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2010年3月27日

布衣ライブat彊進酒

この日は布衣のライブがあるというので駆り出されて行って来た。
「ドラム叩いた後、酒を飲みたいだろ?」
というわけで2部制の第1部にドラムを叩いてくれということである。

昼間は院子の彼らのリハーサル室でリハーサルをやっていたので、
「ほな君らの終わったら教えてちょ」
と言っておいたのじゃがいつの間にかリハーサルが終わっていた。

「別にお前はリハなんかいらんじゃろ」
ということである。

日本では数曲老呉(LaoWu)と一緒にやったが、それ以外の曲はほぼ2年振りである。
果たしてまだ覚えとるんかと心配していたが、
やってみるとこれがなかなか覚えておるもんじゃ。

また、他の楽器が次にどんなパートに行くのかは、
その音を聞いていれば何らかの変化があるので、
注意深く聞いていればほぼ間違いなく叩くことが出来た。

ふむふむ、ワシも納浩一のレベルまで来たかな・・・(ウソ)

客は超満員!!

出世したなあ・・・

とくにびっくりしたのが、羊肉麺なんかもう全員が大合唱しとる・・・

今となればこの曲は彼らの代表曲となってしまったが、
思えばあの頃は彼ら自身は私が書いたこの曲をあまり気に入ってなかった。

いや気に入ってないというよりも、
「自分たちのものではないから違和感がある」
というものなのであろう。
レコーディングして、初めてこの店でこの曲をやるかやらないかの時、
ワシはギタリストの張威(Zhang Wei)にこの店でこう言った。

「俺はな、日本では既に数百曲の楽曲を世に送り出している。
自分の中ではどれも自分の生み出した子供みたいなもんで、
どんな曲でも平等に可愛いのだけれども、
その中でもヒットしている曲もあれば全然ヒットしてない曲もある。
でももう数百曲も子供がいると、
生まれた瞬間にこの子供が優秀かどうかわかってくる。
何か大きな生命が生み出される時にはそれがわかるもんなのさ」

それでも張威(Zhang Wei)はやっぱりずーっとこだわりがあったようだ。
ただひとりボーカルの老呉(LaoWu)だけがそれを信じた。
人の歌なんか歌ったことのない彼が、
毎日ギターを弾いてこの曲を練習していた。

老呉(LaoWu)があの時ワシのことを信じなかったら、
全面的にワシに委ねなかったら、
恐らくこの曲はこれほど中国に浸透することはなかっただろう。
レコーディングしてそのまま捨てられる子供で終わっていたのだ。

打ち合わせも兼ねてライブを見に来てたデブのキーボードが感激してこう言った。
「すんげーなー・・・布衣の現在の代表曲って2曲ともファンキーさんの曲じゃないですか・・・」
まあ1曲は映画音楽を歌ってもらってその映画がヒットしただけじゃが、
この羊肉麺は「老呉(LaoWu)のボーカルを何から何までわかって書いたとしか思えない」と言う。

厳密に言うとそれは間違いである。
そりゃいっしょに貧民街で暮らしてるんだから彼のことはよくわかっているつもりだが、
これは実はワシが彼に「合わせて」曲を書いたのではなく、
彼が「ワシの表現したいもの」に全面的に「身を委ねた」だけなのだ。

こうやって人の能力に素直に身を委ねられるアーティストと、
ひたすら我が道をゆくアーティストがいる。
前者が老呉(LaoWu)で、後者が張威(Zhang Wei)であるというだけで、
別にそれがどちらが正しくてというわけではない。

老呉(LaoWu)はワシと縁があったというだけのことである。

ライブが終わっていつものように店の奢りでビールを飲み、
新加入の若い布衣のドラムで2部を見終わった後、
老呉(LaoWu)がワシにそっとギャラを渡した。

500元!!!
貧民街ならじゅうぶん一ヶ月ぐらい生活出来るではないか!!

数年前には1日に3本ライブハウスをブッキングして
全部でみんなで50元しかもらえなくてビール代にもならなかったバンドが、
今やひとり500元ももらえるようになったのか・・・

老呉(LaoWu)のおかげで羊肉麺が生命をもらい、
羊肉麺のおかげでバンドがメンバーの生活に生命をもらえている。

素晴らしい!!

中国のロック界もまだまだ捨てたもんじゃない!!

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