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2015/05/19

ギャラの取りっぱぐれ(>_<)

まあ中国ではよくある話ではあるけれども、
これに関しては長い経験の中からいろいろとうまい方法を編み出している。

まずは「(1)損して得取れ!!」

「いくらでもいいから、そしてタダでもいいから仕事しとけば後々いいことあるよ」
と判断した場合、
「別にギャラは要らないよ」
と言ってそれでも一生懸命仕事をやってあげる。

「(2)後払いはもらえないと思え」

これは昔の日本のスタジオ仕事でもそうだったが、
その日にくれなければ後にくれるという確率は断然低くなる。

そういう場合はもう「もらえない」と判断して(1)の範疇に入れ込んで諦める。

「(3)中国人には中国人をぶつける」

基本的に「本人としか話をしない」という中国人だが、
外国人が喧嘩をするとネイティブな中国語の人には必ず負けるので、
とりあえず交渉ごとは中国人と中国人でしてもらった方が話がまとまりやすい。

ワシの場合は長い付き合いの人には自分で話すが、
初めての人とか映画音楽のように契約書を結んだ方がよいモノに関しては必ず中国人を間に入れる。

上記のような経験則によりここ数年このような事件は起こらなかったけれども、
今回はちょっと話が違ってしまったようだ・・・(>_<)


事の始めはと言うと一本の電話である。

いろんな勧誘電話が多い中国では基本的に知らない番号の電話には出ないのだが、
何の気なしに受けた一本の電話が発端である。

「Funky!!俺はギタリストの@@、CD Bluesで会ったことあるだろ、覚えてる?」

もちろん覚えていない(>_<)
でもそう言うと元も子もないのでとりあえず要件を聞く。

「秋にツアーを廻りたいんだけれども・・・」
いろいろ相談を持ちかけられる・・・

「仕事取るのにどうしてもMVが必要なんだけどどうやって撮ったらいいかなぁ・・・」
取りあえずうちに来れば〜ということで会う日を決める。

もちろんそこにアシスタントである方言(FangYan)も同席させる。
すなわち(3)の原則である。

うちに現れたギタリストの@@、ボーカリストの奥さんも連れて来ている。
ところがいろいろ話すに考えが多すぎて全然話がまとまらない。

MVの撮り方にもいろんなやり方があるが、
「どれだけのモノを撮りたい」
というのがあって初めて方向性が決まる。

もちろんそれによって予算も大幅に違って来る。

カメラ何台も置いて、マルチレコーディングしてなどと言ったら、
録音やシューティングだけでなく編集やミックスダウン、
更に追求して差し替えなどやってたら1ヶ月仕事になってしまう。

まあJazzミュージシャンだと言うし、
「だったら昼間のライブバーでも借りて一発録音でやればいいんじゃないの?」
とアドバイスする。

まあその時にちゃんとギャラの話をしとけばよかったんだけど、
これは(3)の原則があるので方言(FangYan)
「後でちゃんと話しておけよ」
と釘を刺しておく。


それから何度かやり取りするのだが、
譜面を用意しろと言ってもロクでもないのが送られて来るし、
なんかわけのわからんデモとかも送られて来るし、
「仕切りが悪い」の典型的である。

また考えがいろんなところにぽんぽん飛ぶので収拾がつかない。
「決定になったものだけ伝えてくれればいいよ」
と釘を刺す。

MVもまだ取ってないのに秋のスケジュールなんか押さえたって何の役にも立たないのだ(>_<)

かくしてMV収録の日取りが決まり、その前日に方言(FangYan)がギャラの話をした。

同様に「バンドに加入してくれないか」というPushというバンドは、
「照明とかにお金使って予算もないだろうから」
ということで「2000元でいいよ、リハ代も要らない」と指示していたのが、
なんとその数倍のギャラを先に振り込まれたりしてる事実もあるので、
「取りあえずお金もないだろうから1000元って言ってみなよ」
と指示した。
「別にそれが500になっても構わないから」
と付け加えてもいる。

まあ要は「人助け」である。

現実、そんな「人助け」で安いギャラでやってあげた映画がその年のタイタニックの興行成績を抜く大ヒットとなって、
一躍ワシを「売れっ子映画音楽家」に祭り上げてしまったということもあったし・・・

ところが方言(FangYan)が悲しそうにワシに言う。

「お金の話をした途端にいきなり機嫌が悪くなって・・・」

それでも「払う」と言ったのならそれでよい。
イヤな役回りは方言(FangYan)に任せて、ワシは笑顔で音楽の話だけしておけばよい。

まあこれも(3)の役割分担である。


かくして現場に到着・・・和やかに撮影は始まるが・・・
まあこれが仕切りが悪い悪い(>_<)

「一応全部の譜面は印字して持って来てね」
と念を押してるのに持って来てない(>_<)

見ればベーシストが譜面を持ってたのでそれをもらって全部コピーに走る・・・

オリジナル曲は全く使えないほどの手書き譜面で、
コピー楽曲は6枚綴りの勧進帳譜面・・・(>_<)

時間は1時から5時までの4時間しかないので、
「時間もないから大事な曲から順番に撮っていこう」
と提案。

彼が最初に選んだのがその勧進帳の曲(>_<)

なんで????
ツアーブッキングするためにはまず奥さんの歌うオリジナル曲でしょ???

