
2012年8月27日
全中国ドラムクリニックツアー2012年 貴州省「興義」
尖閣諸島問題や、それを受けてのラウドネスのイベント参加中止などにより、
リアルタイムでUPしようと思ってた貴州省ツアーのUPが大きく遅れてしまった。
カレンダーによると興義のライブは19日であるから、
逆に言えばラウドネス演奏中止で日本じゅうが大騒ぎしているその1週間前に、
ひとりの日本人ドラマーが「日本人名義」のコンサートツアーをこれだけ廻っていたということである。
二井原は「あんさんはレアーな例と思われ(笑)」とメールに書いて来たが、
この大きな中国で何が「特殊」で何が「普通」なのかを一刀両断することは難しい。
20年前、ワシは
「中国には日本人より金持ちな人が1億以上いる」
と口を酸っぱくして言い続けてたが、
日本のマスコミは中国の貧しい部分しか報道しなかった。
逆に中国が世界第二の経済大国になってからはその豊かな部分しか報道しない。
中国にはまだまだ学校に行けない子供達や、
食うモノも食えない貧民が何億人もいてまっせ・・・
国土が巨大だというのもあるが、
中国という国は日本のように画一的な国ではない。
もっと言えば中国人は日本人のように画一的ではない。
反日感情を抱いてる人もいれば、親日家もいるだろう。
中国で暮らしている日本人にとっては、
ワシのように反日感情に会ったことがない人も多いだろうが、
二井原のように日本から鳴り物入りでやって来るとまた違ったりするのかも知れない。
それも含めてどちらが「特殊」でどちらが「普通」とは言えない。
そのどちらも含めて「中国」なのであるから・・・
本文に戻ろう。
しかし日中の音楽交流の歴史の中で、
ひとりの日本人がこれだけ多くの中国の土地を
「自分名義のコンサート」で廻った例はないであろう。
そういう意味では二井原の「あんさんはレアーでっせ」というのは正しい。
特にこの「興義」という街は一二を争う「田舎」である。
田舎ほど接待が激しいというのは本当である。
前回この街に来た時には「酒を飲む専門用員」まで用意してうちの相方を完膚無きまでに酔いつぶした。
今回も連中は手ぐすね引いてワシらを待ち構えていた。
こんな田舎の街にもワシを待ってくれてる朋友がいる。
これがワシにとって一番「幸せ」なことである。
普通の日本人は「朋友」のいない場所に「仕事」として行く。
ワシは必ず相方の「朋友」のいる場所に行く。
レアかも知れんな・・・(笑)
今回の貴州省ツアーはとにかく移動が大変だった。
貴陽から北に列車で4時間半移動して乗り打ち、
そこから同じだけかけて貴陽まで戻りつつ、
それを通過して東へ数時間移動して乗り打ち。
そこからまた数時間西へ移動して貴陽に戻り、
今度は西南に向けてこの倍の距離を移動する。
この地図の左下の枠外まで更に同じ距離移動するのである。
(も少し行くと雲南省)
さすがにこの日は飛行機で移動したがもうヘトヘトである。
しかし「飲み要員」は容赦しない。
メシのあとはみんなでカラオケを歌いに行く。
ホテルの門に
「世界的ドラマーFunky末吉がうちのホテルに泊まります」
というのと同じようにカラオケ屋にも同じ垂れ幕がある。
街を挙げての歓待なのね・・・(怖)
翌日は早く起きて街を散歩した。
数年前の素朴な街並みとは違って、
高層ビルが立ち並び、街が大きく発展している。
ワシ個人としては昔の田舎町の方が好きだったのだが、
ここに住んでる人はいちがいにそうは言えないのだろう。
ちょっと複雑な心境である。
会場に着いてドラムをセッティング。
今回もタム二つを左側に置いたセッティングだが、
フロアタムがふたつあるのでより多様なフレーズが叩ける。
しかしワシ、身体が硬いので二つ目のタムまでなかなか身体が回らんのよね・・・
(借金で首は回らんが・・・)
本番が始まる。
司会者が客を煽る!!
「さあみんな立ち上がるのよ!!」
余計なお世話である!!(笑)
後ろの観客も全員立ち上がって前方に押し寄せる。
前回もそうだったが、
こんな変拍子だらけの曲で首振ろうったって「無理」なのである。
急遽曲を変更!!
X.Y.Z.→Aの「Spreading of fire」
これなら首振れるじゃろ!!
一週間後のラウドネスでは歌うことが出来なかったが、
二井原の歌声はちゃんとこの貴州省の田舎町には響いておる!!
