ひとりドラムの軌跡
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爆風スランプトリビュートアルバム WeLoveBakufuSlump

2012年5月28日

またもやパスポートを紛失?!!!

菊田さんのライブは19時からというのに、
その会場であるホテルに着いたのは19時をとっくに過ぎていた。

高級ホテルのロビーのラウンジに小さなドラムセットとギターアンプ、ベースアンプ、そして気持ちばかりのボーカルアンプが置かれている。

「これってラウンジのハコバンやん!!」

目の前にはオーナーらしきアメリカ人が時計を見ながら睨みをきかせている。
「お前の国ではどうだか知らんが少なくとも中国ではお前が考えてるほど物事は思い通りに進まんのじゃい!!」
と逆に睨みをきかせながらドラムをセッティングする。

大体この状況でタダでさえ音の大きなワシにドラムを叩かせるのが間違っている!!
はるばる日本からやって来た納さんに45分ステージを3回もこんなところでやらせるのが間違っている!!

40分遅れて始まった1ステージ目はワシはずーっと腹が立ってしょうがなかった。
アメリカ人オーナーが腰を抜かすぐらいの音量でぶっ叩いてやろうかとも思ったが、
そしたら「仕切り」ではなくワシの「音楽」が悪いと言われるので、
苦手ではあるが最上級の小さな音で叩く。

ドラマーにとって小さな音で叩くことは大きな音で叩くことよりも数倍も難しい。

レコーディングをする時など、
90%の音量でずーっと叩きながらところどころ100%のアクセントを入れる
(もしくは100%で叩いてアクセントでは「根性」をプラスして120%)
などワシにとってはもう普通に出来るテクニックなのであるが、
10%の音量でずーっとバラけずにキープしながら、
アクセントを毎回20%で打つなど至難の技である。

何倍もの集中力と冷や汗をかきながら1ステージ目を終えた途端にJohnに対して怒りがこみ上げて来た。

ワシはまだいい!!友達だからね。
でも菊田さんは初対面でしょ?!!
納さんは初対面でしょ?!!
何でお前がこの人たちをこんな目に合わせるの?!!・・・

電話だとケンカになるのでSMSで
「こんなのはブルースフェスでも何でもない!!
タダの酒場でのハコバンじゃないか!!
そんなのはハコバンミュージシャンにやらせればいいんだ!!
いい加減にしろ!!」

折り返し電話がかかって来たらうっとーしいので電話を切って2ステージ目を叩く。

要は「修行」なのである。
Jazzを始めて数十年、やっと音量をコントロール出来るようになって更なるステップに進んでいる、そう思えばよいのだ。

そういう点での経験値があるので8ビートよりもSwingモノの方が叩きやすい。
ドラムソロさえなければ結構この音量でもコントロール出来そうだ。

「ワシも上手くなったもんじゃのう・・・」
などと自画自賛しながら2ステージ目終了!!
見れば客席の隅っこの方に張張(ジャンジャン)が小さくなって座っている。

「よっ!!来たか!!じゃあお前もピアノ弾くか?」

客席に弾き語り用のピアノもあるので一応そう誘って見るが、
「無理です〜!!こんな厳粛な雰囲気なところで弾けるわけありません!!」
と恐れをなす。

そりゃそうだ!!ワシでさえこれは大きな「戦い」なのだ・・・

携帯の電源を入れると老呉(LaoWu)からメッセージが入っている。
「両個好朋友で10時から羊の丸焼きやるよ〜」

こりゃハコバンの演奏なんて早く切り上げて行かねばならない。
羊肉好きを豪語する納さんに、
日本では絶対に食べられない羊の丸焼きを食べさせてあげるのだ・・・

「元々7時から45分、8時から45分、9時から45分の予定だったから、
休憩短くして詰めれば何とか10時には終わりますよね?」

菊田さんにそう聞いてみれば
「オーナーがアメリカ人なんで契約にウルサイんですよね。
始まったのが契約より40分遅れてるんでちょっとナーバスになってるみたいですが聞いてみます」
と困り顔。

でもさすがにシカゴで20年以上ブルースマンとして活躍している人は違う。
オーナーと流暢に英語で話して、
「10時前に客がいなかったらその時点で終わっていいが、
ひとりでも客がいたら契約通り10時までは演奏してくれ」
ということで話がついた。

