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2022年1月25日

日本の著作権に対する考え方はおかしい!!

ITが日本より進んでいることはもう既に周知であろう中国であるが、私にとっては音楽著作権に関しても日本より進んでいるとしか思えない・・・

先日の話

からついに今日、インドネシアの国民的ロックバンドのプロデューサーとして2曲お仕事をやらせて頂く契約書にサインをした。

これがまあ中国語なので大変!!(>_<)

布衣の弁護士に手伝ってもらって、まずこの2曲、X.Y.Z.→Aのニューアルバムのリーディングソング「Wonderful Life」

と、中国で私が映画音楽を担当させて頂いて、それがその年のタイタニックを抜く興行成績を更新したという映画の挿入歌!!

この「使用権」をインドネシアのバンド(っつうかそのバンドの事務所)に売り渡すことになる。
ちなみに日本ではJASRACに売り渡すことになるが、JASRACはそれを「国民の皆様は自由に使っていいよ、これはもうJASRACの曲だから」ということで、「もうお前の曲ではない!!JASRACの曲なんだから作家であろうが勝手に使うな!!」と言われる(JASRACとの裁判記録より)
ところがJASRACは私に「使われた分だけあなたに分け前を差し上げます」と言うが、「それってどのように分配されてるんですか?」という問いには一切答えない!!
深く掘り下げれば私のように裁判沙汰になって身包み剥がされるというものだ・・・

ところが国際的には(っつうか中国しか知らんが笑)「権利を全て譲渡する」というからにはその対価が必要である。
そうでなければ中国のように「権利は全て作った人にあります、私たちはそれをプロモーションさせて頂いてその対価のみを頂きます」みたいな契約になるのが常である。
(ブログ記事:今や中国の著作権ビジネスは日本より進んでいる?!

今回はJASRACとの契約のように、「この曲はお前の曲ではない、俺の曲なんだからお前が勝手に使うな!!」という契約なのだから、必然的ながらその「範囲」を特定する必要がある。

JASRACの場合「日本国内の全て」であるのだが、この契約書の場合「インドネシア国内のみ」なら何も問題がなかったところ、当然ながら向こうから提示された契約書には「全世界」という項目がある(>_<)

まあ今の時代、ネットに上げるというのが「国内のみ」というのは難しいということでこのような項目にしてると言うが、布衣のマネージャーが
「キー!!そんなことないわよ!!私たちの曲も中国国内に限定してるから日本では買えないでしょ、キー!!!」
まあこの辺になるとワシはようわからん(>_<)

そうそう、契約って難しいのよね〜・・・特にこれ、私にとっては外国語(涙)
日本のようにほぼJASRAC一択で選択肢がないのとは違い、今は昔、中国ではちょっと契約を間違えればとんでもない事態になってしまうというから大変である(>_<)

先方の法務部と布衣の弁護士との熾烈な戦いは始まる・・・
まあ布衣にとっても、私が書いた曲だとは言え、自分とこの代表曲が一枚の契約書によって自分が自由に使えないようにされたらたまったもんじゃない。

X.Y.Z.→Aにしたってそうである。
この素晴らしい楽曲を、この契約書一枚のために英語バージョンも作れないとか、X.Y.Z.→Aの最終目的であるアメリカとか他の諸国で発売出来ないとなったら本末転倒である(>_<)

最終的に落ち着いた項目は、
「この楽曲のインドネシア語バージョンについての権利は」
ということである。

これは私の拙い中国語で先方の法務部と布衣の弁護士には強く主張した。

余談になるが、実はこれは「日本語バージョン」ということにも大きく通じる根本的な問題である。

「リゾ・ラバ」という楽曲の契約更新の時に、出版社から提示されている「全世界」という項目に、私は出版社に対して疑問を投じた。

実際、中国で私のドキュメント映像(こちらでは伝説のドラマーなので、もう既に数本撮られてある)で「おおBeijing」という楽曲の私が歌っているバージョンが使われている。
「それを使いたい」という別の会社が現れて、その著作権管理を日本の出版社に問い合わせたところ、「全世界契約であるが、自分たちは何も出来ない」という回答・・・じゃあ出来ないなら私がやります!!
・・・こんな簡単なことが日本では通用しない。

この国で実際に使われているのだからお金徴収してよ!!
いやうちはその国では支社がないので徴収出来ない!!
じゃあ自分で徴収するわ!!
それは許さん!!
というのは道理に外れてない?