中国の、特に田舎町に行くほどロックを愛する人民が多い。
特にこの街の人は本当にロックが好きである。
ここのパール倶楽部の先生は、ドラマーでもあり、ギタリストでもある。
(これが結構ギターも上手い)
娘はドラムを叩いていて、
親父自らギターで娘とセッションする。
しかもゴリゴリのメタルである(笑)
娘も自分のバンドを組んで中国ロックの創始者「崔健(Cui Jian)の歌を歌う。
お前、この頃まだ生まれてなかったじゃろ!!(笑)
こうやってロックは親から子供へ、
大人から次の世代へと語り継がれてゆくのじゃ!!
興義いいとこ!!またきっと来るぜよ!!
ファンキー末吉ひとりドラムツアーの軌跡(こちら)
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2012年8月26日
ラウドネス中国のイベントドタキャンについて
Yahooニュースにも載ってたなぁ・・・
ニューアルバムの宣伝にもなるし、
いち友人としては喜ばしい騒ぎだとは思っているのですが、
それにしても日本で流れる全てのニュースは、
そのソース元が二井原のブログでしかないのには呆れるな。
どの記事も「二井原実のブログによると」である。
これが「取材」と言えるのか?
日本で中国の記事が正しく報道されたことがないのは、
報道する側にジャーナリズムのかけらもないからである。
誰も主催者にコメントを取ったわけではない。
ラウドネスの事務所にコメントを取ったわけではないのだ。
人のブログを見てその裏も取らず、
それをそのまま転用して記事にし、
その記事をネットユーザーが貼付けて広める。
これでは正しい記事が伝えられるわけがない。
このイベントはMIDIフェスティバルという、
今中国では一番動員数が多いフェスティバルの一環である。
もともとはMIDI音楽学校という、
中国で初めてロックを教える学校の文化祭として始まった。
校長は張帆(Zhang Fan)という。
知り合った頃はただのひとりの「ロック好き」の青年であった。
90年代半ばにMIDIが設立した時に、
ワシも数回呼ばれて講師をしに行ったこともある。
地方のロック好き、まあ日本でもそうだが、
ドラ息子が学校も行かずにギター弾いてブラブラしてるならということで、
親はこの学校ならということで入学させる。
そんな連中が集まってバンドを組んだり、
中には有名なアンダーグランドバンドを結成する卒業生も出て来ることとなるが、
そんな卒業生や、在校生のバンドで始めた文化祭。
それがだんだん規模が大きくなってフェスティバルとなった。
ちなみに出演者にひとりも有名人はいない。
全部が全部アンダーグランドバンドである。
それがこのイベントの凄いところである。
出演者のネームバリューで客を呼ぶのではなく、
「MIDI」であるというところでのべ10万人集めるようになったのである。
当然ながら昔はフリーコンサートであった。
張帆(Zhang Fan)も学校の宣伝になればぐらいに思っていたのだろう。
ところが規模が大きくなるに従って、
少ないながら入場料を取るようになった。
そうすると今までノーギャラで出てたバンド達も
「儲かってんだったらギャラをよこせ」
ということになる。
ちなみにワシが二井原や田川くんなんかと出演した時はノーギャラであったが、
その後からギャラが出るようになったと言う。
そして今では結構な額のチケット代を取って、
そしてラウドネスにギャラを払って出てもらうという現状に至るわけである。
さて日中関係の話に触れてゆくとするが、
このイベント、実は曰く付きで、
2003年にブラフマンというバンドがこのイベントに出た時、
観客から生卵を投げつけられたという事件があった。
全国から不良が集まるイベントである。
こんなアホがいたとしても不思議ではない。
さて、尖閣諸島問題で騒がれている現在、
みんさんが張帆(Zhang Fan)だったらどう考えます?
ちなみに中国では出番が突然変わったり、
ドタキャンになったりは日常茶飯事であることを踏まえてである。
日本のように予定されていた公演が中止になっても騒いだりしない。
日常茶飯事なのである。
ワシも翌年の2008年の出演の時には、
いきなり出番が変わって、怒ってドタキャンしている。
ドタキャンにするのに何の抵抗もないお国柄の中で、
何万人もいる観客の中にまたアホがいて、
せっかく日本から呼んだラウドネスの方々に生卵など投げつける輩がいたとしたら・・・
そう考えるのが普通ではないだろうか。
政府筋の通達により中止と言うが、
実際政府がそんな通達をするのは「文化部」である。
文化部の役員がこんなド田舎のコンサートにまで視察しに来るだろうか?
