ひとりドラムの軌跡

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爆風スランプトリビュートアルバム WeLoveBakufuSlump

2014年10月 6日

弦楽オーケストラとの戦いが始まる・・・

ある時期、中国ではバンドのアレンジも出来て弦のアレンジも出来るアレンジャーを血眼になって探していた時代がある。

それこそ「金ならいくらでも出す」という有り様だったのだが、
バンドのアレンジが出来る人は弦を書けないし、弦の人はクラシックしか書けないからというのがその理由である。

しかし時代が天才を生み出すというのはこのことで、
弦のアレンジでは北京では大御所では三宝(SanBao)、
若手では張毅(ZhangYi)などが、ワシが一緒に仕事をして「スゲーな〜こいつのアレンジ・・・」と思う作品を数多く残している。

張毅(ZhangYi)を例に取れば、
彼はピアニストで、リハ会場ではよくJazzを弾いていた。

もちろん若い世代である彼はロックの洗礼も受けていて、弦のアレンジの中に「ロック」というエッセンスも入れて来る(驚)・・・

世界各国どんな国でも金を稼げるのは「流行歌」しかない現実の中、
ワシがドラムを叩いた数々の作品の中に、
彼がアレンジした弦の間奏部分は間違いなく中国の歌謡界に新しい「ロック」の息吹を持ち込んでいると確信している。

そんな彼も先日ひょんと連絡が来て
「今日本にいるんだ」
と言うのでアーリー爆風の八王子のライブに誘って飲んだが、聞けば
「もうアメリカに移住するんだ」
ということで日本に立ち寄っていたとのこと・・・

LuanShuの懐刀である彼がアメリカに行ってしまって今回の青島コンサートに参加出来ないがゆえに、ドラマーであるこのワシが今こうして彼の代わりに弦の部分の全てを担当せねばならない・・・(>_<)

改めて彼の作品を聞きながらそれをストリングス譜面に起こしたり、
またそれを同期するために打ち込んでプログラムデータを作ったりするしてるうちに改めて
「こいつホントにスゲーなぁ・・・」
と心底またそう思った・・・

凄い作品を目にすると「何でこんなことが出来るのだろう」と思うのだが、
本当に「コイツこれ作った時は気が狂ってたんじゃないのか・・・」などと思う・・・

もちろんクラシックの英才教育を受けているのだろう、
楽典に乗っ取った緻密なクラシカルな面と共に、
それにぶつけてくる不協和音・・・

いや、クラシックにも不協和音の世界はあるらしく、
それは筋少の仕事の時にエディーこと三柴理から学んだ。

しかし張毅(ZhangYi)のそれはまた種類が違う。

新世代の彼は自分のベイシックであるクラシックと、
好きで弾いているJazzと、
仕事のために取り込んでいる(のかどうかはわからんが)あらゆるロックなり全てのものが融合してその作品となっている。

ファンキー末吉というドラマーが、
Funkドラムから始まりソウルミュージックを経てロックに行き、
Jazzに行ってラテンなどを経てまたメタルをやっている・・・
その感覚と彼ら新世代の音楽家達の感覚が非常に似ているなと思ったりもする・・・

まあドラムに関してはワシはそれが「本職」なので胸張って偉そうに言いたいことはたくさんあるが、
中国があの時代に求めていた「バンドも弦も書けるアレンジャー」という点では、
何の音楽教育も受けたことのないただのドラマーががむしゃらに自分で勉強したから出来ているような今のレベルのものにしては、
「中国」という国はワシに(今回の仕事も含めて)分不相応な大舞台をいつも与えてくれていると感謝している。

そこで日本の音楽界のことを考えてみるに、
「どうしてこの国では張毅(ZhangYi)のような若い才能が育たないのだろう」
と思って仕方がない・・・

日本のような優秀な音楽集団の中で、ワシよりこのテの才能がある人はいっぱいいるはずなのだ・・・

その原因のひとつにはやはり「弦は高い」というのはある!!
中国は日本の4分の1の値段で弦楽オーケストラが雇えるのだ。

誰もそんな高い金を払って冒険したくないから、
相変わらず一握りの「弦の人」にだけしか仕事を発注しないというのはある!!