ちなみに「楽曲」というのは日本では「曲と詞を含めて楽曲である」とされている。
だから、日本ではRunnerの歌詞が本に載ったとしても、印税は作曲者である私にも振り込まれる。
逆もまた然り、インスト版のRunnerが発売されても作詞者である中野に印税が振り込まれる。

しかしこれは「法律」ではなく、分配をスムーズにするための規則をJASRACが定めて、それを文部科学省が認可したに過ぎない。
(JASRACとの裁判の中で学んでこと)

私が自分のメロディーを、別の言語で使用するとしたら、日本国内では全ての権利をJASRACに譲渡してるので例え別の言語であろうがNGであるが、もし、自分が海外で、この「メロディー」を別の言語で自分が使用して、それが作詞者である中野の権利を侵害しているのかという問題となると、これはまた全く違う!!。

日本人であるからイメージがピンと来ないかも知れないが、私が外国人であって、たまたま日本に来ていて楽曲を発売して、それがヒットしたと考えて頂ければクリアになると思う。
それをもし自分が帰国する時に母国に持ち帰って自分の言語で歌うことが出来ないというのは、どう考えてもおかしいであろう!!

当然である!!私が書いたメロディーなのだから、なんで(私が外国人の場合)外国で発売したからと言って自分の母国でもそのしがらみに縛られなきゃならないの!!ということである。

つまり、契約書に「全世界」とあるなら、「おおBeijing」が中国で使用されている現実において、もしあなた方がその権利を「全世界」で主張するのであるならば、全世界においてその対価をそこから徴収して下さいよ!!ということである。
出来ないなら「全世界」という項目を主張する資格はない!!

子供でもわかるようなこの道理が「契約の世界」では通用しない。
つまり「子供騙し」が通用するのがこの「契約の世界」なのである。

ちなみに「リゾ・ラバ」に関しては、今回契約更新の時に外国の条項を外してくれた。
つまり外国においては、私が自分の「メロディー」を自分で管理出来るようになったわけである。
(それが当然の形)
今回のようにインドネシアとか日本以外の国に自由に「売買」が出来るわけである。
(ちなみに日本の出版社がそれをやってくれるのであれば私はそれを任せてもよい。でもやれないのに権利を主張するのは道理が通らないと私は思う)

ちなみに日本語詞を作ったのは中野なのだから、世界中の何ぴとたりとも中野の許可なくしてその詞を勝手に使ってはならない!!
これは当然である。

同様に布衣のヒット曲「我爱你亲爱的姑娘」は作詞は布衣のボーカルLaoWuである。
布衣の弁護士にしてみたら、これを世界中で勝手に使われたんじゃたまったもんじゃない!!

だからインドネシア側に対してこちら側がとてもこだわったのが「翻唱(外国語曲を他の言語でカバーすること)」という項目である。
つまり布衣にとっては「翻訳するな!!メロディーはFunkyのだからこの契約でどうにでもしてくれ、でも歌詞の権利は死守する!!」

この戦いが凄かった!(◎_◎;)

どうやら「翻唱」という言葉を入れないと文章がなり立たないのか、先方は最後までこの言葉を使うが、布衣としては「原詞を訳すな!!全く違うものを作れ!!」という戦いが細かい中国語の「言い回し」として争われてゆく・・・(>_<)

ワシの中国語レベルではわからんがな(涙)

