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2009年4月 5日

飲んだ飲んだ

突然香港からJamesがやって来たから大変である。
10年ぶりの北京と言うからいろんな人を紹介してくれと言う。

ちょうど日本から大友さんが来てたし、
日本人エンジニアのKeizoなんかも呼び出して市内で外食。
普段貧民街から出ないのでこれはワシにとってもいいチャンスである。

毎日北京ダックとかおいしい物を食べさせて「アワビ話」満開!
今回のツボは、

「その後そのアイドル、新しい名前がついたネ。
コンサートで誰かが叫んだ。
黒アワビ!!
それから全員が彼女をそう呼ぶ・・・。黒アワビ!!」

初対面の大友さんKeizoは抱腹絶倒。
次には何か一緒に仕事出来ればいいね。

ところがこうして私が夜な夜なおいしい物を食って酒を飲んでる時にも、
梁棟(Liang Dong)はひとり院子に残ってドラムの練習。
ワシは午前中は彼に説教し、午後はリハーサル、夜は飲みの毎日である。

「あいつなあ・・・全然進歩しないんだよ・・・どうしたもんかなあ・・・」
ロック村の村長である老呉(ラオ・ウー)に相談してみる。

「あいつはダメだよ。思考が間違ってる。
つまりあいつは焦ってるのさ。
早く習得して有名になりたい、金を稼ぎたい、
親戚のLuanShuみたいに成功したい、
そんな気持ちがある限り無理だよ」

「そうだなあ・・・俺も中国人ミュージシャンは少し焦り過ぎていると思う。
みんな顔に金って書いてるようなもんだ。
まあ周りがみんな金持ちになって何で俺だけって気持ちがあるんだろうなあ・・・」

「その通り。
俺達を見てみろ。
布衣楽隊結成して今年で14年。
今だに成功してない。
でも俺達も何か迷った時にはお前の生き方や、
お前の友達、盲人ギタリストやXYZのボーカルなんかのことを思い出して物事を決めるんだ。
中国人の全てのミュージシャンは周りにそんな人間がいないからな。
中国の古い物語でこういうのがあるんだけど、
達人に人が物を教えて下さいと来る、
達人はでは私と3年暮らしなさい、
その間一切何も教えない、
たいがいの人間はその3年が我慢できなくて逃げて行ってしまうけど、
ども実はその3年の間に実はその奥義の多くは既に伝えてあるんだ、
3年我慢できた人間は
その後にちょっとしたことを教えるだけでびっくりするほど進歩する。
つまり奴はまだ教えるには早いのさ」

深いなあ・・・

明日は日本に帰るというその日。
LuanShuはここぞとばかりドラムのレコーディングをブッキングする。
また悪いことに1曲目は叩きまくりのロックスタイルである。
ツーバスを使ったテクニカルなフレーズに梁棟(Liang Dong)の目はらんらんと輝いてる。

「お前なあ・・・こんなもんいくら練習したって金にならんぞ!
一番金になるのは最後に5分で叩いたバラード!
一度曲を聞いただけで曲の全てを把握し、
Aメロはこの強さ、Bメロはこの強さ、サビは一番盛り上げて、
一打たりともその強弱、打点の揺れがない。
そして歌心な!!
それが出来たら中国じゅうの仕事は全部お前のもんだ!!」

つまりは毎日院子で練習させていることだけである。
理解してるのやら理解してないのやら・・・

レコーディングは夜中に終わり、そのままLuanShuらと朝まで飲む。
これも久し振りのことである。
事情を話して彼らからもうまく説明してもらう。
非常に熱心に聞いてて頭では理解してるんだろうけどダメなのである。

アルコールも回り、最後にワシは業を煮やして怒鳴りつける。
「明日は午後の飛行機で日本帰って、
月半ばにまた北京帰って来るけど、
明日の午前中に最後にもう一度叩いてみて、
それでもこんな簡単なこと出来ないんだったら、
もう次から来なくていい。
お前には無理だ!!」

梁棟(Liang Dong)はもう泣きそうである。
ワシはもう知ったこっちゃない。
別にワシが惚れ込んで教えてるわけでもないし、
もともとはBeiBeiのツアーのためにやってやってるわけだから、
人助けのためにまた人助けしてるようなもんである。

酔いつぶれて寝てドラムを叩く夢をみる。
ここ数日毎日ドラムを叩いてたからなあ・・・

しかし目が覚めてみると
それは隣で練習している梁棟(Liang Dong)のドラムだった。
「なかなかいいじゃない。
それでいいんだよ。やっとわかったか」
遠慮なく誉めてやる。

「ま、これを1年も続けるとお前もいっぱしのドラマーになれるよ」
と言うと、
「い、1年もやるんですか・・・」

ダメだこりゃ・・・

空港まで送って行ってくれた老呉(ラオ・ウー)が言う。
「ま、次に戻って来た時にはまたもとに戻ってるだろうよ。
今はやっとのことで心が平静を保っているけど、
またしばらくしたら焦りが頭をもたげてくる。
同じことだよ」

ワシもそう思う。
改革開放が進むバブル真っただ中の中国で、
真の意味でのロックをやってゆくのは難しい・・・

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