しかし自分の経験から言わせてもらえば、
ある時期のスタジオミュージシャンの世界・・・
バブルの頃、スタジオミュージシャンがみんなベンツに乗ってスタジオをハシゴしていた時代・・・

ワシもそうだが初めて弦や管を書きましたみたいな若手アレンジャーは、
彼ら一流のスタジオミュージシャンにコテンパンにイジメられた(>_<)・・・

当時はコンピューター譜面なんかないから、
手書きでオーケストラ譜を書いてそれを「写譜屋」という業者に出す。

当時のバブルの時代では「写譜ペン」と呼ばれる譜面を書くペン一本で家を建てたという写譜屋がゴロゴロいた時代である。

手書きから手書きなんだから当然書き間違いがある。

写譜屋がスコア譜(全パートが書かれている何段にもなった譜面)からパート譜
(各パートの人が見る自分だけのパートの譜面)に書き換える時にミスがあるかも知れないし、
当然ながらオーケストラ譜を書いた時点でミスがあったのかも知れないが、
そんなミスをスタジオミュージシャン達は逆手に取ってアレンジャーをイジメたりした。

写譜ミスであろうと書きミスであろうと、
容赦なく明らかに間違いであるその音をわざと弾く・・・

当然ながら音が濁る・・・
アレンジャーがそれに気付かなければ・・・
「お前に耳は節穴か!!!この音が変だとは思わないのか!!」
とボロボロである。

ヒドい時には譜面に間違いがなくてもわざと間違えた音を弾いてアレンジャーを試したりしたという・・・

弦の場合はまだビオラの「ハ音記号」というあまり馴染みのない譜面記号で譜面を書くのがシンドいだけで、まあ管と違って「移調楽器」ではないのでまだよい。

管は例えばトランペットはBb管、つまりピアノの「シb」の音が「ド」だったりして始末に負えない(>_<)

アルトサックスはEb管だし、ホルンはF管だし、
オーケストラ譜の何段もある譜面のうち全部のパートの「キー」が違うのだ(>_<)

とっさに読めるわけないじゃろ!!!(涙)

今はコンピューター譜面ソフトで全部「C」のキーに直して書いて、
それを各管のキーに移調してもらって、
五線の上や下にはみ出たものをオクターブ上下して調整する
(移調楽器の譜面はそのキーの五線譜の中に収まるのがその楽器が鳴り易いと言われているからである)
という作業が出来るが、当時はコンピューター譜面などない時代である。

緊張してガチガチでスタジオに入る・・・
怖いスタジオミュージシャン達が睨んでいる中レコーディングが始まる・・・
緊張して聞きながら音が濁る部分を発見する・・・
ストップをかけて録音を止める・・・
「え?何だよ」と怖い人達が睨む・・・

「すみません、この小節・・・チェックさせて下さい」

プレイバックする・・・
確かに濁っている・・・

さて誰がどの音をどう間違って弾いているのか・・・

それがわからなければそこからが地獄・・・
その怖いスタジオミュージシャン達はワシをあの手この手で吊るし上げて来るのだ・・・

脳にはビルの屋上から飛び降り自殺をしたぐらいの(したことないけど)多量のアドレナリンが分泌される・・・

「誰かが実音でFの音を弾いてますね・・・」
命がけでその音を特定して突きつける・・・

「ビオラの人・・・譜面にシャープが抜けてました・・・その部分F#に直して下さい」

このやり取りで下着はベトベト・・・
ドラムを叩くどわーっと出る汗ではなくじとーっと出る「冷や汗」である。

それを何度もやってレコーディングは終了・・・
まさに寿命を縮める「命がけの戦い」である。

まあ端的に言うと「アレンジャー潰し」やな・・・(笑)

