ひとりドラムの軌跡

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爆風スランプトリビュートアルバム WeLoveBakufuSlump

2013年4月20日

ワシは中国で1億元損した男(笑)

中国の寧夏省、省都の銀川からさらに80kmほど車で走ったところにある「大武口(DaWuKou)」というところに来ている。

まあはっきし言って「田舎」である(笑)

布衣(BuYi)は今年になってオリジナルメンバーでもあるギタリスト兼箏奏者の張威(ZhangWei)が脱退して、
今はボーカリストである老呉(LaoWu)ひとりが、ライブによってメンバーを変えて活動していると聞いていたが、
最近はよく張張(ZhangZhang)のAcidユニット「化現場(HuaXianChang)」と一緒にライブをやることも多いらしく、
今回はその形でこんな田舎町までやって来たということらしい。

ワシはゲストで数曲叩くだけなのでライブをボーっと見てたのじゃが、
こんな田舎町でも彼らの曲をみんなが大合唱してるのな(驚)。

羊肉面(YangRouMian)!!羊肉面(YangRouMian)!!」
とワシの作った曲をオーディエンスが連呼するのを聞いてとても嬉しく思い、
ライブ終了後に羊肉食って飲みながらその話をしてたら老呉(LaoWu)からこんな面白い話をされた。

羊肉面(YangRouMian)なんかよりもっと凄いのがあるよ。
「我爱你亲爱的姑娘(WoAiNiQinAiDeGuNiang)」・・・
何せ携帯の着メロダウンロードで1億元稼いだって噂だよ。

ちなみに日本はCD等からダウンロード商売に移行するのに非常に手間取っているようだが、中国ではあっと言う間である。
ビデオからDVDへのシフトもあっと言う間だった。

きっとシステムを完全移行させる場合、
日本ではCD屋や従来のレコード会社が潰れてしまうことを恐れて慎重に対処するのに対して、中国ではそんなこと気にしないからあっと言う間なのだと思う。

この国では別にCD屋など潰れてもいいのだ。
レコード会社もビデオ業者なども潰れてもいいのだ。

どんな手を使ったって早く金持ちになるのが「勝ち」なのだ。

中国の携帯電話利用者数は今や11億人を越え、
着メロビジネスが儲かるぞと言われ出してからもう久しい。

こちらでは1曲のダウンロードにだいたい1元が課金される。
日本円でだいたい15円なので貧乏人でも携帯を持ってるぐらいの人なら十分払える額である。

しかしヒット曲となると1000万ダウンロードは下らないと言うのだから凄まじい!!

私が友人から頼まれて映画音楽を担当した「瘋狂的石頭(Crazy Stone)」はその年タイタニックを抜く興行成績を挙げ、
その中の挿入歌である「我爱你亲爱的姑娘(WoAiNiQinAiDeGuNiang)」も1000万ダウンロードを越える大ヒットなのだと言う。

「1000万ダウンロードって1億元だよ?」
老呉(LaoWu)がそう言って笑う。

1億元と言えば日本円で大体15億円である。
もちろん曲を作ったワシにも、詞を書いた老呉(LaoWu)にも一銭たりとも支払われていない(笑)

まあ訴訟を起こしても無駄である。
何十億元も稼いでるヤツらはこの国では既に絶大な「力」を持っていて、
こんな金のないヤツらの訴訟なんか問答無用ではねつけることが出来る。

それにまあ、この曲に関する権利関係も実は非常にアヤシイ・・・

契約上は映画会社が全部権利を持っていることになっている。
つまり全ての楽曲は「買い取り」なのである(恐)。

しかし通常は契約書もへったくれもない。
たしかこの時は香港の会社だったのでわざわざ契約書を作ったようだが、
ワシのところに契約書を持って来たのは公開した後、
つまり誰もが「儲かるぞ」とわかってからである。

もちろんワシはサインをしていない。
記憶によると困った先方は「誰でもいいからサインして下さい」と言うので、
嫁か助手か誰かがしたかも知れない(笑)

「儲かるぞ」となったのだからいろんな人がいろんなことをする。

エンディングロールで重慶語のラップを歌った「潤土(RunTu」はさっそく、
「ファンキーさん、あの曲を発売してもいいですかねぇ」
と電話をかけて来る。

ヤツとてワシからたかだか1万円にも満たないギャラしかもらってないのだ。
「儲かる」ならそれをどんどん使いたいというのは当たり前である。

「ワシはサインしてないから権利関係については何とも言えんが、
まあひょっとしたら映画会社がお前を訴訟するかも知れんぞ」
・・・と、ワシが言えるのはたかだかこのぐらいのことである。