まあ「仕事」なのでよい。
「じゃあやるよ」となると、ただでさえややこしいその譜面で、
いろんなセクションが書かれてないので叩けない。

「これはドラムは上段のメロディー部分に合わすの?それとも下段のベース部分?」
質問してもキョトン・・・

「じゃあ原曲聞いてみよう・・・」
おいおい、あるんだったら予め送っておけよ!!!!(>_<)

むっちゃ難しいタワーオブパワーのようなそのセクションを譜面に書き込んで、
「じゃあやってみるよ」

ベースは違うことやってんじゃん!!
ギターは違うことやってんじゃん!!

「ゆっくりの速度からやるよ!!」
確認しては譜面を書き直してやっとセクションが出来上がり、
「じゃあ撮るよ!!」

結局誰かが間違えたりして何度も何度も撮り直し・・・

だいたいこの曲撮ってツアー先に送りつけて何かメリットあんの?・・・
徒労感満載だが、ドラマーとして初見でこの難曲を完璧に叩けるという「満足度」はある。

他の誰が間違えてようが、自分が完璧なら「OK」を出して(笑)次に進む・・・

奥さんが歌うオリジナル曲、これはボサノバ曲なのだが、
譜面がぐちゃぐちゃなのでベーシストがそれを書き直すのに大きな時間のロス。

でもまあ簡単な曲なのであっと言う間に終わる・・・
何故これを先に収録せん!!!!(>_<)

じゃあ次のオリジナル曲をやるのかなと思ったら、
「時間がないのでそれは今日はやらない」
とのことで、
「じゃあSpainをやろう」
となる。

何故Spain????(>_<)

もうこうなって来ると何の目的やらわからなくなって来る。
オリジナルを後回しにして何故Spain???
それでライブツアーが組めるの???・・・

馴染みの深い曲だったので譜面をチェックしてなかったが、
これはよく知られてるバージョンではなく、
変拍子も入るしユニゾンのセクションも全然違うバージョン(>_<)

これを初見でやんの?・・・

まあいい、ドラマーとしては大きな挑戦である。
セクションごとにまた細かくチェックしてゆき、
違ってるところは指摘して譜面に書き込んでゆく。

「じゃあ最初からやるよ」

やれるわけがない(>_<)
まあそれでも簡単にするところは簡単にして最後まで通すか通さない頃に時間切れ・・・

「ふう・・・」
と一息ついて帰ろうとする前に方言(FangYan)に「金の話はしたの?」と釘を刺す。

「いえその話は出てません・・・」
おいおい、その話を出すのがお前の仕事じゃろ!!!(怒)

もう一度ギタリストを捕まえて話をして帰って来て、
「今日はギャラなしだそうです。次の時にということで」

アホか!!

(2)の原則である。
長く付き合おうと思う人間にはよいが、
このままこのギタリストに付き合ってずーっと「先生」をするつもりもないので、
「次はない!!今日もらえなければもう次はないから今日もらえ!!」
と言い放つ。

方言(FangYan)も「もうこれ以上言えない」と困り顔。

「よし俺が言う!!」
とギタリストを呼び出して座らせる。

向こうの言い分はこうだ。
「お金の話なんか一度も出なかったじゃないか。突然言われても困る」

こちらの反論はこうだ。
「昨日ちゃんと話したでしょ」

あちらの再反論はこうだ。
「昨日言われたって払えるわけないじゃん」

とどのつまりには
「金払えなんてそんなヒドい話はない!!」
となる。

まあ最後にはテーブルを叩いてコップを割ったり、
奥さんがヒステリックにわめいたり大変(>_<)

まあまあまあ・・・

カメラを回していた映像担当者が心配そうに寄って来た。
彼は今日出会って開口一番に
「お会いできて光栄です。私は中学の時にあなたのアルバム亜州鼓魂を聴いてました」
と言ってた人間である。

顔を近づけて耳打ちする。
「じゃあギャラももらえないようですから、俺の音と映像は一切使わないで下さいね。勝手に使ったら告訴しますから」

まあ相手は怒ってるので話してもしょうがない。
「じゃあそういうことで〜」
と笑って手を振って場を後にする。

笑顔、笑顔・・・どの世界でも一番大切なのは笑顔である!!


夜にはCD BluesのオーナーのBig Johnに会ったのでこの話をしてみる。

ロック界(流行音楽会も含む)では誰もワシに未払いを起こすような人間はいない。
もう二度とワシの周りの人間と仕事が出来なくなるからである。

(1)の逆のパターンである。
1000元ぐらい払っといてお近づきになっといた方が逆に得なのである。

まあJazz界はまた世界が違うから、とりあえずその世界のトップの人間に一報入れておいたというわけだ。

別にそのギタリストを追い込もうというのではない。
彼も今日の映像を使おうと思ったら次の機会には
「Funkyさん久しぶりdす〜」
と笑って電話をかけて来るのだ。
それが中国人(笑)

その時にBig Johnに一報入れておくことで彼もBig Johnにとりなしを頼んだり出来る。

まあヤクザの世界と同じやな(笑)

Big Johnは
「あいつかぁ・・・金がねえんだよな・・・」
と頭を掻く。

そうなのだ。
だから決してこのギタリストを攻撃してはいけない。

弱気を助け、強きをくじく・・・

彼がワシよりも強い立場だったら堂々と胸を張って攻撃すればよいが、
自分より立場の低い人間にそれをやっては「任侠」がすたる。

まあこのギタリストも100元でも払っておけばよかったのだ。
もしくは金がないなら自分を偉そうに見させるよりも「ない」と素直に相談すればよかったのだ。

まあそれでもワシは一日出向いてドラムの練習させてもらって、
またちょっと上手くなったからそれでいいか(笑)

北京の仕事はこの時代になってもこうやって進んでゆく・・・

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