この国は施設も何もかも全て「国のもの」である。
当然ながら張帆(Zhang Fan)も政府機関の人と一緒にこのイベントを作り上げる。
この国では政府機関と離れてあらゆるイベントを行うことは不可能なのである。
ちなみにワシにドラムクリニックツアー
(転じて今ではファンキー末吉全中国巡演コンサート)
にもその土地土地の「打楽器協会」という国家の機関が協賛についている。
今からライブだというのに必ず偉い人と食事をせねばならないのはこのせいである。
まあワシのコンサートで生卵を投げつけるアホはいない。
だから全ての人間がそれを中止させようとは思わない。
でも過去にこんなことがあったイベントで、
もし張帆(Zhang Fan)がラウドネスのことを大切に思っているなら、
「せっかく来て頂いたのだけれども」
ということになるのは当然ではないだろうか。
しかもドタキャンに何の抵抗もないお国柄・・・
「中国政府からの要請」というのは、
当然ながら「文化部」でなかく、
張帆(Zhang Fan)と一緒にイベントを作っている相手方である。
「張帆(Zhang Fan)さん、生卵ならまだしも、
うちの管轄で暴動なんか起こったら、
私のクビが飛びますんでひとつよろしくお願いしますよ」
などと話し合われたのはきっと事実だろう。
そういう点では二井原の
「中国政府の本音は
観客の暴動から反政府抗議運動に発展するのを回避する
・・・やろなきっと」
というのは当たらずとも遠からずであろう。
しかしマスコミがこれをそのまま引用するというのは
あまりに「職場放棄」というか「プロの仕事」というには遠すぎやしないか?
さて今度はその記事を読む日本人のみなさん、
日本では「中国国家が中止命令を出した」と思われてるかも知れないが、
この裏を知って、なおそのように考えることが出来ますか?
「公安が尾行している」と言うが、
それは二井原のブログに書いてあるだけのことで、
それも「メンバーがそう言ってた」というだけで、
それの裏は誰もとっていない。
張帆(Zhang Fan)が、余っているスタッフに、
「ラウドネスの方々にアホが危害を加えないように」
と申し付けてたのかも知れないし、
ひょっとしたら現地のファンが遠巻きにしてただけかも知れない。
ワシも含めて誰も取材をしてないんだから「真実」は誰にもわからない。
二井原は「外出禁止」とスタッフに言われたと言う。
「中国って日本人にはとても危ないところなんだな」
と思ってるとしたら、
その数日前に「日本人名義」のドラムコンサートを同じ土地でやっている日本人のことを思い出して欲しい。
「ラウドネスはホテルに軟禁されている」
というイメージを持つ人がいたら、
もう一度その事実関係を疑って欲しい。
スタッフは日本人である。
しかも元X.Y.Z.→Aのマネージャーであった堀内がついているのであろう。
彼の性格もわかるし、また中国経験も少ないスタッフがその責任において、
「何があるやらわからないから外には出ないで下さい」
と言うことは容易に想像出来る。
そこから「中国政府が軟禁」というイメージを膨らませるのはあまりにも読み手の「勝手」である。
この事件に関して、
ワシは単に張帆(Zhang Fan)がラウドネスに気を使っただけだと想像してるし、
あらゆる日本人は中国政府がラウドネス公演を中止にしたと想像している。
誰か金を賭けてもいいと言うなら中国の文化部に問い合わせますか?
きっと文化部の人は誰もこんな田舎のイベントで、
ラウドネス(すらも知らんじゃろ)に中止命令を出したなどという事実は知らんはずである。
マスコミさんよ、記事を載せる時にはちゃんと「取材」をしてから載せなはれ!!
何なら主催者の電話番号教えてあげるから・・・(笑)
日本のみなさんも裏を取ってない記事をあんまし鵜呑みにしなはんなや!!
PS.今しがた二井原からメールが来て、ライブ中止の件、詳しくは書けないけど、現状はワシの想像以上の模様だそうです。
ワシは20年反日感情に出会ったことがないから、ワシの想像は一番楽観的な方向性かも知れんな。
これも含めてみなさん、鵜呑みにはせんように。
ちなみにワシは今月31日に北京でライブです。
ワシの名義なので「日本人のコンサート」です。
それがどうなるのか楽しみです。
そこで現実を詳しくレポート出来ると思います。
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2012年8月23日
全中国ドラムクリニックツアー2012年 貴州省「凯里」
今日も「乗り打ち」である。
同じく4時間半の道のりで貴陽まで南下し、
そのまま東に数時間の道のりだというので5時起き!!
思えば「遵义」ではホテルと会場しか見ていない。
食事も3食ともホテルだったので本当にそれ以外見てないのだ。
駅に着いて屋台で朝飯を食う。
ワシが頼んだのはワンタン、
相方のShaは涼麺なのだが辛過ぎて断念!!