「いいんです。訴訟されたら話題になってまたその曲が売れますから」

これがこの国での「物の考え方」である。

そもそもが「力がある者」が「力のない者」を訴訟したりはしない。
ヤツらにとっては「力のない者」など「ゴミ」と同じなのである。

逆に万が一「潤土(RunTu」が売れたら「力」を持つことが出来るので、
そうなったら逆にヤツらだって手出しが出来なくなる。

要は「どっちが正しいか」ではなく、「どっちが力があるか」なのである。

そうして「潤土(RunTu」は売れた。
お礼に彼はワシにたんまりとご馳走を奢ってくれた(笑)

中国で絶対やってはいけないこと、それは「友達を裏切ること」。
だから彼はワシのところに真っ先に電話をかけて来たのだ。

こうしてワシは彼の「恩人」となった。

これを受けてワシは当時ファーストアルバムをレコーディングしている布衣にもこう言った。
「お前らも自分のアルバムにこの曲を入れればいいんだよ」

そしてその曲が1億元を動かす曲になったというだけの話である。

もともとはこの曲は映画ではこのように使われている。

女をナンパするシーンで、
宝石を盗んだ悪ガキが、同じ宝石を狙う親分の女を見初める瞬間にかかる曲。

以前にやった「ショムニ映画版」で似たようなシーンにキングトーンズの歌う「I can't stopp loving you」を使ったので、
同じようにそれを貼付けてデモとして、
監督のOKが出たのでそれと同じような雰囲気の曲を作っただけの話である。

つまり「やっつけ」(笑)

録音も隣で住んでいる布衣の連中を呼び出して
「誰か歌え!!」
と言ったらドラマーが手を挙げたので彼に歌わせただけの話である。

実はサビだけでなくAメロもちゃんと作っていたのだが他に使い場所がなく、
結局彼らがそのAメロとサビを使ってこのようにアレンジして自分のCDに入れたのだ。

この映画音楽はサントラを出してないので、
このバージョンが着メロとなって1億元を生み出したということだ。

「今の中国のダウンロードビジネスに則ったら、
楽曲の権利が業者から2000万元は入って来るから、
ふたりで1000万ずつだぜ〜」
そう言って老呉(LaoWu)は笑う。

つまりワシとあんたで1億5000万円ずつ〜(笑)

間違ってもその金を「取り返そう」などと思ってはいけない。
ワシはこのアンダーグラウンドバンドの未来によかれと思ってそれを進言しただけである。

実際この曲と羊肉麺(YangRouMian)は彼らの代表曲となった。
そして寧夏省のド田舎でもこのようなライブを行えるようになって、
そしてワシをゲストとして呼んで好きなだけ絶品の羊肉を食わせてくれる。

ワシにとっては今からまた人と争っていろんなものを失って、
その結果やっと1000万元手に入れるより、
このような「友達」がこの国にもっともっと増えて、
その人達が今よりももっと大きくなってもっともっと美味しいものを奢ってくれればそれでいい。

ワシにとって大切なものはもっと他にあるのだ。

東京に出て来て爆風銃(Bop Gun)でグランプリを取った時、
「これはまぐれで取ったのではない!!俺たちにはその実力があったからなんだ」
と頑に信じた。

まぐれで取ったグランプリにしがみついて生きてゆくなんて人生ミジメ過ぎる。

爆風スランプがデビュー出来た時も、
「俺らには実力があったからだ」
と頑に信じた。

まぐれで出来たデビューにしがみついて生きてゆくなんて人生ミジメ過ぎる。

バンドはレコード会社のコントロール下に置かれたので仕方なくワシはひとりでJazzなどを命懸けでやって自分を磨いた。
「もしこのバンドが突然なくなっても俺は少なくても全く同じことが出来る実力はある」
とばかり・・・

Runnnerがヒットした時は揺れた・・・

「金」とはある種「麻薬」である。
なくなると禁断症状に見舞われて、何をやってもまたそれを手に入れようとする。

「次にヒット曲を出さなければバンドは一発屋で潰れる」
と言われ、死に物狂いで「リゾラバ」を作ったが、
その後中国に行ってワシは「ヒット曲を出す」戦いよりも、
「このクオリティーの曲ならいつでも作れるんだ」
という戦いに身を置いた。

「今まで日本でここまで来れたのは爆風スランプの名声のおかげではない。
全ては自分の実力だったんだ!!」
もしそれが本当なんだったら、
誰も爆風スランプなどしらない中国でゼロから同じぐらいの結果は出せるはずではないか。

そして中国での今がある。

嫁がはワシに
「パパは日本では正当に評価されてない」
と言ったことがあるが、
「中国での評価が余りあるもんだから俺は気にせーへんよ〜」
と笑った。

自分の曲で1億元儲けたやつがのうのうとしていることに腹は立たない。
大事なのは「こんな曲ならいつでも作れるぞ」ということである。

ここで「1000万元取り返そう」という人生にシフトしたとしたら、
いつかそれが取り戻せたとしてもその時にはもうこんな曲は作れなくなっているだろう。

ドラムもそうだが、「音楽」そのものこそが「生き様」なのだから・・・

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