いや、布衣の弁護士は布衣の権利を守るために戦っているのであって、決してワシのために戦ってくれているわけではない。
(まあ結果ワシの権利を守ってくれてるわけではあるが)

だから「じゃああんたら直接戦って!!」というわけにはいかない(>_<)
先方から送られた契約書を布衣の弁護士に転送して、マネージャーを通して意見を聞いて、それを中国語で先方に返して・・・必ず自分は間に立たなければならない(涙)

もうね、「音楽を作る」というよりも大変(>_<)

でも数回の熾烈なやり取りが終わって今日めでたく契約が締結された!!\(^o^)/

この戦いでキモになったのは「範囲」。
これはこちら側が「インドネシアに限る」という条目を提示したのに関して、先方は最終的にアメリカを含む数カ国を指定して来た。
(その代わり、当初の契約条項よりも更に使用料を追加してくれた!(◎_◎;))

インドネシアで一番成功してるロックバンドなのだから、世界を目指すのは当然のことである。
しかし、アメリカに関しては大きな問題が起こり得る。

万が一X.Y.Z.→Aがいつかその悲願であるアメリカ進出を果たして、その時にこの契約書の条項のためにアメリカでこの曲が自由に使えないとなった時はどうすんの?!(◎_◎;)

これは布衣の曲についても言えるので、弁護士は重箱の隅をほじくるように契約内容をチェックする。
問題は、「インドネシア語のバージョン」という大前提があったとしても、それを更にアメリカとかで「翻唱(外国語曲を他の言語でカバーすること」された場合の権利についてである・・・

ワシの中国語力ではわからんし(涙)

まあ「布衣の権利を守る」ということは、「X.Y.Z.→Aの権利も守る」ということなので、今回最終的にこちら側の弁護士が最終的にOKを出して、やっと契約締結となったという現状である(涙)


さて余談であるが、この高度な契約の戦いの後に非常にお粗末な実務問題なのであるが、先方から送られて来た契約書に署名とハンコを押して送り返さねばならない・・・

しかしこのデジタル社会の中で「朱肉」なんぞどこに売ってるの?!(◎_◎;)
・・・ってか「朱肉」って中国語で何て言うの?(涙)

毎日詰めている銀川のドラムスクールに身振り手振りで説明してやっと朱肉ゲット!!

署名と母印を押して送り返して、それが先方に届いた時点で「契約締結」・・・
するとどうなるか・・・

契約条項にあるように、私は10日以内にアレンジを完成させて先方に送らなければならない・・・

その代わり、先方は私に・・・おそらく日本人の作家達にとっては信じられないような額の「使用料」を前払いしなければならないのだ・・・
(ちなみに税務署さん、まああなた方にとっては大した金額ではないかも知れませんが、国際業務なので契約書の人民元の額をその日のドルレートに換算して日本円にて日本の口座に振り込まれますので)

さあ、日本の作家さん達?あなた方は今、日本で作詞作曲の仕事をしたって、発売されるまで一切お金になりませんよね?

例え発売されたって数ヶ月後、もしくは1年以上経った忘れた頃にJASRACから明細と共に振り込まれる。
しかしそれがどういうシステムで分配されたかは絶対に教えてくれない。

しかし、中国では(おそらく国際的には)まずお金をくれる。
そしてその「権利」は永遠に「自分」にある。

その使用権の範囲、使用料等は自分で決めることが出来る。
もちろん日本のように使われたパーセンテージでの契約も望むのであれば可能。

特筆すべきは、パーセンテージ契約には必ず「アドバンス(前払い金)」がある。
(っつうか私にとってはこれしか興味がない笑)

作家の皆さん、JASRACの明細書にはこのアドバンスの項目があるでしょ?でも誰もそれって使ってませんよね!!

中国では逆にそれはあって然るべきもの!!
先にお金貰わなければどうして後にいくら入るかわからないという労働が出来るの?・・・この辺が逆に私には日本の作家さん達の感覚がもうわからない・・・

あなたが作った曲は「あなたのもの」なのです!!
無償でどっかの団体に「売り渡す」なんてもっての他です!!

