
2015年7月 7日
B-B-King追悼ライブ
B-B-Kingと言えばその昔(20年以上前)、
ハードロックカフェのこけら落としの時に呼ばれたというのが中国ロック界でのひとつの「伝説」である。
当時中国共産党はロックを目の敵にしていて、
こけら落としに呼ぼうとしたロックアーティストは全て許可が下りなかったが、
「ブルースは黒人の民謡」
ということで許可が下りたという話がまことしやかない伝えられている・・・
また、エピソードとしては
中国ロックの創始者「崔健(Cui Jian)」がそれを見に来た時に、
警備をしていた警察が彼を中に入れなかった。
「どうして中に入れてくれないんだ」
と言う彼に警察はこう答えたと言う。
「それはお前が崔健(Cui Jian)だからだ!!」
そんな話があったからかどうなのか、
あれから20年、確かにB-B-Kingはこの国の音楽好きにとても愛されてきたようだ。
5月18日、いつも張張とのトリオでライブをやらせてもらってる江湖というライブハウスで追悼ライブがあるというので行って来たが、
「へ〜」と思うぐらい満杯で客が入っていたのでびっくりした・・・
その時のメインゲストは中国ブルース界の大御所Big Johnこと張嶺(Zhang Ling)である。
そこに「犀牛(XiNiu)」というギタリストがいて、
「来月また何かB-B-Kingの追悼ライブやろうよ〜」
と言ってこの日のライブと相成った。
さっそくWeChatでグループを組んで情報が回って来る。
ご丁寧にこんなタイムテーブルまで・・・
试音时间表:
1、15:00-15:40 OOC
2、15:40-16:20 Little Inn
3、16:20-17:00 Blues Nation Revival
4、17:00-17:40 张岭(With Eric&Larry)
5、17:40-18:20 Blue flame
6、18:20-19:00 弥藏
7、19:00-19:40 Funky末吉&有希子(With 犀牛/张张)
演出时间表:
▲ 20:3-20:45纪录片
1、20:45-21:15 Little Inn
2、21:15-21:45 Blue flame
3、21:45-22:15 弥藏
4、22:15-22:45 OOC
5、22:45-23:15 Blues Nation Revival
▲23:15-23:25 祷告
本来ワシは19時に入ればいいのだが、
17時の張嶺(Zhang Ling)のところでもドラムを叩くと聞いていたので、
まあ遅刻するのも嫌いだから16時を目処に会場に入った。
このタイムスケジュールでは16時にはもう二つ目のバンドがリハをやってるはずなのだが・・・
誰もいない(>_<)
ワシは思わず「会場間違えた」と思ったね(笑)・・・
誰も来ないのでしゃーないから飲む!!
ちなみにワシはドラムを叩く前は飲まないのだが、
まあブルースはいいかな・・・てな感じでこの日は昼から飲む!!
WeChatで連絡を回したらほどなくして張嶺(Zhang Ling)が現れた。
人数は次第に集まって来たがメンバーは揃わないのでリハは出来ず、
とりあえず飲む!!
結局リハはしたのか?しなかったのか?のまま本番!!(笑)
いや〜客が集まったなぁ・・・!(◎_◎;)
この日は「商業的ライブではない」ということで入場料無料!!
とは言え、北京で2番目に大きなこのライブハウスが平日に満杯!!
しかも「ブルース」というアンダーグラウンドの音楽で、である。
まあ張嶺(Zhang Ling)も最近は歌を歌ってそこそこ有名人ではあるし、
まあそういう意味ではファンキー末吉の名前もそこそこはあるのだが、
所詮はワシらは「Musician's Musician」であり、
本当に音楽好き以外はその名前すら知らない存在である。
つまりこの北京という街には1000人を超える音楽好き、ブルース好きがいるということなのだ!!!(◎_◎;)
いや〜ワシはまずそれにびっくりした(笑)
ステージ上には有名歌手などはひとりもいないが、
アメリカ帰りの若いブルースマン達が本当に素敵なブルース、
敬愛するB-B-Kingのナンバーを歌う・・・
そして大御所登場!!