結局ワシはShaの分まで平らげた。
その後Shaは体調を壊し、寝込んでしまい、
ワシは最後までピンピンしている。
ワシの胃袋は中国人より強いのじゃ!!
列車は寝台車を取ってくれたので、
ゆっくり寝ながら昼過ぎには「凯里(KaiLi)」に着いた。
聞けば酸湯魚発祥の地であると言う。
すぐに昼飯に直行する。
さすがは本番、酸湯魚にもいろんなバリエーションがあるらしく、
今回は魚の代わりに牛肉を使う「酸湯牛肉(SuanTangNiuRou)」を頼んでくれた。
会場に行ってドラムを組む。
今回はバスドラからホルダーが生えてるタイプだったので試しに逆にしてみる。
日本でも小さなタムのドラムセットのライブハウスではこのようにセッティングして叩いたりする。
理由は正面にあまり小さなタムがあるとロックフレーズがキモチワルイからであるが、
まあいわゆる「三点セット」だと思って右の小さなタムは補助的に使う。
ところが一時的なセッションとかでは刺激的でいいのだが、
長年のツアーで叩き慣れたフレーズがあるので、
ついつい同じように叩こうとして手がもつれてしまった。
今後このツアーではこのセッティングはボツ!!(笑)
結局ここのパール倶楽部は今回が設立式だということで仕切りはバタバタだったが、
何とか無事にコンサートを終え、本場の酸湯魚(Suan Tang Yu)をご馳走になった。
この歌いながら酒を飲まされるの、前回の貴陽でもやったなぁ・・・
少数民族の文化、素晴らし!!!
ファンキー末吉ひとりドラムツアーの軌跡(こちら)
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全中国ドラムクリニックツアー2012年 貴州省「遵义」
朝の5時起きで列車で4時間半かけて「遵义(Zun Yi)」へ向かう。
だいたい昨日が貴陽で一日オフなんだったら、
移動日にして前乗りしてれば楽だったのに、
そうはいかないのが「中国」である(−_−;)
この辺りはまだ新幹線が通っておらず、
こんなローカル線に乗るのは実に十数年ぶりである。
ローカル列車には「硬座(Ying Zuo)」と「软座(Ruan Zuo)」があり、
まあいい方の「软座(Ruan Zuo)」を取ってくれてはいたものの、
久しぶりに乗ったらこの直角の椅子がどうも座り辛い。
よくこれで十数時間乗って青島とか行ってもんだと我ながら感心する。
見事なド山の中を走るので3Gもつながらず、やることもなく
もう腰がギブアップする頃やっと「遵义(Zun Yi)」に着いた。
さぞかし田舎だろうと思ってたらびっくりするほど大都会だった。
聞けば貴州省第二の都市らしい。
そしてここは革命の発祥地、
毛沢東率いる共産軍は、
ここから全中国に進軍して中華人民共和国を建国した。
進軍って・・・飛行機もない時代に、
列車でワシが腰を言わすぐらいの距離の貴陽のみならず、
2時間半かけて飛行機で飛んで来た北京のみならず、
ワシが廻ったあの北の方から南の方から、
全部徒歩で進軍したんか?!!!
毛沢東・・・凄いのう・・・
はてさて、今日は「乗り打ち」ということでさっそく会場にセッティングしに行く。
地元の図書館の横にある小ホール、キャパ300人といったところか。
これぐらいが「ひとりドラム」にはちょうどいい。
今日のドラムセットはバスドラにホルダーをつけるタイプではないのでこのようにセッティングした。
中国のドラムセットはタムが小さいのが多く、
通常セッティングだとつい正面にある10タムをメインに叩くことになる。
ヘタしたらスネアよりチューニングが高く、
「タットンタカトン」とか「ドバラドン」とかの常用フレーズがどうも気持ち悪く聞こえるからだ。
はてさて、ホテルに帰って休憩してから本番!!
会場はホテルのまん前なので楽である。
いつものように司会者が出て来ていろいろ説明するのだが、
他の地方では国営放送のアナウンサーのような人が出て来るのだが、
ここだけは何と若くて美人がやって来た!!
