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2011年8月 5日

サーディンディンのアレンジ

アウェーインザライフの仕事で2ヶ月日本に滞在した張張
彼を日本に呼ぶ時にワシはわざわざ彼のお父さんの前で彼にこう言った。

「生き馬の目を抜く芸能界で、
お前が2ヶ月この北京から姿を消した時点で、
今の仕事は全てもっと若いミュージシャンに奪われてしまって、
帰って来た時には本当にゼロからのスタートになってしまうに違いない。
でも俺はお前は日本に来て勉強出来ることがたくさんあると思う。
今の地盤を全部犠牲にしても有り余る経験を俺はさせてあげられる。
北京に帰ったらまたゼロからやり直すんだ。
今の地盤にしがみついてこのまま終わっていくか、
それともそれを今全部捨ててゼロからやり直すのか、
それはお前の人生だ、お前が決めろ!!」

彼は二十歳の頃から酒場で超絶ピアノを弾いて両親を養っている。
それを知っているからこそワシは敢えて彼の父親の前でこれを言ったのだ。

彼は結局ワシの申し出を呑んで、
その結果、その仕事が終わって北京に帰って、
仕事を失うどころかよりステップアップしていろんな歌手が彼を求めた。

そのひとりが雲南の少数民族の歌手、高洪章であり、
そして今回の萨顶顶(サーディンディン)である。

あれから長らく張張は彼女の仕事をやっていることは知っているが、
今回「助けて下さい」とワシにストリングスアレンジの発注が来た。

まあ日本人にしてみたら不思議に思うかも知れないが、
ワシはもう既に中国では数十曲ストリングスアレンジの仕事をやっている。

パソコン等機械を使ってだけ音楽をやっている音楽理論の「いろは」も知らない輩が
「僕はアレンジャーです」
と胸を張っている現状に怒りを感じてワシは独学でこれを習得した。
今ではワシの生活を支えるひとつの「仕事」である。

「何でも出来るっつうのは何にも出来んっていうことやで!!」
というのがワシの座右の銘で、
だからこそ
「ドラムを極めて墓場に行きたい」
という人生を送っているのではあるが、
ある日、朋友二井原から
「何でも出来るっつうのは、ほんまに何にも出来ん人に比べたら素晴らしいことやで」
と言われてからそっち方面にも胸を張って頑張れるようになった。

張張もよほど困ったのだろう、
「この曲のストリングスアレンジをファンキーさんに頼みたい」
と言って来た。

まあワシもその辺の日本人の似非アレンジャーに比べたら経験はあるが、
所詮はドラマー、「その道のプロ」ではない。

しかし張張はどうしてもワシに頼みたいと言う。

まずは大雑把にアレンジして張張に送りつける。

「これでいいのか悪いのか?
あんましめんどくさいと俺、やらないよ?」

ワシとて「ヒマ」な人間ではないのだ。
北京のあらゆる歌手が全て「めんどくさい」人間であることは
ワシこそが世界で一番理解している「外国人」である。

彼曰く、
「いやー、ちょっとOK出ないと思いますねえ。
ちょっと昔ボツになったアレンジのDEMOを送りますから、
それ聞いてちょっと作り直して下さい」

ワシ曰く、
「そんなつもりはない!!あかんかったらお前がやれ!!
俺はもともと人助けでやっとんのじゃ!!
何日もそれに付き合うつもりはない!!」

まあそう言われれば一番板挟みになって困るのが張張なのであるが、
結局そのまま本人に聞かせたら何とストリングス部分はそのままOK!!

ただ、今までのように打ち込みを使ってバッキングを作るのではなく、
「久石譲のようにピアノでバッキングを作ってくれ」
と言う。

まあ日本のロック界でもいろいろ逸話はあるが、
ワシも例に漏れず、
「彼女は世界的な歌手なんでしょ、
久石さん紹介したげるから彼に頼めば?!!」
と無下に電話を切ろうとしたが張張は切らせない。

「ストリングスとピアノだけで全ての人が涙するように持って行って欲しいんです!!」
と涙ながらにそう言う。

中国にはワシの友人でもある「三宝(sanbao)」というその辺の大家がいる。
「そいつに頼めばぁ・・・」
と言うのだが、どうしてもワシにやって欲しいらしい。

ここまで来るとワシは専門外も甚だしい。
しかももともとワシへの発注は「ストリングスをアレンジして欲しい」ということで、
それがOKになってるのだから仕事は終了!!
早くギャラくれ!!飲みに行く!!てなもんである。
ピアノだ何たらワシへの発注外であるし何より「専門外」である。

ところが張張が作った何バージョンものDEMOが全部ボツになる中、
ワシが作ったDEMOがその歌手本人の琴線に触れたらしい。

「あなたの作ったストリングス、ピアノ、全て素晴らしい!!
願わくばイントロもそれでやって最後のサビもそれをやって欲しい!!」

まあこのように書いていれば、
日本の皆さんは「え?末吉さん凄いなあ」と思うやも知れないが、
何のこっちゃない、中国は「採用されて初めてギャラ」なので、
とどのつまり「いいように使われてるだけの話」である。


聞けば彼女は中国の歌のコンテストでグランプリを取って、
流行歌でデビューして成功せず、
流行のディスコを歌って成功せず、
ルーツに戻って民族音楽を歌って世界的に成功した。

だから「変なアレンジャー」に自分の人生を任せるつもりはないのだ!!

彼女は僕にこう言うんですよ。
「この曲はね、私がモンゴルの大草原に行って作ったの。
あの感激をね、メロディーにして歌ったの。
だからアレンジも同じ感動にして欲しいの」
もうやってられませんよ。

大事なのは彼女の「気持ち」を理解してあげること、
そしてそれを「表現」してあげること。

「久石譲のように」と言っても、
本当に久石さんを呼んで来たところでそれが出来るものではないのだ。

彼女はとにかく歌が上手い。
DEMOのボーカルトラックを聞いただけで涙が出て来る。

人にはそれぞれ「人生」がある。
それをどうやって表現してゆくかは人によって違う。

奇しくもワシはドラムによってそれを表現し、
彼女はそれを歌によって表現した。

とどのつまり「同じ」なのである。

最終的にどうなるかはわからないが、
とりあえずワシは明日命がけでこれを完成させる!!

それは彼女のためでも張張のためでもない。
「このミッションがワシをまた高い所に連れて行ってもらえるなら」
それにまさるものはワシの人生にはないのだ!!

こんな素晴らしい「音楽家」が間接的ではあれワシに助けを求めてて、
ワシが明日一日頑張って、もし彼女がまたそれを「素晴らしい」と言ってもらえたら、
それはひとりの「音楽を愛する者」としてこんなに素晴らしいことはないのではないか!!

そんなことを言いながら、
今日は酔っぱらったのでもう寝る。

明日ちょっと一生懸命やってみようと思う!!

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