドはこんなことでクレーム言ったことはないんじゃろうからワシが何も言えることではない。

安かったしモノはいいからまあよしとするか・・・(泣)

Posted by ファンキー末吉 at:12:10 | 固定リンク

2013年4月22日

寧夏省銀川の不思議なライブハウス

バブル真っ只中の中国では、
とんでもない田舎町にお金持ちがいたりして、
それが世代的に若い頃にロックの洗礼を受けてたりして、
そんなこんなでアンダーグラウンドのロックバンド達はいろいろ恩恵を受けたりしている。

布衣(BuYi)で一度呼ばれた貴州省貴陽のバーもそうだった。
普段は歌謡ショーとかやってるバーで儲けて、
夏の気候が良い時期になると毎週週末に北京からロックバンドを呼ぶ。

もちろん旅費やホテル代にギャラまで出したら赤字である。
でも彼は儲けたお金の中から毎年必ずそれをやっている。

自分はロックに育ててもらったんだ、
だからロックに恩返しをするんだ・・・とばかり・・・

公安とイタチごっこしながら営業しているライブハウスもあったり、
日本資本で営業しているライブハウスもあったり、
でもこの銀川のライブハウスは一番不思議なライブハウスである。

YinChuanLiveHouse.JPG

何が不思議かと言って客層が不思議なのである。

初めてこのライブハウスで演奏したのは1年前、
Bs.納浩一、Org.大高清美、Vo.三科かをりというメンバーでここにやって来た。

こんな凄い人達が中国に来るんだからライブをブッキングしてよ、
と老呉(LaoWu)に頼んだらこの店を紹介してくれたというわけだ。

客が入らなかった困るのでアンダーグラウンドではあるが地元のロックスターである老呉(LaoWu)もゲストでブッキングしてある。

これがまた満員なんだな・・・(笑)

まあ満員なのはいい、特筆すべきはその客層である。

中国では田舎に行くほど客が大騒ぎをするが、
この店の客はとにかく度を超えた「酔いどれ」。
普通の店の倍ぐらいの値段のこの店の酒を浴びるほど飲む。

まあ飲むのだから泥酔してステージに上がり込んで来て
マイクを持ってわけのわからないことを叫んだりする客もいたりするのはご愛嬌だが、
だいたいそんな酔いどれ客など演奏なんて聞いてないのが常である。

特にJazzだの小難しいことをやってると大体は聞かずに仲間内で大声で盛り上がったりするものなのだが、
全中国のライブハウスの中でこの店の客だけは違うのだ。

その時も大高清美さんの変拍子の難曲とか、納浩一さんの超絶なベースソロとか、
ちゃんと騒がずに聞いて惜しみない拍手を与えている。

同じメンバーで北京でやった時には、
客層は明らかに「聞く耳がある」ミュージシャン達が多かったのでそりゃ聞いていたが、
ここの客層は決してそんな感じではない。

死ぬ気で飲みに来ている田舎のおっちゃんおばちゃん青年たちが、
純粋にこの難しい音楽をちゃんと「楽しんで」聞いているである。

今回もドラムソロを叩いてそれを感じた。
拍手が来る場所や盛り上がる場所がツボを得てるし、
ここの客は本当にこの音楽を「理解」している。

「理解」と言ってもしちめんどくさいものはわからないだろうが、
少なくとも「いいものはいい」という「感覚」を持っているように感じる。

「何つう音楽か知らんがホンマに感動した。楽しませてくれてありがとう」
という種類のものである。

まあステージを降りたら酔いどれの写真や握手や一気飲みの洗礼を受けることになるのだが(苦笑)・・・

彼らは本気で「飲みに」来ている。
そして「音楽」が美味しく酒を飲むためにどれだけ貢献しているかを知っている。

「音楽」こそは「最高のツマミ」なのだ。

私が最初に北京に来た頃、もう20年以上前になるが、
その時にも感じたことである。

RockだJazzだジャンルは関係ない。
「好听(HaoTing)」もしくは「不好听(BuHaoTing)」、
つまり「よい」か「悪い」かだけである。
(「好听(HaoTing)」を正確に訳せる日本語がないので思いっきり意訳)

当時ワシは「売れる音楽」だけを強要される世界に住んでたので、
まだジャンルが確立してないこの中国に大きな魅力を感じた。

売れる「下らない音楽」なんかやらなくていい。
売れない「素晴らしい音楽」をやっていればいいのだ。

なにせ当時この国では「革命の歌」以外は「売れない音楽」だったのだから・・・

その証拠に「精神汚染音楽」として政府から忌み嫌われていた「ロック」という音楽が、
共産党が推奨する「革命の歌」よりも売れる時代が来たではないか。

・・・とか言いながら、
今ではもう北京をはじめあらゆる大都市では音楽は細かくジャンル別けされ、
「聞く耳がある」リスナー達が自分の好きなジャンルだけを「頭」と「耳」で聞く時代になって来ている。

誰もこの銀川のライブハウスの客のように「心から」音楽を楽しんではいない。

もっと田舎に行ったら逆にまだまだ「音楽を楽しむ」までいってないのかも知れないが、
中国で2番目に小さなこの省の省都である銀川の、
たまたまこの店に集まる酔いどれ達がちょうど「そんな時代」なのではないか・・・

ひょっとしたらこの街もまたいつか「発展」して北京や他の大都市のようになるのかも知れない。
そしたらもっと田舎にまたこんなバーが現れるのかな・・・

願わくばここだけは変わらずこの「不思議な空間」を維持し続けて欲しいと思う。


ps.この店のオーナーは10月にまた新しい店を出すと言う。

「ファンキー、その時はまた来てくれよ。また最高のドラムを叩いてくれ」
そう言ってワシの肩を叩く。

「北京から有名歌手を呼んでくれないか」
などと言うような人間ではない。

そしてまた自腹でミュージシャン達にとびきりの羊肉をご馳走してくれるのだ・・・

Posted by ファンキー末吉 at:12:02 | 固定リンク