
2019年11月 1日
布衣2019年秋のツアー陝西省
甘粛省蘭州からお隣陝西省の西安までは高速鉄道で3時間半。
列車の中で「西安の小屋ってどんな小屋だったかなぁ・・・」と一生懸命思い出そうとするのだけれども全く思い出して来ない・・・
「小屋に着けば思い出すよ」
と言われていざ小屋に着いても全く思い出さん(>_<)
こんなに大きな小屋なのに・・・っつうか、
地元のオーナーが身銭切って頑張ってやってるライブバーと違って、こんなに大きな小屋だからむしろ印象にないのかも・・・
「楽屋に行けば思い出すよ」
と言われていざ楽屋に行っても全く思い出さん(>_<)
去年のブログをチェックしてみてわかった。
去年は風邪を引いてたのよね・・・
ホテルも会場近くではなく駅の近くに取って、
そのままタクシーで会場に乗り付けるから会場近辺の情報がない。
楽屋もきっと始まるまでずーっと寝てたのに違いない・・・
さて大きな小屋だけあってドラムセットもしっかりしている。
(大きくてもしっかりしてない所もあるが(>_<))
このピンストライプのヘッドというのはチューニングもしやすく、
二枚皮で間に油が入っていて、分厚いということは必然的に音程を低くチューニング出来るので、なかなか「ロック」なサウンドになる。
こんな感じ・・・
昔Jazzピアニストと一緒にツアーを廻ってた時に言われたことがある。
「末吉ぃ、この小屋はもう2度とブッキングするな!!ピアノがどうしようもない!!」
聞けば、自分で楽器を運び込めないピアニストは、自分で楽器を選べない。
楽器がどうしようもなければもう演奏自体が無理だと言うのだ。
クラシックのピアノの人なども、コンサート会場に自分のピアノを持ち込むことが出来ないので、大きなコンだーとなどでは前日に入ってそのピアノと「対話」する。
何度も何度も弾いて、やっとそのピアノと一緒にステージをやることが出来ると言うのだ・・・
気持ちはわかる。
私が他のメンバーより早く会場に入って、ドラムを一生懸命チューニングするのも同じである。
まあ中国にも自分のドラムセットをトラックで運ぶバンドもあるにはあるらしいが、
この広い中国、時速300km以上で走る高速鉄道で数時間かけながら毎日移動するツアーをトランポと一緒に廻るのはちと難しかろう・・・
自分の音にこだわるか、もっと多くの街に行きたいからとそちらを優先するか・・・
私なんかは、小屋のオーナーと酒飲んで交友をしたためるのと同じように、
その小屋のドラムと一緒に「セッション」をしているという感覚である。
いいドラムはすぐにチューニング出来るし、
そうでないドラムはやはり一筋縄ではいかない。
それなりに時間をかけて「対話」して、そしてその対話の結果がそのままその日の「ステージ」となる・・・
今まではそれで何とかなって来た・・・
しかし次の街、「漢中」では初めてどうしようもない自体に陥ってしまったのだ・・・
漢中・・・「項羽と劉邦」や「三国志」の重要な舞台となる場所であるが、今では小さないち地方都市に過ぎない。
そんな小さな街の中にある小さなライブハウス・・・その名も「漢」!!!
日本でも「漢」と書いて「漢(おとこ)」と読ませたりすることがあるが、
中国でも「非到长城非好汉(長城に行ったことないヤツはいい漢とは言えねぇな)」という言葉があるように、同じく「漢(おとこ)」という意味がある。
ところがドラムセットを見て愕然!!
