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2012/11/23

スローブルースの叩き方

先日は店で西野やすしさんのセッションだった。

相変わらずの超ハイレベルのブルースを聞かせてくれたが、
まあ聞く人が聞けばわかるが、彼のプレイの中にも根強く「Jazz」がある。

実は「Jazz」と「Blues」とは切っても切れない関係があり、
「Jazz」のルーツには、いや「Rock」のルーツにもこの「Blues」というものが根強く流れているのである。

ところが「Blues」を経ることなく「Rock」をやっている人には「Jazz」という要素がないので、
「Blues」というアプローチがとかく「Rock」的である場合が多い。

かく言うワシもそうだった。

若かりし頃・・・あれは爆風スランプが全盛だった頃か・・・
Jazzをやり始めていろんなJazzクラブに武者修行に行った。

「Jazz屋のオヤジ」という言葉があるぐらい、
Jazzクラブのマスターはそれはそれは偏屈な人が多く、
まあ基本的には有名であるかどうかは問題ない、
「上手い」か「下手か」だけが彼らにとって問題なのだ。

もちろんそれは個人的な好みで「好き」「嫌い」でもいい。
彼らは自分の金で自分の好きな音楽をやる「城」を作ったのだ。

その中での「法律」は彼らが作ればそれでいい。

とあるJazzクラブでセッションを組んでもらい、
演奏の途中にマスターから怒鳴られたことがある。

「こら!ドラム!!!ピアノが聞こえんやないかい!!ボケー!!」

ご丁寧にマスターは演奏終了後にワシの首根っこを捕まえて、
全てのテーブルの客のところに連れて行って全ての常連さんにこう聞いた。

「おい!!こいつのドラムをどう思った?正直に答えてええ!!
うちの店は一流の音楽しか流さんのじゃ!!
こいつは一流やったか?正直にこいつに言うてやれ!!」

恨みに思ってるわけではない、今から思えばむしろ感謝している。
次にここに来るまでに死に物狂いで練習して、
このマスターが唸るような「音」を出せばそれでいいだけの話である。

実際20年以上こんな武者修行をして、
今では「Jazz」が血となり肉となって自分の「Rock」にも生きていると思う。

ブルースなどやればそれは顕著である。
特にスローブルースを叩く時など、Rock的なアプローチよりはJazz的なアプローチの方がより「ブルージー」になる場合がある。

例えばこのような典型的なスローブルースのドラム・・・

BluesDruming1.jpg

これを8分音符のリズム感で、
まあ言うならばハイハットを8分で踏みながら叩くロックドラマーが多い。

もちろんワシも盛り上がったらそのように叩くし、
その8分の部分を16分音符で細分化したり、
もっとスウィンギーに3連符で細分化したりする。

3連符で細分化するとJazzでいう3拍子のSwingとなり、
ここではいろいろJazzで培ったいろんな手法を使うことが出来るのだが、
今回ご紹介したい叩き方はこの部分ではない。

盛り上げる部分ではなく落とす部分では、
これを8分の6拍子と解釈するのではなくむしろ物凄くテンポが遅いSwingの4拍子だと解釈するのである。

こんな感じ・・・

BluesDruming2.jpg

思えば物凄く遅いSwingをJazzドラマーはこのように叩く。
誰もその合間をご丁寧に8分音符(この譜面の書き方で言うと8分3連)で全部埋めようとしたりしない。

Jazzの場合は盛り上がれば倍のテンポのSwingになるので、
それを3連符に固定されたりすると自由度を奪われてアドリブなんぞ出来たもんじゃないのである。

だからこのSwingのビートというのは3連のビートでもあり、
同時に倍のテンポのSwingのビートであるという、
およそ「かちっとしてない」リズムであり、
それだからこそユルくてブルージーなリズムなのである。

試しに「チチチタチチ チチチタチチ」というリズムを、
こらえにこらえて「チータッチ チータッチ」と叩いてみて欲しい。
これだけでブルースの持つ「悲しさ」が倍増する。

ただ訓練せずにこれをやると大概はテンポが走る。
「こらえきれない」のである。

コツとしては、実際には叩いてはないのだが、
頭の中ではちゃんと「チチチタチチ」という細かい音符が鳴っていることである。

左足でゴーストビートを踏んだりするドラマーも多いが、
この場合はじっとこらえて2、4に踏んで欲しい。

もっと落とすところではシンバルは4分音符で、
スネアは叩かずにハットで2、4でよい。

頭の中では一生懸命「チチチタチチ」と数えてはいるが、
敢えて音としては叩かない。

そうするとほら、表現力が段違いに増すでしょ。

「役者は背中で演技をする」と言うけれど、
ドラマーは叩いてない音、つまり「空間で表現する」のじゃよ。

お試しあれ〜

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