著作権者は「無償で」JASRACに全ての権利を売り渡す、
アーティストは「給料」で全ての権利を事務所に売り渡す、
こんなことがまかり通っているうちは日本の音楽文化が華開く事はありえないと思うのは私だけですか?!!

まあ私は自分の曲は自分で管理したい。
「リゾ・ラバ」が日本国内以外を外れたのであれば、これをインドネシア語をはじめとして、あらゆる全世界に売ってゆきたい。
そう思うのは作家として当然でしょ?

それを日本の会社がやってくれるのなら、私はその言語のバージョンのみ日本の会社と契約します。
それが出来ないなら私は中国でもどこでも「外国の」会社と契約します。

私は「作家」!!
国境を越えることが一番簡単であるべき「メロディー」を生業にしている・・・
このメロディーはこの国に、このメロディーはあの国に・・・売れるところがあれば売りに行く!!
当然のことである!!

それが出来る会社に売り渡すならともかく、それが出来ない会社と契約して一生縛られて「これはお前の曲ではない!!」って一体何のメリットがあるの?


ただ契約なのだから絶対に守らねばならない・・・
X.Y.Z.→Aの「Wonderful Life」はもう納めたが、「我爱你亲爱的姑娘」を10日以内に納めなければ大変なことになる・・・(>_<)

相手はロックバンド!!ピコピコの打ち込みばっかで作り上げれられる音楽の種類でもない・・・
ギターソロとか、自分で機械で打ち込むよりギタリスト呼んで弾いてもらった方が早いし〜

ちょっと地元のギタリスト〜ソロ弾いてや〜

ギャラは先日買った冷凍オーストラリアンステーキとワイン!!

仕事やからな!!一生懸命仕事してるんやからな!!しゃーないなぁ〜・・・

インドネシアプロジェクト!!正式に始まりました!!!

Posted by ファンキー末吉 at:03:33 | 固定リンク

2022年1月15日

レコーディングで一番大切なこと

先日、いつものような「速度戦」で1日半で全ての伴奏を完パケした。

久しぶりの生バンド録音で感じたこと、再確認した「レコーディングで一番大切なこと」を記しておきたいと思う・・・

まず、レコーディングに限らずドラムで一番大切なことは、「リズムが一定」であること、そして「音量、音質が一定であること」、
これが最近では(昔からか?笑)波形データを見てみれば一目瞭然!!

一番下の2段がバスドラ、その上2段がスネアである。
そして縦の線が機械が設定する絶対正しい1拍1拍の位置・・・

見てもらえばわかるようにぴったりとその線に合致している!!(ドヤ顔)

まあこんなこと考えてなくても、(クリックとか打ち込みに合わせて叩く場合は)「いいプレイをした〜」という時は自然とこのような状態になっているものである。

そして音量!!・・・波形の大きさを見てもらうと、スネアを見ると一目瞭然だが、全く同じなものが続く・・・
これはすなわち、同じ部分の中でリムとかの当て方を変えない限り「音質」も同じである!!

(音質の使い分けに関してはこちらを〜)

バスドラはばらつきがあるように見えるが、よく見ると小説の頭(縦の線の上)は毎回同じである。
また、これは「ばらついている」のではなく「そう叩いている」のである。

バスドラをふたつ連続で踏む時に、ひとつ目は軽く、ふたつ目は強く叩いていて、その大きさの比率は毎回同じである。
これがこのブログで書いてるように、ひとつのパートではこれらを勝手に変えてはならない、それが「安心感」として伝わり、「安定感」となる。
ここにばらつきがあると聞いてる方が入り込めないからね・・・

ところが矛盾するようだが、逆もまた真なり!!
このピアノの録音を聞いて欲しい・・・

これがねぇ〜よくってねぇ(涙)・・・自分でピアノを打ち込んでベロシティーとかいくら調整してもこうはいかん(>_<)
先程のドラムの話と違って全く同じ音量音質だと「機械」になってしまうが、これは「ばらついている」のではなく、「歌っている」のである!!

