「またレコーディングしたいって言うバンドがいるんですけど・・・」
地元のギタリスト、ケンタロがまた仕事を取って来る。
まるでファンキースタジオのマネージャーである。
「今度も女の子バンドっす。
いやー・・・なかなかいいっすよ・・・おっぱい大きくて・・・」
お前・・・レコーディングすんのにおっぱいは関係ないじゃろ・・・
ということでブッキングされてたのがこの日。
朝からドラムを運び入れてセッティング。
9時半には綺麗どころを連れてケンタロが現れる。
まるで「女性紹介所」のようなイメージである。
ドラムを組んでマイクを立てて、
一度レコーディングしてみていろいろ指導する。
「生楽器で一番大切なのは音色。
ドラムを軽く叩いたんでは軽い音色しか出ないでしょ。
それを電気的に増幅しても大きい音にはなっても強い音にはならない。
ほら、強く叩いたら強い音になるでしょ」
日本のミュージシャンは中国のミュージシャンより飲み込みが早いかも知れない。
すぐさまポイントをつかんですぐに進歩する。
自分のレコーディングした音を聞きながら、
「ほら、この部分、叩くのが弱くなってるから何かカクってくるでしょ。
これを気をつけて叩けば大丈夫!!」
後は仮谷くんに任せて家庭サービス。
真に自宅スタジオというのは便利でよい。
昼飯時が過ぎた頃にはドラムは終わっていたので、
ベース入れの時に仮谷くんと替ってあげる。
「昼ごはん食べて来なよ」
こんな時に家が隣だと便利である。
「ベーシストがドラム録音して、
ドラマーがベース録音するんっすねえ」
そう言い残して昼飯食って帰って来たらベースはもう終わっていた。
真に順調である。
しかしロックと言えばギター。
予想通りダビングの多いギター録音はかなり大変そうである。
晩飯を食い終えた頃にもまだやっているので、
「替わるよ。飯食って来なよ」
とまた仮谷くんと交代。えんえん夜中までかかってやっていると、
ふと気がつくと我が家にはどんどん来客が増え、
スタジオを出たところの我が家の台所はオッサンばっかである。
気がつくとジャンクション櫻田までやって来ている。
最近XYZのライブに現れないと思ったらこんな時にだけ現れるアホである。
「イヤー・・・思い出しますねえ・・・北京録音・・・」
ワシは別にもう思い出したくもない・・・あの日々も・・・お前のこともな!!
しかしまあ本職のギタリストがいればギターの音作りや奏法のアドバイスなどいろいろ役に立つ。
狭いスタジオにこいつの巨体は非常に迷惑じゃが一応手伝ってもらう。
今ジャンクションはまたメンバーチェンジのため休止中らしいが、
まあもしうちで録音するならあの時のように目に涙をためるまでシゴいてやろうではないか!!
金のない奴は俺んとこへ来い!
俺もないけど心配すんな!
アルバムぐらいなら作ってやる!