
2011年3月28日
息子が「音楽家になりたい」と言うワケ
嫁がブログを見てこう言った。
「あんた、何でこの子がこんなこと言うかわかる?
パパの生活見てたらな、毎日遊んで酒飲んで、
これで金稼げるんやったこんな楽な商売はないなと思てんねんで!!」
ぎゃふん・・・
まあ嫁も「パパは若い頃はとても貧乏で苦労したのよ」とか、
「売れてる時は稼いだけどそれ1年で全部使っっちゃってね」とか、
まあいろいろ言い聞かせはしたらしいが、
基本的に家にいる時は「イクメン」だし、
いなくなったら北京で酒飲んでるみたいだし、
たまに店でドラム叩いて酒飲んで、
子供から見たら「何と楽な商売なんだろう」と思うのかも知れない・・・
つい先日、爆風銃のかんじさんのレコーディングの手伝いをした。
ファンキー村の子供達を集めてとある企業の音楽に子供の声を入れるのだが、
まあ仕事というのはよくある話で「クライアント」というのが一番めんどくさい。
まあ金を出してるんだから一番口を出して当然の立場なんだから仕方がないが、
そこと意見を調整しつつ、音楽家として自分を表現してゆくのは至難の業である。
かんじさんの娘も
「私・・・音楽やろうかな・・・」
と言い出してかんじさん絶句したらしいが、
「かんじさん、クライアントとのやりとりも全部見せたったらええんや、
絶対そんなこと言い出さんから」
と笑いながら言ってやった。
実際「仕事」は「仕事」、「音楽」は「音楽」で、
「音楽」だけやってたら楽しいものではあるが、
それを「仕事」にしようと思うとこれがなかなか大変である。
まあどんな職業でも同じなのだろうが・・・
ワシの場合、最近その辺をちょっと「悟った」ところがあるらしく、
なるほどそれでここ数年仕事のストレスというものがない。
先日北京のBeiBeiの仕事で意見を求められた。
「ファンキーさん、この曲ねえ、どうもこのコード進行がよくないと思んですが、
それ変えると歌手の人が怒るんですよ・・・」
ワシが聞いた感じ、
別にそのコード進行はそんなに素晴らしくもないが決して悪くはない。
シンガーソングライターで自分がこだわってこだわってこれにしたんだから、
そりゃちょっとでも変えられたら満足いかんじゃろう。
「お前なあ、これはお前の音楽じゃないんだからそのコード進行変えてどうする?
この歌手、いや本人が金出してんだからクライアントだ、
それがこのコード進行と歌でアレンジしてくれと言うとる、
お前の仕事はキャッチーなイントロ作って、
このDEMO段階よりも数倍のクオリティーでレコーディングすることだろ。
それが仕事だ!!」
どんな険しいミッションでもそれを実現する、
ゴルゴ13のようなプロフェッショナルを人は求めている。
それだけなのだ。
反面、金をもらわない仕事(そっちの方が断然多いのだが)なんかでは、
「お前なあ!!そんなクソみたいのやってて恥ずかしくないのか!!
これだ!!これをやればお前はもっと高い位置に行ける!!
やらなきゃお前はずーっとこのままぺーぺーのままだ!!」
とやる。
だいたい金ももらってないのに我慢する必要はない。
自分の信じる音楽で最高のものを提示して、
それを採択しないヤツは勝手に潰れてゆけばよい。
まあ中国ではこうして半信半疑で信じたヤツがみんな成功してるんだから、
「あの貧乏村には音楽仙人が住んでいる」
とか噂になったりするわけだ。
別に霞食って生きてるわけでも何でもない。
その分しんどい仕事もいっぱいやっとるから生きてられるだけの話である。
息子よ、パパは既にもう好き勝手生きている。
お前を養ってやれるのもあと数年である。
お前は学校を卒業したらパパよりしんどい目をしながら、
弟をはじめ家族の面倒を見てゆくのぢゃ!!
は、は、は、後悔してももう遅い!!
運が良ければ楽しい人生があるかも知れんが、
だいたいはいばらの道であろう!!
死ぬほど頑張るか、
もしくは早めに路線変更するがよい!!
は、は、は!!