Twitterにこの写真をUPしたら、
「足が綺麗なのはわかるが顔がわからん」
とクレームが来たので、
舞台から降りて来た司会者を待ち受けて写真を撮ってもらう。
TwitterにUPしたら今度は
「ファンキーさんは要らんから彼女のだけ希望!!」
と言われ、
「すんません!!日本の微博(WeiBo)にUPしたら人気沸騰なんで」
と言って撮らせてもらった。
まるでストーカーである・・・(恥)
さて本番である。
客の熱気が凄まじい。
聞けばこの街で打楽器の本格的な演奏会が開かれるのは初めてらしい。
1曲目は今年のツアーから「Vision Rocks」で始まることにしている。
以前では一番最後に持って来てたのだが、
イントロが無駄に(笑)長いということから、
PAからちゃんと音が出てるかのチェックだとか、
音を流してからイヤホンをつけたり、何かと便利であるからである。
7拍子から始まり5拍子、Swing、サンバ、メタル、シャッフルと目まぐるしくリズムを換える8分を超える難解な曲ではあるが、
終わった途端に割れんばかりの拍手が来た。
マイクをもらって挨拶をし、決めゼリフ
「私は今年で53歳になります」
を言った途端にまたどよめきと拍手。
「これは掴んだな」
とばかり、
「それでは53歳の重金属ロックをお聞きください」
でX.Y.Z.→Aの「Spreading of fire」を演ったらもう大歓声!!
いつものようにハーハー息切れしながら
「全くロックは命がけです」
で大爆笑!!
続けての決めゼリフ、
「ここのPerl倶楽部には子供の生徒は多いがお年寄りはいないらしい。
健康のためにお年寄りもドラムを叩きましょう」
でも大きなウケを取り、
これまでにない大盛り上がりでコンサートは幕を閉じた。
心残りは「邪心」である。
ステージ袖で見ている司会のお姉ちゃんを意識して、
「ええかっこ見せたろう」と思うのか、
そう思った瞬間にミストーン連発!!
まあ聞いてる人は分からないように誤魔化すのだが、
自分としては非常に残念である。
「お姉ちゃんにええかっこ見せて何とかなるとでも思ってんのかい!!」
自分で自分を殴って戒める。
まったくもって何年ドラムを叩いててもまだまだじゃわい!!
ドラムを叩く練習よりも精神修養の方が大事じゃ!!
もっと精進せい!!!
ファンキー末吉ひとりドラムツアーの軌跡(こちら)
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2012年8月18日
尖閣諸島問題について
ワシはあんまり政治のことを発言するのはあまり好きではないが、
貴州省の山ん中をツアー中に尖閣諸島問題が勃発して、
ちょうど私の中国のTwitter「微博(WeiBo)」にアホな中国人から
「魚釣島は中国です」
とアホなメッセージが送られて来た。
まあいろんな人から
「中国でいる日本人は気を付けた方がいいですよ」
と言われるのだが、こんなアホはさすがに初めてである。
「自分の指導者も自分で選ぶことが出来ない、
その指導者が不満をそらす為に愛国心を煽って、
文化大革命の頃の紅衛兵と同じく、
お前もそれに踊らされてそんなことをするのか!!
お前は自分の国に問題がある時は命懸けで指導者と戦うこともせんじゃろ!!」
・・・などということは間違っても「微博(WeiBo)」に書き込んだりせず、
黙って「黒名単(ブラックリスト)」のボタンを押して
二度とワシに発言出来んようにした・・・(笑)
「日本人ドラマーの全中国ツアー」という触れ込みで、
これだけたくさんのこの人の同胞が来てくれて、
その汗臭い演奏にこれだけ感動してくれて、
そしてこれだけの人がサインを求めに来て、
「アリガト」と片言の日本語で言う人までいる・・・
20年この国でいろいろやって来て、
誰もそんなことをワシに対して口にしないのは、
みんなワシと「仲良くなりたい」からだ。
だから誰もワシにそんなこと言わないし、
ワシも誰にもそんなこと言わないし、
だから「微博(WeiBo)」にそのことを書き込んだりもしない。
これは「礼儀」である。
一緒に旅している地元の友人が長い列車の旅で新聞を読んでいた。
一面記事は尖閣諸島問題についてであったので、
ワシはちょっとその記事を読ませてくれと言った。
友人は何も言わずそれを渡してくれて、
その話題には何も触れなかった。
ワシも記事を読み終わって新聞を返す時に何も言わなかった。
この人だって魚釣島は中国の領土だと思ってるし、
ワシを含め、全ての日本人は日本の領土だと思っている。
政治家でもないワシらがこんなことで列車の中で喧嘩したって意味がないのだ。
ワシは「音楽をやりに」ここに来ているだけであって、
この人達はそれを一緒にやる「仲間」なのだ。
日本だって中国に対して悪い印象しか持ってないが、
日本で働く中華料理店の店員に
「尖閣諸島は日本の領土だよ、分かってる?」
とか言う日本人はきっといないだろう。
それは日本は「文明国」であるからである。
上海かどっかで
「犬と日本人は乗るべからず」
と書いたタクシーが走っていたと聞いた。
日本人が戦時中「犬と中国人は」などと書いていたので、
ここぞとばかり腹いせにそうしたのだろう。
しかしこのタクシーだって、
犬を連れた大金持ちの中国人が来て、
「ちょっと遠いけどチップはずむから乗せてよ」
と言うと乗せるのだ。
思うに今になって竹島だ、尖閣諸島だ、
そんな問題が突然噴出して来るのは、
ひとえに日本が「国力」をなくしているからだと思う。
領土問題の解決とは即ち「国力での解決」なのである。
国際司法がどうのこうの言ったって、
「尖閣諸島は日本の領土です」と結論を出されたとすると、
中国は絶対に「何をぬかす!!」とばかりそれを蹴るだろう。
過去に領土問題で勝った国は、
負けた国より「国力が上だった」というだけの話なのだ。
日本が高度成長期であったあの頃は、
隣国はどこも領土問題なんか持ち出す勇気はなかった。
アメリカでさえ「子飼」だと思ってた日本を恐れて、
「最近のアメリカ人は日本料理を食って、
日本の車に乗りながら日本のロックを聞いている!!」
とヒステリックに二井原達をバッシングしたではないか。
貿易摩擦でバッシングを受けてた時代・・・
エコノミックアニマルと悪口を言われてた時代・・・
今から思えば日本が一番「国力」があった時代ではなかったのか・・・
ワシは思う・・・
世界一勤勉なこの国民は、その能力を最大に発揮して働くのだ!!
