
2016年1月 1日
邵雨涵(Shao YuHan)ファーストコンサート
ベーシストの王偉(WangWei)から突然振られたこの仕事、
「1月1日には武漢でドラム叩かねばならんのでそれに間に合うなら」
ということで受けたら、場所は北京ではなく江西省の新余(XinYu)というところであった。
これだけの数のバンドのメンバーを連れて行くのに何で聞いたこともないような田舎町なんだろうと思ってたら、プロフィールを見てなるほどなと思った。
彼女はこの街の出身なのだ。
つまり「故郷に錦を飾る」・・・
街を上げての大イベントだというわけじゃな・・・
バンドのメンバーは前日の30日の朝一番で現地入りしてるのだが、
ところがワシのスケジュールと言えば、
間違って取った航空チケットを何とか生かすために、
29日には大阪阪急淡路にあるアジア図書館というところで講演会を入れて下さったので朝いちは無理!!
・・・というわけでまず、
大阪から朝いちの便に乗って北京経由という無駄なルートで南昌というところまで飛行機で飛んだ。
北京で途中5時間という半端な乗り換え時間があり、
また地図ではすぐに見える南昌から新余(つまり赤いピンのところ)までは実は200km近くあり、
地元の人が車で迎えに来てくれたのだが、高速を走っても2時間以上かかる距離だったのもあって、
結局は着いたら夜中の12時近く(>_<)
会場に直入りしたらドッチキドッチキ音がすると思ったら、
音源に合わせてダンスと照明のリハーサルをしていた。
バンドはというと、回線の準備が間に合わないので明日の朝やると言う・・・
明日は本番だというのに歌手は夜中までダンスのリハやって声が出るのかなぁと心配したりしてみる・・・
そう、彼女はダンス系の歌手で、彼女の曲はほぼドッチキドッチキのディスコものかバラードばかりである。
ドラマーとしては非常に楽なので、
歌手にしてみればいくら自分のコンサートとはいえ、
いらぬ心配ではあるがワシだけちょっと楽して悪い気がしてきてしまったというわけだ・・・
次の日の朝は8時に起きてサウンドチェック・・・
いつものように用意されたドラムをチューニングして、
10のタムは音が高すぎるからイアンペイスセッティングにして組み上げるが、
なんと機材リストにはちゃんと載ってたツインペダルがない(>_<)
あのね、サブスネアやスプラッシュなんか要らんから、
ツインペダルがなかったらドラムソロ出来んでしょ!!
やるけど・・・(涙)
でもここでちょっと思いついたことがある。
中国は広いと言っても友達の友達をたどってゆけば、
たとえ初めて来たこんな遠い田舎町にでもツインペダルを貸してくれるドラマーが見つかるかも知れない。
WeChatでつぶやいてみたら何と一瞬にして見つかった(驚)
友達が多いとこの広い中国が「狭い」と思えてしまうから不思議である・・・
(ツインペダルを持って来てくれた新しい友人たち)
さて、彼らに何かお礼をしなければならないのだが、
とりあえずコンサートの招待券と、
「ドラムのスタッッフとしてドラムんとこから見せてあげるよ」
と言うと、
「知り合いのドラマーに是非そこで見させてあげて下さい」
と言うのでステージパスを発行してあげた。
恩を受けたら何倍にもして返しておかないと、
この国での貸し借りは一生もんになるので、
まあここまでやってあげたらドラマーとしては一生モンの「恩返し」だろう。
なかなか経験出来まへんでぇ・・・(笑)
かくしてコンサートは始った。
もうね、ダンサーが可愛いの!!
(ロック界の仕事でダンサーが入ることはほとんどない!!涙)
こうやって後ろから写真が撮れるということは、
この曲はカラオケでドラムがないということなの・・・
もう見とれてしまうわ・・・
ドラムを叩き始めると譜面をガン見になるのでダンサーは見れんが、
チラ見しながら一生懸命間違わないように叩く・・・
もうね、彼女の曲・・・ステージ降りても頭ん中ぐるぐる回って大変なの・・・
もうこれなんかね、1週間経った今でもぐるぐる回ってる・・・
「アーラレアラーレ」っつうのが中国語なので「アラレ」ではなく「アーラーレイ」なので、
それがまた耳にこびりついて離れない(>_<)
これにパラパラっつうかジュリアナっつうか(古い!!)ダンスが目にもこびりついて夢にまで出て来る・・・
いや〜よく出来てる曲だと思うぞ。
サビは4-1-5-6のコード進行なのだけど、Aメロは6-4-1-5で、
サビからAメロに戻る時にわざと1小節足らずにしてずーっとこの循環コードを続けるようにしてるとかね。
ステージ降りてもキーボーディストは自分が弾いてたフレーズをつい口ずさんでしまって苦笑いをしてた(笑)
打ち上げで彼女が乾杯の音頭をとる頃年が明けた。
中国では別に1月1日は「元旦」という一日の休日でしかないが、
それでも「Happy New Year!!」と大騒ぎが始まる。
「みんなはいいからね、私はイッキするわ!!」
なみなみ注がれたワインを何杯もイッキした彼女は、
酔っ払って各テーブルを挨拶に回る。
バンドのテーブルに来た彼女は赤ら顔でバンドのみんなに本当に丁寧に礼を言った。
「デビューして10年、皆さんのおかげで初めてソロコンサートを開くことが出来ました。
願わくば次のコンサートもこのメンバーでやりたい!!
皆さんまた私のことを助けて下さいね」
そしてワシのところに来た彼女、
「あなたはいいですから私はまたイッキします!!」
と言ってまたワインを飲み干し、
「Funkyさん、本当にありがとう。また私のバンドでドラム叩いて下さいね」
と言ってほっぺにキスして次のテーブルに向かった。
やりますとも!!ええ!!やりますともーー!!!!(笑)
頭の中にはまだぐるぐると彼女の曲が回っている。
「老百姓(LaoBaiXing:庶民の意)はこんなの好きだろうね」
というバンドのメンバーの発言から想像するに、
彼女はまだまだB級のスターなんだと思う。
しかし彼女が今年ブレイクして大スターになる可能性だって十分にある。
ワシはある日中国ロックや中国ポップスを聞きたくなって色々引っ張り出して聞いてたら、
中国人ならみんな知ってるこの曲や、この大スター達がほとんど自分の知り合いであることに気づいてびっくりした。
別にワシは有名人が大好きでスターと見れば寄って行ってるような人間ではない。
その大半の人間は出会った頃は黒豹を始めみんなペーペー、
出会った頃からスターだったのはBEYONDぐらいのもんである。
思えばワシは世間を騒がす運命を持っているようで、
10年前の映画音楽の大ヒットのように、
周りの人間がそれに巻き込まれてスターになったりするようだ。
(エンディングテーマを提供してくれた润土(RunTu)というラッパーは、
この映画のヒットにより一躍スターとなり、先日若くして病死した。
重慶に行った時「Funkyさん来てるなら是非ご馳走したかったのに」とわざわざ電話くれた・・・涙)
まあ直接的に影響を与えなくても、
しばらくぶりに会ったらスターになってたなんて話は掃いて捨てるほどある。
彼女もきっとすぐに大スターの仲間入りをするだろう・・・
ワシをドラムんとこに座らせて、
時々おまじない代わりにほっぺにチュッとするだけでよい!!
まあ「厄除け」ぐらいにはなるだろう(笑)
頑張れ邵雨涵(Shao YuHan)!!
お前にはこの「魔除け」が付いている!!(笑)