何でこんなことが起こるかと言うと、
弦だ管だという人は昔から音楽教育を受けたエリートばかりだから、
「音楽も知らないような若造がいい気になるんじゃねえ!!」
というプライドが高いのだ。

特に当時のバブルの時代では駆け出しのアレンジャーよりも彼らはもっと稼いでたわけだから「それをイジメても当然」みたいな感覚もあったのだろう。

一面、それはワシを始めいろんなアレンジャー達を鍛えた。
その戦いに勝ち残れない人間はもう二度と弦だの管だのをレコーディング出来ないのだから過酷である。

一面、そのハードルが高過ぎてバンドのアレンジャーがこの世界に飛び込めなかったというのもある。

ワシの場合はラッキーである。

管に関してはTOPSのみんな、例えば寺内に譜面渡して
「これ吹いて〜」と言えば間違えてる部分は勝手に直してくれたし、
まあ「末吉さん、これはないで〜」と突っ返されたこともあるけど(笑)、
「友達関係」という中から楽しく「管のアレンジはどうあるべきか」というのを勉強させて頂いた。

弦に関して言えばワシを育ててくれたのはやはり「中国」である。

私のソロアルバム亜洲鼓魂の「天会への番目の扉」という曲で、
ワシは初めてオーケストラの譜面を書いた。

それは管の時と同様に松原さんという師匠がいて、
ワシの譜面の間違いを直し、一緒に中国まで行って棒を振ってくれてこの作品を作り上げたからこそ今のように他の弦の仕事が自分で出来る礎となった・・・

また、中国人はどこかドライだから、日本人と違ってある種恵まれていたというのもある。

中国の弦の人も日本の人と同じように高いプライドを持っているが、
そのプライドの消化の仕方が日本人とちと違う・・・

日本人のよくわからないドラマーが譜面書いてこれ弾け・・・
みたいな仕事でも、彼らにとっては単なる金をもらえる「仕事」なのである。

国家の一流弦楽団の一員である自分は日本人とは小沢征爾ぐらいしか仕事をしたことはないよ・・・でもそんなものは関係ない!!

彼らにとって大事なものは「時給」!!

つまり何ぴとであろうが能率よく金を稼がせてくれればそれでよい!!
小沢征爾もファンキー末吉も関係ない!!どちらも単なる「雇い主」なのだ(笑)

能率よく早く仕事が終わって、完成レベルもまあまあ高く楽団の知名度にもキズをつけず、
あわよくば喜んでもらって次も仕事をもらえればそれでいい・・・

かく言うワシもここのバンマスには
「またお前の仕事かよ・・・」
と言われるぐらいよく一緒に仕事をした。


さてここまでが前振り(長いなぁ・・・笑)

今回使うオーケストラは青島のオーケストラで仲間内で誰もこれまで一緒に仕事をした人はいない。

心配なのでということで、
いつも仕事をしているその北京のバンマス(トップバイオリンの人)がひとり青島に行って彼らの中に入って演奏することになっている。

指揮者は?・・・ワシはそう聞いたが答えは・・・いない・・・

実は中国では弦のレコーディングにはきっと世界では珍しいであろう特殊な方法が取られていて、これとドンカマさえあれば指揮者など要らないのだ・・・

BaoHao・・・

いわゆるドンカマに合わせて小節番号を録音するトラックのことをこう言う。
(漢字でどう書くかは知らん・・・爆号?・・・)

多くの曲はストリングスは曲の後半から弾き始めたりするので、
その間待ってる小節にはBaoHaoは録音しない。

弾き始める直前に「準備(ZhunBei)!!」と入れて、
そこから小節番号を入れる。

「準備(ZhunBei)!!」、「75」、「76」、「77」・・・

76小節目から弾き始める人はその小節番号を聞いて弾き始めるし、
77小節目から弾き始める人も同様である。

いや〜確かにこれは中国人らしい合理的なシステムだと思うんだけど、
いかんせんライブの時などにクリックのチャンネルからこの声が聞こえると最初は鬱陶しかった(笑)