まずタムのヘッドがデコボコでもう死んでいる(>_<)
フロアタムも・・・
もうこれぐらい凹んでたら、どんなにチューニングしても鳴らない。
・・・っつうか周りをどれだけ張っても、凹んでる部分は緩いわけだからビリビリという雑音にしかならない。
凹みがなくなるぐらい強く張れば何とかなる程度の時もあるが、
そうすると今度はパンパンに張ることになり、実際には鳴るどころの騒ぎではない。
バスドラのネジはいくつか失くなってるし・・・(>_<)
スネアスタンドはこんなん(>_<)
ハイハットクランクの一番下の留めネジはないし、
そもそもフェルトもシンバル用のヤツやし(>_<)
上部にあるはずのネジを下部に持って来て留めるが、
これってすぐに緩んで外れてしまうやろうなぁ・・・(>_<)
ドラムセットはアクリル板で囲まれていてこれは取り外せない(>_<)
これってねぇ・・・内部でバシャバシャみたいなおとで反響するから、
タムのビリビリがまた増幅されてもう叩く気も失せる(>_<)
初めて戦意喪失・・・「もう無理!!」とばかり帰ろうかと思ったが、
気を取り直して何とか解決策を考える・・・
こんな小さな街だから楽器屋さんでヘッドなんか売ってるわけもなく、
しゃーないから裏のヘッドを表に張って裏は外したままにするか・・・
そしたらカランカラン言って全く別物になるけど・・・
小屋の人と若い衆が一生懸命考えてて、
「あ、もうひとつドラムセットがあります!!それ持って来ましょう!!」
日本の三大ドラムメーカーのひとつ、TAMAのだと胸を張る。
しかし持って来たドラムを見て落胆・・・全く同じくヘッドがベコベコ(>_<)
お前なぁ・・・どのメーカーのドラムかは関係ない!!
ヘッドがこれではギターに弦の代わりに蘭州ラーメン張って弾いてるみたいなもんじゃろ!!(怒)
ここでまた「もう帰ろう(>_<)」と思ったのだが、
ふと見ると二つのセットのタムはそれぞれが同じサイズ!!
っつうことはどちらも裏のヘットは無傷!!
\(^o^)/・・・というわけで、ひとつの裏のヘッドを外してもうひとつの表に張れば上下とも無傷なタムとなるではないか!!!!!
両面ともクリアヘッドの薄い皮というドラムセット買った時の状態・・・
二枚皮のヘッドは単純に倍は高いわけで、コストの点でこうして売ってるのだろうが、
どちらも薄いということはその分音程が高い音となるということだ。
Pearlの人の話では今は亡きTOTOのジェフポーカロはノーミュートのこの状態であんな重い音を出してたと言うが、アクリル板の反響もあってやっぱバシャバシャとウルサイ(>_<)
しゃーないなぁ〜・・・というわけで初めて積極的にガムテープでミュート!!
そう、ミュートは音の長さを短くするために貼ると誤解されているようで、
だからあんだけベタベタ貼りまくって、結局全然鳴らなくなって喜んでいる(笑)
ミュートは「倍音を調整する」ために貼るのよ!!!
CSというヘッドがあるが、
これは今は亡きトニーウィリアムスが好んで使っていたが、
カランコロンと言いながら低音もしっかり出るヘッドである。
CSの黒い部分の代わりにガムテープを貼ってみる・・・
タム
フロアタム
バスドラはガムテープを貼ると叩いているうちにガムテープの粘着部分が露出して来てビーターがくっついてしまうので小屋にあったシールを貼る・・・
そしてついにこんなセットに!!
漢(おとこ)だねぇ・・・
いや、なかなかええ感じよ!!
ただ、3点セットであることと、口径の小さいタムであることなどからドラムプレイのアプローチはちょっと違って来る。
まあクラシックのピアニストが会場のピアノとセッションしてもプレイ自体がそのピアノに合わせて微妙に違って来るのと同じである。
少々プレイが変わったところで曲としては成り立つ。
ボンジョビにビルブラッフォードが入ったとしても何とかなるのと同じである(笑)
ただ、ライブが始まって発覚!!
ドラムんところが明るくなると、結果アクリル板に反射して鏡のようになり、
結果ずーっと自分の顔を見ながらドラムを叩くことになる(>_<)
クリックなんか聞いてると、ライブというよりはもうレコーディングな・・・
でもまあレコーディングだから熱い演奏が出来ないわけではない。
そんな中でのドラムソロ!!
この状況でもなかなかいいステージが出来た!!
もう何でも来い!!(笑)
ツアーはまだまだ続く・・・