ひとりドラムの軌跡
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2009年12月17日

ドラムセットを持ち込んだ

日本ではだいたい全てのライブは自分のセットでやるが、
中国では持ち込まないのが普通である。
リハーサルスタジオは機材リース会社を兼ねており、
ここでリハーサルをするということは即ちここに機材を使うということである。

北京には3つこのような会社があり、
そのひとつはオーナーがドラマーなのでよいが、
あとのふたつの場合ワシはそのドラムをあまり信用していない。
特にワシはパールのモニターなので
その会社の一番のドラムセットがパールとは限らないのでなおさらである。

VisionGreenDrumkit.JPG

持ち込んだこのセットはパールのVisionシリーズ、
中国のパール工場が作った初の国内流通バージョンである。
ワシはこのシリーズの宣伝で全国を廻っているのである。

今回ドラムセットを持ち込んだのは、
このスタジオが用意してくれるパールのセットが必ずしもいいものとは限らないのもあるし、
ドラムより大切なヘッドがちゃんとしてない可能性もあるし、
チューニングがぐしゃぐしゃである可能性もあるし、
でも何よりも今回の歌手が「アンコールでドラムソロをやりたい」と言い出したからである。

勇気あるなあ・・・
いくらワシがギターやピアノの心得があってもアンコールでソロをやらせろとはよう言わんもんなあ・・・

まあ自分のコンサートである。
やりたいことは全部やればよい。
当日はドラムセットを2台用意して、
アンコールでは彼がドラムソロをやりながらせり上がって来るということで、
それをサポートするために自分のドラムセットも持ち込んだのである。
当日はワシは自分のセットを、
彼はこのスタジオが用意したセットを叩くことになる。

叩けるというレベルでもないドラマーにソロが出来るのか?!

・・・出来るのである。
ワシが手取り足取り教えてやろう。
ドラムソロとは即ちパフォーマンスである。
ワシがやるなら難度の高いパフォーマンスが求められるが、
歌手が叩くのに難度は必要ない。

Wingを見てみろ!!
ワシが2時間一生懸命ドラム叩いて、
アンコールで出て来てちょこちょこっとドラム叩いただけで観客の全てを持って行ってしまう。

ドラムはやっぱ顔やでぇ・・・

彼は中華圏で一番のドラムスター、
今は歌を歌っているが、彼がドラムを叩いてくれさえすれば客はそれでいいのである。
しかも彼はショービジネスの世界でいろんなことを知り尽くしている。
彼のドラムソロを手本にして組み立てればそれでよい!!

まずせり上がって来る時にはスネアの連打。
上がり切ったらそのままタムに移動し、
フロアタムまでいったらいきなりツーバスとシンバルで乱れ打ち。

「難しくないか?」
歌手は心配そうに聞くが、
お前がやりたいような複雑なリズムソロは、
テクニックが必要な上に出来たとしてもそんなに効果がない。
ツーバスとシンバルの乱れ打ちぐらい実は誰でも出来るのだ。

そしてゆっくりした速度からシンバル+バスドラ、
そしてスネア、
これを交互にゆっくりから始め、速度をじょじょに上げて速くする。
これだけで観客は狂喜乱舞よ!!

「こんな簡単なことで?」
歌手は心配そうに聞くが、
「じゃあ俺がWingのドラムソロをそのままやってやろう!!」

Wingはこの辺のことを知り尽くしているので、
彼はバスドラ+シンバルではなくスネア+シンバルである。
その時に同時に首も振る。
タンというのを身体ごと打ってるような感じですな。
これをゆっくりからだんだん速くしてゆく。
そして最後にバスドラも交えて乱れ打ち。
客は狂喜乱舞よ!!

「わかったか!!ドラムは所詮は顔よ!!
お前はWingに負けず劣らずルックスがいいんだから絶対に出来る!!自信を持て!!」

なんか言えば言うほど悲しくなって来た・・・

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