音楽をやる人間は、
中国が、韓国が、羨んで買うような最高のレベルの音楽を作るのだ!!
決して自国の子供を騙してろくでもない音楽なんかを作ってはいけない!!
モノを作る人間は日本製品は世界で一番レベルが高いのだと誇りを持つのだ!!
手抜きをして水増しして儲けるなんて恥ずかしいマネをしてはいけない!!
「歯車」だと思ってやる気をなくしている人達がいたとしたら、
「世界最高の歯車だ」と胸を張ろう!!
日本製品が世界的に優秀なのは
中国などと違って「粗悪な部品」を使ってないからなのだと知ろう!!
仕事のない人は・・・
取りあえずバイトして金を稼いでそれをパーッと使って飲むのだ!!
楽しく生きるのだ!!
金を回すのだ!!
そして日本をもっと豊かな、「幸せな国」にするのだ。
そしたら尖閣諸島に自衛隊でも派遣して、
中国がそれに怒って経済制裁を加えて来たら、
ワシらは即座に「絶交」して、
こんな国を相手にせずに「世界一幸せな国」で幸せに暮らそう。
(しかしワシは相変わらず不法就労でこんなことをしてるだろうが)
だいたい中国なんかに媚を売って商売してるからつけこまれるのだ。
ワシは媚など売っとらんぞ!!(キッパリ)
胸を張って世界最高の技術を売っておる!!(大きく出たな)
技術の流出だと言うなら心配要らん。
どれだけ技術を真似たってこの人達にはワシの「音」は出せん!!(ほう・・・)
何故ならワシの音は「生き様」から出来ておる。
表面だけ真似したって出来んからどんどん教えてやればいいのだ!!(酔っとるな)
ワシの戯言は置いといて、
日本の技術が世界最高なのは世界中の誰もが知るところである。
中国が大きな市場だと言うなら、
別に頭を下げて買ってもらう必要はない。
頭を下げてでも買わせて下さいというようなものを作ればいいのだ。
どうせこの国の人は政府が「買うな」と言ったって欲しいものは密輸しても買うし(笑)
中国は世界の工場だと言うなら、
ミャンマーがあるぞ、他のアジア諸国に何ぼでももっといい工場はあるぞ。
なんてことを書いてたら、
今しがたワシの中国人のTwitter「微博(WeiBo)」にデモの写真と共にアホが書き込みをして来た。
「まず日本を殺そう!!そしてベトナムを取り返すのだ!!」
何でワシ宛に送っているのかようわからんが、
その@の中にワシは知り合いの若いドラマーを見つけたのでDMした。
「こいつは知り合いか?お前の友達か?」
彼は事情がわからないらしくこう返信して来た。
「ドラム好きで車の会社を立ち上げた人間ですが・・・
Funkyさん、どうしてそんなに怒ってるんですか?」
ワシは
「じゃあワシ宛の彼の発言を見てみぃ!!」
と送った。
しばらくして彼から返事が来た。
「あれは傻逼(腐れマンコ)です。
どのように処遇しますか?言って下さい」
久しぶりの彼とのやり取りだったので
ついでに彼は長々とワシにどんな恩を受けたかを書いている。
まあワシとしては久しぶりに彼とやり取り出来てそれでいいのだ。
「ワシはお前にそんな凄いことをした覚えはないぞ。
お前がそう言ってくれるだけでもう溜飲は下がったよ。
また今度飲もう」
で話は終わったのだが、
まあ意地が悪いワシは溜飲を下げるどころか、
これにRTしてこう書き込んだ。
「全ての中国ロックを愛する人間に問う!!