これがブログで書いた「ドラムで歌うということ」である。

今にして思えばピアノを例に出せばうまく説明できたのだが、「音を小さく叩く」ということと、このように「歌う」ということは全く違う。
この、イントロでフォルテッシモで弾いているピアノが、Aメロになった時に突然弱く弾いている、その「弾き方」に涙するのであって、ただ「弱く弾く」でこのような効果は現れない(当然やな)・・・

このブログで書いたのは「全体の中のパートパートでの歌い方の違い」であるが、厳密に言うと1小節内にもそれはある。

Jazzみたいにボトムを支える何かの上で漂って叩くドラムの場合はまた違うのだが、ロックやこの流行歌のようにドラムがボトムを支える場合にはやはり1小節目と2小節目、そのパートの全部は安定していないとキモチワルい。
でもハイハットや、スネアのゴーストノート、そして先程のバスドラの大きさの違いとか、1小節単位では細かい違いがある。

これらは決して「ばらついている」のではなく「起伏」なのである。

またドラムはその1小節や、まあ2小節パターンの場合には2小説の「うねり」と、曲を大きく見た時の1コーラス全体の起伏や、サビなどの盛り上がりに向かうその直前の数小節の起伏や、色んなものが総合して「表現力」となるのである。

さてここまでは「安定感」の話・・・レコーディングで大切なことを綴ってゆきたいと思う・・・


ちなみに現代のレコーディングは「パンチイン」を前提としたレコーディングである。
間違えたらその場所から、もしくは後からその場所だけを録り直したり出来る。

ところが昔は違った。
はるか昔のアナログレコーディングの時代、アナログのマルチテープレコーダーというのは「消去ヘッド」と「録音ヘッド」というものが並んでいて、「消去ヘッド」で前に録音したものを消しながらそのちょっと後にある「録音ヘッド」で新しい音を録音してゆく・・・

つまりこの距離にタイムラグがあるので今の時代みたいに簡単にパンチインパンチアウトは出来なかったのである・・・

特にドラム!!・・・爆風スランプがファーストアルバムを録音していた時代には、
「最初から最後まで間違えずに叩く」
ことがレコーディングの前提であった!!

実の話、爆風スランプのデビューアルバムのレコーディングの時に、何かの曲でいつも最後まで叩けなくて、ソニースタジオのトイレで泣いた(涙)
「自分はこんなに下手だったのか(涙)」・・・これが今の私に至る「出発点」である。

今でもそれはある・・・レコーディングはいつもそれを教えてくれる「先生」である・・・


いつから時代が変わったのかはわからないが、ある日「かまやつひろし」さんのトリビュートアルバムをプロデュースさせてもらった時、ブッキングした二井原はんと、ゼノン石川くんだっけなぁ・・・みんながスタジオで待っている間、いつものように最初から最後まで間違わないようにドラムをレコーディングしてた・・・

ところが歌まで終わって飲みに行った時に二井原が私にこう言ったのだ。

「ファンキーもプロやからな、言わんかったけど、何で間違えたらそこから録り直さへんの?樋口っつぁんなんかいつもそうしてるでぇ〜」

これには心底びっくりした!・・・知らないうちに時代が変わっていたのだ!(◎_◎;)

ところがこの昔の時代の長い経験が、自分にとっては今では大きな財産になっている。
難しいオカズとか、叩けないフレーズは絶対に入れない!!
絶対に間違わない確実なものしか入れてゆかない!!

