2014/03/07
EVER
先日北京でWINGと会った時に、
長らくバックバンドをやっていたEVERが他のバンドになっていた。
WINGのコンサートでは必ずEVERのコーナーもあり、
自分とこ所属のアーティストをバックにも使い、
バーターで宣伝もしてとうまく使っているなと思っていたが、
バックを外れたということはどんな事情があったのだろうとちょっと心配していた。
縦の社会である元暴走族の小畑は
「ヤバいっすよ。WINGさんとケンカなんかしてたら俺は奴らともう会えなくなっちゃうじゃないですか」
と心配してたが、楽観的なワシは、
「EVER本体の仕事が忙しくなってバックバンドをやる時間がなくなったんじゃないの?」
ぐらいに考えていた。
そのEVERのボーカリストであり、マルチプレイヤーの家豪(JiaHao)が日本に遊びに来ると言う。
スケジュールが合うのは彼の滞在最終日の昨日しかなかったのでその日に約束し、
小畑秀光に「お前も行くか?」と言うと、
「でもWINGさんとどうなったかわからなきゃ、ひょっとしたら会っちゃまずいことになるんじゃないですか」
と心配してる。
「アホか!!それは暴走族の世界じゃろ、音楽の世界は全然関係ないの!!」
となだめて連れて行く。
待ち合わせ場所は彼が投宿している新宿。
「さて何を御馳走してやろうか」と悩みに悩む。
香港にはアジア中の美食が集まっているので、
日本でしか食えないものというのはなかなか難しい。
迷いに迷ったあげく飛び込んだのが「もんじゃ焼き」。
「お好み焼き」はあるじゃろうが、さすがの香港も「もんじゃ焼き」はあるまい!!
と思ってたら大成功!!彼も一緒に来日した彼の友人も食ったことがないと言う・・・
酒も生ビールから始まって、サワー系や最終的にはホッピー(これも香港にはあるまい)で
チャンポン悪酔いで既にヘベレケ・・・。
酔いに任せて「お前らWINGとどうなってるんだ?」と聞いてみた。
そしたら思いもよらない答えが返って来て、
酔いも手伝ってついついもんじゃが目に沁みた・・・
「僕たちはねぇ、小さい頃からBEYONDを聞いて大きくなった。
つまり広東語のロックを聞いて育ったんです。
でも香港はマーケットが狭いので、今はみんな大陸に稼ぎに行ってる。
WINGさんも僕たちを連れて大陸を回って下さってるんだけど、
僕たちそれでいいのかなぁって考え出したんです。
大陸のマーケットに合わせて、歌いたくもない甘い北京語ラヴバラード歌って、
それでいいのかなぁって。
僕たちがやりたいのは僕たちが聞いて育ったBEYONDみたいな広東語ロックじゃないのかって」
そして彼はWINGに「自分達は香港から出たくない」と相談し、WINGはその申し出を受けた。
「おかげでお金にはならないけど、僕たちは香港で自分のやりたい音楽をやってます。
この前のシングルは香港で7位になりました」
「WINGとの関係はいいの?まだ彼んところに所属してるの?」
と聞くと、
「もちろんです。この前も紅包(HongBao:お年玉の意味)くれましたし」
という言い方がツボに入って、
相変わらず自分のことよりも若い世代のことを考えて、
金も損しながら世話ばっかり焼いているWINGのことを想像してまたもんじゃが目に沁みた。
「俺はお前達を応援するぞ!!」
ワシは親指を立ててそう宣言し、小畑秀光に訳してやると彼も同じように指を立てた。
「よっしゃー飲みに行こう!!」
ということで店を探す。
香港にない店・・・ということで小畑が
「じゃあヘビーメタルBARなんかどうですかねぇ」
と昔の不良仲間に電話をかけた。
そんな店があるのか・・・と恐る恐る地下室のドアを開けたら、
ガンガンにメタルがかかって不良外人やロック姉ちゃんが盛り上がっている。
「凄いよ!!香港にはこんなBARはない。あっても客を踊らせたり、メタルは見たことない」
と大喜び。
不良外人やロック姉ちゃんと英語でひとしきり盛り上がってたが、
酔いが回って来てグラス片手にワシにいろんな話を始めた。
「覚えてますか?一緒にシンガポール行った時、
あなたはラテンのドラムソロをやったんですよ。
もう僕は目が点になって、茫然自失で見つめてましたよ。
台湾でのドラムソロも凄かった。
あなたのドラムを聞いて思ったんです。
"音楽をやるぞ!!僕がやりたいのは"音楽"なんだって・・・」
ヘビーメタルに乗せて若者の夢や悩みを聞きながら酒が進む。
頑張れ家豪(JiaHao)頑張れEVER!!
信じた道を進めばいい。
やりたい音楽をやればいい。
ワシとWINGはいつまでもお前らを応援するぞ!!