俺は20年ずーっと中国ロックのために尽くして来た。
それは一生やり続けることだと思っている。
どうして中国人になじられなくてはならないのか?」
知らんぞ〜ワシの「微博(WeiBo)」炎上するぞ〜
知ったこっちゃない。
ワシは相変わらずアホなことをつぶやくのだ。
そして仕事をするのだ!!
ワシは今からもっと中国のド田舎に行くのだ!!
上を目指すのだ!!
明日はもっといいドラムを叩くのだ!!
世界的に優秀な民族である日本人よ!!
仕事をするのだ!!
自分のやるべきことを命懸けでやるのだ!!
幸せはきっとその向こうにある!!!
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2012年8月15日
全中国ドラムクリニックツアー2012年 貴州省「貴陽」
前回来た時はちょうど2年前の今日だったと知らされた。
14日の朝いちで成田を出発して、
夕方に着いて、その場で次の日はドタキャンだと知らされ、
15日は料理と酒をしこたま頂いて、
16日に朝いちで上海に飛んで、
17日に朝いちに関空に飛び、
京都RAGのライブに飛び込んだという強行スケジュールである。
もちろん今回はドタキャンとは言わせない。
しかし着いてみたら明日の予定のライブは今日であった(驚)
垂れ幕には
「Jazzドラマー(中国ではドラムセットのことをJazzドラムと言うので)FUNKYの演奏会」
とある。
見えにくいが今回のまたどでかい垂れ幕には
「世界的なJazzドラマー大先生FUNKYの中国ツアー貴陽ステイション」
とある。
まあ「ドラムクリニック」として始まったこのツアーも、
今では「ひとりドラムの全中国コンサートツアー」になってしまったわけね。
しかし日本人で(いや、あらゆる外国人でも)、
全中国を数十カ所ツアーで廻れるっつうのもワシぐらいやろうなぁ。
黒豹(HeiBao)の連中も言うとった。
ワシらが行くとこ行くとこ
「ファンキーさんがこの前来ましたよ」
と言われるのはどういうことや!!
中国は広い。
あの黒豹(HeiBao)でさえ行ったことのない土地に、
このファンキー末吉というのは来ているのか・・・
とびっくりされるのも頷ける。
この前の時に竹筒酒を飲みながら担当のShaとこんなことを話した。
「そのうちよぼよぼになってな、
そしたら息子か娘に連れて来てもらってな、
お父さん、ドラムセットですよ、って座らせてな、
そしたら同じようにバーッと叩いてな、
また息子か娘に手ぇ引かれてステージ降りてな・・・」
Shaはドンとテーブルを叩いて言った。
「FUNKY、その夢は俺が叶えてやる!!
よぼよぼになってドラム叩けなくなるまでこの活動をやり続けよう!!」
竹筒酒で乾杯した。
はてさて・・・いくつになるまでこれをやり続けられるかのう・・・(笑)
さて、ところで実はこの1週間後にここでロックフェスティバルが開かれる。
ポスターにはちゃんと「LOUDNESS(日本)」と出ているではないか!!
残念ながらワシとは入れ違いになってしまうが、
二井原さんやラウドネスのメンバーのために、
ここの名物の「酸湯魚(Suan Tang Yu)」の食べ方を伝授しておこう。
まず魚はいろんなものを選べるが、ワシはナマズをお勧めしておこう。
生のまま放り込まれてこんな鍋が出て来る。
それに野菜や肉団子などトッピングを頼んで放り込むが、
ワシはとりあえずユバと豆腐をお勧めしておこう。
魚が煮えるまではそれを先に食べるというわけだ。
お椀に調味料らしきものが入っているが、
これに鍋のスープを入れて溶かしてタレにする。
当然辛いがこれが絶品!!
ビールはここでしか飲めない茅台(マオタイ)ビールをお勧めしよう。
茅台酒は全世界で有名だが、
中国人にもあまり知られてないその会社の作ったビールが、
全世界でここでだけ飲むことが出来る。
またこの辺は少数民族が多いので、
彼らのお酒「米酒(Mi Jiu)」もお勧めである。
度数も17度と少なく、甘いお酒で辛い食べ物によく合う。
そしてシメはご飯を頼んでこのスープをぶっかけて食う!!
