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2014/04/18

元クリスタルキング同窓会ライブ

去年のブログでクリスタルキングのことを書いた。

ドラムのケン坊さんがワシにバトンを渡してくれたからこそ、
ワシは何とか今でも破産宣告もせず、犯罪に手を染めることもなく生きている。

九州に行った時はいつもこのよきアニキ達を訪ねて行ってたし、
そんな関係でケン坊さんも紹介されて一緒に飲んだ。

クリキンの人達は恩人であり、よきアニキであるのと同じように、
ワシにとってはケン坊さんも全く同じく恩人でありよきアニキである。

そんなアニキが癌になったと聞いた。

元クリスタルキングのメンバー、サポートメンバーが集まって同窓会ライブをやろう!!
ということになってワシにも声がかかった。

体力的には難しいだろうが、ケン坊さんにも数曲叩いてもらい、
歴代のドラマーも全員呼ぶからお前も何曲か叩け、と・・・。

ありがたき幸せである。

あいにくリハーサルのスケジュールは合わなかったのでぶっつけ本番となったが、
ドラムセットを運ばねばならないので6時半に起きてドラムを満載して会場に向かった。

どこから搬入していいやらわからなかったのでマー坊さんのマネージャーさんに電話をし、
ちょうど搬入口を塞いでいた野元さんが車をどかしに会場から出て来た。

「お久しぶりです〜」
明るく挨拶を交わすワシを、野元さんはいきなり強く抱きしめてこう言った。

「末ちゃん・・・間に合わんかった・・・」
そのままワシを抱いたまま泣いた。

ワシはとっさに何のことやらわからんかったが、
後にケン坊さんが夕べ亡くなったと知った。

くよくよしてても仕方がない・・・そんな気持ちだろうか・・・
野元さんをはじめ、メンバー全員はそれ以外はすこぶる明るく、
楽屋も「同窓会」に相応しい楽しいものだった。

「ケン坊はなぁ・・・」
楽屋はここには書けないような下ネタや笑い話で満載である。

「まあここではこの辺にしとこ、後は打ち上げで喋らなな」

あ、そうか・・・打ち上げか・・・
今日は小畑も都合が悪く、娘もバイトなので自分で運転して来る羽目となったので、
まあ打ち上げはご遠慮させて頂いてとっとと帰ろうと思ったのじゃがそうもいかない・・・

ホテルを押さえようとしたが当日はなかなか難しく、
まあサウナかどっかに泊まればいいやと覚悟を決める。

リハが始まった。

ワシの出番はアンコールのみ、
初めてレコーディングした北斗の拳のテーマソング「愛をとりもどせ」と「ユリア永久に」、
そして後は洋楽カバーのセッション。

全曲通してリハをやったが、
ワシが知ってる曲は半分以下というかなりコアな選曲のコンサートである。

チケットはソールドアウト、
会場は立ち見も出来ないというので本当の限定ライブである。

コンサートが始まった。
オープニングSEが客席に流れ出すと、マー坊さんがメンバーを集めて円陣を組む。

「今日はな、ケン坊を送り出すコンサートやからな、泣いたらあかんで!!
涙は禁物や!!家に帰ってから思いっきり泣こ、な!!」

その言葉でワシの涙腺は崩壊しそうになる。
そんなこと言ってるこの人が一番涙もろいのだ・・・。

でもコンサートは本当に楽しく、和やかに進行した。
途中でドラマーが入れ替わる間のアコースティックコーナーで舞台を降りた野元さんは、
「マー坊また構成間違えやがって」
と笑う。

「打ち上げのいいネタじゃないですか」
とワシも笑う。

本当に本当に楽しく、和やかにコンサートは進行した。

本編が終わり、アンコールとなって、
今から舞台に出るとなった瞬間に舞台袖でマー坊さんが泣いた。

「アホー、それが今日はあかんとお前が言うたんやろが」
野元さんが笑う。

気を取り直して笑顔でマー坊さんがステージに上がり、
一人一人メンバーを呼び込んだ。

最後がワシ・・・ついでに関西人芸のごとく舞台でコケてみる(笑)

「ユリア永久に」そして「愛をとりもどせ」、
爆風スランプの給料が2万円だった頃、1曲5万円のギャラを1日で2曲分もらった。

サラ金に借金が40万あったら破産宣告するしかないという時代に、
70万あったワシの借金は全てこんなクリキンのギャラで完済したのだ。

2曲終わってケン坊さんのVTRが流れる。

元々出演する予定だったのが体調が悪くなったので来れないと言うので、
メンバー全員が九州の病院に見舞いに行ってコメントビデオを撮って来たのだ。

誰もまさかそれを流す前に死んでしまうとは夢にも思ってない。

大急ぎで編集したのだろう、最後に
「金福 健 4月16日永眠」
というテロップが流れた瞬間に客席がどよめいた。

客も泣いたがワシも泣いた。
マー坊さんも当然泣いた。

でも気丈に笑ってマー坊さんはこう言った。

「せっかちなヤツやったからな。一日間違えて早う逝ってしまったんやろ。
賑やかなことが好きやったからな、みんなで楽しく送ってやろうや!!」

佐世保の米軍キャンプで、米兵にケンカ売るがごとく演奏していた頃のカバー曲、
ロッドスチュアートのHot Legs、そしてレッドツェッペリンのRock'n Roll、
アホなことしながらホンマに盛り上がった。

ワシは在籍も短かったし、
こんなにも歴史のあるバンドのオリジナルメンバーに送る言葉はない。

でもひょっとしたらとこんなことを思う。

「ケン坊さん、あんたどうしてもここに来たかったんちゃうん?・・・。
ひょっとして身体が重いから捨てて魂だけ飛んで来たんやろ・・・」

それぐらい素晴らしいコンサートだった。
素晴らしい一日だった。

ケン坊さん、ありがとう。

クリキンのドラマーというバトンをワシに渡してくれた偉大なアニキ、
そして今日のこの素晴らしいコンサートに参加させてくれて、本当にありがとう。

あなたがいて、クリキンを作ってくれて、そして私がいます。

本当にどうもありがとう!!

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