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2011/04/23

やっちん考

やっちんこと曾我泰久と知り合ったのはThe-Goodbyeが全盛の頃だったと思う。

SogaYasuhisa.jpg

友人から紹介されてドラムの衛藤浩一と親しくなって、
衛藤と共にオーディションでバンドに入ったベースの加賀八朗とは、
「一般人同士」みたいなフィーリングで非常にウマがあったのだが、
やっちんだ野村義男だというと
「スター」、「ジャニーズ」、「アイドル」、「雲の上の人」...etc
みたいな感覚でどうも近寄り難かった。


そんな中、ひょんなことから見に行ったひとつのコンサート、
渋谷公会堂(今のCCレモンホール)で行われた・・・
たしかジョンレノンの追悼コンサートだったと思うが、
パンタさんやアナーキーなど、そうそうたる「怖い人達」の名前の中に、
「曾我泰久」という名前を見つけた。

名前からして明らかに浮いている。

会場に来てみたら、
客席の雰囲気もその「怖い人達」と同じような怖い人ばっかりで、
客席にいても落ち着かなかったので、
ワシは楽屋のやっちんを訪ねて行った。

渋谷公会堂のあの楽屋、
ドアを開けると左側の隅に小さくなってやっちんがギターを抱いて座っていた。
右側には「怖い人達」がいーっぱいいて、
ワシでさえかなり怖かった。

ギターをつまびいていたやっちんがワシを見つけて、
すがるような目でワシに言った。

「末吉さ〜ん・・・」

ワシはこそこそと楽屋に入ってやっちんの隣に座って聞いた。
「どういうブッキングなの、これ?・・・」

およそジャニーズとか相容れない怖い人達ばかりである。
間違えて(?)ブッキングしたジャニーズのスタッフさえ、
この楽屋の怖い人達に恐れをなして(?)逃げて行き、
やっちんだけがただひとりここで残されてギターを持って震えていた。

「が、頑張ってや、客席で応援しとくし・・・」

パンタさんだったかアナーキーだったか
誰だったか忘れたがその怖い人達が、
オーラで言うとどす黒い色のオーラ(?)を発散しながら、
ジョンレノンのナンバーをどす黒いアレンジで絶叫していた。
客席はもっと黒いオーラで「ウォー!!」とか「ギャー!!」とか絶叫していた。

「ここでやっちんなんかが出て行たら、
普通ならどっちらけ、悪くすれば袋だたきにあうんじゃないか・・・」
ワシはヒヤヒヤしながら彼の出番を待った。

「きっとやっちんにはワシの知らない別の面があって、
出て来たら実は彼らと同じぐらいパンクで、
鶏のクビ切ったりブタの臓物を客席にぶちまけたりしながら歌うに違いない!!」
きっとそうに違いないと思って出番を待った。

やっちんが舞台に出て来た。
セッティングしている。
「誰だこいつ?」
ここにいる全ての客は曾我泰久なんて名前は聞いたこともないだろう。
まるで「盛り上がる」という雰囲気がない。

演奏が始まった。
いつものやっちんの、元気で爽やかで、
明るいビートルズナンバーで客席が静まり返った。

オーラで言うと金色、もしくは虹色である。
今までが地獄色ならこれは天使色である。
浮いているどころでない、ある意味ぶちこわしている・・・

ワシは息を飲んでことの成り行きを見守った。
よくってどっちらけ、悪くって袋だたき・・・
俺は舞台に駆け上って客の罵声からこの友人を助けに行く勇気があるのか?・・・

演奏が終わり、一瞬水を打ったように静まり返った後、
どよどよどよっと歓声が沸いた。
客席が揺れた!!
ちょうど昔の爆風がイベントに出て「客泥棒」をする時のような、
そんな揺れ方である。

やっちんはこの数千人の「場違いな客」を、
その笑顔と歌とオーラで持って行ってしまったのだ。

ワシは楽屋に駆けつけて彼に握手をしながら言った。
「あんた、凄いよ!!本当に凄い!!」

それからワシとGood-Byeとの本格的な付き合いが始まった。


ジャニーズの超エリートであるやっちんと、
たのきんトリオの中でひとりデビューが遅れていた野村義男と、
オーディションで参加した衛藤浩一と加賀八朗でバンドはスタートし、
テレビにも出まくり日本レコード大賞新人賞も受賞した。

数年活動した後、契約が切れてバンドは解散。
その後ソロ活動を開始したが、
あれから10数年、再会の縁はなかったところ、
先日Twitterでつながり、
彼の番組にゲスト出演させてもらって昔話に花咲いた。


そんな彼からメールが来た。
「僕も末吉さんの店に出させてもらえませんか?」

もちろん大歓迎である。
「もしよかったら俺とか和佐田とかバック出来るよ。
1回やって、もし店を気に入ってもらったら是非一緒にやろう」
と返信した。

昨日、えとーBar(で月いちでやっている衛藤浩一のバー)で、
マネージャーのSさんと飲んでて発覚したのだが、
彼は「一緒にやろう」というワシの言葉が非常に嬉しかったらしい。

「やっぱどこ行ってもアイドルだって見られて、
ある種コンプレックス持ってるですよ」
とSさんは言う。

ワシはワシで
「やっちんみたいなスターにこのような店に出てもらうのは・・・」
と思っているのでちょっと構えていたのだろう。
やっちんは
「一度ひとりで弾き語りで出演してから、そしたら一緒にやってもらえる」
と逆に構えてしまったのだろう。

ワシらの関係・・・相変わらず昔のままである(笑)

先日の大阪でコンサートを終えたやっちんに、
とあるファンがこう言ったと言う。

「どうして東京なんですか?
どうして大阪でこんなライブやってくれないんですか?」

やっちんはそのファンにこう答えたと言う。

「東京だとか大阪だとかじゃないんだ。
僕は末吉さんの店で歌いたいんだ!!
その店がたまたま八王子だったっていうだけだよ」

震災の後、自粛ブームに立ち向かうべく、
発電機を買ったりいろいろワシの奮闘をTwitterで見て、
「このお店に出たい!!」
と思ってくれたそうだ。

5月17、18、19日の3DAYSを押さえていたが、
17、19日は既にソールドアウト!!

6月にもまた出たいとオファーが来ている。
その時には是非一度一緒に何かセッションをしたいものだ・・・


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