
2012年6月27日
モンゴルパオで酒を飲む
零点(ゼロポイント)復活計画はこの後すぐに座礁に乗り上げた。
大毛(DaMao)、二毛(ErMao)という兄弟が、
結局はギャラを全部持って行ってしまい、
新加入のボーカリスト「老五(LaoWu)」や、
オリジナルメンバーである「朝洛猛(Chao Luomeng)」にまでギャラを渡さないという始末。
こうなると「バンドの問題」というより「人間性」の問題である。
それからも「アレンジしてくれ」という電話は来ていたが、
「金を払ったらやってやる」
と言って口座を確認するが一向に振り込まれないので相手にしていない。
そうやって彼らは「誰にも相手にされない」まま1年が過ぎた。
新ボーカリストの「老五(LaoWu)」はそのまま零点(ゼロポイント)を脱退したと聞くが、
そんな彼からいきなり「メシでも食おう」と電話があった。
時を同じくして「零点(ゼロポイント)のマネージャー」と名乗る女性から電話があった。
ワシは彼らの仕事のやり方を非難し、
「お前がその辺の仕事を責任持ってちゃんとやるなら仕事してもいい」
と強く言った。
折しもこの日は、
昼間はその零点(ゼロポイント)のミーティング、
夜はそこを脱退した老五(LaoWu)と食事というスケジュールとなった。
ところが昼間のミーティングはドタキャン。
メンバーである朝洛猛(Chao Luomeng)が、
「ファンキーをミーティングに呼んでどうすんだ。
バンドがミーティングして、決まったことを仕事として発注すれば終わりだろ。
俺は夜ファンキーと会うから俺から伝えておくよ」
ということになったそうだ。
さて、夜の食事の場所はワシも行ったことがない超高級モンゴル料理屋さん。
羊が何匹も機械で回されて焼かれている。
その広大な敷地にはモンゴルパオがたくさん立ち並び、そのひとつに通される。
宴会の開始である。
ごらんのように飲めや歌えやで全然仕事の話はしていない。
こちらでは「仕事」=「飲む」なのである。
最後に朝洛猛(Chao Luomeng)が一言こう言った。
「ファンキー、老五(LaoWu)のこと、頼むよ」
これだけが数時間かけて行われた「仕事」、
これだけがこの高級料理の代償なのである。
もちろん「友達」のためなら何でもする。
ワシらはこうして酒を酌み交わし、「同じ釜のメシ」を食った「仲間」なのである。
零点(ゼロポイント)の話は結局出なかった。
仕事として動き出したら正式に発注が来るだろう。
何ぴと様からの仕事でも金さえくれたら「仕事」である。
ちゃんと仕事として整うのを待つばかりである。
ただひとつ気がかりなのは、
彼が今日歌ってくれた「思念」というモンゴルの曲・・・
これは外モンゴル、つまりモンゴル共和国のロックバンドの曲だったらしいが、
彼らから版権を買い取り、零点(ゼロポイント)復活のシングル曲としてワシがアレンジした。
ボーカルも脱退してしまったので、
あの曲が世に出ないというのだけが残念で仕方がない・・・