まあ元々は9時45分には終わると思ってたんだからまったくもってJohnの話とは違っていたのだ・・・
などと考えてたらちょうどJohnからメッセージが入った。

「ファンキー、お前がなるだけLIVEブッキングしてくれって言うから俺も頑張ったんだぜ。
どんな場所だと駄目だとか言われてないんだから俺だってコントロール出来やしないよ。
俺だって苦労してやっとこのブルースフェスティバルに協力してくれるところを見つけたんだ。
ここのオーナーはとてもブルース好きで、俺たちの活動にも賛同してくれてて、
そんなところで演奏することの何がそんなに気に食わないんだ?
俺はこれっぽっちもそれが悪いことだとは思わないよ」

自分勝手な理論だとは思ったが、
「まあお前の意見は参考にはするけど」
と付け足しているところに友情も感じてちょっと考えてみた。

こいつだって一生懸命このフェスティバルを成功させようと頑張っているのだ。
菊田さんが泊まるホテル代を協賛するのにそのホテルで一回演奏するぐらいの話も必要だろうということも想像出来る。

昨日の「照明もなく真っ暗で演者の姿も見えなければ譜面も見えないので演奏不能」というのと違って今日は少なくとも演奏は出来る。
ワシが怒ってばっくれたりしたら今度はJohnだけではなく菊田さんにも迷惑がかかってしまうだろう。

まあワシがこれまで叩いたことのないぐらいの小さな音量で叩くことが出来ればそれでいいのだ!!
その昔ライブハウスでやる気なさそうに叩いている若いドラマーに説教したことがあったではないか!!

「やるんだったら全力でやれ!!
そんなみっともない姿を見せるぐらいだったらドラマーなんてやめちまえ!!」

Johnには
「お前の頑張りは重々わかっている。
俺は俺で与えられた任務を頑張るから。
でも国外の音楽家の中にはこういう環境を嫌がる人もいる。
もしやるなら莫大なギャラを取るだろう。
そのことも分かってやってくれ。
まあとにかくいろいろお疲れさん!!」
とメッセージを送って3ステージ目を頑張る!!


「スローボールは力のないボールじゃないんだ」
これは若い衆によく説教垂れる時に使う例えだが、
「思いっ切り」小さな音で叩くのは「命懸け」なのだ。
やってやろうじゃないか!!!

と思ったら菊田さんがいきなり客席に飛び出してそれぞれの客のテーブルの前でソロを弾く。
BGMよろしく雑談をしてた客が喜んで拍手をする、写真を撮る。

最後にオーナーのところに行って煽る。
オーナーも喜んで親指を立てる。

この菊田さんのパフォーマンスにワシの目からウロコが落ちた。

この人は違うんだ!!
どんな国のどんな場所で演ったって、
この人はいつも「ブルース」を心から演奏してるのだ。

「Do you enjoy BLUES?」

ブルースを心から愛し、
ブルースで聞く人を同じように幸せにしたいと思っている、
そんな素晴らしい歌が、ギターが、MCがそこにあった。

「ドラムソロ振らないでね、今日は無理だからね」
と言ってたのだが盛り上がって最後には振られてしまった。

ワシのドラム歴の中で一番小さな音量のドラムソロに、
それをかき消すぐらいの大きな拍手が来た。

曲が終わって菊田さんはちらっと時計を見ながらオーナーに言った。
「どうですか?時間ですけど終わっていいですか?」

「いいじゃないですか、もう一曲やろうじゃないですか」
ワシもつい盛り上がってそう言った。

とっても小さな音の、とっても熱いステージが幕を閉じた。

ドラムを片付けているワシにオーナーが寄って来て
「あなたはいつもどの店で叩いてるの?」
と聞いた。

「僕はハコバンのミュージシャンではありません。
レコーディングミュージシャンですから」
と答えながら我ながらちょっと恥ずかしくなった。

ミュージシャンにハコバンもスタジオミュージシャンもない。
あるのは音楽を愛するか愛さないかだけのことなのだ。


「何かいろいろ考えさせられる日だったなあ・・・」
と思ってその場を後にしようと思ったら、
パスポートや現金、クレジットカードや実印まで入れているポシェットがない!!

