
2013年12月 3日
S君の童貞喪失物語
生まれ育った香川県の実家の2軒隣のS君
(これでほぼ特定されるので伏せ字にしても意味がないのじゃが)
と30年振りに京都で飲んだ。
不思議なことに彼とはお隣さんで同い年でありながら18歳くらいまで一言も言葉を交わしたことがなかった(不思議)
後で聞くところによると、毎日素振りや空手の練習や、硬派一筋のS君は、
隣でバンドなんかをやってチャラチャラしているワシを「いつかシメてやる」ぐらいに思っていたとかいないとか・・・(笑)
それを聞いたのは、そこのお母さんが自宅でスナックをやっていて、
高校3年生の頃からそこに飲みに行ってたからだ。
硬派一筋のS君はもちろん酒など飲まず、
初めて一緒に飲んだのは大学1年生の夏休み、
その頃から何故か一気に仲良くなった。
ワシの家はいつもカギをかけてなかったので、
夜中とかにもよく友達が遊びに来たりしていたが、
その夜はS君、コンドームを握りしめて夜中にワシの部屋にやって来た。
「末吉!!ナンパしに行こう!!」
何故AIDSもない時代にコンドーム?・・・
何が硬派一筋の彼を変えたのかはよくわからないが、
彼はその日に童貞とおさらばしようと心に決めてやって来たのだ。
彼から見たらバンドなんかやってて練習場に女子高生なんかたむろしている軟派な末吉に頼めば何とかなると思ったのだろうが、
ワシは当時付き合っていた彼女はいたがナンパというのはしたことがなかった。
「ディスコ行こう!!ディスコ!!」
S君はやる気満々であるが、
ワシは背伸びして隣のスナックで飲むぐらいが関の山で、
そんなところにもあんまり飲みに
行ったことがなかった。
基本的にダンスなんて・・・踊れんがな・・・(>_<)
その頃オープンしたディスコにフィリピンバンドが入ってて、
「おい、やっぱり外人のバンドは上手いぞ」
とか仲間内で噂になってたディスコには一度行ったことがあるので仕方なくそこに二人で向かった。
バンドはもう入ってなかった。
ワシはちょっと落胆したが、S君はもうギラギラを女の子を物色している。
フロアで年の頃は同い年ぐらいの2人組の女の子が踊っていたのを見つけたS君、
いきなりワシの首根っこを捕まえてこう言った。
「末吉!!おったぞおったぞ!!あれをナンパしてこい!!」
ナンパして来いと言われたって基本的に踊りが踊れん(>_<)
ダンスと言うよりは猿が身体を動かすような風体で二人に近づいてゆくと、
当然のように一瞥されてあっちを向いてしまう。
猿の風体でS君のところに戻ってゆくがS君は絶対に許さない。
「末吉!!こらお前!!この根性なし!!」
と、とにかく怒気が凄い・・・
仕方なくワシはまた猿の風体で女の子に近づいてゆく。
ワシはやっとの思いで声をかけた。
すると女の子は思いもよらない一言をワシにぶつけた。
「あんた平和園の息子さんやろ!!」
げっ!!・・・ワシは猿の風体で踊りながら後ずさりした。
平和園とはうちの実家の中華料理屋の名前で、
彼女がバイトしていたステーキ屋さんに家族で食べに行った時に店長さんから説明されて記憶にあったらしい。
「S君、あれはいかん!!面が割れとる!!他のんにしよ!!」
ワシはそうS君に懇願するのじゃが、夜も更けていて女の子は彼女たちしかいない。
S君は拳を握りしめてワシを威圧して来る。
殴ろうとしたわけではない、
その拳の中にはコンドームが後生大事に握りしめられているのだ。
仕方なく猿のダンスでまた女の子に近づいてゆく。
S君も今度は一緒に来て二人に話しかける。
ワシは面が割れてるので基本的にまるでやる気がない。
「さ、もう帰ろうかな・・・」
わざとそのように持ってゆくがS君は
「飲みに行こう!!」
と必死である。
飲みに行こうったって当時の田舎町はそんな真夜中に飲める店などないのだ。
4人でディスコを出た。
ワシの足は既に家路へと向かっているが、
S君はひとりの女の子を連れて先へ先へ進み、公園の中に入っていった。
公園の中ではぐれたワシらふたりは芝生に寝転んで話し込んでいたが、
何かの雰囲気で彼女がこう言った。
「ねえキスしたことある?」
げげっ!!・・・
小心者のワシである。
面も割れてて、こんな狭い街で自分の付き合っている彼女にでも知れたらと思ったらまるでそんな気になれない。
のらりくらりとかわしていたら
「私に魅力がないんや・・・」
とついに彼女が泣き出した(>_<)
いや、それはそうなのだが・・・
「いやそんなことは・・・」
と言いながら必死でなだめる。
さんざんなだめてやっと泣き止んでから
「じゃあ帰ろうか」
ということになった。
散々である。ワシは家に戻ってベッドに倒れ込んだ。
疲れた・・・
うとうととし始めた頃である。
朝方ガタンとドアが開いてS君が入って来た。
顔は一面の笑顔である。
「末吉ぃ!!やったぞ!!ついにやったぞ!!」
ワシはげんなりである。
S君はそれから延々と自分の初体験をこと細かく説明した。
聞けば相手も初めてだったと言う。
そして最後にこう言ったのだ。
「そいでなぁ、終わってからなぁ、ポケットに千円しかなかったからそれ渡したんや」
えっ?!!!
初体験で青カンなだけでも「変」やのに、
風俗も行ったことのない男がどうしてその相手に金を渡す?!!
この辺は夕べ飲みながら本人に聞いてみたが、
本人もどうしてなのか皆目見当がつかんらしい。
面が割れてない自分を守るために後腐れがないようにしたかったのか、
もしくは純粋に「お礼」の気持ちだったのか・・・
ワシは次の日隣のスナックに飲みに行って、
お母さんに事細かにこのことを全て報告したことは言うまでもない。
まだAVも無かった頃、
エッチな映像を見ようと思ったらヤクザかなんかが主催する「ブルーフィルム」を見るしかなかった時代、
情報と言えばせいぜい「エロ本」ぐらいしかなく、
誰かが1冊でもエロ本を持ってたらそこに友人が全員集まって来るような時代・・・
当時の18歳はこんな「青春りっしんべん」を繰り広げていたんやなぁ・・・シミジミ・・・
聞けばS君のお兄さんが香川県の宇多津という街でライブハウスをやっているらしく、
話のはずみでワシは正月高知に里帰りするついでにそこでライブをやることになった。
小畑秀光を連れて行って、
ベースは「エアバンド」なるものをやっているワシの息子に弾かせてみよう(笑)
S君もお母さんも来るというので、
MCはきっとこの話で持ちきりになるであろう\(^o^)/
ファンキー末吉 TALK & ひとりドラムLIVE (ゲスト小畑秀光Gt.Vo.とド素人の息子Ba.)
1月4日(土)開場5時半開演6時
場所:香川県宇多津Kesera
チャージ3000円(1ドリンク付)
偶然ながら三井ぱんと大村はんも出たことのある店らしく、
「骨付鳥」がむっちゃ美味しいそうです〜
ps.このお話はS君の許可を頂いてUPしております〜
S君、「酔った上のことや〜頼むから消して〜」言うても消さんで〜(笑)