でも慣れると小節を見失わないから非常に便利・・・

まあ中国の全てのオーケストラはこの方式に慣れてしまっているので、
オーケストラの入ったポップス曲ではこれがなければ一緒に演奏出来ないのだ・・・

「じゃあお前BaoHao録れ!!」
と張張(ZhangZhang)に命じて昨日一緒にスタジオに入った。

LuanShuQIngDaoBaoHao.JPG

別にワシがやってもいいのだが、
速いテンポで100を超える数字を言うには中国語ネイティブじゃないと早口過ぎて舌が回らないのだ(笑)

何と今回はオーケストラ使う曲が20曲近くある(>_<)

それ全部にこの作業をやらねばならんのぢゃが、
譜面のチェックも含めてまず最初に自分のアレンジした曲からやってゆく・・・

いや〜・・・譜面に間違い多いなぁ・・・(涙)

きっと眠たかったんやな(泣)・・・
もう青島にそれを送ってしまっていると言うのに・・・(号泣)
それを自分の譜面に手書きで直しながら作業を進める・・・

当日、初顔合わせの時にそれを口頭で直しながら戦うしかない・・・

そしてある曲のこと・・・
小節番号が絶対の世界になると、この曲のように後にリハーサルでリピートがカットされたりすると地獄である・・・

LuanShuQingDaoLiWuScore.jpg

ちなみに中国人ミュージシャンはリピート記号やダルセーニョなどに弱い。

だいたいがそのままリピートせずに譜面をベタで最初から全部書くのだが、
ワシは知っている・・・譜面が長くなるとその譜面をめくる時に彼らは音符があろうがなかろうがその間堂々と休み、ゆっくりめくり終えた後に何食わぬ顔をして堂々と弾き始めることを・・・

あのバブルの頃、写譜ペン一本で家を建てた人がいるのは頷ける。

彼らは見やすい譜面であると共に、
どこで譜面をめくるのが一番適切かまで考えてページに譜面を収めていたのだ(驚)

リピートやダルセーニョがない譜面は見易いが長くなってしまい、
譜面の枚数が多くなるとめくる時にめくるノイズが出る・・・はこれ日本・・・
中国では・・・演奏者がその部分サボって弾かない(笑)

しかし今度はリピートをつけるとBaoHaoが大変(>_<)

「66」、「67」、「68!!そして61に戻る!!」、「61」、「62」・・・

・・・と実際にカウントしている小節数ではなく、
譜面に書いてある小節番号を録音してやらねばならない・・・

2カッコに飛んで1小節でダルセーニョする時なんかもっと大変である。

「39」、「40!!そして67に飛んで!!」、「67!!すぐ27に戻って!!」
と録音してやらねばならない・・・

ところが一番大変なのはこんな状態でリハーサルでリピートがなくなった場合である。

1カッコを飛ばして2カッコに行く自体は簡単である。
譜面から1カッコの部分をぐしゃぐしゃに塗りつぶしてしまえばよい。

しかしそうなると2カッコ以降の小節番号が元々の表記とずれてしまうので、
それから後の小節番号を全部書き直してやらねばならないのだ・・・(涙)

書き直したぞ!!譜面間違いも直したぞ!!
後は青島で戦いだ!!

まだ見ぬ青島のオーケストラとの戦いは前日の9日!!

間違いは夕べ全部直して、(厳密には今日と明日のリハでも確認して)
それを9日に出会い頭にヤツらに突きつける!!

ちゃんと弾けなかったらお前らの負け!!
音が濁っててそれがこちらの原因だったらワシの負け!!

指揮者がいないのだ。
張毅(ZhangYi)もいないのだ。

ワシがやるしかない!!(キッパリ)

戦いの火ぶたはもう落とされてしまっているのだ!!!
今日は朝から山ほどの譜面を持ってスタジオに行って、
また全ての曲の譜面とBaoHaoをチェックする・・・

勝負は時の運だけど、女神に微笑ませるためには、
人間が出来ることと言ったら「努力」と「準備」しかない!!

それを全部やり切ってから神の審判を仰ごう・・・

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