だからこうしてデジタルの時代になっても、新しい世代と比べたらやはり「安定感」が全然違う・・・

今となっては叩きながら「あ、ここイマイチやなぁ〜あとでパンチインしよ」とか思いながら叩いたりするが、それでもそのパンチインしようと思っている部分は、別に絶対に差し替えなくてはならない大きなミスではない。
「歌い方」とか細かいニュアンスがもっと出せたのでは?・・・という「欲」である。

それがあるからこそ、今回のようにドラムを叩き終わった後にアレンジャー、プロデューサー(今回はレコーディングエンジニアも兼任(>_<))として他の人を上に導くディレクションが出来るのである。

前述のピアノの録音、Aメロがとてもよくて泣きそうになってて、その後のBメロから録音し直す時に、「繋がらない」という問題が発生!!・・・つまり、前のニュアンスと後から弾くニュアンスが全く違うのだ・・・(レコーディングあるある)

そんな時には前のテイクを聞いてもらって、「このニュアンスで次も弾いて」とお願いする。
このピアニストはそれが出来た。でもベーシストはそれが出来ない(>_<)

「前のテイクはここ8分音符で休符を入れて次に行ってるけど新しいテイクはレガートで弾いてるよね!!」
そう言ってもわからない(>_<)・・・自分がどう弾いていたかもわからないのである(涙)

こういう人は、もしわかったとしても同じように弾けない(>_<)
それは「まぐれ」でいい演奏が出来ただけであって、同じように再現することは出来ないのだ。

つまりレコーディングで一番大切なことは、「自分の歌い方を全部理解している」ことなのである。
ついでに言うと、プロ中のプロはそれを全部「覚えて」いる!(◎_◎;)

2000年代中盤、北京のスタジオミュージシャンとして一番売れていた頃は、この国のトップミュージシャン「李延亮」というギタリストとよく一緒に仕事をした。
ある時は彼のプロデュースする作品にドラマーとして呼ばれ、ある時は私のプロデュースする作品にギタリストとして呼んだ。

その時の話、ギターのバッキングが2番でちょっとニュアンスが違ったので、
「これ、1番とはちょっと違うよね、同じに弾いてくれる?」
とお願いした。

通常ここで「OK〜じゃあ一回聞かせてくれる?」と来るが、彼の場合、自分がどう弾いたかは全部覚えているので聞く必要がないのだ!(◎_◎;)

更に恐るべきことに、ギターソロの一部分をパンチインしようとした時に、
「いいよ、じゃあ最初から全く同じに弾くから」・・・!(◎_◎;)

つまり彼には全く「まぐれでこれが弾けた」というものがないのだ・・・(凄っ)

ちなみに彼は速弾きとかの超絶テクニックのギタリストではない!!
指が速く動くということならこの広い中国、彼よりも速いギタリストはいくらでも見つかるだろう、
でもレコーディングの数、稼いだ金、名声、彼を超えるギタリストは誰もいない。

中国の若いドラマーが私のところにドラムを教えて欲しいと来る・・・
私がいつも言うことはこんなことである。

金を稼げるドラマーになりたかったら、超絶テクニックとかを勉強するより、「リズムが正確」「音量が一定」「音色が一定」、これに尽きる!!

そして更に進んで、楽曲の把握能力。
どこで盛り上げてどこで落とすか、その構成力(つまり「歌い方」)
そしてレコーディングでは(ライブでもそうだが)まぐれ当たりを狙わない!!
確実に出来ることの中で、自分が思う最大の曲をよくする叩き方をプロデューサーに提供する。

スタジオミュージシャンの場合、万が一プロデューサーが気に入らなかったら代替え案を出せる柔軟性も必要。

「まぐれ当たり」ではなく「確信犯」としてやっているわけだから、「もう一度」とか言われたら当然それが出来る。
現代のレコーディングにおけるパンチインパンチアウトは必ず「繋がる」わけだ。

まあこれが出来れば別にパンチインしなくても最後まで叩けるだろう・・・
パンチインはあくまでそこから上に行くための次の手段と考えておこう〜

要は「確信犯」として演奏しなさいよ、それがレコーディングでは一番大切だよ、ということである。


Posted by ファンキー末吉 at:17:03 | 固定リンク