携帯はドラムのケースの上に置いてあるのだが、
その携帯でいろいろメッセージ送ったり大高さん達のピックアップなどを指示してたのでポシェットをそこに置いて来たのだ!!

さっき座っていたロビーのソファーを血眼になって探す!!
今回はパスポートだけでは済まない!!
全てのものを再交付せねばならないのだ。

おまけに今日は土曜日、
明後日まで大使館は空いてないので6月のやっちんのツアーには絶対に間に合わない!!!!

「俺が演奏している間にこのソファーに誰か座ったか?!!」
ホテルのボーイに血眼でそう聞くが、
「ロビーなので沢山の人が座って行きましたが・・・」

ワシは頭を抱えてソファーに座り込んだ。
前回はまだそれをギャグにして笑い飛ばす元気があったが、
今回はもう完全に打ちのめされた。

そもそもワシがハコバンだの何だの下らないことを考えるからこんなことになったのだ。

神様はいるのだ!!自分の心の中にいるのだ!!
そして自分の甘えた心に容赦なく罰を与えるのだ!!

ホテルじゅうの人が大捜索をしてくれている。
監視カメラの映像をプレイバックして見てくれると言う。

でも無理だ・・・きっと見つからない・・・
これは俺が悪いんだ・・・
音楽の神様に対して邪な考え方を持ってしまった俺が悪いんだから・・・

力なくうなだれているワシにオーナーのアメリカ人が寄って来て言った。
「あなたの探しているモノはこれですか?」

見れば確かにワシのポシェットである。
ロビーではなく張張(ジャンジャン)のテーブルに行った時に忘れて来てウェイターが忘れ物として処理してくれてたのだ。

助かった〜!!!


その日は羊肉の丸焼きを食ってしこたま飲んだ。
納さんは翌日の朝一番で帰った。

次の日はブルースフェスティバルの最終日で
菊田さん、John、そして張張(ジャンジャン)や三科さんも飛び入りしてセッションした。

全部が終わってJohnと笑顔でハイタッチした。

全ては「ミュージシャンシップ」である。
「フレンドシップ」のない「ミュージシャンシップ」なんてあり得ないのだ。

よく若い衆に説教垂れる時に使う自分の言葉を思い出した。

「俺はな、こうしてこの年になって今でもドラム叩いて生活していることを本当に幸せだと思うよ。
お前らぐらいの若い頃の俺の仲間はもうほとんど音楽をやめてしまっている。
でも俺がこの年になってもまだドラムを叩いてられるのは、
金がいくらだっていい、こうしてドラムの仕事をくれる人がいるからだろ。
だからどんな仕事だって手を抜いちゃいけない!!
今日もこうしてドラムを叩いてられることを心から幸せだと思わなきゃならない!!」

何年ドラム叩いてたって自分はまだまだなのである。
偉そうに人に説教垂れてたってまだまだなのである。


その日予定されていた両個好朋友のライブは中止になったので、
大高さんと三科さんにはいっぱい観光してもらった。

「ファンキーさんにいっぱいお金使わせちゃったね」
と大高さんは言うが、
まあ二つ分のセッションをしてるので皆様にご馳走ぐらいはそのギャラで十分まかなえる。

たかだかこのぐらいの金を後生大事に持ってたって墓場まで持っていけるわけじゃない。
「友遠方より来たりて酒を飲む」
中国人なら例え家計が破綻しようが仕事をクビになろうが誰だってそうするだろう。

ワシはそれよりも大高さんや、三科さんや、納さん、
そして菊田さんのような素晴らしいミュージシャンと一緒にやれたことによってまた少しドラムが上手くなった。
それこそがお金で買えないほど大事なことなのだ。

あんな小さな音でもドラム叩けるようになったしね(笑)


ブルースフェスティバルの全ての演目を終えたJohnから電話があった。
「夜中にごめんね。一言お礼を言いたくてね」

ミュージシャンシップ溢れる素晴らしい仲間から、
お金では買えないフレンドシップを沢山もらった。

ありがとうみんな。
また世界のどっかで一緒に楽しいセッションをしよう!!

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