ひとりドラムの軌跡

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爆風スランプトリビュートアルバム WeLoveBakufuSlump

2009年3月18日

汪峰のレコーディング

久し振りの北京でのレコーディング仕事。
オリンピックもあり、金融危機の煽りもありで、
音楽業界はしばし沈黙状態であったが、
ここに来てまたぼちぼち活動が活発化し始めたようである。

汪峰と言えば中国を代表するロック歌手であるが、
バンド出身というのもあり、自分の音楽は自分で全てプロデュースする。
ドラム録音でこれほど意見を言う歌手は二井原実か彼ぐらいであろう。

もちろんブッキングも彼自身が自分でやる。
日本にまで電話かけて来て
「いつ帰るんだ?!それじゃあ間に合わない」
とすったもんだあったが、
結局ワシが帰るまで待っててくれたんだな、と思ったら、

なんと既に録音してあるドラムをボツにして録り直すのであった!!

それほどまでしてワシのドラムが欲しいのか!
それほど他のドラムでは満足出来ないのか!

ドラマーにとっては嬉しいことこの上ないことである。

WangFengRecording.JPG

写真右は彼んとこの若いアレンジャーなのじゃが、
これがよくある話でなかなか要求が難しい。
「ここでハイハットを裏で踏んでくれ」とか無理難題が来るのじゃが、
それは彼らの世代ではドラムマシンしか知らないのでこうなるのである。
謹んで無茶な要望を実現してあげる。

パンチインを繰り返しながら最後まで録り終え、
「じゃあこれキープして最初っからもう一度叩いていい?」
これもいつものやり方である。

だいたいにしてドラムというのは、
このように頭を使って叩いても結果がよくないものである。
OKになったオカズももう身体が覚えてしまっているので、
ステージでのライブ演奏のように最初っから最後まで一気に叩く。

「ファンキー!!最高だよ!!」

汪峰がガラスの向こうで叫ぶ。
「本当はこう叩いて欲しいのに」と思ってるアレンジャーも、
プロデューサーが大満足しているのに文句は言えない。

2曲目は最初っから最後まで思い通りに叩く。
もう誰も文句を言わない。
あっと言う間にレコーディングが終わった。

「次はいつ北京にいるんだ?」
別れ際に彼が聞く。
これはすなわち「またドラムをお願いしたい」ということじゃが、
実はドラムはもう既に全部録音し終わっていることをワシは知っている。

既に録音が終わっているオケというのは、
そのドラムのヨレに合わせてリズムが微妙に揺れているので難しい。
自分のリズムで同じようにヨレながら叩いてやらねばならないからである。

中国広しと言えどこれが出来るのはワシぐらいであろう!(自慢)

それにしても汪峰の曲というのは悪く言えばどれも同じ、
よく言えばひとつのスタイルが確立している。
帰り際にはサビのメロディーが頭に残って離れないということはキャッチーであるということでもある。
人のことは言えないが
「よく同じリズムで同じコード進行で曲が作れるよなあ」
ってなもんである。

このアルバムもまた大ヒットするのであろう。
また中国のロックの名盤に参加してしまったという実感である。

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