トッピングには麺とかもあるが、
ワシはやはりこれが一番のお勧めである。
酸湯魚(Suan Tang Yu)の店は数あれど、
「省府路(Sheng Fu Lu)」というところが道の両端に酸湯魚(Suan Tang Yu)の店が建ち並び、
その全てがどれも抜群に美味しいのであるが、
一番ふもとの少数民族の衣装を着た店員が出迎えてくれるところが一番お薦めかな。
この辺・・・
いやー二井原が、タッカンが、マーくんが、アンパンが、
ここで舌鼓を打つ姿を想像してやまない。
中国でも辺鄙なところに位置するこんな街に、
皆さんが次に来ることはきっともうないだろう(笑)
是非是非堪能して帰って下さい!!
ファンキー末吉ひとりドラムツアーの軌跡(こちら)
Posted by ファンキー末吉 at:21:04 | 固定リンク
2012年8月 8日
全中国ドラムクリニックツアー2012年 河南省「重渡沟」
朝9時半に北京西駅で待ち合わせて洛陽に行く。
例によってそれだけが私に知らされている情報である。
前回は夜行列車で行って、
ドラム叩いて終わったらまた夜行列車に飛び乗って帰った。
滞在時間最短記録10時間!!
今回は前日入りで翌日戻りのたっぷりスケジュールである・・・
・・・と思ったら実は大変な過密スケジュールであったのだが・・・
洛陽への昼間移動は初めてなのであるが、
それが新幹線でも思いの外時間がかかった。
朝の10時に出発して夕方の5時着。
地図で見たらこんなに近いのに中国はやっぱ広いのう・・・
「明日は6時半出発ですから今日は早く寝て下さい」
その時になって初めて知らされる。
明日のコンサートは洛陽ではなく「重渡沟」というところなのだということを。
車にゆられること4時間、
「重渡溝自然景勝区」というぐらいだから山奥の大自然の中である。
観光地として開発されているその一角にステージがあった。
これが「避暑地」というのに暑い・・・
汗だくでセッティング・・・
そして垂れ幕が出て来て初めて知る、
これは洛陽と新郷合同の子供達の夏合宿であるのだ、と。
「国際」とついておるが、中国人でないのは実はワシだけである(笑)
まあいい、どこに行ってもやることはひとつ。
ドラムを叩くだけのことである。
ワシは前回の済南でプロトゥールスが燃えて、
今回はその修理が間に合わなかったということで、
iPadで伴奏を流そうということにしていた。
前回はサブミキサー含むPA機材が同行していたのでいいが、
今回からは「iRiffPort」を使って音を出すシステムを作り上げた。
これはもともとiPadにギターなどをつないで演奏するケーブルなのだが、
使いようによってはこれだけでライン出力とイヤホン出力と両方出せる。
ということはこれさえあればサブミキサーが要らないということである!!
iPadとこのケーブルとイヤホンだけを持って行けばそれで足りるとは旅が格段と楽になるというものではないか・・・
その代わり、システム上モノラル出力しか出せない。
橘高が命をかけてダビングして左右に振っているギターなどはステレオで出さないともったいないのであるが・・・
と思いつつ、ふと見ると担当者のShaがいそいそとセッティングを始める。
何か新しいシステムを持って来たようだ。
見れば8chのミキサー、
それをパソコンにつないで、
そのパソコンをiPadで遠隔操作出来るというもの・・・
ドラムの横にそれを置いて、
ドラムのマイクとオケの音をそこに入力して、
最終的にPA卓には2chにミックスした音を送るというもの・・・
おいおい、システム自体は素晴らしいんじゃが、
それを操作するのはお前か?・・・
もともと中国というのは「他の人を信じてはいけない」と私は思って仕事をしている。
モニターとかを一切信用しないから、
ワシはクリックもオケも全部自分だけで聞けるようにシステムを構築しているのだ。
数学的に考えてみよう。
PAエンジニアが成功する確率を2分の1だとしよう。
そこに2chのデータを送るshaが成功する確率を2分の1だとしよう。
そうすると全体的に成功する確率は
(2分の1)×(2分の1)=4分の1になってしまう。
これが10分の1だとして計算すると、
何とちゃんと音が出る確率は100回に1回なのよ〜!!!
まあいい、彼の現場である。彼に任せよう・・・
ドラマーというのはしょせん自分の音を客席で生で聞くことは一生出来ないのだ。
Shaが「いい音」だというのが「いい音」だということである。
外音はどうかわからんが、
プレイはワシなりにベストなドラムが叩けたと思う。
打ち上げ!!
この辺の名物は「竹」。
そりゃそうだ、一面が竹林なのである。
竹の子料理をつまみながら竹筒酒を飲む。
ふと考える。
来る時は一泊してドアtoドアで30時間ほどかかっている。
今から30時間後には北京空港から日本に帰らねばならんぞ・・・
帰れるのか?・・・
ま、いいか・・・
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