
2014年3月13日
ゴーストライター
実はワシにもゴーストライターがいる。
と言っても仕事をいろんな人に振ってこなしてるだけで、
振ってる仕事が一番多いのはお隣の仮谷くんである。
制作を発注しても、結局は一番しんどい仕事であるクライアントとの詰めは自分でやらなければならないので、
時には「末吉のゴーストですと言って直接電話しろ!!」と言う。
まあゴーストが直接クライアントとやり取りすると既にもうゴーストではなくなり、
今後の仕事は直接クライアントからゴーストに行ったりするので「仕事を失う」ということになるのだが、ワシはあんまし気にしない。
中国で自分が音楽を手がけた映画が大ヒットしてしまい、
映画音楽を年に数本、テレビドラマを数本抱えている生活になった時、
ワシは迷わず仕事を若い衆に振った。
監督との詰めも全部振るので次からはそいつに仕事が行くことになるが、
そうやって若い衆が北京オリンピックの閉幕式の曲を作るまでなっても別段何とも思わない。
「今度会ったらしこたま奢れよ!!」
というぐらいである。
もともとワシはドラマーで、
毎日パソコンの前でずーっと音楽を作ってる生活など「無理」なのだ。
それが「本職」のヤツに任せればよい。
ところが人はワシのことを作曲やアレンジやプロデュースが「本職」だと思ってる人も多い。
「バンドのアレンジかぁ・・・だったらファンキーさんだな」
とばかり発注が来たのがちょっと変わり種の今回の仕事。
退職した老人達が、昔を思い出してバンドをやろうというもの。
その子供達はもう音楽大学などに進む立派な音楽家で、
そこから回り回ってワシのところに発注が来る。
「ファンキーさん、もう楽器もろくに弾けないしさぁ、
お金もあんまし出ないから簡単にちょちょいとやればいいからね」
と言うので、そのまま仮谷くんに振った。
ちなみにこの値段設定が難しい。
友人から搾取するわけにはいかないのでなるだけたくさんギャラをあげたいところではあるのだが、
今までの経験で言うと、そのままスルーして全部あげてしまうと、
結局は中国語と日本語の通訳だとか、最終的な直しや整合性を取るのに結局自分がタダ働きする羽目になるのだ(>_<)
まあ安い金ではあるが、「ちょちょいとやってくれれば」と発注する。
ところがこれがちょちょいとやると絶対に「直し」が来るのだ(>_<)
結局自分が出て行って直しをする羽目になる。
日本人なんだからどうしても中国人の痒いところに手が届かないのだ。
最後の詰めもいろいろややこしいので、
「そんなのリハーサルで詰めればいいじゃん」
と開き直る。
プレイヤー達の弾くフレーズを全部デモと譜面で指定するって実はあんまり意味ないのよねぇ・・・
各人が弾きやすいように変えてもらった方が全然いい。
「じゃあリハーサルに来て下さいね」
というわけで北京のお隣の河北省の省都、石家省まで向かっている。
自分が直した部分は覚えているが、
ゴーストが作った部分は知らないので、
今電車の中で一生懸命ゴーストが作ったアレンジを聞いて覚えている。
やれやれ、これじゃあどちらがゴーストなのかようわからんなぁ・・・(笑)