
2010年5月14日
三柴理考
来週から「影バンド」のリハーサル。
稽古場から機材を引き上げて来てスタジオがデブの仕事部屋になっている。
「アウェーインザライフ」の舞台で演奏する曲を一生懸命練習、
つまり三柴くんのプレイを一生懸命コピーしているのじゃ。
(そうじゃない曲もあるけど・・・)
ワシの三柴くんに対するイメージは「怖い人」だった。
人の事は言えんが「顔」が怖い!!
しかし会ってみて話してみると非常に優しい人で、
ソロアルバム「ピアニズムII」を聞いて嫁が
「三柴さんって顔に似合わず優しい人なのね」
とつぶやくぐらい繊細で優しい人である。
(自分の旦那を顔を差し置いてよく言うな!!ってなもんであるが)
筋少のライブで何だったかバラード曲のイントロで、
左右の手で4連符と5連符を同時に弾いているのを見て、
「ああ、この人は相当基礎テクニックを持っている人だ」
と感じて非常に好きになった。
何の道でもそれを突き詰めている人は大好きである。
その人が今まで「どう生きて来た」かがわかるから。
北京でもの凄い身体をしたボディービルダーに会ったことがある。
「ワシも頑張って君みたいな身体になりたい!!」
と言ったら笑ってこう言われた。
「無理ですよ。だってあなたは酒も飲むしドラムだって叩く。
音楽もやってその後で毎日私と同じ量のトレーニングが出来るわけないじゃないですか」
彼のその隆々とした身体には彼の毎日の生活、
つまり彼の「人生」がある。
ワシのこのぶよぶよとした身体にはワシの・・・
その話はとりあえず置いといて、
三柴くんのプレイには彼の「生き様」がある。
あんなスタイルのピアニストは他に聞いたことがない!!
「バンドやんないの?」
と聞かれて、
「バンドなんかやってたら家でピアノ練習する時間がなくなるじゃないですか!!」
と答えたという都市伝説があるが、
実際、毎日毎日家でクラシックばっかりを弾いているらしい。
メールもやらず、携帯も持ってないというのはどうやら本当らしい。
店でアメリカの凄いブルースマンが来るので、
日本の凄いミュージシャンで迎え撃とうと三柴くんの連絡先を聞いた。
Getしたのはやはり自宅の電話番号。
メアドはないと言う。
この日もピアノの練習をしてたのだろう、
留守電に入れたら折り返し電話をくれ、
「自分の中にはクラシックだけでブルースはないから」
と丁重にお断りされてまたそれが好感となった。
この人は人から見たら変人かも知れないが、
自分の道を持っている素晴らしいアーティストなんだなと感じた。
ワシは彼にデブを紹介し、
「今回は彼に三柴くんをコピーさせようと思うんだ」
と言うと、
「僕をコピーするんですか?難しいんじゃないですか?」
と言う。
今こうしてデブが一生懸命コピーしてるが、
実際彼のプレイをコピーするのは難しいらしい。
運指が簡単なフレーズではないらしいのでワシは
「きっとヤツはわざとそうしてるのさ。普通じゃつまらないからさ」
と言ってやったが、
しかし実際三柴くんと話してみると
彼はそうトリッキーなことを追い求めている人でもない。
この前リハーサルを見に行って、高木ブー伝説をやっていたので、
「そうそう、この2番のAメロのコードって変なテンションで凄いよねえ。
どうやってんの?」
と聞いたら、
「あ、これですか?ベースが違うコード弾いてるんです。
クラシックではよくある手法で、僕、プログレとか全然知らないんで、
メンバーが何となくこうしてくれっていうのは
全部クラシックにある手法ばっかりなんですよ」
と言う。
これが初期と、現在の筋少の音楽の大きな特徴となっていることは間違いないが、
それをコピーする側にはこれがまたなかなか大変である。
四苦八苦しながら昨日デブがいいことを言った。
「どう弾いているかは何度も聞いたらだいたいわかって来たけど、
僕は彼のように弾こうと思った瞬間に彼に殺されるから」
どっかで聞いたような発言だなあ・・・と思ってたら、
ワシが先日ブログで書いたフレーズである。
中国人のデブがワシのブログを読むわけはないので、
デブは既に自分で感じ取っているのだ。
「この人のようになりたいと思った瞬間からもうその人に殺されている」
いうことが。
そう言えば三柴くんも言ってた。
「僕のフレーズをそのまま弾くことはテクニックを持ってる人なら出来るかも知れないけど、
僕をコピーするのは無理じゃないっすかねえ・・・
まず髭を生やすことから始めればどうですか・・・は、は、は」
マジでデブに髭を生やさせようと思ったがやめた。
デブよ。先人達からいろんなことを吸収して、
そして自分のものにしていって、
いつかお前も「人にコピーされる」人間になるのじゃ!!
ほなワシはお前を残して名古屋ツアーに行ってくるので、
お前は3日間ここで籠って頑張るのじゃ!!
シュワッチ!!!