いやね、ワシがもう2週間以上経ってもこのブログを書こうと思ったのはこのドラマーである。
前回の江湖にも来てたのだが、
まあその巨体をパワーに生かすこともなく、
まあそんなに上手いドラマーではないのだが、
セッションが終わってそのまま酔い潰れてソファーの上に上向けで寝ていて、
その様子がまるで「人間」というよりは「山」だったので「むっちゃファンキーやなぁ・・・」と記憶に残っていた。
しかしこの日、彼が張嶺(Zhang Ling)の車に一緒に乗って来たこと、
そして吃りがあるのでよく聞き取れなかったが、確かに「我爸(私のお父さん)」という言葉を使ったことでワシの記憶が蘇って来た。
確か彼がまだ小学校の頃、スタジオ仕事で張嶺(Zhang Ling)が連れて来た子供、
それが彼だったのだ・・・
きっと知的障害があるのだろう、その時もちょっと会話がうまく成立しなかった・・・
「おう!!あの時のお前の子供!!」
ワシがそう言うと張嶺(Zhang Ling)は笑ってこう言った。
「そうなんだよ、ドラムやってればこうして親子で一緒にいる機会も増えるだろ」
ワシはこの言葉に非常に感激した!!
若い頃からワシは「上手くなる」ことだけを考えて目指して来た。
足手まといになる下手くそは切って来たし、
それこそ自分が切られないようにがむしゃらに頑張って来た。
ここまで来て自分の腕にある程度満足して来て、
それこそ上手くなったからこそ手に入れられる音楽的な喜びを多く知って、
今までのこの人生を間違ったものだと思ってはいない。
でも全く違う別の人生だってちゃんとあるのだ。
もともとドラムなんて楽器はワシみたいに「突き詰めよう」などと思わなければこんな簡単な楽器はない。
それこそ「誰にでも出来る」楽器であり、
そしてブルースは確かに奥が深い音楽ではあるが、本来は「誰でも一緒に遊べる」音楽ではないのか・・・
昔は第一線のスタジオミュージシャンとして、
「最近のヒット曲はドラムは全部Funky、ベースは全部張嶺(Zhang Ling)だよね」
と言われてた時代を経て、
「人の音楽はもうやりたくない。自分の音楽をやりたいんだ」
とCD-Bluesというライブハウスを作って後輩を育成し、
そして今はブルース歌手として、そして音楽界の重鎮として、
そして自分の育てたブルースマン達と一緒に親子でこうやって音楽を「遊ぶ」・・・
素敵な人生じゃないか、と思う・・・
彼の息子がドラムを叩くのは、アメリカ帰りの素敵なブルースマンEric!!
そこには「大御所の息子だから仕方ねぇなぁ・・・」などという感情はない。
間違えて拍子が裏返ったりするとドラムのところに行ってアピールする。
まあジャムセッションなどで酔っ払ったドラマーとかがよくある光景である(笑)
別に知的障害だからどうのということもない・・・
後半はいろんなミュージシャンが入れ替わり立ち代りセッション!!
ワシも呼ばれてステージに上がる!!
『ふぁんき〜!!!」
Ericなんかと違って歓声が野太いのな!!(>_<)
まあいい、ワシこそはMusician's Musician!!
おっさんの音楽ファンの心はワシが鷲掴み!!
・・・などと喜んでいたら、
「ようしーず〜!!」
ユッコ嬢が登場したら歓声がもっと野太い!(◎_◎;)
おいおい、おっさん達、お前らワシに虜なんとちゃうん!!(涙)
張嶺(Zhang Ling)までもがユッコ嬢をフィーチャリングしてツインベースセッション!!
おっさんファンの心はこれでメロメロ!!(>_<)
ワシのおっさんファンを取らないで〜(涙)
小畑秀光も頑張りました!!
真央くんも頑張りました!!
そして最後には「B-B-Kingのドラマー」としてステージに呼び込まれた外人ドラマー!!
誰?誰?そいで誰のツテ?・・・
ようわからんがきっと張嶺(Zhang Ling)の知り合いなのだろう・・・
かくしてB-B-King追悼ライブは大盛り上がりで幕を閉じた。
老いも若きも、日本人も中国人もアメリカ人も、健常者も障害者も全ての人間が無料でブルースを楽しめるイベント、こんな素敵なイベントが北京で出来たことにとにかくびっくりである。
B-B-Kingさん、極東の街であなたの音楽(精神)は立派に受け継がれております!!