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2011年10月16日

「爽子(Shuangz)」のライブ

ShuangzAndFunky.jpg

中国のラップ歌手「爽子(Shuangz)」のライブに参加して来た。

仕切りも何もあったもんじゃない。
一昨日着いてから誰も「何時にどこに行け」という連絡すらないのだから・・・

まあこのままばっくれたところで罪はないが、
やはりちゃんと調べて自分で行ってしまうのがワシである。

着いたらドラムセットがふたつ置いてあった。

ShuangzFaBuHui2Drums.jpeg

聞けば3人のドラマーが代わる代わる叩くと言う・・・

しかしドラムセットはあってもシンバルが1枚もない・・・
「取りに行ってます」
まあこの辺はよくあることなのでいいだろう。

しかし「この曲はプログラム聞いて叩いて下さい」と、
ぽんとiPod touchを渡されるのはどうしたものか・・・

ShuangzFaBuHuiProgram.JPG

音響スタッフに言ってミキサーは持って来させた。
PAにつなぐべきシールドもあった。

しかしヘッドホンがない!!

「もうひとりのドラマーが持って来てるからそれを借りよう」
と言うのだがそいつのはミニジャックでこのミキサーにはつなげない。

仕方がないのでクリックでミキサーのレベルメーターが振れるのを見ながらリハーサルする。
よっぽどテクニックがなかったらこんなこと出来まへんで!!

しかし考えてみたらメーターをガン見せねばならんので譜面を見れない!!

他にも同期を使わない曲で「テンポが遅い」だの「速い」だのクレームが来たので、
「よっしゃ!!全曲クリック聞いて叩いてやる!!」
とイヤホンをはじめ自分のシステムを取りに帰る。

まあ考えてみれば歌う人と違ってラップの人は、
テンポがちょっと速いだ遅いだっつうのはとても気になることなんやな。
でもそやったらあらかじめ言っとけよと言いたい。

リハもそこそこでシステムを取りに帰り、
戻って来た時には既に満場の客が入っていた。

客前でセッティング・・・まあこれも中国では慣れたもんである・・・

そんなこんなでやっと楽屋に着いたらプロデューサーDが現れた。
左手をいつもポケットに隠していて、
一説によると「ヤクザともめて指を切り落とされた」とか噂される謎の人物である。

「この前の会社は結局どうなったの?」
ワシは聞いた。

もともとワシは前の会社から仕事を頼まれたのだ。
しかし仕事が始まったら彼が暴走してコントロール不能となり、
最後には前金だけもらったままこの仕事は流れた。

なのにこの左手のない男はまたここにいる。
「またあんたが金出してこのアルバム作ったの?」

彼は言う。
「あいつは俺にしかコントロール出来ないからな。
でもそれもまたロックだろ?」

まあワシはそんな輩と直で仕事をやる気はないが、
誰かがちゃんと金を払ってくれれば逆に相手がどんなヤツでも構わない。

「実はなあ・・・」
彼は小声でこんなことを話した。

「お前の作ってくれた世界観なあ、
ありゃ全くもってニュービー(Fuckin' great!!の意)だった。
でもなあ、あいつもガキだからなあ、どうしても消化不良になっちまったんだ。
それで今回は自分たちだけでアルバム作ったというわけさ」

日本でバンドやっててもよく
「大衆はバカなんだからそんな高度なことやったって誰もわかんねーよ!!」
なんてことを言われて言い争いをして来た。

結局そんなバカな音楽しかやれない世界はイヤになって「芸能界」とやらを後にした。

爽子(Shuangz)に最初に作ったDEMOは妥協せずに高度な転調を盛り込んでいた。
ラップは基本的に同じ音程でずーっと歌うわけだからバックが絶え間なく転調すればその場面場面で色が変わる。

ただそれを理解して完璧に演奏出来るJazzミュージシャンが北京にはあまりいないというだけの話である。

この日ワシがドラムを叩くことになっている曲にはこの曲も入っていた。
それほど複雑ではないにしろサビになると転調してみんなで大合唱出来るようになっている。

それどころかアメリカ持って行ってWyn Davisにミックスを頼むとか、
基本的には全部ワシが敷いたレールに乗って全てが作られている。

しかしライブが始まってみてワシはちょっと考えるところがあった。

ShuangzFaBuHuiAudience.JPG

爽子(Shuangz)のファンは強力である。
始まる前から待ちこがれて熱狂し、
そんな熱いオーディエンスをワシは、
10年前の許魏(Xu Wei)、20年前の崔健(Cui Jian)で体感したことがある。

そんなオーディエンスが中国の音楽界を変えていった。

この日は崔健(Cui Jian)の曲を爽子(Shuangz)も歌った。
きっとプロデューサーDが彼を説き伏せて歌わせたのだろう。

彼も、オーディエンスもまだ生まれてなかった頃に、
中国じゅうの若者が熱狂した歌を、
80年代生まれの若者達がまた熱狂して歌う。

爽子(Shuangz)はそんな「大人達」のいうことを、
自分なりに一生懸命消化してここまで来ている。

ワシの作った2曲は形を変え、
それなりに彼が一生懸命に消化しながら、
やっぱライブではワシの力が必要だからワシを呼んだのではあるまいか。

アンコールに彼がネットで最初に発表した曲をやった。

最初っから最後までずーっと同じリズムとアレンジ、
そんなどうしようもなくアンダーグランドな曲にオーディエンスが熱狂した。

もともとはワシは「この曲を何とかしてくれ」と頼まれたのだ。

今なら
「この曲はどうにもならん!!このままが一番なんだ!!」
と言うだろう。

でも「大人達」は彼をもっと上に連れてゆきたいと思う。

彼をはじめ、ステージ上に立つ全てのミュージシャン、
そして客席のほとんどの若者はタトゥーを入れている。

入れてないのはワシぐらいのもんである。

爽子(Shuangz)は二の腕に両足、
背中には今の彼女の顔と全身の絵を彫っている。

「大人達」がそんな彼に未来のレールを敷く。

例えばワシが布衣羊肉麺という曲を書いた。
ずーっと自分たちの音楽しかやって来なかった彼らは最初戸惑い、
でもボーカルのLaoWuだけは最後までワシのことを信じて歌い続け、
結果この曲は今では彼らの代表曲となった。

それは例えて言うと、彼らにワシが
「階段を一足飛びに飛び越えられるハシゴ」
を与えたというだけではないのか。

「大人達」には彼らの未来が見える。
しかし爽子(Shuangz)には決してそんなものは見えはしない。

そんなもの見えてたら今の彼女の顔を自分の背中一面に彫りますか?!!

彼が見ているものは「今」だけ。
そして同じように「今」しか見られない若者達がそんな彼の歌に熱狂する。

そして彼らがまた「新しい中国」を作ってゆくのだ。

プロデューサーDは打ち上げでワシに言った。
「お前との付き合いは永遠だからな!!
こいつの二枚目と三枚目、またお前の力を借りるぞ!!」

ワシはまた彼に「一足飛びに階段を飛び越えるハシゴ」を与えるだろう。
そして彼はまた苦労して、
そのハシゴを解体して低いハシゴにしてしまい、
ワシは怒り、あきれ、あきらめ、
彼は「大人達」の思惑とは別に彼なりの人生を歩んでゆくだろう。

プロデューサーDはワシに
「こいつを中国を代表するロッカーにしてやってくれ」
と言う。

でもそれをするのはワシではない。
とどのつまりは「彼自身」なのである。

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